浦原喜助の兄に転生して夜一の許嫁にされた俺の話   作:ちーむ

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黒崎真咲の話

 

黒崎一護の部屋に居候するのもなれた紫流。

 

「なぁ、一護んで土日何してんだ、どこいってんだ?ガッコーは休みだろ?」

 

ルキアを通じて浦原喜助から制服を貰った紫流が机の上に乗っかる

 

「だから机に座るなつーの。見舞いだよ見舞い」

 

「見舞い……?」

っと首を傾げる

 

「おふくろのだよ。」

 

「おふくろ……母ちゃんいたのかおまえ」

 

「お前デリカシーつーのねぇのか……」

 

「すまん一護……」

っと片手で顔を抑えるルキア。

 

「……おふくろはずっと寝たきりなんだ。」

つと窓の外を見ながらつぶやく一護

 

「俺のせいなんだ」

っと静かに目を閉じた。

 

───────────

 

大好きなおふくろは笑っていて、泣いたところなんか見た事ない。

 

「なぁ真咲。」

 

「大丈夫よ」

 

俺は廊下からリビングを覗く

泣いてはいないけどたまに辛そうな顔をする時がある。

腕を押えていて、それを親父がよく心配そうにしていた。

 

それは段々と酷くなり

 

「っ……!!!」

 

「母ちゃん……?」

酷い雨の日だった。毎日毎日雨が降って

おふくろは腕を押えて蹲る

 

傘がひらりと地面落ちてしまって頑張って拾って立てたのを覚えている

 

「……大丈夫よなんでもないわ」

そうやって作ったように笑うんだ。

 

どうしてなのかは分からないおふくろにも親父にも聞いてもなんでもないって言うだけ。

 

聞いたらダメなんだと幼いながらにそう思った。

 

その日増水した川の近くで女の子がフラフラと歩いていて

 

「あぶない!!」

柵を乗り越えて落ちそうな女の子に向かって走る

 

「ダメよ一護……!!」

母親の声が聞こえた瞬間___

 

 

 

───鬼痛(おにいた)   

 

          デコピン

 

「俺の宝もんに気安くさわるな」

 

そう、確かに聞こえた気がした。

 

それから俺の記憶は無い。

気づいたら母親は集中治療室で寝ていて。泣きじゃくる俺を親父が抱きしめてたのを思い出す。

 

何がどうなったのかは分からない、ただ俺のせいだということは分かる

 

 

──────────────

 

「……真咲。夏梨も遊子もでかくなったぞ」

花瓶の水を入れ替える一心

 

ベッドの上には真咲が寝ていた。

 

「俺がもう少し早く来れればなぁ」

なんて、弱音を吐くきっと真咲が起きてたらそんな事ないって説教されるんだろうな

 

「俺もまだまだだな、数十年鈍ってたとはいえ威力を出し切れなかった……逃がしちまうし。はっ、師範に怒られるな」

 

真咲の腕に刺さって消えた刀。いや吸収された__が正しいな。

浦原喜助の話によるとあれは霊刀と言って霊子を吸い取り纏う刀だそうだ。夏梨や遊子が産まれてしばらくしてから真咲は腕を気にするようになった。

 

「なにかが暴れてる。何かは分からないけど」って言っていたのを覚えている。

 

俺は特殊な義骸に入っているせいか何も感じないし、霊すら見えない。

それがもどかしかった

 

6月17日__

 

その日は雨でもうすぐで一護と真咲が帰ってくるなんて思ってたら。

ドクンッっと胸がなったんだ。

 

同時にキィンンンっと頭に響くような耳鳴りが

 

「霊力……が、戻っている?」

おかしい。霊力は戻らなはずなのに自分自身の霊力が戻っていて服が死覇装に変わっていく。義骸はいつの間にか脱げていて地面に転がる

 

───|死なない為に死なせないために   

 

          力を使え

 

そう、師匠の声を思い出す。

嫌な予感、そうだ虫の知らせとでも言うのだろうか。

感じるのは真咲と一護、と虚の霊圧

 

純血の滅却師である真咲、虚に負けるはずは無い。

のに__嫌な予感がした。

 

「真咲……!!一護!!」

何故かなんて二の次でそんな事より虚と2人の霊圧の元に走った。

 

たどり着いた時真咲は動揺していて、虚が腕を振り上げた

 

──触んな

 

触んなよ

 

死なない為に死なせない為に__。

もう誰も傷つけてたまるかってんだ

 

───鬼痛(おにいた)   

 

          デコピン

 

