私が好きな私だけの… 作:凌介
確かな気持ちの変化が生まれた。
私のマネージャーから色々学び取って頑張っている 千翼だけれど、浮いた話を全然聞かないなと思っていた。
豊浜さんは口にはしないけれど結婚しているはずだ。
左手の薬指に指輪がしてあるからそうなんだろうなと私が思っているだけで直接聞いたことはないのだけれど、多分間違いないと思う。
それで私はふと気になった
今まで千翼とそう言う話をして来なかったからだろうけど
ちょっと前に 千翼が学生の頃にプロデュースしたバンドの人達とそれに近い話題で話したからかもしれない
私は気になり帰りの車で聞いてみることにし切り替え仕事に集中した。
-帰り道-
千翼が運転する車の中では音楽こそ流れているもののお互いに会話がなく沈黙が続いていた。
いつもなら気にならないのだけれど、今日はやけに気まずい
そしてその沈黙を破ったのは 千翼だった。
「千聖、何かありました?」
私は突然の事で驚いてしまった
「え!?ど…どう…して?」
「言い方は悪いですけど、かなり挙動不審でしたよそれにチラチラと僕の方を見ていたので」
「そこまで態度に出てた?」
「かなり」
私は肩を落とし両手で顔を覆った
恥ずかしさが込み上げてきたのだ
私は言葉を選びながら 千翼に問いかけた
「あのね、豊浜さんって口にはしないけれど多分結婚しているわよね?」
「そうですね、子供はいませんが旦那さんはいるみたいですね」
「それでね…聞き辛いのだけど… 千翼はどうなのかなって…恋人は…居るのかなって…」
「今は…居ませんね」
「今は?」
千翼の言葉が引っかかる
「高校の頃入学してから1年だけ年上の恋人がいました。
尤も今思い返すと恋人らしい事は全然でしたけど」
「そうなの?」
「えぇまあ、強いて言うなら僕が付けてるピアスはその彼女がくれたものなんですけどね」
「そうだったの?」
「はい、少しは見た目に気を使えとくれたんです。」
私はどこか懐かしそうに話す 千翼から目が離せないでいた。
「良かったら聞かせてくれないかしら?」
「特別な事なんて無いですよ!」
そう言って 千翼は話し出した。
高校に入学して1ヶ月色々な仕事を支える立場になる事など基本的な事を色々教わっていた頃
自分より2つ上の先輩から声を掛けられ先輩の課題を手伝う事になった
先輩はマルチアドバイザーという立場で色んな課題をこなしていて 千翼もかなり助けられ、 千翼もなるべくその人の助けにと思って行動しているうちにお互いを必要として付き合うようになった。
それからも一緒にいる時間こそ多かったが恋人らしい事は殆ど無かったらしいそんな中で唯一その人がくれたのがそのピアスだったらしい
千翼もお返しとしてアクセサリーを送ったが結局一度もつけてる所を見なかったらしい。
そして先輩の卒業と同時に別れを告げられたらしい
「卒業おめでとうございます。先輩」
「ありがとう。あたしも今日で卒業、4月からは社会人さ
それでさ… 千翼、あたし達の関係も終わりにしよう」
「えっ!?」
「あたしから解放してやるよ!ずっと傍にいてくれたことはありがたいと思うけど、これ以上はあんたを付き合わせるのは酷だよ…」
「そんな事は…」
「無いって言える?あんたさ、色々学び取ってもうあたしが教えてあげられる事が無いんだよ、後はあんたが自分の力で形にしていきな。あたしとあんたの師弟件恋人関係は終わり!またね!」
そう言って先輩は去って行った。
それからずっと先輩とは会ってないけれど、言われた事を自分なりに頑張って今に至る。
「とまぁ、こんな感じです。」
「…もしもよ 千翼、もう一度会えたらどうするの?」
「どうしましょうね」
千翼は困ったように笑った。
「僕は貴方の付き人なので、その人と会っても特に何もないと思いますね」
「それっでどういう意味?」
「ご想像にお任せします。少なくとも僕は貴方を好意的に思っているということです。」
千翼の思わせぶりな発言に顔が赤くなるのがわかった
(何よ…思わせぶりに…そりゃあ確かに 千翼は本音を言い合えて、困った時に助けてくれて頼もしいなと思うけど…好意的って何よ…)
その時の私はまだ自分の気持ちをはっきりとはわかっていなかった。
それを知ることになるのはお芝居の恋をする事になってその時の相手役が彼だったらと思うその時で今はまだ好き以上を感じられなくてそんな自分にやきもきしながら隣にいる彼を
顔が隠した指の隙間から眺めるしか出来なかった。
-そして現在-
色々あったけど私と 千翼は恋人関係になったそれは 千翼が私の傍にいたいと願ってくれたからで私もそれを望んだから
「 千翼、最近ねいつにも増してあなたが恋人で良かったって思うわ」
「お互い様だね、俺も 千聖が隣に居てくれることがすっごく幸せだもん」
「相変わらずサラッと言ってのけるわねあなたは」
「本心なので」
「嘘おっしゃい!半分本心でしょ!」
「心底本心です。だって 千聖が好きって言ってくれた時すっごく嬉しかったもん」
「どうしてかあなたに勝てる気はしないわ」
「別に気にしないでいんじゃない?だって今が幸せなんだもん!それを大切にしていこう」
「そうね、今はそれで良いわ」
私達はお互いに幸せだと思える時間を2人で過ごしていくのだった。
5話目です。時間軸が現在と重なるのはもう少し先ですが気長に待っててください。
次回はまたもう少しだけ2人の関係を進ませようと思いますのでお楽しみに
次回「燻る気持ちと好きって気持ち」