「ふぅん……極刑ねぇ」
四十六室は惣右介によって殺され催眠をかけられている。
四十六室から極刑という達しが来るはずは無い。
何を企んでいる惣右介……。
「おや、浦原隊長さんは悩んでないんやなぁ、六番隊長さんも冷たいもんやったわ」
ふわりと、塀の上に座って俺を見下ろすギン
「俺に何か用か?ギン」
「おーこわ、そんな睨まんでもええやろ。」
っと両手をあげるギン
「俺忙しいんだ、何か用ならメールでも入れといてくれ」
「全くつれないなぁ、そういわんでも遊びに来ただけやよ」
「ふぅん……遊びに来たね」
「それなんなん?」
俺の持っている包みを指さすギン
「これは義骸だよ。朽木ルキアが使ってた、隠密機動に調査依頼が入ってね。今から12番隊に送るんだ」
「……ふぅーん」
聞いといて興味無いんか、そのままどっかに去っていった。
人の顔見に来ただけだな、白哉坊ちゃんの方にも言ったのか趣味が悪い。
義骸を送ってから思い出す。
十二番隊に言うの忘れてた事があったな……
「砕蜂、少し離れる。後は頼んだ」
「はっ、かしこまりました」
___________
十二番隊が少し騒がしい
「おっほぉ!ようやく届いたか……へへ!俺が先に見るぜ」
「これはなるほど、凄いねぇ」
っと声が聞こえる。廊下の先に開いた扉から光が漏れる
部屋に向かうとさらに騒がしい声が聞こえてくる
にしても、廊下の電気ぐらいつけたらどうなんだ……
「おいこれ……みろよ……」
「なんだ……こりゃ!」
「なんです?」
阿近と女の子の声。
「こいつは局長でも、誰の作品でもねぇ……!出来るやつがいるはずねぇんだ」
あぁ、まずい
「いるはずないって……現に」
「どういう訳がしらねぇが尸魂界にあっちゃいけねぇもんがある!
一つだけ言えるのはこれを作った奴がもう尸魂界にいねぇことだ!もしそんな技術を持っていたら
─────尸魂界を永久追放されるからだ」
「ご名答」
ヒュッ……
誰かが悲鳴をあげかけた。
「……浦原維助?」
変な図体でかいヤツが俺の方に向いた。
局員達は義骸を囲んでいた
「なんで二番隊が……!困るぜ勝手に!勝手に入るのはご法度……」
っと局員が俺につめよろうとしたのをその肩を掴み阿近が止める
「ご法度?違うね、隠密機動総司令官である俺は一番隊以外の隊舎に隊首の許可なくとも入れることが許されている。」
「だからって一言声をかけてもらわなきゃ困りますよ」
そう言った阿近は冷や汗をかいていた
「そりゃ悪かった。誰もいないもんでねぇ……。阿近」
「なんだよ、知り合いかよ」っと言いながらデカブツが阿近の方にむく
「ばっか、てめぇ二番隊隊長をしらねぇのか、伝令神機の開発者で浦原神機の社長だよ、俺らが使ってる機械もこいつが作ったもんだろ」
「こいつって……はは」
別の局員にこいつ呼ばわりされてる俺って。
「黙っとけてめぇら、維助さんすみませんね、こいつらが」
「いーよ、それで本題だけど。その義骸今日の夜までには返してもらうから」
「なっ!そりゃ勝手だぜ!!!そんな短時間じゃ俺ら何も出来ねぇじゃねぇか!」
っと俺に詰め寄ってくる男
「バカやめろ!」
阿近の制止も聞かずに俺の胸ぐらを掴む
「隠密機動だか先生だかしらんが勝手すぎだ!!俺らの研究は自由だ、その権限は局長にある!!」
「やめろ!!」
「だがよ!」
阿近が俺から男を引き剥がす。
全く、ここはここで熱い連中だ
「研究が自由……ね。それは違う、俺の許可があって初めて研究が許されてるんだよここは。隠密機動総司令官の俺が四十六室の代わりに監督する立場にある。」
「なっ」
