遠山キンジに転生したので、女の子とイチャイチャする 作:なーお
「女の子と…………イチャイチャ…………する為?」
呆然とした様子で俺が言った言葉をゆっくりと繰り返すアリア。
「そうだ、その通りだ」
俺がそう答えると、アリアがその額に大量の青筋を浮かび上がらせる。
怒りでアリアは顔を真っ赤にしていき、ワナワナと全身を震えさせていく。
「キンジ! 私は冗談を聞きたいわけじゃないの! 言いたくないなら言いたくないって言って! そんな風にふざけられる方が嫌よっ! 聞いてたでしょう! 私は真剣なの!」
アリアは物凄い剣幕でそう叫んで来る。
……冗談だと?
……ふざけているだと?
アリアの言葉に今度は俺の中に怒りが溢れてくる。
童〇のままで死に、第二の人生では生殺しの日々を繰り返すことがどれだけ辛いか……。高校男児の性欲を舐めるなよ。
俺の抑えきれない怒りがアリアにも伝わったらしい。
「――う、な、なによ! なんなのよ……」
と強気な姿勢を保とうとするも、少し怯えてしまっている。
そんなアリアの姿を見て少しだけ冷静さを取り戻す。
…………落ち着け。ここでアリアと喧嘩しても何も始まらない。
俺がアリアの立場で同じことを言われたら多分俺もキレる。
当然だが、俺はふざけたつもりは全くなく、寧ろ包み隠さず正直に話した。
しかし、何の事情も知らない者が俺の夢をそのまま聞いても、簡単に受け入れられるもので無いことは流石に分かる。
頭の中がお花畑な男子中学生とかが同じこと言ってそうだし。
……とにかく、これは俺の伝え方が悪かった。反省だ。
ここはしっかりとアリアに俺の真剣さと覚悟を伝えて理解してもらう必要がある。
俺は立ち上がって至って真面目な雰囲気を纏い、アリアに詰め寄る。
その勢いに圧されたアリアが思わず一歩下がる。
「アリアッ!」
「――ひゃいっ!?」
俺の力強い呼びかけにアリアが思わずと言ったように返事してくる。アリアのツインテールがぴょんっと跳ねる。
「俺は、大まじめだ!! アリアを馬鹿にしているつもりは無い! 俺は女の子とイチャイチャする為に人生を賭けている! その夢の為に俺はここまで強くなることができたんだ。古来より強い男がモテてていることは事実だ。だから俺も強くあろうとしたんだ」
真剣な様子でそう語る俺を前に「――え? は? え、え?」と混乱している。
そして少しずつ、俺がふざけているわけでなく真剣であることを理解し始めたらしい。
よしこれで――。
「じゃ、じゃあ、あ、ああああんた! やっぱり変態じゃないの!!」
……なぜそうなる。
変態なのは認めるが。
「はっ!? もしかしてこれから私に厭らしいことをするつもりじゃないでしょうね!? 私をパートナーに誘ったのもそれが理由……」
アリアは急に顔を青ざめさせると、俺からばっと距離をとり、自身の体を抱きしめるような姿勢をとる。
……おっと、これは酷い誤解を招いている。
あれだけ好印象を受けていたのに、好感度が大暴落してるな。
しかし、どう伝えたものか……。
この状況でアリアはロリで好みじゃないってストレートに言うのは流石にアウトだろう。
最悪、パートナー解消を言い渡されかねない。
ここは上手く核心には触れないように、そして事実だけを述べるんだ。
「――いや。それは違うぞアリア。俺はアリアの武偵としての技量に惹かれたんだ。純粋にアリアとは良きパートナーとして関係を築いていきたいと思っている。もし俺が変なことをしようとしたら風穴を空けてくれてもいい」
「…………そ、そう、なの?」
俺の必死の訴えによって、ようやくアリアも少し冷静さを取り戻したのか、先ほどまでの怒った様子を収める。なんなら少し照れているようだ。
