浦原喜助の兄に転生して夜一の許嫁にされた俺の話   作:ちーむ

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ウルキオラの話と惣右介の話

 

神などいない

願えば手を差し伸べる

 

そんな都合のいい物はいない

神がいたならば私はここにいない

 

神がもしいるのであれば何を求め何を願う

私は___

 

「願わない、もしやりたいことしたいことがあるなら自分が動けばいい!そうだろう?惣右介」

 

───そうだ

立ち止まることで何が生まれる?否、何も生み出しはしない

混沌の中で立ち止まり飲み込まれ死を待つのみ。そんなもの私は望んではいない

 

変えなければ私を

 

変えなければ世界を

 

願っても力は手に入らない。

 

動かなければ

 

君と対等の場に立つために

 

 

「終わりだ___」

 

ボロボロになった隊長格が地面にたたきつけられるのが見える

 

副隊長も何人かがやられ治療されている

虚閃により空が光る

 

 

絶望。

 

白い服に身を包んだ藍染惣右介が空から光景を見下ろす

 

「終わりだ、本当に」

 

十刃__

強く恐ろしい霊圧、一般隊士は恐怖し戦く(おののく)

 

霊圧だけで魂が押しつぶされてしまいそうだ。

十刃を従え長に立つ藍染惣右介に誰がかなうものか。

 

絶望な表情をうかべる隊士。

隣で仲間が倒れ行く

 

「終わりだ」

また__そう呟く

 

 

 

「藍染、お前…本当に()()()()()()

かつての隊長、平子真子が刀を肩に背負う

 

「やめた__ね…。進化と言って欲しいな」

 

藍染の霊圧は以前のものとは違い禍々しく黒く重い。

一言で表現するのであれば【化け物】

 

「立ち止まり、気を伺うだけの偽物(破面モドキ)。」

 

猿柿ひよ里の指がピクリと動く

 

「ひよ里」

 

「わーっとるわ」

そう言ったひよ里の手は震える

恐怖からじゃない。怒りだ

 

「私は未来をゆく、進化し続ける。君達とは関係ない話だ__君達には未来も、ましてや終焉も訪れない。なぜなら終焉は過去の話__なぜなら君たちは百年前のあの夜。」

 

「死んでいるのだから」

 

その瞬間、血飛沫が舞う

 

「一人、おーしまい」

蛇のように目を細めニヤリと笑う市丸ギンが、藍染に刀を振り上げた猿柿ひよ里を切り裂いたのだ

 

「ひよ里!!」

 

それを無表情で見下ろす藍染惣右介

 

ほら____変わらない。

 

百年で、何も。何も変わってはいない

 

 

霊刀──月牙天衝

霊刀で収束させた霊子と、月牙天衝を合わせた技を藍染に向ける

「やはり…君は、君たちは___」

 

オレンジ色の髪が靡くと同時に、黒と青の閃光が藍染惣右介に降り注ぐ

 

────────────────────

 

少し前に遡る

 

ウルキオラは黒崎一護と対峙していたが、ウルキオラがその手を止める

 

「石田…!」

 

ヤミーを吹き飛ばした石田雨竜。

 

「浦原さんはどうした。浦原先生は__」

 

「はぁ?来てねぇよ」

 

いきなり何の話だと、一護は困惑する。

浦原維助、一護と合流すると言って先に向かったはず

 

そのことを伝えるが一護は来ていないという

そんなはずは___

 

浦原維助の霊圧は例えるなら無

霊圧を極限まで押え気配すらも感じさせない。

霊圧感知が得意な石田雨竜でさえ、その霊圧を感じることは出来なかった。

 

「まぁいい、井上さんは任せてくれ」

それに頷く

 

「待たせたな___ウルキオラ」

 

ウルキオラは強い

 

虚化した一護を圧倒し、霊刀と結合した一護の斬魄刀を熟知し的確な攻撃を加える

速さもちからも___

 

第4(クアトロ)以上の十刃の解放」

 

 

───鎖せ   

 

          黒翼大魔

 

刀剣を解放したウルキオラの姿

正しく___悪魔。

 

黒い羽が開き異質な霊圧

虚化の状態の一護に一撃を放つ

 

間一髪月牙を放ち軌道を逸らす

もし、間に合っていなければ、きっと___

 

 

「人間や死神が力を得ようと虚を真似るのは妥当な道筋__だが、それで人間と虚が並ぶことなど永久アリはしない」

 

虚化の全力の月牙天衝。

何をしても相手は無傷対して一護はボロボロ。

 

