遠山キンジに転生したので、女の子とイチャイチャする   作:なーお

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第十三話

「…………私の負けよ」

 

 銃口を突きつけられたアリアは、観念したように両手を上げてそう言う。アリアは悔し気ながらもどこか満足しているようだ。

 

 ……まじでいい戦いだった。

 

 通常の状態に戻った俺もアリア同様に胸いっぱいに満足感が広がっている。

 徐々に揺れが収まっていく中、俺は銃を下ろしてアリアに手を伸ばす。

 俺の手を見てアリアは一瞬驚く。しかし、アリアはすぐに嬉しそうな表情を浮かべるとその小さくほんのりと熱のこもった手で俺の手をぎゅっと力強く掴んでくる。俺が力を込めてアリアを持ち上げる。

 

 ……前会った時にも思ったけど軽いな。

 

「ありがとう、楽しい戦いだったわ。――最後は訳が分からなかったけどね」

 

 アリアは、まっすぐに俺を見つめながら素直にそう言ってくる。後半は苦笑いだった。自分の負けを素直に受け止めるその姿に俺の中のアリア株がさらに上がっていく。

 

「――なあ、アリア」

 

 俺の想いは既に決まっていた。

 

「ん、なに?」

 

 

 

「俺のパートナーになってくれよ」

 

 

 

 俺は、アリアを一人の人間として、一人の武偵としてパートナーになってほしいと心の底から思っている。そうであれば、後は行動に移すのみ。

 俺は自分の欲求には素直だからな。俺はいいことだと思っている。

 ――ついでに他のヒロイン達とも出会える機会がふえる。素晴らしいではないか。

 アリアは、驚きのあまりか目をぱちぱちとしてポカンとしている。なんか面白い。

 

「……え、え? 今、なんて言ったの?」

 

 アリアが突然前のめりになってくる。

 何が起きているの? と言わんばかりの戸惑いを目一杯に放っている。

 

「俺のパートナーになってほしいって言ったんだ。アリアの強さやこれまでの努力は今の戦いを通じて理解できた。そんなアリアと武偵としてパートナーを組んでほしいって思ったんだよ」

 

 アリアは、うんうんと相槌を打ちながら俺の言葉を聞き逃さないように真剣に聞いてくる。俺が話終った後は、しばらく俯いてだんまりしてしまう。

 しかしよく聞いてみると、ぶつぶつと俺の言葉を繰り返して、俺が言ったことを現実のものであると再確認しているようだ。

 そして自分の頬をぐにーとつまんだりもしている。これが夢で無いかの確認だろう。なんか小動物を見ているようでほっこりしてしまう。

 するとアリアは突然、さらにこちらに前のめりになってくる。近すぎて、アリアから甘酸っぱい香りが漂ってくる。

 

「ほ、本当に!? 嘘じゃないわよね? 嘘だったら風穴空けるわよ!」

 

 何気に「風穴空ける」というアリアの名言を聞けて感動する中、俺はアリアを真っすぐに見つめて、

 

「嘘じゃない、本気だ」

 

 と力強く応える。

 するとアリアは嬉しさでか、その顔を赤く染めていき、目をキラキラと輝かせていく。本当にアリアは感情が分かりやすいな。

 しかし、アリアはハッとして「――コホン」と咳ばらいをすると、すまし顔を浮かべる(それでも口元はにやけているが)。

 

「ふ、ふーん? そう? キンジがそこまで言ってくれるなんてね」

 

 アリアは俺から若干視線をずらしてソワソワしながら、恥ずかし気に振舞う。

 

「ま、まあ――キンジがそこまで言ってくれるなら――」

 

 そこまでアリアが言ったところで、「――ううん、違うわね」と言葉を止める。アリアは何かを考えるような様子を見せる。

 数秒後、アリアがぱっと顔を上げて俺の顔をまっすぐに見つめてくる。

 その表情は、満面の笑顔であった。先程までのふにゃふにゃした笑顔でなく、芯の通った爽やかな笑顔。

 

 

 

「――私もキンジとパートナーを組みたいって思っていたの! だからキンジの誘いはとても嬉しいわ。――だから答えは勿論、OKよ!」

 

 

 

