浦原喜助の兄に転生して夜一の許嫁にされた俺の話   作:ちーむ

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藍染の笑い の話

 

「なんでせっかく作った戦力あっちに送っちゃんです?藍染隊長」

 

虚圏(ウェコムンド)

 

宙に映し出された現世の映像を足を組み頬杖をつきながら眺める藍染惣右介

 

霊刀の実験体を作っては現世に送っている事に疑問を持ったギンがそう藍染に問う。

実験体としても十分な戦力、3席4席程度、人数が揃えば副隊長格や中には隊長格にも匹敵する戦闘力がある。

それをわざわざゴミを捨てるかのように現世に送っていることが不思議で仕方なかった。

 

「ギン、君の目から浦原維助はどう見える」

 

「はい?あぁ……」

 

いきなり何の話かと思ったが映像には浦原維助が映し出されており、霊刀の実験体と戦っていた

 

「まぁ、昔からえらい強いと思っとりますよ。剣術も__まぁ発明家にしてはなんや脳筋みたいな戦い方しとりますけど」

 

「ふっ……。頭がいいと普通は現状に満足し保持し続ける、だが彼は違う。ここ100年__いやそれから前から彼は進化し続けた。剣術の天才では終わらず伝令神機では終わらず__彼は歴史を作り続けている

 

確かに浦原維助の発明は止まることをしらない。

伝令神機からコピー機、家電や体を蝕む病を止める機械。

改造魂魄を生成する機械。記憶置換装置からエレベーターやエスカレーター。現世にそういったものが発明される前から彼が1人で開発したもの。

技術開発局がつくる機械は現世の道具や機械を真似て作ったいわゆる粗悪品。とてもじゃないが不便で使えない。

 

だが彼が作るものは違う。最先端も最先端。伝令神機なんて現世が追いつけるのか分からないほど未来をいく機械だ

 

 

チラリと藍染の顔を見たギン、藍染の顔はとても面白いものを見ているような顔。

そう__ワクワク……しているような表情

 

「でもあの人剣術以外で藍染隊長に勝てるんです?ほら、鬼道も使えないし。霊圧の制御装置つーもの使わないと自分の霊力操作すらままならないじゃないですか」

 

ギンの言葉にふっ__と零すように笑う

 

「彼が本当に霊力操作が苦手だとでも?鬼道を使わないのは彼なりのこだわりさ。彼はきっと鬼道を使える、知識も技術もある、でなければ電気の霊子を作り出し操る事はどう理由つける」

 

そこではっとするギン

 

確かに尸魂界で電気という概念を作り出したのは彼だった。

現世とは違う構造で似て非なるものだが。

 

自分が小さい頃から現世よりも発達している瀞霊廷、流魂街とは全く違う世界で、電気や伝令神機を確実に遅延なく伝える電波の霊子も発明したのは彼だ。それを応用し現世のような家電なんかも()()()どこにでも生活に馴染んでいた。

 

そんな彼が霊力や霊子に無知で技術がない__?それはおかしな話

 

「こだわり、こだわりなぁ」

 

こだわり__誰にでもあるこだわり。

一対一の戦闘を守るもの、手助けはしないと決めたもの

誇りを守る、ルールは絶対__等々あるが浦原維助は特にそのこだわりがつよいように見えた

 

「鬼道を使わないし始解も卍解もしない。まぁ卍解を使わへん隊長もいてはりますけど……藍染隊長は能力しってるんです?」

 

「さぁ……どうだろうね」

 

曖昧な返事の藍染

 

本当に知らないのか知っているのかは分からないが。

答えるつもりはないようだ。

 

「(なんや、能力が知れれば少しでも対策を練れる思ったんやけど)」

 

魂魄を削り取る機械。その詳細を知ったのは藍染が大霊書回廊(だいれいしょかいろう)に入った20年前。

霊刀の技術を盗み見した時*1。チラリと彼の制作物の話を見た時だった。さすがに量が多すぎて全ては見れなかったが。たまたまみた記録がその魂魄を削り取る機械の資料。

 

 

あの日維助が渡したスプーン。*2

あれは魂魄を削り取る機械。

ただのスプーンにみえてきちんとした機械。

乱菊に使用したあれは藍染に頼まれて維助が作ったもの。

 

藍染なら自慢げに、「私が彼に頼んで作らせたものだ」なんて言うのかと思えばそうじゃない。

 

藍染と維助は血判契約という取引した相手の正体をばらさないのと取引内容を話さないという契約により、藍染はいつも維助は__技術が、力がと話すのに機械のことをあまり話さないのはそういう訳らしい。