それでも__それでも一護は瓦礫から立ち上がる

投げ飛ばされ地面を半壊しながら飛ぶ一護、それでも立ち上がり、剣を握り続ける

 

「黒崎一護、真の絶望を知らない。知らぬなら__教えてやろう真の絶望を」

 

刀剣解放(レスレクシオン) 第二階層(セグンダ エスパーダ)

 

一瞬、目を閉じていたわけでも油断していた訳でもない

一護は吹き飛び地面を割る

 

駆け寄る織姫

 

「来たか_女」

 

手も足も出ない、それを表した現状。

一護は血を流し

 

胸に___孔を開ける

 

「いやぁぁああ!!!黒崎くん!!」

 

投げ落とされた黒崎一護に駆け寄る

 

どうしよう

 

どうしよう

 

どうしよう

 

心臓部を貫かれ倒れる一護に己の力を施す織姫

 

「俺変わっていい?」

 

押しつぶさそうなウルキオラの霊圧。

孔を開けた一護に呆然とする織姫

 

敵わないと分かっていながら震える足を立たせる石田の前。

その声は、その状況とは反しにつかわない

 

「浦原維助__か」

 

浦原維助

 

「先生…いままで…どこに」

 

「見ていたのだろう。ずっと」

 

「なっ___」

 

ウルキオラが維助の方を見るとニコッと笑う維助が石田に振り返る

 

「そんなわけないじゃん。大切な生徒が痛めつけられるとこなんて__眺めるはずないでしょ。さすがに俺でもしないって。ちょっと色々あってさ」

 

そんな状況で雨竜の頭をポンポンと撫でる維助。

暖かく優しい手。まるで子供をあやすように

 

「麻酔も…止血剤も打ちました。戦えます」

 

「その腕で?無理でしょ」

そう言い放つ維助。維助は一瞬で下にいる織姫の隣に雨竜を抱えて降り立つ

 

「織姫ちゃん悪いね。雨竜ちゃんよろしく」

 

返答も聞かずにウルキオラの前に再び現れた

 

「なぜ、手出しもせず傍観した」

 

「気になったから。まぁ一護は死なないっしょ」

 

下から維助を見上げる雨竜。

治療する織姫。

 

おそらく会話は聞こえていないだろう

 

「死ぬはずがない?()()()?」

 

霊圧も、鼓動も感じぬというのに

 

「とりあえず、俺と戦わない?絶望さんよ。」

 

────────────────

 

やはり__浦原維助は強い。

そう雨竜は呟く。

 

一護を圧倒する異質な霊圧に加えありえない脅威ともいえる戦闘力。虚化しても無傷で立っていたあのウルキオラに浦原維助は始解も卍解もせずに一撃を加えた。

 

その一撃でさえ、目には追えない

 

「虚の力を得てもない死神が、何故そこまでの力を持っている」

 

ウルキオラは自身の腕を吹き飛ばした浦原維助に問いかける

時間稼ぎでも、恐怖からでもない、単純な疑問

 

「さぁ__俺はロマンを求めた結果だよ。全てを圧倒する力ってのはかっこいいものだろう?」

 

「理解できない」

かっこいい、ロマンだから

 

そんな事の為だけに始解も卍解もせず剣術と体術のみで戦うというのか

ウルキオラにはどうしても理解できなかった

 

ビキッと音を立て、腕を再生させる

 

「俺の能力の最たるものは攻撃性能じゃない、再生だ。腕一本もいだ所で俺は止まらない」

 

極大な力と引き換えに超再生能力の大半を失う破面の中でウルキオラだけが、脳と臓器以外の全ての体構造を超再生できる

 

「いいね、かっこいいよ。ロマンだねぇ___回復し続けようやく切り落とした腕も簡単に復活させる。まさに()()

 

突如として、衝撃波を伴う大音響が響き渡る。

轟々と耳をつんざくような破壊音とと共に地面をえぐり何本もの柱をなぎ倒す。

 

ウルキオラの黒い虚閃を剣一本__一太刀で切り裂き距離を詰め

腕を、脚を切り落とす

 

瞬間的に再生するがウルキオラもわざと斬らせている訳では無い。

「舐めるな」

 

雷霆の槍(ランサ・デル・レランパーゴ)

 

風を斬り音を置き去りにし急接近する維助に向け

右手に構成した霊子で出来た槍を向ける

 

コンマ単位の時間。避けれるはずもない

維助自身のスピードと威力により維助の体は貫かれるはずだった

 

だが、それをも斬り裂いた

 

「な…」

 

ありえない

死神とはいえこの速さに対応できるはずがない。

読んでいた?