 こうして俺はアリアがパートナーになることができた。やった。

 

「これからよろしくな、アリア」

「ええ。……ふふ、それにしてもお互いが同じことを思っていたなんて、私達いいパートナーになれるわ、きっと! 私の『勘』はあたるのよ? これは自信があるの」

 

 幸せいっぱいといった感じで笑顔を振りまくアリア。

 俺もつられるように笑顔を浮かべようとした時だった。

 

 

 

「くぉおらああああっ!! 遠山あああ!!!」

 

 

 

 ドゴンッ!!!! と、頭部に強烈な衝撃を受け、俺は顔面からコンクリートの床に叩きつけられる。蘭豹に殴られたのだ。

 いっっっった!!?

 ぎりぎりで蘭豹の接近に気付けたので、多少の衝撃は逃がせたがそれでも死ぬほど痛い。

 

「ちょっ、なにするんだよっ!」

 

 俺がガバッと起き上がって蘭豹に文句を言う。……あ、鼻血出てる。

 アリアは、え、なんでそんなにすぐ復活できるのと、ドン引きしているご様子。俺打たれ強さには自信があるから。

 

「おい、遠山。周り見てみろや、あぁ?」

 

 蘭豹が俺の胸倉を掴んで軽々持ち上げる。血管が浮かびまくった蘭豹の表情は修羅そのもので流石の俺もびびる。美人のキレた顔って怖いよな?

 

「ま、周りですか」

 

 蘭豹の言う通りに周りを見てみる。

 決闘場の床や壁がひび割れて、色々な備品が倒れまくったり、壊れている。

 これは酷い。

 

「色々と酷い状況になっていますね。ここはしばらく使えないかと」

「……で、これは誰がやったんや?」

「…………もう一人の僕です」

 

 蘭豹に思い切り殴られた。

 嘘は言ってないのに。

 まあ、衝撃を打ち消しているからほとんどダメージないからいいけど。

 

「……僕がやりました」

「せやな? どうするんや?」

「……どうしましょうかね、倒れた備品起こしたら許してくれます?」

「……もう一発殴られたいんか? 衝撃逃がされへんようにも殴れるで?」

 

 衝撃逃がしてたのばれてたー。

 流石蘭豹、恐るべし。

 

「……いえ、すみません。何とか補修費用を稼いでみせます」

 

 まあ、Sランク相当のクエストをいくつか受けてたらいけるだろう。『つて』もある。

 

「せやな、『まず』それがひとつや」

 

 ……え、それしか無くない? なんだよ、まずって。

 俺が、不思議そうな表情を浮かべていると蘭豹がニヤリと笑う。

 

「今回の件、学校にはウチが報告せんとあかん。そのせいで余計な手間がかかるわけや」

 

 ……いや、模擬戦を許可したのはお前やん。

 という突っ込みをぐっと堪えて続きを待つ。

 

「というわけで、ウチへの迷惑料として、今度ウチと全力で戦ってもらおうか。どっちかが半〇しになるまでのデスマッチや。どうや、おもろそうやろ?」

 

 どこがやねん。

 

「ま、遠山に拒否権はないからな。じゃ、そういうことで。今月中にはここ元に戻しとけよ」

 

 そう言った蘭豹はワクワクした様子でそのままフラフラと決闘場を後にした。

 ――え、最悪なんだけど。なんだよ、デスマッチって。もうむかつくからまじで〇りにいってやろうか。あ、ヒステリアモードになるから無理だ。一応、蘭豹女だし。なんだこの能力。使えねーな。

 ……卒業まで逃げ切ってやる。あ、俺卒業できないんだっけ?

 

 その場に取り残される俺とアリア。

 

「なあ、アリア。ここの補修費用稼ぐためのクエスト、手伝ってくれよ」

「なんでよ、嫌よ。私は壊してないし」

「いいだろう? パートナーだろ?」

「――っ!?」

 

 俺がそう言うと、アリアは面倒くさそうに、しかし嬉しそうに、

 

「…………たく、しょうがないわね。まあ、私も模擬戦してたわけだし? やってあげる。――パートナーとしてね」

 

 と、言ってくれた。

 アリアちょろい。ちょっと可愛いって思った。

 




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