摩耶さまが行く!   作:皇南輝

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(あらすじ)

ゲーム『艦隊これくしょん』で遊んでいた近衛碧輝(このえあおき)。

ある日、突然、摩耶が碧輝の部屋に現れた! バイト時間が迫っていた碧輝は、留守番を拒否する摩耶を仕方なく連れていく。

碧輝がバイト先であるハンバーガーショップで仕事をする間、摩耶は近くのテーブル席で待つことに。その後、摩耶はハンバーガーを大食いしてフードコートの客たちに注目されてしまう。

慌てた碧輝は、摩耶をバックヤードに連れていき、強くたしなめる。怒った摩耶は、ハンバーガーを大食いしたのは碧輝が原因だと反論した。さらに、摩耶はハンバーガーショップの男性店員と、ある約束をしてしまう。気になった碧輝は、どんな約束をしたのか、摩耶に訊ねるのだった。




第14話 デートに誘われた摩耶さま

 

「条件が気になるか?」

 

摩耶は笑みを浮かべながら横目で碧輝を見つめた。摩耶が浮かべた笑みに彼女らしい悪戯っぽさを感じた碧輝は、何も答えず摩耶を見つめた。

 

女癖が悪い青山のことだ。きっと摩耶をデートに誘ったに違いない。こんな気性が激しい摩耶とデートしてもつまんないだろうに······。

 

碧輝は、条件を気にしている、と摩耶に思われたくなかった。だけど、少し気になる。

 

「どんな条件なんだ?」

 

「この摩耶さまとデートしてくれってさ!」

 

「やっぱりな」

 

「なあ、碧輝。それなんだけどさ、デートって何だ?」

 

「はあ?」

 

碧輝は驚き呆れた。

 

「摩耶、デートの意味が分からないで約束したのか?」

 

「そんなの分かるわけないだろ。だけど、あたしが思うには、演習って意味だろ? 演習なら、この摩耶さまの強さを分からせる良い機会じゃねーか!」

 

摩耶の思い違いを知った碧輝は、笑い声をあげた。

 

「なんだよ、デートって演習じゃないのか?」

 

得意顔だった摩耶の表情から、笑顔が消えた。

 

「違うよ。デートの意味は、そうだな、例えると、男と女が2人だけで遊びに行ったり食事をすることだよ」

 

「なんだと! デートって演習じゃないのか! なんで、この摩耶さまがあんな弱っちい男とそんなことしなきゃいけないんだ!」

 

碧輝は、悔しがる摩耶に顔を近づけた。

 

「摩耶は弱っちい男とデートする条件で、ハンバーガーを食べたんだぜ」

 

「うえっ!」

 

摩耶は左手で掴んでいた中身の無いハンバーガーを床に落とした。

 

「碧輝、何とかしてくれよ。あたし、あんな好みでもない男とデートなんてしたくない」

 

摩耶は碧輝に懇願した。碧輝は、わざとそっぽをむいた。

 

「無理だな。いや、むしろそうしてくれないと、俺が支払うハンバーガー代が高くなる。摩耶、すまないけど、ここは青山とデートしてやってくれ」

 

碧輝の言葉に、摩耶は困惑した表情を浮かべた。

 

「なあ、碧輝。碧輝は、この摩耶さまが、青山という男とデートしても平気なのか?」

 

摩耶には珍しく、女々しい声で碧輝に尋ねた。そんな摩耶の異変に気づいた碧輝は、摩耶を見つめた。摩耶は、哀願するかのような目で碧輝を見つめている。そんな、初めて見る摩耶の表情に、碧輝は彼女から“可憐さ”を感じた。

 

「なあ、碧輝。平気なのか?」

 

「仕方ないじゃないか、約束しちゃったんだからさ」

 

碧輝の返答を耳にした摩耶の表情がまた変わった。今度は険しい。

 

「ホント、お前は冷たい男だな! 失望したぜ!」

 

摩耶は、そんな言葉を吐き捨てると、フードコートへのドアに向かって歩き始めた。すぐに、碧輝は摩耶の背中を追った。

 

「おい、摩耶、どこへ行くんだよ!」

 

「決まってんだろ、ハンバーガー代を払ってくる!」

 

碧輝は摩耶の背中を追いながらバックヤードからフードコートに出た。

 

「ハンバーガー代を払うって、お金を持ってないんだろ?」

 

「そんなの持ってないさ」

 

摩耶は、そこまで答えると、背後にいる碧輝に振り返った。そして、摩耶は碧輝をじっと見据えた。

 

「碧輝、頼みがある!」

 

「なんだよ」

 

「あたしにお金を貸してほしい」

 

「お金なんか、どうするんだよ?」

 

「あたしが食べたハンバーガー代を払う!」

 

ゲームの世界から現れた摩耶にお金を貸したところで返ってくる保証はない。碧輝は、沈黙した。

 

「なあ、頼むよ。これからも、碧輝の随伴艦として護衛するからさー」

 

「意味が分かんないよ。俺の随伴艦なんてする必要ないってさっきも言ったじゃないか!」

 

「この、ボンクラ提督っ!」

 

突然、摩耶が怒りを爆発させて怒鳴った。摩耶の怒鳴り声が土曜日のフードコートに雷鳴のように響き渡る。次の瞬間、多くの客がいるフードコートが静まり返った。大勢の視線が摩耶と碧輝に注がれる。慌てた碧輝は、摩耶の腕を取ると、再び誰もいないバックヤードに連れ込んだ。

 

「フードコートで、いきなり大声を出すなよ! 注目を浴びたじゃないか!」

 

碧輝は、バックヤードのドアを閉めるなり摩耶に顔を向けて、強くたしなめた。

 

「お前が分からず屋のボンクラだからだろ!」

 

「ボンクラだと? 摩耶こそ、随伴艦とか、護衛とか、意味が分かんないことばかり言うなよ!」

 

碧輝は語気を強めて言い放った。その直後、摩耶は碧輝が驚愕する一言を発したのだった。

 

 

 

(つづく)

 

 




次回、新たな展開に!?
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