 

いや__違う。見えていた

動体視力のみで浦原維助は対応したのだ

 

胴に一太刀を入れるが浅い。

維助の刀は伸びる訳では無い、確実に間合いと太刀筋を読み避けたはず。それでも浅いとはいえ身体に傷をつける。

あの、全力の月牙天衝ですら傷のひとつもつかなかった身体に

 

「やはり、藍染様が言うだけはある」

 

そこでウルキオラの気配が霊圧が変わる

 

「使いたくは___なかったのだが」

そのつぶやきは維助には聞こえなかった

 

瞬間バキッと音を立て体が変化する

 

「これは___!」

身体から突き抜けるように現れた柄を握りしめ自身から引き抜く

 

「霊刀___そんな所に」

 

霊刀の気配。何故ここまで巧妙に隠していたのか維助には理解出来なかったが。事実として悪魔のような戦闘力に霊刀が追加された

 

「はっ!!やるじゃん」

 

霊圧硬化は無効化され頬に傷がつく。

 

「まさか余波だけでこれ程とは」

ぐいっと頬を拭う維助。油断していたとはいえ当たってもいない、風圧だけで頬に亀裂が入るとは

その頬は拭うだけで血が止まり傷はもう見えない

 

立ち上がり正面を見すえる

 

「霊圧硬化も無効、そして自身や周りの霊子で一護の月牙天衝並…いやそれ以上の斬撃まで…はは!やべぇなおい」

 

向かい狂う真っ黒な、そう、真っ黒な光を飲み込み境目も波も見えないような斬撃が地を抉り向かい狂う

 

「ぐっ__」

斬魄刀で受け止めた維助だが、あまりの重さにザッと一歩後ろに押される

 

「はっ!!こんなんでやられるかよ。俺のお得意は霊圧硬化だけじゃない」

 

己自身の霊圧を放出しウルキオラの斬撃を相殺させる

 

だが斬撃に隠れてウルキオラが霊刀を振りかざし漏れ出た維助の霊圧を収束していた。

 

 

「喰らえ」

 

食事を終えた霊刀は青く光り輝く

先程の斬撃なんて比にならない程に霊圧濃度は濃く濃くあがる

 

 

その瞬間耳をおかしくするほどの轟音と振動

 

まるで幾千の爆弾を一斉に起爆させたが如き轟音が周囲一帯に降り注ぎ、豆粒ぐらいに離れていたはずの織姫や雨竜の所にまで余波が届き織姫の体がうきあがる。

間一髪雨竜が片手で止めるが、その耳から血が流れ落ちる

 

 

あまりの霊圧に煙や炎が地面から立ちのぼりウルキオラの一振で霧を晴らすように視界が明るくなる

 

 

「なっ____」

ウルキオラは絶句した。

 

先程まで彼らが立っていた地点は放射状に抉れ弾け飛び地面は深く抉れているのにも関わらず、維助の間合い範囲だけが()()()()()()()()()

 

「何したか見えなかった?俺の自慢は剣の中でも見えない抜刀術なんだよ」

 

ありえない。その言葉で埋め尽くされる脳内

斬撃を飛ばした時、剣は上に伸ばしていたはず。

一瞬で鞘に収め再び抜いたとでも言うのか

 

「がっ___」

ウルキオラの様子が変化し維助は眉を顰める

 

「なんだ?」

手に握っていた霊刀はカタカタと震え始め__そしてスライムのように溶けた霊刀はウルキオラを包み込む。

 

「はっ__!」

 

なにかに気づいた維助は間一髪身を後ろによじり()()

遥か彼方で爆音が響きわたり斬撃が爆発したことを余波で知らせる。

見えないほど遥かまで

 

避けたのは見えていたわけじゃない、ただの勘

姿が変わったことにより動揺をしていた維助だが数百年も戦場で立っている勘は鈍ってはいなかった。それを感じ脳で処理し身を動かす技術は一朝一夕ではいかないだろう

 

「あぶな…」

その一言で済ますのもどうかとは思うが身をよじった反動のまま後ろに飛び抜き再びウルキオラを見すえる

 

ウルキオラの目は月のような黄色で埋め尽くされ瞳孔も見当たらない。

まるで宝石の結晶が埋め込まれたかのように全身に青い結晶が飛び出していた。

だが、その結晶から霊圧が放たれている。

 

「触れたら死ぬ…ね。」

瓦礫が結晶に触れた瞬間にスパンっと瓦礫が砂に()()()

