苦手な方は閲覧を御遠慮ください。
俺がその子を気になりだしたのはいつだったか。
隣になって最初はうわぁ〜可愛い子だなぁ〜なんて思ってたけど。
俺から話しかけることもなかった。
でもある日。
「維助君、少し相談したいことがあって……喜助君のことなんだけど」
っと、話しかけて来た。
チラチラと喜助の方を見てるから、喜助がなにかやらかしたのか。恋をしてるのかわからないけど、相談に乗ることにした。
「ごめん夜一さん、喜助。あの子とちょっと色々話し込んじゃって、お昼今日は二人で食べてくれ!」
っと言って、2人はまぁ、仕方ないっと言う感じだった。
__________
「ありがとう、維助君。」
その子の名前は__うん。ごめん忘れたけど。
一つ一つの仕草が上品で、多分どっかの貴族の出なのは分かった。
「それで、相談って?」
喜助特性ただ米を丸めただけおむすびを食べながら話を聞く。
「あのね……恥ずかしいんだけど。維助君と喜助君の区別つかなくて……。ほら、六回生って隊の入隊に備えて集団行動や連携を重視して実戦に似た講義も入ってくるから。区別つかないと不便だなぁって」
そう、六回生は一般的な教養というより、入隊に向けた講義が中心となる。
班が適当に作られ、連携やきちんとコミニュケーションが取れるか等を
入隊した時に困らないように講義に組み込まれていく。
それはそうと、喜助と俺はたまの行動・言動は似てるって言われた事あるけど、ヘラヘラしてるところとかね?
顔は似てるけどソックリでもなく、髪型も違うし目の色も違う。
つり目とかタレ目でも区別あるし、俺泣きボクロもあるし。
つまりは、区別つかなくなるぐらいソックリかと言われたら【否】だ。
あー兄弟でしょ?っては言われるぐらい
「恥ずかしいけど顔を覚えるのが苦手で……言動と雰囲気で何となくわかるんだけど……」
俺が人の名前を覚えないのと似たようなものだろうか。
まぁ俺は興味無いから覚えないだけなんだけど。
でもまぁどうすればいいんだろ、っと喜助みたいに飛び抜けて頭が言い訳でもないので2人して首を捻らせる
「兄弟が一緒にクラスに来ること無かったから……ごめんね維助君。でも班行動とかで区別つかなくなるのは致命的になるし……どうしようか」
そこでひとつの疑問。
「なんで俺だけ呼んだの?喜助も呼べば良かったんじゃ?」
っと言うと
「それは嫌」
っと今までのふわりとした言動とは一変ピシャリと言い放つ。
なんか、相談内容に違和感を感じる。
なにか矛盾や、疑問が出てくるし。なんかこの子……少し_
って違和感を感じていると、
その顔からまた花のような笑顔に変わった
「ごめんね、維助君。私頑張って区別つけるよ。これ、金平糖あげるね」
っと数粒の金平糖が俺の手のひらの上に転がる
「へぇ、金平糖か」
なんか女の子らしいななんて思って金平糖を口に入れる。
ザラザラとした砂糖と、甘みが口の中に広がる。
すると、なにか流れ込むような感覚__じわっと指先から頭にかけて熱を帯びる…かと思ったらすぐに引いていく。
なんだ?っと違和感を感じて首を傾げると
「どうしたの?大丈夫?」
っと声が聞こえた。
「いや、大丈夫…だと思う。疲れたのかな」
「そっかぁ、維助君急に飛び級して大変そうだもんね。私維助くんと仲良くなりたいな。好きな食べ物は?」
好きな食べ物、嫌いなもの、趣味。
聞き上手なのか、深堀をしてくれたり納得した様子を見せたりと
話してて楽しくなる。
こういう人は久しぶりで珍しいなっと思った。
それからだ、何かと俺に構って分からないところ教えてとか。些細な事から。お昼食べよう、班を組もう、一緒に帰ろう、買い物に行こうなど。
友人のように一緒にいるようになった。
流石に俺でも名前を覚える。
という、千寿家の下級と上級のどちらとも言えない家柄らしい。
「最近千寿サンと仲良いんスね」
っと、斬術の講義で次の試合を待ってる時に喜助に言われた。
