「さっさとしたまえヨ」
「うるせぇ…」
壁を突き破り最短距離で霊圧の衝突場に向かう装甲車
「んで俺が送迎しないといけないんだ」
「うるさいヨ!ブツブツ…。黙って運転できないのかネ」
「へいへい」
助手席でふんぞりがえってる涅。
卯ノ花隊長も更木も近場まで送った。
バカ広い虚圏、しかも更木は方向音痴と来た。
まさかここまでパシリに使われるとは___。
「へぇ__面白そうだネ」
頭をコンコンっとノックしながら何かをつぶやく涅。
何かを見ているのだろう
すると___
「ネム、メス」
「はい、マユリ様」
っとなんと自分の腹を切り始める
「うそだろ…」
もうこの車乗れねぇ。
「手がブレるだろう、しっかり運転したまえ」
「無茶言うな」
何をしてるか知らんがとりあえず新車を汚さないで欲しいんだが__?
まぁ、何か策があるんだろう
「おっ…そろそろ着くぞ」
立派な建物が建っているが、ここだけ何故か瓦礫の山____
瓦礫に乗り上げ車体が浮き上がりブレーキをかける
「あぶな!ごめーん轢くところだった」
タイヤギリギリ、なぜかボロボロで寝そべってる恋次の顔面近くに停車した。
顔を真っ青にした恋次が
「せ、せんせい…」っとか細い声を上げた。ごめんて
「誰だい。君達は」
そう振り返る破面___
なんか派手な格好だな。
「くっくく…私が誰かその質問に答える意味はあるのかネ」
スタスタと車をおりた涅と、ネムちゃん
俺はボンネットに座った
「2人ともボロボロじゃん。なしたん」
「かハッ__先生…なぜ」
べシャツと血を吐いた雨竜ちゃん。内蔵がやられてるらしい
「まぁ、簡単に言えばあんたらを連れ戻しに?ついでにぶっ潰しに」
「はは、先生が来てくれりゃ百人力だぜ」
っと口元の血を拭う恋次
「まぁ俺は霊刀の破面相手だが__なーぜか、どこにも見当たらんのよな」
「確かに__僕ら相手に仕向けた方が何倍も効果的なのに」
なにか胸騒ぎがする__もしかして入れ違いになったか?
いや、惣右介ならきっと俺がこっちに来ることを読んでいるはず。
今まで通り俺に仕向けるはず。紫流と合流してあっちに戻らせるか?いや、白哉坊ちゃんがあっちにいる、心配は無用か…?
霊圧を感知するが、どこにも──霊刀の気配が感じられない
そういえば待て──あの時、霊刀の実験をしていたのはなんのためか。
最強の破面を作るため──?いや。それもあるだろうが違う。
霊刀は1度埋め込んだら取り返しがつかない。
安定した霊刀が完成したら惣右介は何をする?
崩玉__霊刀__まさか
そこで声をかけられふと現実に戻る
「残念だよ…とても。それで?君は何かな?」
首を傾げてこちらを見る破面。
近くには涅が血を吐いて倒れていた
「いったそ。」
ボンネットから体を起こし声をかける
「涅〜助けいる?」
そう言うが返答は無い
「あぁ__君知ってるよ。浦原維助__だったかな。あの霊刀の開発者だろう?」
「おや、俺の事ご存知で?」
名乗るつもりのない破面に俺は雨竜にあいつ誰?っと聞く
「破面の連中が…ザエルアポロと言っていました…っ」
「へぇ、ザエル君って言うんだ、よろしく。」
「ははっ、人の名を略すなんてなっていないね。君には興味があるんだ。脳を置いてってくれないかい」
っと生々しい事を言ってくるザエル君にあーあーっと手で扇ぐ
「そーゆ、生々しいの俺好きじゃないんだよね。飯食えなくなる。内蔵やら首やら…グロいったらありゃしない」
「はは、思ってもみない事を。苦手ならば躊躇するのが普通だ、楽しそうにしてたじゃないか…霊刀の実験体。僕はそれに関与していてね。見れば見るほど実に面白い__ソソるよ…」
両手を広げニヤァっと口が裂けそうな程に笑みを浮かべる
「そう、あんたが破面の中の研究職って感じ?ふぅん。涅〜戦う?戦わない?戦わないんなら俺が相手しますが」
そう言えばさっきの辛い表情はどこへやらニヤッと笑った涅。
「馬鹿いうんじゃないヨ。勝手に手を出さないでもらおうか、君が相手をすると、実験体が細切れになるじゃないか」
そうペラペラと話し始める涅にザエルアポロは
「はぁ!?なぜ話せる__なぜ!」
っと振り返る
涅そっくりの人形の中。
ブチブチっと内蔵の名前が書かれたものを潰すが
涅はケロッとしている
「うるさいヤツだネ。なんの能力でもないヨ」
涅は雨竜に監視する細菌を感染させていたらしい。それを通して状況把握。俺の車の中でダミーの内蔵を作り入れ替えた。
だがら雨竜や恋次がやられたみたいに人形で内蔵を潰されても無事だったわけだ。
ってか、状況わかってんなら俺に報告しろよあいつ…
「僕がこの能力を見せてから1時間も経っていない!!ありえない…!!そんなはず…!出来るはずがない!」
流石は涅。
言ったら
備えあれば憂いなし。備えてなんぼのやつだな。
「まて!いつの間にそんなのつけた!!あの戦いの最中にか!?普段の生活も監視してるんじゃないだろうな!?」
雨竜お前本当は元気だろ??