目にも見えない高速の振動で瓦礫が切り刻まれたのだ。

 

維助は脳を回転させる

橋姫で受け止めたとして橋姫は耐えれるのだろうか

霊圧硬化ができない以上、刃こぼれをするかもしれない。

そして霊力を吸われすぎると今度は橋姫の復活が出来なくなり今後の戦いに影響を及ぼすだろう。

 

「ならやることはひとつ___!結晶に触れないようにぶん殴る」

 

ヒールのように踵についた結晶が甲高い悲鳴をあげたかと思えばウルキオラは維助に飛びかかっていた

 

「はっ…やべぇな」

 

その目からも理性は見当たらない。

触れただけで体内からじわじわと霊力を吸われていくのを感じる。

 

「っしゃオラァ!!」

 

ガン!!維助は結晶に触れないようにウルキオラの腕を掴み引っ張ると思いっきり頭突きを食らわせる

 

ウルキオラは吹き飛び柱を貫通させても止まらない

 

「ふんっ__!理性戻んねぇと何がどうなるかわかんねぇだろ!起きろ」

そのウルキオラに追いつき上空から蹴りを食らわす

 

くの字に曲がったウルキオラが地面に穴を開け爆心地のように地面が割れる。

 

「がはっ__!」

ようやく肺から空気を吐き出す声が聞こえ維助は降り立つ。

衝撃のせいか霊刀の結晶と思われるものは粉々に砕け散り空気中に分解され、ダイヤモンドダストのように虚圏とはにつかわない景色に変わる

 

 

もはや回復もままならないウルキオラが目を覚ます

その目は呑まれていなく以前のウルキオラだった。

 

そう、これこそが圧倒的な力

地面に倒れるウルキオラは維助を見上げた

 

「お前は本当に死神か?」

 

「そうだよ」

 

現世でみせた、実験段階とはいえ霊刀の破面を爆発させる霊力。

そして剣術

隊長格とはいえ、所詮は死神。

虚でもなければ破面でも、ましてや虚化の力を手に入れても、未来を予知する能力もないと言うのに。

 

「俺がただの死神に負けるとは__滑稽な話だ」

 

死の時を待っていたウルキオラ、だが

 

「なっ___一護!」

ハッとした維助が全力で霊圧を硬化させ全身を固める

 

横からの衝撃波。

 

「お前は__何だ」

ほぼ不意打ちという形で維助が吹き飛ばされる

宙で回転した維助が地面に降り立つ

 

正しく虚。

全身を虚化させ孔を開けた一護がウルキオラの前に立つ

 

「はっ…生きているとは」

あの状態で生きているとは_____

 

すると一護は頭の角に霊力を収束しはじめる

虚閃__

 

「なるほどな、容赦は無しか。もはや敗北した俺に意味は無い。やれ」

 

放たれるその瞬間

 

「一護、邪魔だ」

 

今度は一護が吹き飛ぶ番だった。

 

放たれるはずだった虚閃は一護が吹き飛んだことによりあらぬ方向に飛び

轟音と共に大爆発。その衝撃波で近くの柱が崩れ落ちた

 

「なぜ助けた」

 

倒れたままのウルキオラの前に維助が剣を肩に背負い立っている

 

「いやさ、俺はお前殺す気ねぇし」

 

「なに?」

情けをかけるとでも言うのか?そうウルキオラは眉を顰める

 

「違う違う。そういうのじゃないけど。お前根っからの悪人じゃないだろ?それに、敗北したんなら殺されようが生かされようが文句ないだろ」

 

「…そうだな」

 

正しくその通り、敗北した自分は焼かれようが射抜かれようが四肢をもがれようが文句は無い

 

ホロウのような雄叫びを上げた一護が刀を振るう

それは、虚化した状態の一護の何倍、そうウルキオラの何倍もの速さと威力

 

 

だが維助はまるで犬を宥めるかのように剣を硬化した指で挟むようにして止めた

 

「おー、よしよし一護。暴れんなって。死にかけて暴走したのかは知らんけど俺お前の敵じゃないし。」

だが、一護には理性が残っていないその言葉で止まるはずは無かった

 

「黒崎くん!!!」

 

織姫の叫びと共に、背を向けた一護に衝撃を食らわせる

織姫の持っている霊銃が放たれたのだ

 

けして傷をつけるものでは無いが、織姫は一護に一発喰らわせたのだ。

 

その一発。その一発で__否。織姫の声で一護の仮面が割れる

 

パキパキと、劣化した壁が剥がれるように全身の虚化が溶けていく

 

