俺は座学は苦手なのだが、歴史と虚や隊の話をする特別講師と剣術、斬術を教える講師になった。まぁもう10年ぐらい経ったし慣れたもんさ。
今年新たに新入生が来るとの事で毎度の恒例、担任が俺を紹介する
「こちら二番隊隊長にして隠密機動最高司令官。伝令神機を作ったすごいお方だ!三回生になったら伝令神機が配られるから楽しみにしとけよ!」
っと担任が紹介すると。
「隊長?まじ?」
「やっば……!霊圧が違うわ……」
っと生徒の声が聞こえる。うん、悪い気はしない。
功績を褒められるのっていいよな!少し恥ずかしいけど。
担任が出ていき俺の講義となった。
「えー、初めまして浦原維助、さっき紹介された通りです。俺の講義では道具の使い方、使う意味、また歴史や虚の話、隠密機動や鬼道衆、死神の隊の話なんかをします、実技は剣術、斬術の講義な。隊長兼任してるもんでたまにしか来ないけどよろしく。もし質問があったらその都度手を上げてくれ」
っと言うと早速1人の女子が手を挙げた。
「はい、そこの子」
っと指さすと「はい!!」っと言って立ち上がる子
「ひ、雛森桃です!えっと……、浦原先生はそんなすごい方でお忙しいのにどうして講師をなさっているのですか?」
緊張した様子だけどハッキリと質問してくれた。
桃ちゃん……?うーん……なんか聞いたことあるような………。
「先生……?」っと言った声で現実にもどる。
「ごめんごめん、頼まれたってのもあるんだけど………。こういうの新入生に言う話じゃないけど、今弱すぎるんだ」
「よわ……すぎる?それは霊力が弱い子供が多いということですか?でもそれは__」
「そう、霊力うんぬんなら貴族が有利だ、霊力の高いもの同士が結婚して子供を産んだら霊力が強い子供が生まれる。そりゃ霊力強ければ強いよ。でもそういうのだけじゃない、霊力強くても死ぬ時は死ぬ。
要は経験不足なんだよ、そこら辺の雑魚い虚にやられてるようじゃ隊ではやって行けない。俺は現実を教え生き抜く
すると、息を飲む音がする。
「死なないために死ぬほど努力する。死にたくないなら真面目に講義受けろよ」
っというと、ありがとうございます。っと頭を下げて座った。
「はい、質問はもうないかな?じゃー始めるぞ、教本を開け〜まず護廷十三隊について___」
────────
講義が終わり休み時間になる。
「なぁ、浦原先生かっこよかったよな。俺憧れなんだよ」
「え、あ、そ、そうだね?」
「俺は阿散井恋次、そっちは?」
「吉良イヅル……阿散井君は浦原先生の事知ってたんだね」
「浦原先生の話?」っと一人の女の子が話に入ってきた。
「あ、さっき質問してた……」
「雛森、雛森桃!浦原先生かっこよかったよね、死なないための術って……ちょっと緊張感あってドキドキしちゃった」
「来週、浦原先生の剣術の講義だよな、うわぁ……本物の剣術……楽しみだなぁ」
っとキラキラした目をする2人に吉良は苦笑いをうかべた
________
数日新入生を見て素直に賞賛する。
突発的な才能があるものってのは稀にいるもんだ。
雛森桃、彼女の鬼道は喜助と似通ったものを感じる。喜助は院に入る前から家庭教師により鬼道を学んでいたが、雛森桃は流魂街出身。
下の番号の鬼道とはいえきちんと発動できる彼女をみて将来は喜助のようになりそうだと笑みを浮かべた。
それから阿散井恋次、あの特徴的な赤い髪……少し聞いたことがある見たことある気がすると思うってことは多分原作で出てきてたんだろう。
うーん……確かにいたような……
「先生、」
「うお、なんだ?恋次」
「あの……もうみんな準備出来ました」
周りを見渡すと竹刀と面をつけた生徒たち。
「いや、おれの剣術の授業では竹刀は使わねぇよ、皆浅打貰ったろ用意しな」
