浦原喜助の兄に転生して夜一の許嫁にされた俺の話   作:ちーむ

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ルキアと言う少女

 

特進学級が中心だったが、ほかの組もたまに講義することになったというか頼んだ。贔屓(ひいき)する理由は無いし。

 

そこで講義が終わり解散し__。

 

見知った顔を見つけて足を止める

止まった俺に気づいた()()()振り向いて俺に首を傾げる

 

「お前……!!名前は!?」

 

「ひゃ!ひ!え……っ!?」

ガバッと、肩を掴んで揺さぶる

 

「いいから!名前!」

ザワザワと騒がしくなる廊下。

 

「る、ルキアです……浦原先生」

 

「やっぱりか………………お前これから空いてるか?」

 

「はい?」

 

「う、浦原先生!!」

っと恋次の声が聞こえ、人混みをかき分けて焦ったような恋次が俺の前に来た

 

「あ、あのルキアが何かしました?すみません、こいつその……常識がなってなくて」

「たわけ!それは恋次貴様の方だろう!?」

っと痴話喧嘩を始めてしまう。

 

「ごめんごめん、焦っちゃった……ルキア。お前を探してるやつがいるんだ、会ってやって欲しい」

 

「私の……知り合い…ですか」

 

──────────

 

「ルキア……?ルキアなのですね?」

 

「わたし……と同じ顔……?」

 

ギュッとルキアを抱きしめる緋真ちゃん。

 

すぐに承諾を得た俺はルキアを抱き抱えて落ちる落ちる!と悲鳴をあげられながら朽木家に来たのだ。

本当はダメだけどね。

 

再会を果たす__ルキアの方は赤ん坊だったからか覚えてないらしかったけど。

白哉坊ちゃんも遅れてやってきた

 

「私が……私が貴方を捨ててしまったの。私は緋真。貴方の実の姉です」

「私の……姉?捨てた……?」

 

お互いの話をし合う姉妹、顔が似ているからかルキアも信じたようだ。

 

姉様(ねえさま)私は怒ってなどおりませぬ、良い友人にも出会い良い経験もできた、こうしてまた会うことが出来たのです。どうか泣かないで…」

 

「っ……ありがとう……ルキア……ありがとう」

 

っと泣き崩れる緋真ちゃん

 

そこで白哉坊ちゃんが入っていった

 

「白哉様……ルキア、実はこのお方と私は結婚しているのです。もしあなたが見つかったら……私達はそばにいれなくなる、白哉様と一緒に今度こそ守ると決めたの……どうかお願い。朽木家と養子縁組をしませんか?」

 

「養子縁組……」

 

流魂街で散々苦労をしてきたルキアに、もう苦労はかけさせまいと白哉坊ちゃんと緋真ちゃんが考えた話。

 

まぁ、色々思うところはあるけど人の家庭の話だから俺は見守る。

決めるのはルキアだしな。

 

「……分かりました。その話受けます」

 

「っ〜!ルキア!嬉しいです……ルキア。」

 

白哉坊ちゃんも黙ったままだけど、少し嬉しそうだ。

 

─────────

ひゃぁぁぁ!落ちる!落ちる!!」

 

っとまた叫ぶルキア

 

寮の前に下ろすと、ゼェゼェっと息を整えていた。

 

「さぁ、荷物用意しな!」

っと尻を叩くとひぇ!っと叫ぶ、元気だなぁ

 

浦原先生!!

っと涙目で詰め寄ってくる

 

「ごめんごめん!怖かったよね!漏らしちゃった?ゴフッ!顔が痛いっ……!

 

勢いよく顔をぶん殴られその場に踞る

「あっ!いやすみません先生……!」

 

暗い顔だったが何とか元に戻ったようだ、まぁ姉とか養子縁組とか言われたら困惑するよな。

 

こうしてルキアは朽木ルキアとなった。

 

─────────

 

「……」

 

「なんだい、静かだね維助君」

 

居酒屋のカウンターで飲んでると隣に惣右介が座った。

隊長になってから益々猫かぶりが極められてるようだ

 

「なんだよ1人で騒いでたらおかしい奴だろ」

「えっ……いつも一人で騒いでるじゃないか」

 

「どつき回すぞ?……いや、ルキアの事を考えててさ」

 

「……さすがに生徒に手を出すのは」

「お前なぁ……」

わざとらしく引くような態度を見せる惣右介をぶん殴りたくなる。

 

「冗談さ、あれだろう朽木家に養子縁組で朽木家に入ったお嬢さん。」

 

「……あぁ。惣右介って兄弟いたっけ」

「いや、いないけども」

 

「……もし姉がいたとして、過去に自分を捨てました、でもそれは覚えてない。大きくなっていきなり実の姉です。って言われたらどう思う?」

 

「さぁ、あれだろう?浦原喜助のことを思い出したんだろう?」

 

「……よく分かったな?兄弟を捨てる時ってどんな気持ちだったのかなって。きっと長年すごい罪悪感もあったし生きていくならそれが最善だったのかもしれない。第三者がどうこう言うつもりは無いけど、ルキアはどういう気持ちなのかなって……、先生として支えられるなら支えてあげたい。白哉坊ちゃんは口下手だし上手くやれるかな。」

 

 

「……君は変なところがあるよね」

「褒めてる?貶してる?」

って聞くも無視された。

 

────────

2ヶ月ほど経って1回生の特進学級の恋次らが現世で大量の虚に襲われたらしい。

 

「先生の稽古より怖くありませんでした」っと桃に言われた時は頭抱えた。

なんでも一人で突っ込んでそれをみた2人が遅れてカバーに入り虚を倒した後、残りは助けに来たギンと惣右介が片した__って聞いた。

 

「でも、先生!先生はあの中級大虚を倒したんですよね!!院生の時に倒したって五番隊の藍染隊長が仰っていました!」

 

そして俺はまた頭を抱える。惣右介ぇぇぇ!