 

ただ、当事者が話さなければいいわけで、その取引と資料を見た自分はあまり関係ないらしい。

 

機械の詳細を内緒にする訳じゃない。きっと恐らく悪いことをしようとしている商売の客を安心させ顧客を手に入れるためのただの道具。

 

その技術が藍染の気を引いたわけだが。

 

部屋を出て白く長い長い廊下を歩くギンがつぶやく

 

「でもそれだけや。例え頼まれたとしても__」

 

例え頼まれて作ったものだとしても、脅されて作ったとしても魂魄を削り取る機械を作った事実には変わりない

 

復讐相手には変わりないのだ__100年前から

 

「でも、そこまであの人にこだわる理由はなんやろ」

 

藍染が維助にこだわる理由。

計算高く腹黒く、2手も3手も、王手すらも予想する藍染が維助にこだわるのは何故か、どうしてもギンには理解できなかった。

 

 

『俺は友人だと思ってるよ』

 

数十年前そう言っていた浦原維助を思い出す

 

「まさか…藍染隊長も()()だなんて言わへんよな…?」

 

 

 

_________________

 

「君は本当に私を楽しませ飽きさせない」

 

1人になった部屋で映画を見るかのように眺め続ける藍染

数十もの霊刀の実験体を圧倒する維助。

 

霊刀の実験体は出来損ないの破面を使い能力を底上げ、しかも相手の霊力や己の霊力を奪い力にする。その刀は相性が良ければ隊長格をもしのぐ。

 

正直浦原維助とは相性が悪いだろう。

始解もせず鬼道も使わない彼は、霊圧硬化の霊力を吸い取り防御を崩したとしても彼には敵わない。圧倒的な力。

 

だが浦原維助に実験体が送ることをやめないのはきっと。彼の戦いを見たいという思いか、あるいは己の実験の成長を発明者に見せつけたいがためか、だがそれは藍染の心の内を見ないと分からないであろう

 

 

________________

 

「ウジのように湧いてきやがる…」

 

二十かそこらだけかと思ったが黒腔からワラワラと湧いてくる

 

「我ながらめんどくさいものを作ったな…」

 

霊刀。霊子を吸い取る__。

 

霊子の集まりの霊力も例外じゃない。近寄れば俺の霊力で固めた霊圧硬化が剥ぎ取られる。

普通の刀ならまだしも、切れ味が良くなった霊刀を皮膚で筋肉で受け止めるのは少し怖い、腕が飛ばされる可能性もある

 

まぁ血濡れで戦うのもかっこいいかもしれないが無傷で制圧する方がかっこいいと俺が判断した。

 

 

すると__

 

「兄サン!ちょっと兄さーーん」

 

っと喜助の呼ぶ大きな声に振り向くと

少し下の方で俺が吹き飛ばした霊刀の実験体、気絶した破面の首根っこを掴んでる喜助が俺に向かって呼びかけていた

 

「なんだよ!俺!!今戦闘中!!」

 

ただでさえ防御力がほぼ0の俺vs多数で戦って集中してるって言うのになんだと言うんだ

 

「あんま暴れると町が壊れるんで!!ちょっと抑えてください」

 

どうやら破面を掴んでたのは住宅地に飛んでったかららしい。

「建物まで気を使えって!?この状況で!?」

 

「いやぁ、後処理考えたら今気をつけた方が楽ッスよ?」

なんて呑気な声が聞こえる

 

後片付けまで俺にやらせるつもりだったのか??

 

確かに年末死ぬほど大掃除するよりこまめに綺麗にしてた方が楽だけども!

 

状況を考えろ喜助。俺には無理だ。

 

____________

 

「隊長!加勢しなくていいんですか」

 

破面を凍らせた後、松本が冬獅郎に問う。

 

加勢とは少し上の方で戦っている浦原維助、二十体__いや、黒腔から出てくる破面。どれも似たような刀を持っていてあれが報告にある霊刀。

死神の力を手に入れた虚、破面は斬魄刀のような刀を持ち更には霊刀と結合しさらなる力を手に入れている。

 

その人数をまるで雑魚を蹴散らすかのように戦っている

 

「いや、俺らが加勢したら邪魔になる。それより町の被害を抑えることに手足を動かせ。」

 

浦原維助に吹き飛ばされた破面が町にクレーターを作っている。

「ですが…あの人数はさすがに…!」

 

「あの(霊刀)は霊力、霊圧を吸い取る。鬼道も始解の能力も使えねぇ___それなのに戦えるか?」

 

