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(あらすじ)
ゲーム『艦隊これくしょん』で遊んでいた青年・近衛碧輝(このえ·あおき)。
ある日、突然、碧輝の部屋に艦娘・摩耶が現れた!翌日には、鳥海も現れる。同時に、摩耶を追ってきた深海棲艦も、ゲーム世界から現代日本に“流出”してしまった。
深海棲艦を現代日本に流出させてしまったことに罪悪感を覚えた碧輝は、彼らを撃滅することを決意する。
碧輝、摩耶、鳥海の3人は、偵察のため、深海棲艦が現れたダム湖へ再び向かう。すると、鳥海の水上電探に反応が!湖上を接近してくる深海棲艦に対して、摩耶が立ち向かった······。
摩耶がダム湖の闇に消えてからしばらくすると、砲撃音が夜の空気を震わせた。数発の砲撃音が聞こえたあと、ダム湖は再び静寂さを取り戻した。
碧輝は、墨のような湖面を凝視した。
「鳥海、摩耶が見える?」
「はい、司令官さん。摩耶がこちらに向かっています」
鳥海は笑みを浮かべながら碧輝に答えた。碧輝は安堵のため息をついた。
やがて、摩耶が闇の中から姿を現した。1メートル近い長さの黒い物体を右腕で抱えている。よく見ると、それは魚雷のような先端に目と剥き出しの歯が付いた深海棲艦、駆逐イ級だった。
「摩耶が駆逐イ級を拿捕したようです」
碧輝は、鳥海からの報告を耳にすると微かな笑みを浮かべた。
「摩耶にとって、駆逐イ級2隻なんて余裕だろう」
碧輝が独り言のように呟いていると、摩耶が湖面を離れて上陸してきた。
摩耶は、碧輝に近づくと、右腕で抱えていた駆逐イ級をアスファルトの路面に放り投げた。
「ほらよ! 駆逐ちゃんだぜ! 大破してるとはいえ、まだ死んではいないから気をつけろよ」
摩耶は威勢よく声をあげると、2連装砲の砲口を駆逐イ級の顔面に突きつけた。碧輝は、大破して顔面がひどく歪んだ駆逐イ級を興味深げに見つめた。
「これが、あのザコキャラの駆逐イ級か······」
そう呟く碧輝に対して、鳥海が近づいた。
「司令官さん、尋問を」
鳥海に促された碧輝が頷いた。
「お前の仲間は、どこにいる?」
碧輝が駆逐イ級に尋問を始めた。すると、駆逐イ級は、歯をガチガチと鳴らし始めた。
「タスケ、テ、クレ······」
「質問に全て答えたら助けてやるよ」
「ナカ、ナカマ、タクサン、イル······」
「どれだけ、いるんだ?」
「ワ、ワカラ、カラナイ。タクサ······ン、イッパイ」
駆逐イ級の言葉を耳にした摩耶と鳥海が顔を見合わせた。
尋問は続く。
「お前たち深海棲艦の出口は、どこだ?」
「デ、デグチ?」
「ゲームの世界からの出口だ」
そのとき、鳥海が碧輝の耳元に顔を寄せた。
「司令官さん、ゲームという言葉は理解できないと思います」
碧輝は、小さく頷いた。
「こちらの世界の、どこに出てきたんだ?」
「アア、ア······」
「どんな場所か言うんだ!」
「ウ、ウエ······オオキ、ダ······」
そのときだった。突然、砲撃音と炸裂音が響くと同時に、碧輝、摩耶、鳥海の3人は吹き飛ばされた。3人はアスファルトの路面に倒れ込む。
摩耶は素早く立ち上がって2連装砲を構えながら周辺を警戒した。
鳥海は上半身を起こすと、眼鏡を外してレンズを確認している。
碧輝は、ヨロヨロと立ち上がると、ジーンズの腰にさしていたエアガンであるベレッタを引き抜いて構えた。
「あ!」
そのとき、摩耶が驚いて叫び声をあげた。
「ちっくしょう! 駆逐イ級を口封じしやがった!」
碧輝と鳥海が駆逐イ級に顔を向けた。顔面を真っ二つに裂かれた駆逐イ級は、絶命していた。
ドンッ、ドンッ!
再び、砲撃音が空気を震わせる。
「散開しろっ!」
摩耶が叫ぶ。鳥海は、素早く眼鏡をかけると立ち上がった。そこへ碧輝が鳥海の腕を引っ張って、その場から退避させた。
碧輝の背後で砲弾が着弾すると炸裂音がダム湖に響き渡る。
「司令官さん、2人一緒にいるほうが狙われやすくなります!」
「分かった!」
鳥海の助言を受けて、碧輝は鳥海から離れると、ガードレールの陰に身を隠した。
「電探に反応あり! 摩耶、3時の方向の森の中よ!」
鳥海が叫ぶと、摩耶はすぐに反応して森に2連装砲を向けた。
「これでも食らえーっ!」
摩耶の2連装砲が火を吹く。鳥海も森に向かって砲撃を始めた。闇夜に響く砲撃音と地響き、その後、樹木が引き裂かれる音が余韻のようにダム湖に響いた。
「摩耶、まだ電探に反応が、きゃあっ!」
突然、炸裂音がすると同時に、鳥海が吹き飛ばされた。倒れ込んだ鳥海の周辺に白煙があがる。
「鳥海!」
摩耶が驚きの声をあげて、アスファルトに横たわる鳥海に顔を向けた。
「私は······大丈夫。 戦闘に集中して······」
鳥海が弱々しい声で答えた。
「森の中から攻撃するなんて、卑怯な奴らめ!」
そう叫ぶ摩耶の至近距離の路面に砲弾が着弾した。よろめく摩耶。
「くっそー! この摩耶さまを舐めやがって! ぶっ殺してやる!」
摩耶が2連装砲を構えながら森に向かって駆け出した。
「あ、あの馬鹿! 姿が見えてない敵に向かって突撃するなんて!」
碧輝は呟くと、ガードレールの陰から立ち上がった。次の瞬間、碧輝もまた森に向かって駆け出したのだった。
(つづく)