「そうだ、落ち着け……!この人の言ってることは間違いねぇ。俺らの研究も局長がこの人に申請し問題がないか審査してから許可を得て初めて研究ができるんだよ」
「そして、それは大切な証拠品。少し見るぐらいなら許可してやるがばらされるのはちょっとねぇ」
「……なにか理由でも?放任するあなたらしくもない」
っと俺の方にむく阿近。流石俺が育てただけはある勘が鋭い
コンコンっと義骸が乗った台をノックする阿近
「義骸……
阿近は多分察してたんだろうな
「あぁ、それは今回の事件と110年前の事件の証拠品だ、もう一度言うぞバラされちゃ困るんだ。俺が見てる間に研究とやらはさっさと済ませて夜までに返してもらおう」
「……」
「阿近なんだよ、こいつを作ったやつ知ってんのかよ」
「あぁ」
「誰だよ!勿体ぶるなよ」
阿近は俺から目を逸らした
「浦原喜助」
その瞬間、部屋に緊張が走る
「今の局長が二代目なのは知ってるよな、これの開発者は……
浦原喜助。技術開発局を作った初代局長だ。あの人が居なくなった今この開発局があるのもこの人が当時頑張ってくれたおかげだ」
─────────────
チラチラと視線を感じるが用意された机、そして椅子に座って働いてるのを見守る
ルキアの義骸をスケッチしたり成分を調べたりちゃんとやってはいるな
「……維助さん」
「ん?どうした阿近」
阿近か俺の前に座った
「義骸を取り戻しに来た……って感じですか」
「そりゃね、作らなくても、その技術を研究すること自体本来は違反にあたる、気持ちを少しくんであげただけでもありがたいと思って欲しいよ」
「それは感謝しています、ですが俺が言ってるのはそういうことじゃない。弟さんのものだから……」
「さて、それを聞いてどうする?」
「……そうですね、
俺が職権乱用してるのを知ってて言ってるんだ、全く阿近は……誰に似たんやら
「んじゃ帰るわ〜急に悪いね」
阿近が見送りに来てくれて俺は包に包んだ義骸片手に十二番隊を後にした。
さて、後で喜助に送るかね
────────────
頭を下げた阿近は消えた維助をみて深いため息を吐いた
「ったく、あの野郎本当に持ってきやがった。」
っと
「お前なら止めれたんじゃねぇのか?ほらなんか仲良いんだろ。友達みたいな」
「友達じゃねぇよ、恩師だ。二番隊……いや浦原家と隠密機動の後ろ盾があって十二番隊がこうして研究できていることも間違いねぇ。敵には回すな……実際、数十年前に1人の局員が捕まってる」
「捕まってる!?」
その言葉にコクンっと頷く
「中央四十六室から正式に判決が下された研究があって、研究成果・研究過程の破棄を拒否した職員が__な。
あの人が笑ってるうちは大目に見てもらってるが、あの人はいつでもこの局を潰せるんだ。あまり反発すんな__あの人ガチで機嫌を損ねたらめんどくさいんだからな」
──────────────
「維助様」
「うん、聞こえてるよ」
壁に取り付けられた拡声器が瀞霊廷中に響き渡る
”『
警戒令が発動された。
うんうん、あいつら来たな。
「砕蜂二部隊と四部隊を瀞霊廷防衛陣地に配置、指揮は砕蜂に一任する」
「はっ、行ってまいります」
そう言って消えた砕蜂。
───そして次の日
”『隊長各位に通達!只今より緊急隊首会を招集!』”
伝令神機が鳴り響く──
「めんどくさいな」
─────────────────
○隊首室
「きたか!さぁ今回の行動について弁明を貰おうか3番隊隊長市丸ギン」
隊首会では何故かギンが真ん中に立たされていた。
「卯ノ花隊長、ギンなにしたん」
っとこそっと隣の卯ノ花隊長に聞くと
「あら、聞いていなかったのですか?」
っと言われる、みんな知ってる感じか?
