ルキアは一護の部屋の扉を思いっきり開いた
「っておい!静かに開けろよ!壁に傷つくだろ!」
という一護の声も無視して自分の部屋かのようにベッドに座りくつろぐ。
こういう光景も懐かしっ!と思った
「ねぇーさぁぁあん!!ゴブァ!!」
押し入れから飛び出してきたコンはルキアに抱きつこうとして思いっきり踏まれた
「あぁ、ひと夏越しの出会いにも関わらず一切の戸惑いもない踏みつけあぁ…最高っす〜ねぇさん!!ブゲェ」
情けない悲鳴を上げてバタバタと暴れるコン
「しぬ、死んじゃう綿がぁぁ!」
という声に離すと
スカートの中を見たコンが一言___
「白♡」
っと言う声にルキアは窓ガラスの方へコンを蹴り飛ばし
パリーンっと音を立てコンは屋根に転がった。
「窓ぉぉおー!!!ルキアてめぇ!何しやがる!!」
「仕方なかろう!私のせいだと言うのか!」
「てめぇのせいだろ!!」
そうしていると__
「夏梨ちゃんシー!聞こえちゃう」
「いや、一兄に怒られても知らないからね」
っと声に、一護がピクッっとこめかみを動かすと思いっきり扉を開いた
「うるせぇぞゴルァ!」
「「「ごめんなさーーい!!」」」
っと、父親の一心。遊子そして母親までも
「お袋!!止めろよ!」
「だぁーって、お母さんも気になっちゃって〜きゃー青春ね」
「うっせ」
そうして階段を降りていったのを確認して部屋の扉を閉めた。
「ったく、あいつらは…ヒトを餌に大盛り上がりしやがって」
「相変わらず楽しげな家族だな!って、お袋…?母親が起きたのか?」
「あぁ、ついこの前な。それでとっとと教えろよ。破面ってのが何なのか!なんで俺らが狙われてるのか!」
すると、天井からカコンっと音がした
「そいつは俺たちが教えてやろう!」
天井から4人がひょこっと顔を出した
「うぉおおい!人の電気に何してやがる!!」
「んだよ、壊れたら先生にでも直してもらえよ」
「電気治して〜なんて呼べるか!!」
面倒くさそうに耳をほじってる恋次に詰め寄った。
「うるせぇなぁ、あの人なら快く直してくれるだろ。なんだっけ、あのぱーてぃ?とかくらぶ?っていう雑誌みたいな派手なやつにしてくれるだろうよ」
「いらねぇよ!ミラーボールなんかつけられそうだわ!ってかなんでそんなん知ってんだよ」
いや、先生が現世の書物くれるんだよ。っと言う声に、何してんだあの人…っと突っ込む。
「とりあえず…」
恋次はルキアの取り出したスケッチブックを指さしながら説明を始める。
そこに崩玉を持った藍染が接触する事で、成体の破面が誕生した。
そいつがこの間の三体だ。
「ここまでわかるな?」
「いや、スケッチブックがなかったらよく分かったよ。」
ルキアの持ったスケッチブックに描かれた下手な絵をみて相変わらずだと、ため息を吐く
「当初尸魂界は藍染が直接コトを起こすまでは静観するつもりだったが、十三隊も一気に3人抜けてバタバタしてたし、だが予想以上に早く成体が完成しそいつが現世に送られた事でそうも言ってられなくなった。そこで急遽選抜されたのが俺達だ」
選んだのは総隊長だと言う。
私もいきたーいと行って乱菊、そして付き添いに冬獅郎が。
「いや、ピクニックかよ、ってか浦原先生に頼めば良いじゃねぇか」
すると。
「なんで窓ガラス割れてるんだ…?」
っと窓側から声が聞こえた
「冬獅郎!」
「日番谷隊長だ。」
そう言って窓枠を超えると机の上に腰掛けた。
「そもそも、浦原隊長は忙しい人だ。尸魂界と現世を頻繁に行き来しているし。前回も浦原隊長が尸魂界に行っている時に狙われた。」
「へぇ、そんなに忙しい人なのか」
「朽木紫流の監視。尸魂界では霊術院の講師、隠密機動に新四十六室の選抜育成。その他色々と仕事がある。どうしても現世を離れることが多いんだよ」
「どっちでも先生してんのかよ」
「とにかくてめぇは藍染に狙われてんだよ。黒崎一護。破面は確かに虚の面を剥ぐことで生まれる。だがその辺の虚を仮面を剥いだところで大したもんはできやしねぇ。本気で尸魂界に戦争を仕掛けるつもりなら破面化の対象は自ずと
「なんだよ…メノス以上って…まるでメノスより上がいるみてぇじゃねぇか」
