「おー、やってるやってる」
俺は上空から双眼鏡で眺める。
最上位大虚級が三体に、うちの高校のヤツらが数名やられて茶渡が負傷。
そして織姫ちゃんと紫流が一体の最上位大虚と対峙……
デカいのは一護……いや、喜助と夜一さんもいるな。
もう一体は何もしないんか。
っとか思ってると、ふと喜助が上を見上げ……
俺は思わず双眼鏡から目を離した。
何メートル離れてると思ってんだよ__
嘘だろバレた……?さすが我が弟。
そういえば穿界門開いたら誰が来たか霊圧で探ってんだっけ。
霊圧感じれないから俺だって確信したんだろうな。
仕方ない……いくか。
─────────────
「夜一サン。黒崎サン、アタシの合図でここから距離を取ってください」
「何言ってんだよ浦原さん!」
喜助の言葉に眉を顰める夜一。
「巻き込まれたくなければ離れた方がいいッスよ」
「なんだぁ!怖気付いたか!?」
っと愉快そうに笑うヤミー
ヒュウウウっと落下音が聞こえヤミーは上空を見上げる
「今っスよ」
喜助が剣を横に払い夜一と一護が後ろに飛び抜く__瞬間
上空から、維助が現れヤミーの脳天に蹴りを食らわせ。
土煙と爆音とともに地が割れクレーターが出来上がる
その惨状にヒクヒクと、目元を動かす一護
「おいゴルァ!俺らまで巻き添えになるところだったろ!」
っと土煙の中怒鳴ると
「えぇ、ごめーん一護」
っと呑気な維助がクレーターから上がってきた
「それになんスか、霊刀ぱんちって……」
「いやぁ、必殺技?ほらバトル漫画において必殺技叫ぶのはロマンだろ?」
っと維助がどうだ!とでも言うように仁王立ちすると顔を片手で抑えてうなだれる喜助が一言__
「ダサい」
「ダサい!?!?」
「しかも、霊刀持ってないし、パンチじゃなくて蹴りでしょう」
「あーあー、いいの!そこはノリと勢いなの」
「たまにバカ丸出しになるのなんなんスか……弟の肩身狭くなるんでやめてください」
「なんだと!」
っとキレた維助を夜一が宥める
「チッ、やっぱ橋姫パンチの方がよかったか、ってタフだなぁ……!普通のやつなら全身粉々になっててもおかしくないんだけど」
ふと後ろを振り向くと、クレーターの中から出てくるヤミー。
「くそ……クソが!!」
ブチ切れて横腹を抑えていた。
横腹は無惨に抉れていて、血がとめどなく流れ地面に大きな水溜りを作っていた。
「タフネスってやつ?アドレナリンドバドバで痛み感じない……って夜一さん。その腕」
維助を押えていた腕が青く変色しているのを見つけると、夜一はスッと、後ろに手を隠した
「いや、バレてるからどーしたんだよ」
「な、なにも?別になんでもないぞ」
あからさまに気をそらそうとする夜一にため息を吐く
「あいつ?」
っと、親指でヤミーを指すと、目を逸らしながらもコクンっと頷いた
「そ、その霊圧硬度が思う以上にあって……の?いや、別に儂が油断したとかそういうんでは……」
ヤミーに振り向いた維助は静かに話した
「喜助、夜一さんをよろしく。回道かけてやれ」
「はいな」
「フゥーッフゥーッ」と、荒い息を繰り返すヤミー。
「悪いな、女の子が怪我してる時に遊ぶのは男が廃るってもんさ!って事で……遊びたかったけどごめんな。いや女の……子?」
「ゴルァ!維助!!そこを疑問視するな!!!」
っと言う怒鳴り声に、ごめーんっと軽く謝る
──────────────
無駄にでかいなぁ、あの分だとちょっと血を流したぐらいじゃ死なないか…、殺すにしても状態は残しておきたい,最上位大虚なんてそうそう出会えないし、喜助が調べたそうだし。
「って事で、その腕いただきまーす」
っと刀を振るった瞬間。
キィンっと火花を散らし何かに防がれる
「およ?」
「遅ぇぞ!!アマルゴ!!」
「うっさいなぁ……!!」
っと、振り上げられた足を避け距離をとる
俺の刀を腕で防ぐなんて、相当な筋力か……いや違うな。
「威力を
喜助がよく使う相殺の技、反転した鬼道をぶつけたり、威力を反転させた霊圧をぶつける。高等技術だ、初対面のやつが俺の威力を相殺するとは……だが、完全に相殺出来た訳ではなく
腕から血飛沫が舞う
「およ……」っと、自分の腕を見る子供。
俺は違和感に眉を顰める。
こいつ───
とか思ってると
「おししょう……お師匠……」
血濡れで這いつくばってる紫流が織姫ちゃんに治療されていた
「大丈夫か?」
「そいつ……霊刀を……」
「へぇ……なるほど」
「俺は藍染様のお気に入り、アマルゴ。よろしく」
手が青い光に包まれ、その瞬間には太刀を握っていた。
「大分小さくしたみたいだけど、まだまだだな。実験段階ってことか……」
「俺を……そこら辺のネズミと一緒にするな!!」
何故かブチ切れて向かってきた。
実験動物みたいに言っただけでそんなブチギレるか?