「俺__なんで、維助さんを。おれが…」

 

孔が塞がった。超再生能力___。

 

「おー、大丈夫!無傷」

ぐっと親指を立てる維助にほっ…と息を吐いた。

少し砂で汚れているものの傷は見当たらなかった

 

「黒崎くん!」

すぐに駆け寄る織姫

 

「さて、勝負は終わった。一護も元気。目的の織姫ちゃんも奪還成功!」

刀を鞘に収めぐーっと両手を上にのばし伸びる維助

 

「殺せ、なぜ生かす」

 

「いやいや、もう勝負ついたろ。な?一護いいよな別に」

 

「あ、あぁ…。その通りだ、勝負は着いた。俺は__負けたけどな」

なんてボロボロの体で頬をかく

 

「織姫ちゃん、時間が許す限り一護を全力で治してくれ。これから__最後の戦いが待ってるから。」

 

「は、はい!」

すぐに治療をはじめる織姫にウルキオラは問いかける

 

「女__俺が怖いか」

 

織姫は振り返り笑う

 

「怖くないよ」

 

「___そうか」

 

 

[newpage]

 

 

「あっれー!一護!お師匠さんは?」

虚圏で合流した紫流はキョロキョロと辺りを見渡すと。

「あ、あぁ。なんかウルキオラと話があるからって俺だけ。なんか投げ飛ばされた」

 

「投げ飛ばされた?」

 

その言葉に首を傾げる

 

『よーし!ある程度治療終わったな。じゃ今から投げるから〜』

 

『はっ!?ちょ、維助さん!?!?ブベラッ

 

時間の短縮だと言ってぶん投げられたのだ。

そのおかげで早く合流できた訳だが、半分地面に埋まる状態で着地したことは言わなかった。

 

そして、涅マユリが黒膣を開け

同じく合流した卯ノ花と共に穴に入ることになる。

 

「なんだネ」

 

じっと、涅を見上げる一護

 

「いやさ、浦原さんも俺たちを見送る時ちょっと高いとこ立って喋ってたなぁと、あんた技術開発局の二代目ってことは浦原さんの弟子かなんかだろ?似たことあるよ。やっぱり!つーか、浦原兄弟ってすげぇよな。白哉の師匠でもあんだろ?維助さん。」

 

そう言って笑顔で穴に飛び込む

 

「成程…面白いネ!面白い男だよ黒崎一護!閉じ込めるのも面白いと思ったが辞めだ!!じっくりと恐怖に落としれてやるヨ!」

 

それを横目に白哉は遠くを見る

 

「お師匠、何をしている」

維助の姿は見えなかった。

 

[newpage]

 

虚圏の砂浜の上で、傷が治ったのにまだ地面に伏せっているウルキオラに維助がしゃがみこむ

 

「なぁ、ウルキオラ。であってるよな?あんた、霊刀の話知ってるだろ?」

使ってたんだからと、付け足す維助

「あぁ」

 

維助の方を見ずにずっと上空を見上げるウルキオラ

 

「てっきり全員の十刃に霊刀埋め込むと思ったんだが…霊刀の実験体も見当たらないし。何したかわかるか?情報が欲しい」

 

「負けた俺がもはや隠すまい。藍染様により彼の理想の霊刀が生み出された。俺は理想の1歩手前の霊刀を埋め込まれた。」

 

「一歩手前だって?」

 

ふっと笑うウルキオラ

 

「使いたくは無かったが」

なぜ、最初から霊刀を使わなかったのか、はじめから霊刀を使えば俺の霊圧硬化も抜けれるはず、少しでも勝機を見いだせたはずなのに

 

「あれは__恐ろしいものだ。俺は霊刀に意識を呑み込まれた」

ウルキオラがこうまで言う霊刀

 

本当に俺と同じ霊刀なのか?

否___恐らく違うだろう。

 

「霊刀は意志を持ち魂魄に埋め込まれ融合する。俺の埋め込まれた不完全な霊刀は、俺自身を乗っ取りありとあらゆる霊子を吸い取り暴走させ体を破滅へともたらす。全てを呑み込み灰とするまで__な。霊刀を埋め込まれたのは4人。俺__そして」

 

俺はその言葉を聞いて走り出した。

 

「はっ…やっぱりな!!」

 

 

 

霊刀を体内に埋め込み融合したのは

 

ザエルアポロ・グランツ

 

市丸ギン

 

そして___

 

藍染惣右介

 

 




次回

理想の霊刀と初代の霊刀の話

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