冬獅郎は説明を始めた
大虚の中にさらに3つの階級が存在する
1つはギリアン。メノスの中で最下級。似たような見た目をしてる人間に例えるなら雑兵に近い。
2つは
そして3つ目は
「そもそも、アジューカスもヴァストローデも藍染が現れるまで見る事も聞くことすらごく希。数千人いる死神の中でも片手で数える程度しか会ったことがねぇぐらいだ。ハッキリ言う。」
一護と目を合わせる冬獅郎
「この最上位大虚級の戦闘力は隊長格より上だ。もし現時点で藍染の下にこの最上位大虚級が10人以上いたら尸魂界は終わりだ。」
「で、でもよ。浦原先生はその最上位大虚になった?紫流を簡単に倒したし…この前だって…」
「いいか。あの人を宛にするな。あの人は始解すらせずにアジューカスもヴァストローデ級も地に伏せて来た。隊長格でも敵うやつはいねぇ。だが…。あの人は少しキナくせぇんだよ」
そこで乱菊が口を挟んだ
「隊長!だから気のせいですって!あの人はそんな人じゃありませんって何度言ったら…」
「分かってる。ただの俺の勘だ。実際尸魂界に数え切れねぇほどの功績を上げてる…ただ…」
その鋭い目に一護は息を飲む
「まるで尸魂界が、あの人に飲み込まれていくような_。藍染より恐ろしい何かを感じるんだよ」
─────────────
「ヘブシッ…なんだ、噂か?」
「女性絡みでしょうね」
「殺すぞ喜助」
維助は喜助から渡されたテッシュで鼻をかむ。
「にしても、紫流は元気だねぇ。帰った途端に虚退治に町を駆け回るとは」
「強くなりたいんでしょうよ」
相性が悪いとはいえ。コテンパンにやられたのが悔しかったんだろうな、っと考える。
すると部屋から
「維助〜!!はやく氷菓子もってこんか!!」
「はいはい、お姫様」
維助がアイスを手渡すと食べながら新聞を読む夜一
「今日何個目だよ。太っても知らねぇぞ」
「あ、腹壊すって事は心配しないんスね」
「この人がアイスなんかで腹壊すわけねぇだろ」
という謎の信用。
「心配いらん!脂肪は全て胸にいくからの」
「胸…」
っと呟く喜助の耳を引っ張る維助
「てめぇどこ見てやがる」
「痛い!耳飾り引っ張らないでください!!不可抗力ッス!」
___________
「俺の部屋は無理だからな!!何人いると思ってんだ」
「わーってるよ、俺は先生の所にあたってみる。あの人の弟はてめえを鍛えたんだろ?あの人の弟には一度会って見ておきてぇんだ」
「なぁ、浦原先生…維助さんは霊刀つーやつで尸魂界側に責められなかったのかよ」
「あ?霊刀…あぁ、あれか」
っと恋次。見たところあまりよく分かってないようだが、そこで冬獅郎が口を出した
「尸魂界側は霊刀の件について浦原隊長を罪に問うことは無い。そういう法律があんだよ」
「へぇ…法律。」
「言ったろ。あの人にのまれてるような気がするってな」
その一言にどれだけの意味が含まれているかは分からない。
ルンルンで歩く乱菊の後ろを歩く冬獅郎
「(最上位大虚一体の討伐。だがあの人ならもうニ体を逃がすようなヘマはしないはず。しかも一体は霊刀を体内に秘めた最上位大虚だと報告を受けた。わざわざそいつだけを殺した…?深く考えすぎか偶然という可能性があるが…煮え切らない)」
───────────
その夜
「兄サン。」
「あぁ、来たな」
ガチャガチャと機械をいじる維助。
地下専用維助部屋。工具や金属片やネジや釘、ボルトなんかも転がっている。
知らない人から見ればガラクタの山。
ゴーグルをつけて金属を火花を散らしながら溶接している維助に声をかけた喜助
「行かないんスか?どうやらこちらを探ってるようっスけど」
「そうだな、だが俺目当てじゃないだろ。霊圧を感じ取れないはずだし。」
車の骨組みのような物の下に入り込んで作業を始める維助。
「行かないんスか。霊圧の衝突…戦ってるようッスけど」
天井を見上げる喜助。
破面。想像以上に来るのが早いし数も多い
「そーね。まぁ大丈夫だろ。俺がいちいち首突っ込むようなもんじゃないし。」
「おや、珍しい。強いものに戦いを挑みまくってるような兄サンが」