「俺の宝もんに気安くさわるな」

 

 

 

デコピンの威力は落ちていて、やはりブランクがあると心の底でため息をはいた。

いつもなら一瞬で木っ端微塵にするのだが1部を吹き飛ばしただけで虚は生きていた

 

「くそ……死神かぁ!!」

 

「まてごら!!」

 

「うっ……」

 

逃げようとした虚を追いかけようとした所真咲が唸りその場に蹲った

すぐに真咲に駆け寄ると虚は逃げ失せた。

 

「真咲!大丈夫か、真咲!!」

 

「っ……腕が……なにか……うっ!!!」

 

すると真咲の腕から青白い光が溢れ出る

 

「霊力……??」

それは霊子の塊のようで、なぜ腕から……っと思ったが思い当たるのは霊刀しかない。

 

するとまるで水が流れるように地面に流れていく霊子の塊

その先は……

 

「一護!」

一護は気絶して倒れていてすぐに抱きあげようとするとその霊力の塊が一護の中に消えていく。

 

「なんなんだ一体……!!」

一護を抱き上げた俺は塊を水を払うように触ろうとすると

 

「なっ……!」

霊力が吸い取られて、死覇装から死装束(しにしょうぞく)にかわり、死神の力が失われていく。

霊子を吸い取るとは聞いていたが人の霊力まで吸い取るとは……。

 

 

 

すぐに2人を家に戻し、真咲の虚が呼び起こされる前に義骸に入った。

勝手に脱げた時は心臓が止まるかと思ったが繋がりは消えていなく真咲にも一護にも何も影響は見受けられない。

 

すぐに浦原を呼んで説明すると首を傾げた

 

「うーん……霊刀が溶けてお子さんに流れ込んだ……。それに勝手に義骸が脱げるとは……」

しばらくブツブツ言っていた浦原

 

「まぁ見た感じ何も影響はなさそうッスけど。奥サンの霊刀の気配はまだ残ってます半分……いやそれ以上がお子サンに移ったようッスね__これは仮説なんスけど

 

志波サン、貴方昔戦った時霊力を吸い取られたって言いましたよね」

 

「あ、あぁ、あの変な真っ黒な虚と戦った時に」

 

「……もしかしたら霊刀がその時吸収した霊力をあなたに戻し、奥サンの危機を知らせ、そのおかげで貴方は一時的に死神に戻れた__。そしてその後何らかの理由で奥サンから霊刀が自分の意思でお子サンに移った……って考えるとどうッスかね」

 

「自分の意思でって……なんだよそれ。生き物かなにかなのか?」

 

っと問いただすと首を横に振る

 

「いや、そんなはずはないッス。ただアタシが知っているものとは性能が変わっている可能性もあるんでまぁなんとも__

でも意思があるからこそ住処であった奥サンの危機を察知し貴方に霊力を戻し助けさせた__。それはもう意思があると結論づけてもいいと思いますけどね」

「…………一護は大丈夫なのか?」

ジッっと一護を見つめる浦原

 

「魂魄に影響はなさそうッスね。ただ奥サンの魂魄はとても不安定、きっと貴方の義骸が脱げた事による魂魄の結合が不安定になったせいかもしれません。それか霊刀が急に抜けたから。もしくはどちらも」

魂魄が回復するまでしばらく時間がかかると言われて。

 

一護はすぐに目覚めたが真咲は寝たきりだった。

そして現在に至る

 

──────────────

 

「奇跡、アタシはそういう言葉好きじゃないんスけどね」

 

奇跡としか言えなかった。

義骸が脱げても霊子の紐付けが切れなかったことも。

刀から一心サンの死神の力が戻った事も。

 

 

意思がある霊刀。一心サンに真咲サンの危機を知らせ霊刀を戻し助けさせた__。そして何故か霊刀は2つに別れて息子サンに入り込んだ……。

 

調べてしまいたい今すぐに解明してしまいたい研究欲が心の中からじわじわと湧き上がってくるが抑える

 

さすがに人をバラす訳にはいかない

 

もし仮説を立てるとすれば

───もしかしたら霊刀は虚の力を抑える能力がある。

だから義骸が脱げてもリンクは切れることなくお二人の力を抑えてた?

もし霊刀にそういう力があるとすれば……

 

 

 

 

求めていたものと違うものが出来上がるのは歴史上稀にあることだが、これは……

 

「…………兄サン、なんていうものを作ったんスか」

 

もし自分の仮説があっているとすれば__

薬にも毒にもなる危険な___

 

 

 

 






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