「俺は浦原維助。よろしく!」
今度は相殺されぬように素早く、まるできゅうりを斬るように__
───腕を切り落とす
「う、ウァアアア!!うで!腕がァァ!!」
自分の腕を抑えながら発狂する子供。
惣右介はなんでこう子供で実験するのかね、ショタ好きだったりする?
「まぁ霊刀だからなんだって話なんだよね。鬼道使うやつならまだしも、俺と剣で語り合いたいならそれなりのやつ連れてこいや」
「まだ、だ……!へへ……」
ヨダレを垂らしながらこちらを向いたアマルゴはメキメキと音を立てて
腕が再生した
「気持ち悪っ。涅かよ……」
「なんとでもいえ!」
霊刀を橋姫で受け止めると違和感を感じた
「ハァ!?まじかよ」
みるみるうちに俺の霊圧硬化が……身体に纏った霊力が吸われていく。
青く青く光るそれを振りかざす
「喜助!!」
俺は橋姫で防ぎ喜助は後ろの子らを守った。
木々がへし折れ地面が浮き上がる斬撃
「はっ……はは、ここまでの霊力とは」
っと、霊刀を頬擦りするアマルゴ。
パキッと、音を立て喜助の盾が砕け散る。
「人の霊力吸い取って収束したものを放つ……はっなるほどね」
「そうさ!!空気を吸うように!ひとの霊力を吸い取れる!!触れたら最後空っぽになって終わりさ!!ハハハ!!己の霊力のデカさが仇となる!!」
っと笑うアマルゴ。なんつーか、子供だな。
「新しい玩具を与えられた子供__ 」
「んだと……!!」
「いいぜ、どんどん吸い取れよ……さぁ!」
わざとゆっくり振りかざした刀を霊刀で受け止められ、どんどんと霊力が自分の意思関係なく吸い取られていく
「ハハハ!!どうだ!苦しいだろう!ふふふふ」
っと可笑しそうに笑うアマルゴの顔が段々と青くなっていく
「なぜ……!!もう瀕死になってもおかしくない程に吸い取ったのに……!なぜ立ってられる!!」
俺はスルッと左手で右腕の制御装置を取った
「覚えとけ、ガキ。吸収する力、溜め込む力ってのは限度があるんだよ。水を吸い取るスポンジも、いずれ漏れ出てくる。」
俺の制御しきれていない霊力が溢れどんどんっと霊刀に吸い込まれていく
「やめろ……やめろ!!」
俺は離れようとするアマルゴの腕をつかむ
霊刀からパキッ___っと音が鳴り響く
俺は霊刀を太刀取りで奪うとアマルゴに突き刺しアマルゴを上空高く蹴りあげた
「やめろぉおお!!!」
空中で為す術なく、アマルゴは____
余波で地震とも言える揺れと突風が吹き荒れる
俺は素早く制御装置をつけ直した。
「やっぱり霊刀は不完全。甘いね……」
チラリと、黒髪の破面の方をむくと
「想定通りだ」っと言った。
つまり実験段階のを殺されるとわかってて俺とぶつけたのか。
「まぁいいや、あんたらもやる?相手するけど」
「今回は退く、我々の目的は達成された、全てが想定通りだと」
そのまま破面は黒腔に入り消えていく
全てが想定通り……ね。俺こう言う心理戦ってやつ?嫌いなんだよね。
「あーあ、霊刀を欠片もなく粉々に爆散させたのは間違いだったか……」
──────────
「はい、あーん」
「あ……あーん」
「何してるんスか」
呆れたように大きな丼を2つ持ち足で襖を開けた喜助。
「いや、何って腕痛いだろうから食わせてあげてんだよ」
「でも夜一サンの腕は日常生活には__ ゴブァ」
何か言いかけた喜助にすぐさま顎を蹴りあげる夜一さん。
「うわ、痛そう」
吹っ飛んだ丼をキャッチして畳の上に置いた
「痛いぞ維助、さぁ食わせるんじゃ!はよはよ」っと口を開ける夜一さん。
「お、おう……まぁ、そのなんだ、早く来なくて悪かったな」
「よいよい、儂が瞬閧状態で戦わなかったのが悪いのじゃから」
アイタタ……っと言いながら起き上がった喜助が顎を抑える
「それにしても霊刀、やはり組み込んで来たッスね。」
「まぁ、だろうなって感じ……まぁあの感じだと隊長格でも苦戦するだろうな、霊力吸い取られて終わりだ。紫流も似たような感じでやられたんだろ。俺みたいにゴリ押しで霊力注ぎ込めるのは更木ぐらいか……」
「まぁ策を講じないといけないッスね……兄サンみたいな力押しは本来通用しませんし……」
次回 砕蜂 vs 夜一!の……話?
挿絵はいる?
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あった方がいい
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無くてもいい。
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どちらでも