「えっ……でも……」っと雛森が戸惑った様子を見せる
「竹刀での打ち合いなんて俺じゃない講師が教えてるだろ?」
俺が再度来るまでの時間割にも何コマかあったからやってるはず。
「俺は死なない為の術。剣を恐れず剣を交わしてもらう、斬るとはどういうものなのか、死とはなんなのか。死なないためにどうするのか。いいから浅打を持ってこい」
っというと慌ただしく浅打を取りに行った。
しばらくしてみんなして刀を持ってきたのを確認して頷く
「そもそも俺は型が我流だから斬り方を教えるとかは向いてないんだよ。死なないために死ぬほど剣を交わして貰う。2人1組を作れ。阿散井恋次お前は俺とだ」
「えっ!あっ……俺と!?」
いきなり呼ばれた恋次は驚いたように自分を指さした。
おれは頷くと、おずおずと言った感じで寄ってくる。
「一般の講師からお前は剣術が上手いと聞いた。上のやつと剣を交わせばそれが経験値となる、どうだ?隊長と経験を積む機会ってのはそうそうないぞ」
俺が京楽隊長と剣を交わした時みたいだな、っと思い出す。
「!よ、よろしくお願いします!!」
「声でか……」
────────
「……」
あの尸魂界一の剣の使い手と言わる浦原維助と向き合っている……
ただ強いだけではなく、尸魂界の連絡手段を変えるほどの功績がある伝説とも言っていい人、教本にだって度々名前が出てくる人だ。
正直この人が目の前にいることが未だに信じられない。
それに__
「(す、隙がねぇ)」
剣先を下に下げて隙をわざと作ってみても用意に突っ込んでこない。
やはり普通の奴相手とは違う
「うーん……」っと唸ったと思ったら浦原先生は斬魄刀を鞘に収めた
「え、えっ?」
困惑する俺。
「いや、いいよさぁ斬りに来な」
ほらほらっと言いながら手招きする
今なら隙だらけだ……
「うぉおおお……っ!!」
怪我しても文句は言わせねぇ!思いっきり上から刀を振り落とうとする
……が、
一歩も動けなくなった
息もできない、脳と反して身体が動けなくなる……
俺の頭が警告を発してる
──このまま振り下ろせば
確かな__
霊圧…?ちがう
ガタッと、刀が手から滑り落ち地面に刺さる
柄から手を離した浦原先生。
「っ……はぁ……はぁ……っ」
地面に手を着いて息を整える、今まで無意識に息を止めてたことに気づく。
大きく息を吸って、浦原先生を見上げる
これが___上ってやつか
打ち合ってすらいない、交わしてもいないのに俺は剣術に負けた……。
──いや恐怖に負けた。
────────
「阿散井くん!?」
桃が恋次に駆け寄り立ち上がらせる。
息を整えた恋次が俺の方を向いて頭を下げた。
阿散井恋次。剣術の講師から潜在能力の高いやつがいると聞いてたから楽しみにしてたけど、やはり凄いな。
普通人に刀を向けると恐怖を感じるものだがそれはなかった。
そして俺の間合いに入る瞬間に殺気を感じ取り立ち止まった。
「うんうん、
「あ、ありがとうございます」
周りの生徒はわけも分からず首を傾げる
────────
「どうだい、新入生は」
「あやぁ、
「いやだなぁ、維助君」
っと優しそうな顔で笑う惣右介。
たまたま会った風を装い院の門の前にいるが待ってたな?
惣右介も座学の講義で月一程度に院に顔を出してるらしい。
まぁ鏡花水月を見せつけるためだろうな。
隊同士の関わりが薄れた護廷十三隊の隊士に鏡花水月の催眠をかけることは難しくなる。だから隊に入隊する前の新人たちに「これが始解さ」、っとでも言いながら催眠をかける。
「どうだった、特進学級の子達は君の担当だろう?」
「ん?まぁさすがは特進学級に選ばれた奴らだなって感じ、霊力だけじゃなくてちゃんと潜在能力、才能がある」
「そうか……