「そう?うーん…なんか違和感を覚えるというか。
気になるんだよねあの子」
「気になる…?兄サンが人のことを…?」
っとありえないとでも言いたそうな顔。
「お前俺の事なんだと思ってるの…?」
それからは普通に友人のようで、
千寿ちゃんとは、
喜助に被検体にされてる!って泣きつくぐらいには仲良くなった。
「維助、聞いておるのか維助」
グイッと耳を引っ張られ、そこでようやく夜一さんに話しかけられた事に気づく。
あれ、なんか記憶飛んでるな
「何の話だっけ」
あーそうだ。
夜一さんと喜助が来たんだった。
「ぼーっとしているようじゃの?」
「うーん、最近疲れてるのかも」
なんかたまに視界がぼやけるし、機械の弄りすぎで目が疲れたのか、それとも普通に疲労か。
「なんか最近おかしいッスよ、維助兄サン」
「おかしい?例えば?」
「ぼーっとする事多くなったし、まぁ設計図考えてる時とかはぼーっとしてても珍しくないんスけど、それにしてはその設計図を書き起こそうともしないし。
今日の白打の講義もいつも力加減してるのに、相手に大怪我負わせたりと。なんか抜けてるというかなんというか」
「え、俺怪我させたっけ」
「なんじゃ、覚えておらんのか??あんなに騒ぎになっておったろ」
「はぁ…今日?それほんとに?」
本当にそんなことあったか。全然覚えていない。
「兄サン本当に一体どうしたんスか「おーい!維助君」」
っと声が聞こえる
「あ、千寿ちゃん〜」
「帰ろ!あ…ども浦原くん、四楓院さん」
っと二人がいる事に気づいたのかぺこりと会釈する千寿ちゃん。
浦原くんだなんて、前は喜助君って言ってたのに仲悪いのか?って思った。
「ごめん、千寿ちゃん待たせたかな。帰ろうか」
俺は自然と千寿ちゃんの手に触れ指を絡ませる
「「!!」」
夜一さんと喜助の驚いたような顔を見てハッとする。
俺が自分から女の子の手を繋いだ…?
自分が女の子と遊ぶ時や接する時に気をつけてたこと。
それは自分から触れない。だ、
その自分の行動にハッとした俺は手を離そうとするがギュッと握り返されそれは叶わない。手を振って離す訳にも行かずに戸惑っていると
「じゃ、いこうか維助君」
っと、引っ張られ連れていかれた
「あんな、不潔でだらしない弟と、下品な女と一緒にいちゃダメよ」
___________
それからだ、その子が本気で気になるようになったのは。
喜助に呼ばれ被検体にされたりって時にはまだそんなんじゃなかったけど。
段々と段々と目が逸らせなく、触れたくなる
「いいよ、可愛い可愛い私の維助君」
連れてこられた部屋で2人きり、変なお香が炊かれて目の前がクラクラする。
俺の本能が言ってるこの女は危険だと。
ここで女を抱いたらもう戻れなくなる気がして。
バッっと触れてくる女の手を払い除けると、
目が一瞬にしてつり上がってこちらを睨みつける
「なによ、効き目が悪いわね…いつもならもう3日で私の
人形だって?
お香を吸わないように袖で鼻を抑える。
「俺に何をしたんだ」
「私の家の秘伝の花を食べさせたの。金平糖にまぶしてね」
「花?」
1歩1歩近寄ってくる女に対して俺も1歩1歩後退りする
「そうよ。それには依存するという力があってね…本当は食べさせたりなんかしちゃダメなんだけど。ふふ、どう?私しか見れないでしょう?
私ずっと維助君の事が好きだったの」
ドンッと俺の背中は壁にぶつかりこれ以上下がれない
ずっと
ずっと
ずっと
ずっと___
その目は焦点が合っているようで合っていなくて。
ニンマリと笑った顔は俺を見上げて、離したいのに目を逸らせない。
「他の女と話すだけで気が狂いそうなの。男と話すのもダメ。
なんで私だけを見てくれないの?どうしてあの四楓院のお姫さんと弟ばっかり構うの?
どうして私以外に可愛いっていうの。
でも大丈夫。あんな人達より私が1番の理解者になるの。
さぁひとつになろう?
