摩耶さまが行く!   作:皇南輝

3 / 43

【挿絵表示】


DMM GAMES 『艦隊これくしょん』の世界観、登場人物(艦娘)の物語を描いた“2次小説”です。

☆登場人物


近衛碧輝 (このえあおき)

摩耶


第3話 解体された艦娘

ズドーン!

突然の轟音と衝撃の反動で、碧輝は仰向けにひっくり返った。フローリングの上で大の字になって倒れる碧輝。先ほどまで手にしていた白いバスタオルは、その意図通りに碧輝の股間を隠し続けている。

 

突然の轟音に驚いて仰向けに倒れてしまった碧輝は、呆然と白い天井を見つめた。微かに白煙が視界に漂い、硝煙の香りが鼻を撫でた。鼓膜がキーンと鳴っている。碧輝は瞬きを数回繰り返した。

 

「な? 本物だろ!」

 

自らを摩耶だと名乗る女性が、フローリングの碧輝を見下ろしながら得意げに言った。その表情には微かな笑みが浮かんでいる。

 

一方の碧輝は、何が起きたのか分からない様子でしばらく天井を見つめていたが、やがて我に返ると、股間のバスタオルを両手で掴んだ。そして、そのままゆっくりと立ち上がった。

 

「どうだ、思い知ったか?」

 

両目を見開いたまま立ち上がった碧輝を見据えた摩耶は、右腕に装着された20.3センチ連装砲を掲げて見せた。碧輝は無言のまま摩耶の連装砲に視線を向けると、すぐに何かに気づいたかのように左後方を振り返った。

 

「あー! やってくれたな!」

 

碧輝は驚きの声をあげた。碧輝が振り返った視線の先には、2つのボール大の穴がぽっかりとあいた蜘蛛の巣のような窓ガラスがあった。

 

「お前、何してくれるんだよ! 窓ガラスが割れてるじゃねーか!」

 

碧輝は白いバスタオルで股間を隠しながら叫んだ。そんな碧輝の反応を見て取った摩耶は、おかしそうに高らかな笑い声をあげた。

 

「あっはっは! こりゃ、愉快だなー」

 

「愉快じゃねーだろ! この部屋は賃貸なんだぞ! 窓ガラスを割ったら弁償しなきゃいけないじゃないか!」

 

「ちんたい? ま、そんなことより、これであたしが艦娘だってことがよく分かっただろ?」

 

摩耶は両手を腰にあてながら、自分より10センチほど背が高い碧輝を見あげた。碧輝は怒りを抑えるかのように息を深く吸い込んだ。

 

「艦娘······」

 

碧輝は忌々しそうな視線を摩耶に送りながら呟いた。

 

「そうさ、あたしたち艦娘はな、深海棲艦と戦う戦士なんだぜ。どうだ、分かってくれたか?」

 

屈託の無い笑顔を自分に向けてくる摩耶を見て、碧輝の怒りは、いくらか和らいだ。碧輝は、まだうっすらと白煙を吐き出している連装砲の砲口を見つめた。

 

よく分からないけど、どうやら目の前にいる摩耶はコスプレイヤーじゃなく本物らしい。

 

碧輝は怪訝そうな表情で摩耶の顔を見つめた。

 

「わ、分かった。お前が艦娘の摩耶だとしよう。その摩耶が、こちらの世界に何をしに来たんだ?」

 

すると、摩耶の表情から笑みが消えた。

 

「そうだそうだ、思い出した。提督、お前さ、この摩耶さまを解体しただろ。今までさんざんこき使っておいて用無しになったら解体だなんて、まったく酷い話だよなー!」

 

摩耶が碧輝を睨みつけながら顔を近づけた。事実を指摘された碧輝は動揺して摩耶から視線を逸らした。

 

「だからな、この摩耶さまを使い捨てにするような提督をぶっころしてやる! と思ったら、いつのまにか、こんな湿気た部屋にたどり着いたってわけさ」

 

摩耶からの返答を耳にした碧輝は、彼女を不思議そうに見つめた。

 

「確かにゲームで摩耶を解体した。でも、解体したら、ふつう消えるだろ? それなのに、どうして俺の目の前に現れるんだ?」

 

碧輝の言葉に対して、摩耶は親指を自分の顎に当てながら考え始めた。

 

「それが不思議なんだよなー。ま、でも、退屈な世界から抜け出せたわけだし、これで、いっか!」

 

摩耶はそう答えると、再び碧輝に屈託の無い笑顔を向けたのだった。

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。