そう松本の方に振り返ると、確かに──っと呟く。

卍解をフルで使ってやっとの破面を数十体剣術と体術のみで戦うことが出来るなんて維助ぐらいなもの。

 

「ほうら!日番谷サンも手伝ってくださいよ」

っと気絶した破面を放り投げる浦原喜助が声をかけた

 

兄があの状態だと言うのに町の方を気遣っている所で維助の信用と信頼が見える。

 

「浦原さん!あれいいんですか放置して!」

っと指さす松本

 

「あそこに混ざったら死にますよん。まぁ行きたいのであれば止めませんけれど」

 

確かに上ではバチバチにやり合っていて混ざったら無傷では帰れないだろう。

 

「どうしてあの人達は私達に見向きもしないんですか?」

 

「藍染サンの指示でしょうね。普通の破面はアタシら相手。霊刀の破面は兄サンを牽制__まぁ普通逆の方が有効的な気がするんスけどねぇ」

 

っと上を見上げる喜助

 

そう、確かに霊刀の破面を他の死神に向けた方がいいだろう

実質鬼道も始解も卍解も封じられるようなものなのだから。

 

喜助はずっとそれに違和感を感じていた。

 

「まぁ__いつこちらに牙を向いてくるかわからないんで警戒はしといてください」

 

──────────

 

俺が必死こいて戦ってるって言うのに後始末に取り掛かるとは薄情な奴らだ。

 

「まじで!!虫かよ!!」

文字通り四方八方から向かってくる切っ先。

飛び上がり身体を回転させ一人の頭を掴み集団にぶん投げる

ボーリングのように吹き飛んで地面に落下していく。

無傷のノルマがある以上これで街の被害を考えろとか無理がある

 

斬魄刀のようなものと霊刀が結合したものだから当然能力らしきものも飛んできて、風や炎なんかが飛び交う。本当に厄介、霊刀の性能が上がっているらしくあのアマルゴ*3とか言うやつみたいにありったけの霊力を込めても全てすいとってしまう。

というか一本の霊刀に負担がかからぬように周りのやつも吸い取り始める。俺の霊力がほぼ尽きないと言ってもこれは有効打になり得ないだろう

 

 

「しゃーなし!喜助ぇー!!!!

 

下にいる喜助に聞こえるように叫ぶと呼ばれると思っていなかったのかギョッとした顔が見える

 

 

「お前の紅姫ちゃん貸せや!」

 

するとえぇ…っと心底嫌そうな声がかすかに聞こえてくる

 

「よそ見すんじゃねぇ!!」

っとキレた破面が水平に刀を振るうのが横目で見え咄嗟に床の霊子を崩し体を反らせ避ける

 

あぶねぇ__!前髪切れるところだった。

 

するとブゥン!!っと下から風を切る音が聞こえ咄嗟に左手を開け

 

()()()()()()()()()()

 

「ありがとう、喜助!」

 

始解した紅姫___喜助の斬魄刀を左手に握りしめる

 

「少しの間よろしく、紅姫ちゃん」

 

さすがに声は聞こえないが少しカタッと揺れた気がした__。

俺は破面の軍団に向き直る

 

「惣右介の命令だかなんだか知らんが。キリがないんでね早めに終わらせる。

 

改めて二番隊隊長、隠密機動総司令官、尸魂界一の剣術使いにして発明家。一刀も二刀もお手の物__かっこよさとロマンを追い求める男だ、よぉおおく覚えて死んでけ」

 

 

─────────────

 

「うし、刃こぼれなし」

俺は橋姫を鞘に収め、喜助の紅姫の刀身を見る

 

結果から言えば圧勝。やっぱ雑魚と集団は攻撃の打数増やさんと終わらんよな。

黒腔からはもうでてこなくて地面に転がった破面達。

殺しては無い、気絶はしてるけれど__。

死んでけって言ったのにこれはどうかと思うか喜助に止められちゃったから仕方ない

俺は喜助の前に降り立ち紅姫ちゃんを差し出す

 

 

「はい。喜助あんがとさん」

 

「まったく__いきなり無茶言うんスから。」

 

「無茶はこっちのセリフだ。あの状況で町に被害出すなとか__」

 

そこで俺らはハッとする

 

反膜(ネガシオン)が現れ喜助が相手してボロボロに倒れているデカブツと俺が倒した奴らが包まれる

 

 

「しまった___」

 

そう開いた黒腔をみて呟く喜助

 