あぁ、私裁縫が得意でさ、そう、約束の指。小指を交換しようよ。
大丈夫、私の指と維助君の指サイズ合わないかもだけど。
そんなの気にしないよね?私の手に維助君の指がくっ付くだなんて、あぁ、考えただけで…」
冗談じゃない、この女本気だ。
手には斬魄刀があって、スッと抜いた女は俺の手を手に取る
「少し痛いけど…安心して?」
「やめろ!!」
払い除けたいのにできない。
やめてくれ____
その声が聞こえた瞬間6つの光が女を捕らえる
「な、なに!!」
「ダメッスよ〜千寿サン。ボクらの維助兄サンを好き勝手してもらっちゃ。夜一サンがブチ切れますよ」
「そこで儂に振るな喜助」
「喜助…夜一さん…」
扉を蹴破ったのだろうか、ボロボロになった扉の前に2人が立っていた。
力が抜けてその場に座ると、夜一さんが駆け寄ってくる
「大丈夫か、維助。これ飲めるか」
っと、液体を差し出してくる。青い液体…
「これ…」
「そうッス。あの時飲ませた液体の完成品ッス」
そう、その液体は被検体にされた時に最初に飲まされた液体で。
「何よあんたら!!いつからなの。いつから私が__!」
っと暴れようとしても暴れられない女が叫ぶ
「ボクは兄サンと違って変な所で鈍感じゃないんス。流石に怪しすぎましたね。さっさと自分のものにしてしまおうと考えていたんだろうけどそれは無理ってもんス。
ボクがもうその花の解毒薬を開発したんで」
っとニンマリ。
「兄サンに最初に飲ませたのは、効果を遅らせる薬。流石に開発が間に合わなくてそれしか作れませんでしたが。 夜一サンが持ってるのは完成品。あなたの洗脳もなにも解くことが出来ます。」
「嫌!ダメよ!!飲まないで維助君」
その言葉に俺の意思じゃないのに夜一さんの押しのけてしまう。
「維助、ダメじゃ飲め」
っと、だけど身体が思うように動かない。
「仕方あるまい」
そう言った夜一さんは青い液体を自分の口に含むと俺の口を開かせるように手を突っ込んだ___かと思えば
ゴクンッと、夜一さんが俺に口移した液体が嚥下する
「イヤァァァァ!!!」っと女の悲鳴が聞こえる。
段々と視界がハッキリしてきて、
「ごめん、夜一さん、ありがとう喜助。」
即効薬だなんて、喜助はやっぱすげーわ。
「ごめん。千寿ちゃん。俺お前とは一緒になれんよ」
「嫌だ嫌だ聞きたくない!!」
「悪いな、おれ弟と親友をバカにされるの嫌いなんだわ。
お前の気持ちには答えられん。じゃぁな」
そう言って、夜一さんに肩を担がれながらも部屋を出る。
最後の最後まで女の悲鳴が耳に届く。
部屋に出て夜一さんが片手を上げて合図すると、隠密機動が中に入って行った
「ごめん、迷惑かけて夜一さん。喜助。」
「いーんスよ、迷惑だなんて今更ッス」
「そうじゃの」
「はっ、言うじゃん」
______________
そして、俺が変わった事気になる子が居る現象は終わった。
けど____
「女怖い_____」
人の好意に素直に従えなくなってしまった。
貰ったものは分解してなにか無いか確認するし。
食べ物や飲み物もそいつが口にしないとしない、など。
ホント無意識下で警戒するようになってしまった。
「遊びまくってた罰ッスよ」
「そりゃ俺が悪いんだけど…。あの子は絶対遊んでても遊んでなくてもやってただろこれ…」
しばらく部屋で塞ぎ込んでた俺の検査に来た喜助が、自業自得とでも言うようにため息を吐く。
「ってか、あの被検体の時に気づいてたなら教えてくれても良かったじゃねーか」
「いいましたよ、ボク。多分花の効果で都合の悪い事は記憶から消えてたんでしょーね。だからほぼ無理やり飲ませたんス。」
「えぇ…怖。」
記憶に無いことってこんなに怖いものなのか。
「もうしばらく女は懲り懲り…」
あの後、現行犯ともあり、危険分子として千寿家もろとも霊力と財産没収の元、流魂街に追放になったらしい。
蛆虫の巣に連れていかれないだけマシか。死神だったらあそこに連れていかれてただろうな,
「じゃぁ、あの時俺の腕に打った神経毒は、もしかしてこれ関連の薬だった…?」
「いやあれは本当に神経毒ッス」
「おいコラ、ざけんな、少し感動してた俺を返せ」
それから俺の女とは遊びに行ったり話しても、
寝ることとか軽率なことは控えるようになった___