遠山キンジに転生したので、女の子とイチャイチャする   作:なーお

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第十二話

 ――興奮する上で重要なことは、羞恥心を捨てること。

 

 ――馬鹿になれ。理性など不要。

 

 ――呼び起こせ。

 

 ――『直近』最も興奮した生々しく新鮮なエ〇い記憶を。

 

 ――後は、己の欲望を解放するだけ。

 

 ――本能の赴くままに。

 

 ――童〇として鍛え上げられてきたその妄想力で以て。

 

 ――イチャイチャできない蟠りすらも原動力に変えて!

 

 ――ぶちまけろっ!!

 

 ――創造しろっ!!!

 

 ――自分だけの楽園をっ!!!!

 

 

 

 ――学校の屋上。

 そこに佇む、陽の光をキラキラと反射させる金色の髪を靡かせる美少女。

 彼女はこちらに気付くと、フリフリのついた可愛らしい制服を揺らしながらこちらに駆け寄ってくる。

 彼女が俺に抱き着いてくる。柔らかい感触と共にふわりとバニラのような甘い香りが漂ってくる。

 彼女は、ほんのりと赤く染まったその整った小さな顔をこちらに近づけてくる。

 そして見た目にそぐわない妖艶なその声で囁いてくる。

 

「――――ねえ、キンジ。理子と『いいこと』しよう?」

 

 

 

 うおおおおおおおっっ!!!!

 理子――――!!!!

 理子――――!!!!

 あぁっ!! 可愛い! 可愛いよ!! 理子――!! 

 ぬうぅぅぅぅんんんっっっ!!!

 理子理子理子理子理子理子理子理子理子理子!!!!

 ―――――――――!!!!

 ―――――――――!!!!

 

 

 

 俺の妄想がもたらす興奮によって、全身を巡る血が沸騰するように急速に熱を帯びていく。そして脳が加速的に活性化していく。

 

 

 

 ……兄さん覚えているか?

 俺が戦闘中にヒステリアモードになれると言った時の事。

 兄さんは俺に言ったよな……。

 『気色悪い』って。

 あれ、結構傷ついたんだぜ?

 だって…………、

 

 

 

 ――――これ、普通に凄くね?

 

 

 

 まじで一瞬なんだぜ?

 原作キンジみたいに時間はかからないし、脳へのダメージもほぼ無し。持続時間も問題無し。

 

 ちなみに実際に声を出した方がさらに数段早く興奮する。一度試したから間違いない。

 ただそれをすると大抵の場合、社会的に死ぬので流石にしないが。

 

 ――――俺は、この技を遠山家の秘伝として後世に伝えていくつもりだ。

 技名は募集中。祖父――爺ちゃんもすごい発見だと大興奮だった。

 

 …………なのに兄さんだけはなんであんなに必死にとめてきたんだろうな?

 …………不思議だ。女装するより楽だし恥ずかしくないと思うんだけどな。

 相手から見れば一瞬集中したかと思えば、なぜか超絶パワーアップしてしまうようにしか見えんし。

 

 これは、いずれ出会う弟に期待だな。

 兄さんはだめだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリアは、気付く。

 目の前で瞳を閉じて静かに立つ遠山キンジが纏う雰囲気が豹変したことに。

 先ほどまで溢れていた強者のオーラがより一層、高まっていく。

 明らかに先ほどまでのキンジとは別人。

 

 

 

 キンジが集中し始めて、ほんの『十秒』ほどの出来事。

 

 

 

 …………これがキンジの本気。

 …………凄い。

 

 ――どれほどの努力をすればこれほどの力を身につけられるのか。

 

 アリアの額から冷や汗が滴る。

 全身が震えだしていることに気付く。

 本能が、――そして『勘』が、目の前の男の実力を察知しているのだ。

 アリアの想像以上のキンジの強さに、戦慄し、おののく。

 同時にアリアは、歓喜の感情が自分を包んでいることに気付く。

 アリアは自分の口角が自然と持ち上がるのを感じた。

 

 

 

 ――――やっと見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……今回は’時間がかかったな’。

 

 ヒステリアモードでいられる時間を極限まで減らすため、出力を調整する必要があったからな。その調整に時間がかかってしまった。

 加速した脳内でそんな分析をしていると、アリアが俺に話しかけてくる。

 

「…………凄いわね。でもどうやってそんな強くなったのよ? 何かからくりがあるんでしょう?」

「……アリア、世の中には知らない方がいいこともあるものだよ?」

 

 俺の喋り方や雰囲気が変わったことに気付いたアリアが、「どうしたお前??」と言いたげに訝し気にこちらを見つめてくる。

 

 ……アリアともっとおしゃべりをしたい。けれど今アリアが望んでいるのは、本気の俺の実力。

 そして、俺がヒステリアモードでいられるのは後、『一分』ほど。すぐに動かなければ。

 

 じゃあいくよアリア?