「なんですの、いきなり呼び出された思うたら来ない大袈裟な……」
っと頭を搔くギン
「大袈裟?ふざけてんなよ」
ズカズカと列からはみ出た更木がギンにつめよる
「てめぇ、一人で勝手に旅禍と遊んできたそうじゃねぇか、しかも殺し損ねたってどういう事だ?」
「ありゃ、死んでへんかってんねや?アレいやぁーてっきり死んだかと思うてんけどなぁ」
「クックック、猿芝居はやめたまえよ、我ら隊長格が相手の魄動が消えたかなんて察知出来ないはずないだろう」
っと、ギンを指さす涅。
「またジジイ共の喧嘩が始まったよ」
っと冬獅郎が呆れたようにため息をはいた
「ふぅん、なるほどギンが旅禍を逃がしたから会議してんのね」
「いややなぁ、まるでボクがわざと逃がしたみたいな言い方やんな」
「そう言ってるんだヨ」
「うるせぇぞ涅!今は俺がコイツと話してるんだ!すっこんでろ」
っと口論は激しさを増す。
「ぺいっ!!やめんかみっともない!」
っと総隊長がどなり3人は黙った
「じゃがまぁ、今のでおぬしが呼ばれた理由がわかったかの、今回お主の命令なしの単独行動。それについておぬしからの説明を貰おうと思っての!そのための隊首会じゃ」
「ありません!」
「なんじゃと?」
ギンはヘラりと笑ってそう答えた。
「弁明なんてありません。ボクの凡ミス、言い訳のしようもないですわ」
「ちょっと市丸──」
惣右介が何か言いかけた瞬間
”『緊急速報!瀞霊廷内に侵入者あり!』”
っと、スピーカーから速報が流れる
ダッっと、更木がいち早くかけ出す
「仕方ないの……」
更木をみてため息を吐く総隊長
「隊首会はひとまず解散じゃ!各隊守護配置につけ」
みんなが一斉に隊首室をでていき
さて、俺も戻るかと廊下を歩いていると後ろから話しかけられ足を止めた
「浦原隊長」
「ん?どうした冬獅郎」
「……貴方市丸ギンと仲良かったでしたっけ」
「は?いやそんなことないけど……?たまに話す程度かな」
「…………そうか、あいつどう思いますか」
「どう思うって言われてもなぁ……」
何故冬獅郎がこんなことを聞いてきたかは分からない。
なにか怪しんでいるのか……
「まぁ、俺はどうも思わないよ。好きにやってくれって感じ。みんながみんな癖強いのは知ってるだろ?いちいち気にしてたらやってられんよ」
「はぁ、予想通りの答えだった」っとため息をはかれた
隊舎を出た瞬間目の前に砕蜂が膝をついて現れる
「維助様、旅禍は瀞霊廷の上空を覆う霊力を遮断する
「へぇ、」
話を聞く限り本当に入ってきたみたいだな。
「とりあえず砕蜂、昨日と同じで二部隊四部隊を配置につかせろ五部隊は情報管理報連相忘れんな、三部隊は動かさなくていい。お前の判断で刑軍は動かせ」
「はっ、承知しました」
シュッっと瞬歩で消えた砕蜂をみて、俺の隣の冬獅郎が口を開いた
「相変わらずだな、二番隊も」
その言葉にどういう意味が含められてるのかはまぁ聞かないでおこうか。
瀞霊廷内のあちこちで霊圧の衝突が感じられる。
「どうするんですか、あんたは」
「うーん、見学?面白そうだからちょっかいはかけたいなぁ」
「はぁ、相変わらずですね」
踵を返して歩いていく冬獅郎
「あんまり変なことしてるとまた総隊長におこられますよ」
って言って片手を振って帰って行った
クールだねぇ冬獅郎。
さて__おれは1番近くのところにでも行くか。
おそらくこれが原作開始の大事件の話だった気がする。
あぁ、もう数百年前の前世のことなんで全く覚えてないよ。
歳は嫌だなぁ
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「飛び道具に関しては僕の方が上らしい。鎌鼬雨竜だなんて名前かっこいいとは思わないけどね、それに女性から狙うだなんてまともな誇りをもっていたらとてもできない戦い方だよ。お見事
────さようなら」
石田雨竜と井上織姫はみんなと別れてしまった後、七番隊四席と接敵していた。
だが、それももう終わり。
弓を引いた瞬間────
重く重く酷く
悪寒とでも言っていい。
「やぁ、メガネくん君滅却師?あっおっぱい美人はっけーん!」
「っ……!!!(いつの間に……?僕が霊圧を感じとれなかった?)」
のほほんとした戦場では考えられないような呑気な声。
振り向いた場所には片膝立てて座っている青い瞳をニコリと細めた男が───