扉をコンコンっと軽く叩くと
「はぁい、今行きます」っと女の子の声が聞こえた
すぐに玄関が開き黒髪の女の子が顔を出す。
「どちら様ですか……?」っと首を傾げる。
この子……なんだろう人間じゃないな。
死神でもない……
「お父さんいる?お父さんじゃないか、なんか男の人」
「えっ……と……大きい人と。大きい人がいます」
「どっちもでかいのか、じゃぁ俺と
「はぁ〜い。どちらさん……で……すか」
っと、目を見開いた___
「よっ!喜助」
喜助と目が合う。
「兄サン??」
「なんだよ、そんな幽霊見るような顔して〜ほーらお兄ちゃんだよー!」
っと思いっきり抱きつこうと飛びつくと、ヒョイと横にズレて俺の顔面が柱に衝突した。
「本物だった」
っと、聞こえた。
俺は鼻を押えながら喜助に振り向く
「ばっかやろう、お兄ちゃんの抱擁避けるとか!」
「いや、その勢いで来られるとボクの背骨が折れるんス」っと静かに突っ込む
「久しぶり喜助。元気そうだな」
「兄サンは相変わらず胡散臭いっすね」
「馬鹿野郎、今のお前の方が胡散臭いわ」
下駄に甚平とか現代に浮きすぎだろ。
「まぁいいや、喜助早速で悪いけど__手伝ってくれや」
___________
地下の研究室みたいな所に寝かせた紫流。
両手両足を繋ぎなんか色々器具を持ってきた喜助。
「来て早々面倒事を持ってこないで欲しいんスけど……だいたいボク紫流サンと面識ないんスけど」
「学校とかの手続きした仲だろ?」
「どんな仲ッスか……直接会ってるのは夜一サンぐらいッスよ」
喜助が紫流から血液を採取する。
そして俺は喜助が作業してる間に事の顛末を話す。
「なるほど。霊刀はただ虚を抑える力ではなく。宿り主の状態や感情で変化していた……宿り主が虚の力を抑えようとしていた為。結果として真咲サンの虚化も黒崎サンの虚化も抑えられている……っと。んでなんで兄サンはあんまり興味なさそうなんスか?自分で作ったものでしょ?」
後ろ向いてるのになんで俺のことがわかるのか不思議である。
「ありゃ、分かっちゃった?」
っと言うと呆れたように振り返った。
「見なくても分かりますよ、何年いると思ってんスか」
そりゃ生まれた時からだもんなぁ
「興味が全く無いわけじゃないけど。そういう魂魄どうこうは喜助の得意分野だろ?魂魄を進化とかはなぁ……機械を取り付けてオンオフのスイッチ付けるならまだしも」
「相変わらず選り好み凄いっスね……」
「それに同じものは惣右介には作れない。あいつは頭はあるし鬼道系のものの操作は長けてるけど、機械は無理っぽいし。」
「へぇ……」
「紫流の持っていた大太刀の霊刀。あれは機械で霊子を集めてる訳じゃなく。霊圧吸収石を付けて俺の霊子収束機の代用として使ってる。それに纏わせるのも俺は機械で自動一定のスピードで威力でってきちんと調節できるけど、あいつのは無理だから、あんなに馬鹿デカい大太刀になってた。霊子の集結もまばらなせいで威力が出ない。」
「いやまぁ、そんな話されてもボク実際に見たわけじゃないんでよくわかんないんスけど」
相変わらず説明下手っすねぇ……っと言われてお前もなって言っておいた。
「いや、ボクは説明長いだけなんで」
「同じだろ、まっ結論から言うならあいつは俺と同じ霊刀は作れないし多分操れない。出来たとしてもただ似てるだけで穴はあるし量産はできない。俺は量産ができる機械を作れて全く同じに1mmのズレもなくできるがあいつは手作業。時間もかかるし埋め込んだものを取り出せないとなるとさらに時間がかかる……1年以内に作れても1本や2本__そんな脅威なものじゃないね」
「最上位大虚級を脅威じゃないって言えるの兄サンぐらいなんスけど」
足を組んでその上に頬杖をついた俺に眉を顰める喜助。
「正直残念なんだよね」
そういった俺に機械に向かって作業を再開した喜助。
愚痴を聞いてやるぞっていう喜助の体制だ。
「俺は講師として強いやつを作るために頑張って来たつもりなんだよ。俺が講師初めてから死神の死亡率も下がった。二番隊の危険だった四部隊の死亡率も下がりに下がった。院で始解が出来るやつも増えてきたし優秀な人材はどんどん成長して行ってる。けど__弱いんだ」
俺はため息を吐いて天井を見上げる
ゴウゴウっと換気扇の音と喜助の作業音が響く
「死ななくなったし少しずつ。少しずつ少しずつ成長はしてる、教え子は席官になってるし隊長格にも、大虚の討伐報告もあるし。殺気の耐性も受け身も防御術も反撃も、戦闘能力も上がってるのに……どうして弱いんだろ。
俺さ惣右介の霊刀の使い方見て……別にいいんじゃないかって思ったんだよね」