しかし、それでも懐疑的な表情を浮かべていることに変わりは無い。
「――コホン、キンジが真剣なのは分かったわ。……でも分からない。それでも私の抱えている問題の方がずっと大変なことだって思っちゃう。そんな夢、馬鹿げてるって。――でもキンジの強さは本物。本当、訳が分からないわ」
アリアは頭を抱えながらそう言い、さらに続けてくる。
「……それに、キンジはモテているでしょう? 学校での様子を見ていれば分かるわ。最初ここに来る途中だって、キンジに近づくなって何人かの女子生徒に襲われたし……。返り討ちにしたけど。……それなのにどうしてそこまで必死なのよ? もう、目標は達成できているんだから、今更パートナーを組んでまで何かを成し遂げる必要も無いんじゃないの?」
……なるほど、そうきたか。
というか俺の部屋に来るのが遅かったのはそれが理由か。なんかごめん。
これはやっぱり話す必要があるみたいだな。
――ヒステリアモードのことを。
そうなると、さっきの戦いの際も興奮してたのかキモッとか言われかねんから嫌だったのに。
でも、なんとなくだけど。これは俺の勘だが、正直に言った方が良いような気がするんだよな。最初は引かれるかもしれんけど、最終的に分かってくれるような気がする。変に隠した方がお互いモヤモヤしそうというかなんというか。
俺は嘘が嫌いだ。そして多分アリアも。
だからここは腹を割って正直に話すことが一番の近道な気がする。
それに原作を知っているこちらだけがアリアのことを一方的に知っているというのはフェアじゃないだろう。
…………よし、もう話す。
迷ったら行動するのみ。やらない後悔よりやって後悔だ。
爺ちゃんにも俺の良い所は、素直で正直なところだと褒められてきたんだ! 自信を持てっ!
「よし、じゃあそのことについても話す。このことを話すのは家族以外だとアリアが初めてだ。真剣に聞いてほしい。いいか?」
俺がそう尋ねると、緊張した面持ちのアリアが「――分かった」と頷く。
「よし。――まず、俺にはある特殊な体質が備わっている」
「――体質?」
「ああ。俺は――、」
ここで俺も軽く緊張を感じつつ、深く息を吸い込み吐き出す。覚悟は決めた。
そして。
「エ〇い気分になると、性格が変わる」
言ってやった。
どこか清々しい気分なのはなぜだろう?
――アリア、どうだ!
きょとん。
そう例えるしかない様子でアリアは固まっている。
目は点になっており、口はぽかんと開いている。
どう見ても理解が追い付いていない。
……そう言えばアリアって、エ〇耐性無いんだっけ?
……ええいっ! もう後戻りはできん! 一気に畳みかけてやれ!
「そして性格が変わった俺は、女性が何よりも大事であり、超がつくほどの紳士野郎になる!」
「――――ちょ」
「だから! 俺が女の子とイチャイチャしようとしてもすぐに紳士モードになってイチャイチャすることができない! できた試しがない! これまで一度もだ! ちなみにこの紳士モードをヒステリアモードと俺は呼んでいる!」
「――――ちょ、ちょっと」
「アリアには想像できないと思うが、これは本当に辛い! ももまんを一生食べられないことを想像してみろ、辛いだろう? それと同じようなものだ!」
「――――ちょ、ちょっと、まっ」
「だから、俺は己の気持ちをコントロールする術を探している! そのヒントがイ・ウーにあると思っている!」
「待てって言ってんでしょうがあああ!!! バカキンジイッッッ!」
「いだだだだだだだ!!??」
顔を真っ赤にしてキレたアリアからアイアンクローを食らう俺。
ぐぎぎぎぎと、リンゴをも砕くアリアの握力で以て、俺の顔を締め上げてくる。
――痛い、まじで、痛い痛い痛い。握力何キロだよ。
――――くそ、だめか。