呆れたように下から顔を出す維助。
「俺はそんな更木みたいなことしねぇって…。俺をなんだと思ってんだ。それに…前回の黒髪の破面みたいな
「あの、本来は最上位大虚ってだけで強いはずなんスけど…」
「俺はいいや。気が乗んない。もしなんか言われたら空間凍結で忙しかったでーすとか言っとくわ。喜助も行く気ないんだろ?」
「まぁ…首突っ込む事じゃないッスからねぇ〜」
「一緒じゃねーか」
「いやいや、ボクはもう護廷十三隊じゃないですし。兄サンとは訳が違う。兄サンには戦う理由があれどボクにはないっスよ」
「それに恋次や冬獅郎達がどれだけ成長してるか見たいしな」
また天井を見上げる喜助。
「限定解除もされてないようですし…きついんじゃないッスか?」
死神の中でも特に強大な霊力を有する護廷十三隊の隊長と副隊長が現世に来る際、現世の霊なるものに不要な影響を及ぼさぬよう体の一部にこの印を打つ。
死神の戦闘技術は基本的に自らの霊力を源とするものであり、更に霊力は霊体の運動能力と密接に関係しているため、結果として戦闘能力も大幅に削減される事となる。
「まぁ…兄サンは運動能力が少し低下した程度でも倒したんスけど…本当に印押されてるんスかねぇ」
「今回来たほとんどの最上位大虚は、弱い。そもそもあいつら最上位大虚でもなければ中級大虚ですらない。体は大人、中身は子供。力はあっても能力がない。そんなやつのために俺がなんで出向かないといけないんだか…給料増えるわけじゃないし。ボーナスよこせってんだ」
維助が空中に手を添えるとキーボードがバーチャルのように空中に出てくる。それを横にスライドさせれば、破面と戦っている死神の姿が映し出された。
「あーあ。皆怪我しちゃって…」
「無傷の方がおかしいんスよ…あーあ。布団用意するように言わなきゃ」
モニターを眺める喜助。
「あっ、限定霊印が解除されましたね」
「…そうね」霊圧が上がったのを感じる。
「まぁ、なら大丈夫だろうさ」
しばらくしてモニターをみた喜助が目を見開いた
「
直ぐに部屋を飛び出していく喜助を見てモニターに目を移し映像を少し巻き戻す維助
そこには雨が破面に攻撃を受けているシーンが映し出されていた
「あいつもここ100年で大切なやつらが出来たんだなぁ」
───────────
朝っぱらからスマホがうるさく響き、スマホを手に取る
「はぁーい、なんですか?今日はどちらも非番の浦原維助でーす。またなんの用?モニターは夜そっちに送ったろ」
通話先は日番谷冬獅郎だった。
”『なぜ参戦しなかったんですか浦原隊長。今日はこっちにいましたよね。モニターの件はうちの松本が受け取りましたよ』”
っとスマホから日番谷冬獅郎の不機嫌そうな声が聞こえた。
「いやぁ、気づいてたんだけど、ほら空間凍結に忙しくて。あんたらがバンバン霊圧ぶっぱなして戦うんだ。他の魂魄に影響出ないようにするのも仕事だからさぁ…それに信じてたんだよ。俺が手を出さなくても倒せるって」
スピーカーモードにして作業を始める維助。
”『それから、今日総隊長と話しました。四十六室の地下議事堂か、大霊書回廊の捜索。中身は見れなかったらしいが恐らく二番隊…あんたの開発資料に、崩玉に付随する資料。そして───
「王鍵ねぇ…。つまりは藍染は王鍵を使って王を殺そうって?」
”『話が早くて助かります。王鍵の創成に必要なのは十万の魂魄と半径一霊里に及ぶ重霊地』”
「つまり…ここ、空座町。」
”『藍染の持っている崩玉の覚醒は四ヶ月はかかると言われた。そうして、総隊長からの命は決戦は冬。
「うわ、喜助面倒くさがりそ」
”『だからですよ、あんたが説得してください。弟でしょ』”
「分かった分かった。言うだけ言っとく。」
”『それから総隊長があんたの開発資料の閲覧許可を求めてたぞ。』”
「あぁ、大霊書回廊の」
尸魂界全ての事象・情報が強制集積される場所、つまり維助の開発の歴史も詰まっている。
”『大霊書回廊、浦原維助の情報には鍵がかかっていた。鍵をかけたんでしょう?藍染が何を調べたか見たいそうなので閲覧許可をと』”
「俺が調べるからいいよ。許可はしないって言っといて」
