遠山キンジに転生したので、女の子とイチャイチャする 作:なーお
ふわふわとした長い金色の髪をツーサイドアップに結った姿がよく似合っている。加えて学校指定の防弾制服にヒラヒラのフリルを付けた姿がより女の子らしさを際立たせている。
髪と同じ金色のつぶらな瞳がこちらを覗き込んでくる。
峰理子は――『ロリ』である。
しかし、女性としての妖艶さも兼ね備えている。
男心をくすぐる小悪魔的な側面も持つ。
そしてなにより――――、
『巨乳』である。
…………正直たまらん。
俺自身、いまいち自分の女性の好みの細かい基準がよく分からんが、理子はとびきりに可愛いと思う。白雪とはまた違った魅力が理子にはある。
しかし断じて、おっぱ〇だけが基準では無い。
……というのも、理子については、個人的に強い『思い入れ』があるキャラでもある。それも大きく影響しているだろう。
というわけで俺は、白雪同様にこれまで何度かイチャイチャしようと試みて全てヒステリアモードになる形で失敗している。
とはいっても理子と関わったのは高校に入学してからの一年のみである。加えて、イ・ウーの活動があるのか中々会える機会は少なかった。というわけでヒステリアモードの俺と関わった時間は少ない。
原作の理子より好感度が高いのは間違いないと思うが、白雪ほど深刻化していないはず……そのはず。
「おう、いいぞ」
理子の誘いを断る選択肢は無い。俺は快くそう返事する。
これも原作と流れが違うなと思ったが、流石にもう慣れてきた。もう結果が良ければ過程はなんでもいいやと開き直ることにした。
「ありがとうキー君! じゃー、早速行こう! うー、れっつごー!」
きゃぴっとした笑顔を浮かべた理子は、オーバーリアクションのテンションマックスでそう高らかに叫ぶと、俺の腕を引いてやや強引に教室の外へと歩いていく。
理子は、そのお馬鹿キャラと誰とでも打ち解けるコミュニケーション力から、周囲からの人望は厚い。アリアに非難の声を掛けた周囲の女子達も特に文句を言うことなく、俺達を見送る。アリアも俺の方を見ているが、あくまでも観察するだけにとどまっている。
というか理子が自らの体を押し当てるようにしてくるものだから、心中穏やかでは無い。こんな大勢がいるところでヒステリアモードになんてなったら事件だぞ。俺は、理性を総動員して何とか耐えながら理子について行った。
途中、購買で適当に昼飯を購入してそのまま屋上へとやって来た俺達。
理子が屋上の扉をなぜかやたらと丁寧に閉めて、そのまま屋上の奥へと進んでいく。昼休みが始まったばかりということもあって、周りに人はいない。
ちなみに理子は、お菓子とイチゴ牛乳を購入していた。昼飯じゃないだろ、と突っ込んだものの、「女の子には甘いものが必要なの!」とよく分からないことを言われた。
俺達は屋上の手すりに持たれかかりながら、もぐもぐと昼飯を食べる。
……さて、理子。どう来る?
「――ねえねえ、キー君。今朝、自転車を爆破された男子学生がいるってメールが教務課から来てたけど、あれってキー君のことだよね? 始業式出てなかったし」
口にあんぱんを運ぼうとしていた手を止める。
……いきなりぶっこんでくるな。
お前が言うなっ! と突っ込んでやりたいがそういうわけにもいかない。
しかし、自転車を爆破した張本人を前にどういう顔を浮かべたらいいか分からない。変な顔になってる自信がある。
理子は未だお馬鹿キャラを演じており、ただ単純に興味津々といった様子――に見える。その真意は分からない。
「……そうだよ。……朝から不幸だったよ」
ここは様子を見る為に、余計なことは言わずに無難な受け答えをする。
「……ふーん、でもさ? その割にはあまり慌ててる感じとかしないよね? もしかしてキー君にとっては、大したことの無い、取るに足らない事件だったのかな?」
そう問いかける理子に対し俺は驚愕する。
それもそうだ。
――――理子が、本性を現し始めたのだから。
口調はまだお馬鹿キャラを演じ続けているが、その金色の瞳の奥底には、冷徹な闇が広がっている。
……いや、まじで何を考えているんだ。前言撤回、やっぱり原作通り進んでくれ。もう訳が分からん。
――もういいや。なるようになれ、だ。正直に答えよう。
「……まあ、そうだな。あれくらいなら大したことは無かったな」
「ふむふむ、流石は、現Sランク武偵で学年最強と言われているだけのことはあるね! ……でも理子が収集した情報によるとキー君は寮から学校までわざわざ走り続けたってあるけど、それはおかしいんじゃない? キー君ならもっと早く解決できたはずなのに。事件中も随分余裕そうだったみたいだし。まるで――」
「わざと茶番に付き合った、みたいだよね?」
最早、理子は本性を隠すつもりは無いのか、その表情を真剣なものへと変えている。その瞳がまっすぐに俺を見据えてくる。
先ほどまでのお馬鹿な理子とのあまりのギャップに背筋に冷たいものが走る。
…………ばれてるやん。
理子は変装と演技のスペシャリスト。その為、俺の下手な演技がばれてたのだろうか。流石はルパン――じゃなくてリュパンの子孫。
もう少し対策をしておけば良かったと後悔する。
「そして、神崎・H・アリアと合流したすぐ後に、事件は瞬く間に解決。なにか不自然だよね?」
「そ、そうか?」
「そうだよ」
問い詰めてくる理子に対し俺はたじたじ。
アリアとパートーナーを組んで、女の子とイチャイチャできる機会を増やすためとは言えん。
「…………そんなの、わざと理子の望み通りにことを運んでくれたってことじゃん。……サイコパス女のせいで無茶苦茶になったけど」
俺がどう答えたものかと思案していると、理子が何か独り言を呟いた。
俺がなんて言ったのか聞こうとするも、それよりも前に理子が傍に来て俺の耳に口を近づてくる。不意のことであり、俺の全身は硬直してしまう。
頬を朱色に染めた理子は妖艶な声色でもって俺に囁いてくる。
「――今回だけじゃない。キー君って、とっても強いけど、それとは別に何か『不思議』な魅力があるよね。すべてを知っているというか理解しているというか……。今回のことも全部知っていたんだよね? ……キー君、――唯一理子のことを理子として見てくれる人」
耳に理子の吐息がかかり、俺の心臓が一気に鼓動を速める。もう少しでヒステリアモードになるところだった。
やばい。この展開はウェルカムではあるが、理子が何を考えているのか全く分からない。
まあ、もういいか。
今は楽しもう――どうせヒステリアモードになるけど。
理子は急に俺の制服をまさぐり出すと、何かを見つけたのか、ぷちっと何かを取り出した。理子がそれを手に持って目の前に持ってくる。それは何か小型の機械のようだ。
……何か盗聴器のようにも見えるのだが気のせいだろうか?
「…………ふん、こんなものに頼らないと信用できないとか。……だっさ」
理子は、何かを軽蔑するかのように途轍もなく冷たい表情を浮かべながら、そう呟き、それを屋上から投げ捨てた。
そのまま理子は再びこちらに振り向いたかと思うと、おもむろに抱き着いてくる。持っていたあんぱんを落としてしまうが構っている余裕は無い。続けて理子はその小さな手で俺の背中をゆっくりとなぞってくる。
当然興奮しない訳もなく、俺の意識が持っていかれる寸前、理子は俺の耳に口を近づけてこう言った。
「――やっぱり、アリアなんかにキー君は勿体ない」
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