ギャーギャーっとブチ切れながら雨竜が涅に怒鳴る
「黙れ外道」
「先に言われたァァァ!!!外道はお前だろう!!!」
やっぱお前元気だろ本当は???
ネムちゃんが触手みたいなのに縛り上げられる
なんだあれ、同人誌かよ
「まったく…どいつもこいつも…ピィピィうるさいことだヨ」
斬魄刀を鞘から抜いた涅
土埃のようにボワっと膨らむ毒霧が津波のように広がる
そして疋殺地蔵はザエル君をゴクンっと飲み込んでしまった
「喰われた──。ゴフッ」
涅の毒に犯された恋次は血を吐く
「阿散井!君も毒にやられてるぞ!!」
「ぐっ…なんでてめぇは平気なんだ」
「僕はあの霧に1度やられている!おそらく抗体ができ…ゴフッ」
っと、雨竜も血を吐いた
「何を呑気なことを言ってるんだネ、毒の配合は1回ごとに変えるのが普通だヨ」
「この野郎…って先生はなんで無事なんだ!」
っと俺を指さす
「さぁ?俺はなんかまぁ…
だから病気になったらオワコンかもーっと言ったら
「なんでもありかよ…」っと恋次が吐血した。もう喋んなって
「ふん。この配合じゃダメか、もっと殺傷能力をあげるべきだネ」
っと涅が
あれ?どさくさに紛れて俺を殺す気だった?俺お前の味方だよな??
「はぁ、俺もう行ってい?ここに霊刀の破面がいないなら
「待ちたまえ。誰が
「いや俺お前の専属送迎じゃねぇし。つーか送ってたのはついでだし。何先輩をコキ使おうとしてんだ」
「フン。センパイィ?何をバカな事を。」
やれやれとでも言うように肩をすくめる
その時___
「グアッ」
触手のようなもので縛られていたネムからギシギシと身体が軋むような音が聞こえる
「教えよう
ベチャッ__っと、粘液が地面に滴り落ち
ニヤッとわらったザエルアポロがドレスのような服をなびかせ
四本の羽を広げる
「面白い能力だネ!で…それだけかネ?」
そう言った涅に、疋殺地蔵が襲いかかる…が、直前で破裂した
「万一私に噛み付いたら自滅するように改造してあるんだヨ」
すると、涅がスタスタとネムのほうに歩いていく
「もう飽きたヨ。浦原維助、後は君がやっていいヨ」
「ここで俺に投げんのかよ」
致し方ない__と橋姫を抜く
「はは…。君は…!!」
ザエルアポロが涅にキレるが、涅は振り向かない。本当に興味が無くなったようだ。
「さて…ザエル君。霊刀の破面がいない以上俺はさっさとここから出ないとならんくてね。ってことで___さっさと死んでくれるかい」
「はは…浦原維助、君はどうして霊刀を作ったんだい?」
「んでここで霊刀の話…?そりゃ…何となく?」
「はは!!ははは…!何となく!そうか…!何となく…!!そんな軽い気持ちであんなものを…あんなものを作るなんて__!ははは!」
っと片手で顔を覆い全身を震わせるようにして笑い出す
「なんだよ。なんか文句あんの、お前は科学者みたいなもんなんだろ?便利なものを作る、興味があるから作る。作る動機なんてそんなもんだろう?」
喜助だって、新しいものを作ってみたいから〜っていう軽い気持ちで崩玉作ったわけだし。
「君は__製作者でありながらアノ恐ろしさをしらない。霊子を吸い取る__なら霊子で構成された僕達は?死神は…?存在そのものを無に変える__!簡単に…!意志を持ち暴走したら…あぁ、恐ろしい…!」
恐ろしいと言いながら顔を紅潮させる
「滅却師と似た者だが性質は全く違う、意志を持ち死神や虚の体も吸い取る…!はは…はは!それを簡単に…?おかしい…おかしい
は__?」