「……」
喜助は何も言わずに作業をする
俺は続けた
「皆の反応みてると、倫理に反してるみたいな顔するけど、まぁ今回の紫流みたいに無理やりやるのはちょっとあれだけど……。虚の力を抑えるどうこうみたいに利もあるし。それに目には目をって言うじゃん?もし惣右介が霊刀作ってきて紫流みたいにやばいことするならこっちも俺の霊刀使って対抗すればいいと思うんだよね。力ないやつでも技術ないやつでもスパスパ斬れるし。」
肺の中の空気をすべて吐き出すように深いため息が出た。
「でもまぁ、長年の勘だけど。みんな抵抗するんだよね、未知のものって怖いし惣右介のを見たら危険じゃないかとかリスク考えて使わないだろうな。
相手が拳銃を使ってきたらこっちはロケットランチャーで対抗……みたいにすればいいのになぁ〜」
「あまり力を持ちすぎると上の人がそれを制御出来ずに色々問題が起きるからッスよ。あまりある力は破滅をもたらしますし」
「まぁ……大地が滅ぶのが先かもな。」
「んで、話変わりますけど兄サン。尸魂界帰ったらどうなるか予想ついてんスよね?」
「まぁ……何らかの罰か尋問はされるかもな。けど今四十六室も居ないし。追放は出来ないと思うよ。
「あっ、いいきるんスね」
「当たり前じゃん、俺がどれだけ外堀埋めたと思ってんの?伝令神機の改造生産の技術の権利は俺が全て握ってる。俺がもし尸魂界から追放されるとしたら俺はそれを全て消すか持ち去るわ。そうしたらどうなると思う?」
「そうッスねぇ……伝令神機という情報機関という便利なものが整ってる今、それが途端に無くなれば大混乱が予想されるでしょうね……便利なものに頼りすぎるとこうなるぞっていう本の1ページが作れそうッスね」
「いいように使われるだけは嫌だからね。ちゃんと設置式の機械にも俺の細工が施されてるし。阿近にも作れないと思うし……そういうリスクを考えたら多分謹慎ぐらいで済むんじゃないかな。外面はいいから俺。」
「自分で言うもんじゃないッスよそれ……」
「それに、惣右介という強大な敵ができた今。戦力を削る意味が無い。人工とはいえ最上位大虚を制圧したわけだし。
それに悪用されるものを作ったとか言われるのはちょっと無理があるよね」
「霊刀ッスか?」
「そ〜。ただ霊力ないやつでも戦える武器、かっこいい強い武器が作れないかなって思って作ったんだけど。
惣右介が改造するなんてねぇ〜でも、それは使用者がどうこうしただけで、製作者責められるのあんまりじゃね?」
俺は現世の文献を思い出した。
「現世で有名なノーベル。彼はダイナマイトを作ってお互いが滅亡する危険な兵器を作り。それを圧力として戦争を起こさせないようにした。
国を守る軍事力がお互いにあれば抑止力として働いて__ってね。
簡単に言えば殺傷能力を持つものを作ってしまえばそれは使用者によって使い道が変わるんだよ。
野菜を切る包丁で人を刺すのと同じ、
それで生産メーカー側が怒られるのっておかしいよねぇ」
「まぁ、それとこれとは話は別って言われて終わりでしょうね。」
「言い訳考えなきゃなぁ〜」
「まぁ頑張ってくださいな」
っと、他人事のように言う。まぁ他人事なんだけど
「惣右介が黒幕だってわかってもう喜助の冤罪も解けたんじゃないの?いいじゃん戻ってくれば」
っと言うと呆れたような顔を向ける
「戻りませんし、戻れませんよ。ボクは虚化の研究だけじゃなく、追放される理由としては霊圧を遮断する義骸を作ってしまったせいなんスから。禁忌事象研究の罪でね。それに涅サンが上手くやってるようですし。ボクが行ったら彼激怒するでしょ?」
「そっかぁ……綱彌代がうるさいかぁ。まぁ涅が喜助に局長の座を譲り渡すわけないもんな」
「兄サンが追放される事になったらここに匿ってあげるんで大丈夫ッスよ〜」
「そーだな……そしたら現世と尸魂界の境界を無くす機械でも作るか」
っと言うと
「兄サンがそれを言うとシャレにならないんでやめてください」
ってガチで怒られた。
紫流を何とかして……尸魂界に戻るのかァ〜なんかめんどくさいな
まぁ反省してるフリでもすれば大丈夫でしょ。
挿絵はいる?
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あった方がいい
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無くてもいい。
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どちらでも