黒腔からはあのウルキオラと呼ばれた破面が俺らを見下ろしていた

 

 

()()()()()

 

任務__?一体。

 

────────────

 

勉強部屋にて怪我をした奴らが治療されているのをぼーっとみている俺。

 

ギャーギャーっと一角が騒いでいた。うわ、いったそ

 

「浦原隊長。」

 

「なぁに冬獅郎」

 

そう俺の後ろから呼びかける冬獅郎

 

「尸魂界との連絡がつかない、電波障害か?」

 

「さてねぇ__あっちに行かないとわかんないかな。まぁ現世での連絡は問題ないから。尸魂界と現世との()()何かしら起きたんだろう。そういうのに弱いからな。」

 

亜空間を通して通信しているからかたまに不調がでる。これでも改善された方でここ数年電波障害なんてものは起きていなかったんだが__

 

「技術開発局に一任してるからな…とりあえずモニターあったろ。それで無理やり繋げてみるわ」

 

その後___電波障害を取り除き通信が整って浮竹隊長が話す内容_

 

「へぇ、織姫ちゃんが__」

 

そこで全て繋がる。

喜助が織姫ちゃんを戦場から遠ざけようとした理由も

 

破面側に拉致、殺害されたか。

だが一護は織姫ちゃんの霊圧が手首に残っているという、その襲撃の後に

 

___つまり

 

自分で着いて行ったと

 

破面側の襲撃準備が整ってるということで冬獅郎達は強制帰還、尸魂界の守護につく。

白哉坊ちゃんと更木が穿界門からルキア達を連れ戻した。

 

モニターに向き直る俺

 

「浦原維助、そなたも尸魂界に帰還せよ。元々現世に派遣したのは朽木紫流の監視のため。その任も先日解いたはずじゃ」

 

「そーっすね。んじゃ仕方ない、一旦戻りましょうか、まぁモニターとか設備とか色々やる事あるから遅れて帰ります」

説明を端折ったが総隊長は頷きプツリとモニターの画面が切れる。

 

「あの霊刀の破面は俺が尸魂界に向かわないようにするための囮か__」

 

前は俺が尸魂界にいた時に襲撃にあったから、次も尸魂界に行ってる時に起きるのかと思っていたが、これで引っかかっていたものが取れる。

 

俺が喜助の店で借りてる部屋で荷物を片してると

 

「兄サン。ちゃんと訳を話してたほうが良かったッスね」

っと襖を開けた喜助

 

「お前の事だから不確定要素だと思って言わなかったんだろ。推測に過ぎないからって。」

 

「はは、相変わらずで」

 

「何年お前の兄してると思ってんだよ」

 

「じゃぁボクのしようとしてること__わかってます?」

 

俺は荷物を片してる手を止め喜助に向き直る

 

「さてねぇ__。俺はお前の頭にはついていけないからな。まぁ()()()()()

 

そういえばふっと笑って帽子を下げる喜助

 

「いいんスか。兄サンは規定側。あっち(尸魂界)から待機せよ、手を出すなと命令が出た以上従わないといけない」

 

「そうだな、待機と尸魂界の守護をする命令は出たけど__勝手に動く奴らを止めろという命令はされてない」

 

「やっぱり兄サンは兄サンっすね」

 

きっと一護は動く。

それを喜助は手助けするつもりだ。

 

尸魂界に帰って1日も経たず、一護が虚圏に乗り込んだことが知れ渡る

 

─────────────

○虚圏

 

コツコツと音を鳴らせ階段を降りる藍染

 

「侵入者は3名___」

 

長い長いテーブルには十刃が座りその机からは石田、黒崎、茶渡が走る姿が映し出されている。

 

「敵襲だなんて言うから…ガキじゃないか」

 

「ちっ」

 

残念そうに頬杖をつくもの、見知った顔をみて舌打ちをするもの。

 

「侮りは禁物さ、彼らは旅禍と呼ばれたった四人で尸魂界に乗り込み護廷十三隊に戦いを挑んだ人間だ、侮りは不要だが。各自自宮にもどり平時と同じ行動してくれ__」

 

するとふと一人の十刃が呟く

 

「あのと戦えると思ったんだけどなぁ」

 

それに反応する各々。

映像は切り替わり、数日前に数十体もの霊刀の破面を無傷で倒した維助が映し出されていた

 

「大丈夫さ__私の予想が正しければ()()()()()()()

 

目を細めニヤリと笑った藍染。

 

 

 

 

*1
47話より

*2
21話と27話

*3
67話に登場68話で花火を散らした破面

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