”『また、
「そうね、いくら隊長格でも総隊長でも、見せられないよ」
”『……でもおかしいんですよ、大霊書回廊は四十六室の管理下。藍染が消えた後に付けたとしても、四十六室は全滅してるから鍵はつけられないはず。もしかして───それより前に鍵をつけてたんじゃないですか。』”
「へぇ…」
ニヤっとわらった維助が機械をいじってた手を止めた
”『藍染にわざと…開発資料を見せていた__訳じゃないですよね?』”
「そんな訳ないじゃん。確かに鍵自体は昔からかけてたよ。でもあの藍染だよ?鍵をくぐり抜けて
”『…そうですか』”
「それに、俺の開発権限の法律には開発内容の独占も含まれてる。だから総隊長は俺に命令という形じゃなくお願いという形を取った。命令しても俺にはそれに従う義務がないからだ。」
”『………こうなると読んでた訳じゃないですよね』
「まっさかぁ!俺はそこまで頭良くないよ」
”『どうだか…』”
その後通話は切れた。
「あーぁ。惣右介が俺の開発資料みたのは自分で言ってたから知ってたけど。見られた後につけたんだよなぁ、まぁ説明したらしたでめんどくさいし。謎の方法で鍵をくぐりぬけたってことにしとくか」
藍染に全てを押し付けることに決めた維助だった。
──────────────
「んで……なにやってるんスか兄サン」
浦原商店と書かれたエプロンをつけて可愛いバンダナを頭に着けた維助が台所にたっていた。
「なにって……料理」
「兄サンが……??」
「何その心底ありえないような顔」
グイッとそのほっぺを引っ張る維助。喜助はイタタタ!!!っと涙目になっていた。
「なんでまた急に?」
頬を離された喜助が頬に手を当てながら首を傾げる
「いや、機械化していいものとしてはダメなものについてちょっと悩んでて」
卵を割って溶く維助。
「機械化していいものと……ダメなもの?例えば?」
「手作業のもの。目で壊れてるか壊れてないかを判別してる物も機械で認識して弾く事もできるし。ごみ捨て掃除洗濯炊事ですらロボットがやってくれる。芸術ですらロボットで作れるけれど、それはどうなんだろうって思って、意味があるのか。心って奴を探してる。機械で作った料理と手で作った料理。効率てきには機械で作った方が早い。けれどよく言うだろう?
ポカーンっと口を開けた喜助に維助が目の前で手を振ると、ハッとした喜助がプッと吹き出した
「何を急にと思ったんスけど……やっぱり機械関係でしたか。」
「なんだよ……みんなで食べたら美味しいとか。心が籠ってるってのを科学的に解明できないかな……って」
「映画とかでも言うだろ?人形や機械に心は作れるのかって。心が籠ってるってのは何となく分かるんだよ?なんとなく。ほらボロボロになってるけど頑張って作ったんだろうなーって思うようなマフラーとか、あぁ、心籠ってるなぁ〜って。
まぁ機械に心を入れるかどうかは後にして、とりあえず機械化するものとしないものを分けようかと……先に言っとくが!俺に心がない〜とか厨二心擽るような事じゃねぇからな?」
っと前置きする維助
「似合わないッスねぇ」
「お前は言葉足りないんだよ。話突然変えんなよ。この姿がか?」
喜助に振り向いた維助が首を傾げる
「兄サン家事やんないじゃないッスか。台所に立ってるのが似合わないって事ッス。今までのご飯も二番隊が作ってたでしょうし……作れるんスか?」
「俺の器用さをなめんなよ。作れるつーの。多分……」
「んで……何でまな板壊してるんスか?」
そこには玉ねぎと一緒にまな板を切り刻んでいた維助が。
「いやぁ……包丁の切れ味が良くて」
「それ百均なんスけど。玉ねぎ切るのすら力入れないと無理なんスけど」
「百均かよ、どこでケチってんだ」
「まな板は2万円ッス」
「たっっっか!!後で弁償しまーす」
っと言いながら片付ける。維助
「卵溶くのですらめんどい。泡立て器じゃだめか?」
「泡立ててどうすんスか……」
なんだかんだちゃんとオムライスができ上がる。
「ふわふわオムライスのかーんせい。昼飯なこれ。」
お皿に盛られたオムライス、人数分がようやく完成した。