 お望み通り、全力の俺を見せてあげるよ。

 

 ――少々派手にね。

 そうなると――やはり『あの技』だね。

 

 俺は、まるで『理子』が浮かべそうな悪戯心に満ちた表情を浮かべる。

 ――妄想でなった場合のヒステリアモードは、妄想相手の性格が俺に投影される。

 以前白雪でなった時はバーサーカーみたいになってしまった。あれは妄想の仕方が悪かった。

 

 俺はその場で軽くジャンプをする。

 

「――――っ!?」

 

 俺が動き出したことで、急いで銃を構えるアリア。

 満身創痍だろうに、その構えは力強く隙のないものだ。

 遠慮せずに全力を出してこい、そう言っているようだ。その姿を見て俺も益々やる気をあげていく。

 俺は、アリアの気持ちに応えるように、両の足に同時に力を込める。瞬間的に亜音速の速さにまで加速させ――――、決闘場のコンクリートでできた床を踏み砕く。

 ズガアアアアアンン!!! と、爆撃でもあったような爆音がコンクリートの瓦礫や塵と共に周囲にまき散らされる。同時に決闘場全体が大きく揺れ、周囲で見学していた生徒達の悲鳴が巻き上がる。

 アリアも「わっきゃっ!?」と驚き必死にバランスを取っている。

 そして俺が、コンクリートを破壊したことで、塵が舞い上がり周囲の視界を奪っていく。

 

 …………よし。これで時間稼ぎができるだろう。

 やるぞ、あの大技を。

 これはヒステリアモードでも骨が折れる技だ。

 ――何せ、遠山家の『奥義』だからな。

 兄さんに継承されたそれを無理矢理俺も教わった技。

 

 俺は瞳を閉じて、全神経を集中させる。

 ただでさえ凄まじい集中力をさらに深めていく。

 周囲から音が消え、余計な情報がシャットアウトされる。

 そして――――、

 

 

 

 ――トン――トン――トン――。

 

 

 

 俺は、靴のつま先で一定間隔で床を鳴らし始める。一見、なんてことの無い行動。

 しかし俺は、地面に靴を接触させるその瞬間、全体重を乗せて巨大な力を地中に向かって吐き出していく。

 俺が伝えた力は振動となり地中に向かっていく。それが地中から跳ね返って来て地上に上がってくる。そして地上で跳ね返った振動が、また地中に戻っていく。

 ――このタイミング。

 先ほどと同様に力を加えて振動をどんどんと重ね合わせていく。地中と地上を往復する度に積み重なっていく振動。

 少しでもタイミングをずらしてしまったらお終い。力の調整も超がつくほどの精度が求められる。

 しかし、俺は間違えることなく足を鳴らしていく。

 

 最初は、微弱な感知できないほどのもの。

 

 しかし――、よし、『揺れて』きた。

 

 さあさあ、ここからどんどん大きくなって行くよ、アリア?

 

 

 

 ズズズズ――ズズズズ――ズズズズン。

 

 

 

 徐々に揺れが顕著になってきて、決闘場が再び揺れ始める。周囲の生徒達もざわざわとし始める。

 

 ――もう一息。

 

 

 

 ――ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。

 

 

 

 揺れは震度4に到達。

 物凄い速さで激しくなっていく揺れに辺りがパニックになっていく。ここまで来て、ようやく視界が晴れてくるがここまで来ればもう誰も俺を止められない。

 目を閉じているので、実際の光景は見えないが、アリアも何が起きているのか理解できずにパニックになっているのが分かる。

 

 しかし、その状況であってもアリアは不安定な床の上で銃を構えると俺に向かって銃を連射してくる。流石に全弾命中とはいかないが、そのうちの複数発がこちらに命中する軌道を描く。

 それを俺は、周囲から聞こえてくる音や振動から分析して把握する。

 俺は目を閉じたまま、片手ですべての銃弾を難なく掴み取ると、そのまま床にパラパラと落とす。

 

 ……アリア、今の俺に銃弾による攻撃は効かないよ。

 今の俺を銃で攻撃したいなら、全方位からのゼロ距離による射撃をお勧めする。

 

 皆が騒ぎ立てる中、その中心地で俺だけが黙々と足で床を鳴らし続ける。

 

 震度は――――5、――――6。

 

 すでに、決闘場全体が命を持っているかのように縦横に暴れている。ここまでくるとまともに立つことができる生徒はおらず、蘭豹だけが何とか立っている状況。アリアも両手を床に付き、四足歩行の動物のようにして何度かバランスを取っている状況。最早、銃を発砲する余裕は無い。

 

 ――――これで仕上げだ!

 

 俺は目をカッと見開き、最後に俺が大きく足を振り上げてそれを振り下ろす。

 ――タイミング完璧。

 

 

 

 ズドドドドオドドオオオオンンッッッ!!!!!!

 

 

 

 震度7にまで増幅された『地震』が、周囲にまき散らされていく。

 この激震を受けて、アリアはとうとう耐え切れずに「きゃうっ!」っと悲鳴をあげてすっころんでいる。蘭豹は流石と言うべきか、ジャンプして宙に逃れていた。

 

 

 

 ――楽しかったよ、アリア。

 

 

 

 俺は、激しい余震が荒れ狂う中、悠々とアリアの元まで歩み寄るとその小さな頭部に銃口を突きつける。

 そしてちょうど俺のヒステリアモードが切れた。

 




更新遅くなり、申し訳ありません。
(毎日更新したい思いだけはある)
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