ザエルアポロの腕が吹き飛ぶ
「何が言いたいのか全く分からない。霊刀は使い用によっちゃ脅威だよ。そりゃ馬鹿でも分かる。」
スタスタとザエルアポロの方に歩けばザエルアポロは腕を押え、1歩、1歩と後ずさりする
「俺が尸魂界で法を作ってなきゃ俺は責任を問われて極刑だったろうな。俺は作りたくて作った。世界を滅ぼす脅威?大歓迎。俺に敵う相手に霊刀一本でなれるのならば__な。俺は歴史を作るんだよ、伝令神機、記憶置換装置、結界装置、霊刀。まだまだ足りない。なぁ?足りないだろう?悪名でもなんでも歴史に刻み続けなきゃ…まだまだ俺は進み続けられる。」
「そうか…!!それが君の素か!!はは!藍染様よりも君の方が恐ろしいじゃないか…!!なぜ、君は進み続ける?」
「それが____かっこいいから」
ザエルアポロはグシャッと音を立て地面に倒れる
「何投与したの、涅」
「ふんっ…君には教えないヨ」
そう言ってヌチヌチといやらしい音を鳴らす涅
そしてネムが復活した
「「なんでだ!?今の何をして治した!?」」
っと恋次と雨竜が突っ込む
俺はザエルに振り返る
頭身が二つに分かれた遺体。
俺が斬る直前、こいつ止まったように見えた__動きを停止させる薬?それとも__?
とりあえず涅が何かを投与したのは間違いないだろう。
「ゴフッ…先生」
「恋次。元気そうだな」
「これのどこを見て言ってんだあんたは!!」
内蔵を潰され、毒に犯されでもそれだけ話せるなら元気と一緒だろ。
「先生、俺はあんたが恐ろしいよ」
「なんで?」
「…なぁ先生。俺らを裏切らないですよね」
そう直球で聞いてくる恋次
「尸魂界の敵になるって事?なんないなんない。なったら製作続けられなくなるじゃん」
「動機がソレかよ。」っと視線を逸らす恋次
「お金が貰えるから働く、安定した生活を送れるから働く、人を助けたいから働く。みんなの動機はこんなもんだろう?それが脅かされるから敵にはならない。おれは好きなものを好きなだけ正当に作れるこの環境。捨てないよ。逆に敵になるメリットがない。俺の今の環境以上にメリットが見込めるなら、俺は喜んであんたらの敵になるよ」
頬杖をついて笑えば__ふっと笑う
「よく言うぜ」
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「…浦原維助、なにぼさっとしてるんだネ。分かっているだろう」
「なんでお前はそう上からなんだよ」
惣右介の霊圧が___消えた。つまり虚圏から出ていった
そして喜助からワン切り着信。
惣右介が現れた合図
俺は屈伸する
「装甲車、その死体とか運ぶのに使うだろ。自由に使ってくれ、後でクリーニングして返せよ?」
「先生…!どこに」
「一護と合流して___惣右介んとこ」
一護の所の霊圧──破面が一体。あの黒髪かな
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一瞬、瞬きの一瞬でその場から消えた浦原維助。
「相変わらずはええな、先生は…」
「本当にあの人味方なんだろうな!?」
っと恋次にキレる雨竜
「あの人にはあの人なりの正義つーもんがあるんだろ。」
もし、もし浦原維助が敵になったら?
殺気だけで浅打を落とした俺___。
始解も不明卍解も不明、分かるのはありえないものを創り出す技術力と機動力、そして圧倒する力と霊圧。
総隊長が浦原維助に少しばかり甘い理由がわかる
敵になって勝てるビジョンが見えない