 

「俺、あの時動かなきゃ死ぬと思ったんです。多分浦原先生の講義受けてなかったら戸惑って焦って何も出来なかった。死なない為の講義って……ようやくなんか実感出来ました」

 

「僕も……。浦原先生のおかげです」

 

っと恋次とイヅルも……

 

俺は3人の頭をそれぞれ撫でる

 

「まぁ、無事で何よりだ……今度は自分の力を過信しないようにする訓練しないとな。」

 

「えぇ、これ以上浦原先生のスパルタ講義うけたら死にますって」

 

「あ?恋次そんなに受けたいって?いいぞいいぞ」

「ちげぇ!話聞けって」

 

「あはは、阿散井君おかしい」

頭をうりうりっと撫でられて照れてる恋次を笑う桃。

この3人は立派になりそうだな、将来が楽しみだ。

 

 

「二番隊って隠密機動……ですよね」

っとイヅル。俺はそれに首を横に振る

 

「二番隊イコール隠密機動ってわけじゃないよ。本来、隠密機動は隠密機動、二番隊は二番隊だったけど、俺が総司令官を兼任してるからその隠密機動の色合いが強いんだ。俺が総司令官を()()()()()()二番隊はただの死神の隊だったさ」

 

っというとみんなして首を傾げる

 

「ま、難しい話はいいよ。」

 

「その総司令官って強かったらなれるんすか!?」っと恋次が詰め寄ってくる

 

「お?俺を抜かす気か?あはは、隊長は強かったらなれるかもしれないけど隠密機動はそうはいかない。中央四十六室直属の組織だからな、信用が大事なのさ。信用と強さがあればなれるかもな?」

 

「信用かぁ……」

 

「それに恋次は隠密とか無理だろ」

 

「うっ……俺浦原先生みたいになんでも出来る人になりたいんです。霊圧は勝てるものじゃないけど……」

っと俯く恋次

 

「俺は霊圧関係ないけどね。」

 

「え?」

ポカンっとした顔が笑える

 

「俺は剣術の達人。俺が今まで教えた剣術に霊力使ってたか?」

 

っというと首を横に振る

 

「だろ?俺の剣術は霊力関係ない。だから俺は霊力が少ししかないやつでも虚は倒せると思うんだよ。まぁ弊害も多いけど__

貴族の俺が言うのもどうかと思うけど__流魂街のやつでも貴族のやつでも強い方が強い。霊圧じゃない_心と剣の強さ、それがあれば上に立てるんだと俺は思うな。」

 

そもそも剣術と斬術は別だし…。補助できる機会作れば霊力弱いやつでも雑魚虚倒せるんじゃないか…?

霊力多くても戦闘力なければ弱いやつは弱いし。

 

 

「か、かっけぇ!浦原先生やっぱかっけーな!なっイヅル」

 

「そうだね……」

 

「お?だろだろ?かっこいいだろ!」

 

「先生台無しですっ!」

っと笑う桃。

 

かっこよさとロマンだよなぁ!やっぱり!

 

霊力が少ししかなくても虚を倒せる機械……面白そうだな

 

__________

ニャア

 

っと鳴き声が聞こえる

 

「よぉ、(ぬこ)ちゃん。今日も来たんだな。」

 

夜、襖を開けて作業をしてるとその隙間から入ってくる黒猫。

珍しい目で俺みたいな淡い青い目をしている。

時々俺のところに来ては擦り寄ってくる

 

「よしよし、可愛いなぁお前は」

 

ワシワシと撫でてやるとゴロゴロっと喉がなる

 

ひょいっと抱き上げて寝っ転がると俺の腕から抜けてお腹の上で丸くなる猫ちゃん

 

「……」

 

今頃夜一さんは何してるかな。

この猫のように自由気ままに生きてるんだろうな

 

襖から入る月明かりを見てるとヒョイッと起き上がった猫はスタッと俺の上から降りた

 

トテトテと襖に向かって歩き出す猫

 

───俺は無意識に手を伸ばしていた。

 

「っ……はぁぁぁ……何してんだ俺」

ギュッとその手を握り天井を見上げる

 

俺の使ってるタンスの上には、3人で撮った写真があって、まだ幼さが残った喜助と夜一さんが映っている。

きっと今日、俺らと似た桃達をみて思い出しちゃったんだろうな昔の気持ち、昔の思い出を……。

2人を守らなきゃって思ってその時初めて始解したんだっけか。

あの時は無我夢中だったな……

 

『あの時動かなきゃ死ぬと思ったんです』っと言った恋次。

 

俺もあの時、動かなきゃ俺が何とかしなきゃ死ぬ。大切な人達が死ぬって思ったんだったな……。そっからだ、死なない為に死なせない為に死ぬほど努力するようになったのは。

 

 

 

 

 

猫は去っていった__

 

 

 

 

 

廊下の角で蹲る女

「…………維助様……」

 

___________

 

現世で月を見上げる女

「維助__」

 

 

 

 

想い想われ___届かない




次回曇らせの匂い

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