「雨達に持ってきますね」
っとお膳に載せたオムライスを運んだ喜助がしばらくして戻ってきた。
キッチンに椅子を持ってくる維助と喜助
「「いただきます」」
「うーん、まぁまぁだな。」
「そうッスか?美味しいですけど」
「どう?真心ある?」
「うーん……兄サンが頑張って作ってくれたものですし。美味しいですよ」
「わっかんねぇ……」
しばらくしてお膳と空の皿を持ってきた雨とジン太
「あの、維助さん……ご馳走様でした」
「お粗末さま」
「変なの入ってると思ったけど入ってなかったな」
っと言ったジン太に
「こらこらジン太〜」
っと軽く注意する喜助。
「まじで俺の事なんだと思ってんだ」っと突っ込む
「あの……本当に……美味しかったです。また……作ってください」
そう言って去っていった雨
その言葉になんとも言えないものが心にジワっと広がる
雨とジン太が出ていった方向を見ながら呟く維助
「なんか……今の。俺が機械作ってそれを使った人の感想みたいな……」
「本当そういう説明下手ッスねぇ……。」
ズズっと食後のお茶を飲む喜助
「機械化しようとしまいが、作ったものには心が篭もり。作った人にはそれが帰ってくる。機械化してもしなくてもどちらにもいい所があるんスよ」
「そうだなぁ……。機械で作った料理を提供してお礼言われて。今の気持ちを、心の温かさを手に入れれただろうか」
っと考えこんでいると……
「維助ー!!おかわり!!はよ作らんか!!」
っと夜一が空っぽの皿を持って台所の入口から顔を出した
「声でか。えぇまた作るの?」
「なんじゃ、材料はあるじゃろう?作れ!」
「えぇ……仕方ないな。夜一さんも手伝って。喜助も」
「むぅ、仕方ないの。」
ブツブツ言いながらも冷蔵庫から卵を取り出す夜一を見て立ち上がる喜助。
「仕方ないッスねぇ〜ボクのも作ってくださいな兄サン」
「珍し、喜助が飯をおかわりすんなんて。お前少食だろ」
「人並みって言ってもらっても?夜一サン基準にしないでくださアイタァ!なんで殴るんスか!夜一サン!」
ゲンコツを受けた頭を涙目になりながら撫でる喜助。
「ったく……まぁ……機械で作るより、手作業によるこういう工程も__いいもんだな」
「なんか言ったか維助?」
っとエプロン姿の夜一が首を傾げる
「なーんも!って夜一さん卵握り潰して入れるのどうなんだよ」
「なんじゃどうせ潰すじゃろ」
「言い方!!!それに殻入るだろ!?ってセロリ入れるな!!俺セロリだけは食べ物だと認識してねぇから!!」
セロリを取り出した夜一に首を全力で横に振る維助
「何をネジを食してそうなお主が……そういえば嫌いじゃったな」
「だからお前らの中で俺なんだと思ってんだよ。っておいこら喜助!!てめぇ油入れすぎだろ!?揚げ物する気か!?」
タプタプっと油をフライパンいっぱいにいれる喜助の手を止めた
「えぇ?こんぐらい入れないと焦げないッスか?」
「大丈夫だわ!!てめぇは限度ってもんを知れ!お前そういえば料理作ったことねぇな!使用人がやってたもんな!?ここ100年も鉄斎に任せてたんだろ」
「あは〜よくお分かりで!」
扇子を開いた喜助が笑ったのを見てため息を吐く。
「喜助の欠点は一人で生きていけないことでーす」
「あっ、なんスかそれ!じゃぁ兄サンの欠点は……欠点……壊滅的音痴」
「考えて出たのそれかよ。確かに音痴だけど…そういうお前は琴弾けねぇだろ」
「三味線は弾けます〜!琴はいいんス!!」
「なんだそれ、あっ芸事といえば夜一さんは
「夜一サンに舞いは似合わないッスよ〜!盆踊りがいいところッス」
っと可笑しそうに扇子を扇ぐ喜助
「あっ、それはそう盆踊りは似合うな!」
「「あはは!ゴフッ!」」
その瞬間に喜助と維助の顔面に夜一の拳がめり込んだ
「「顔が痛いッ!!」」
「ふんっ!」
2人が顔を押えて蹲って夜一は頬をふくらませてそっぽを向いていた。
入口で隠れながらその様子を見ているジン太と雨
「なんか楽しそうだねジン太君」
「けっ。店長達はいつもあんな感じだろ」
挿絵はいる?
-
あった方がいい
-
無くてもいい。
-
どちらでも