摩耶さまが行く!   作:皇南輝

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ゲーム 『艦隊これくしょん』の世界から艦娘・摩耶が、令和の日本で暮らす近衛碧輝(このえあおき)の部屋に現れた!摩耶は装着している連装砲でいきなり砲撃したり、突然、部屋から飛び出したり、と奇怪な行動に碧輝は困惑する。はたして、摩耶は何のために現代日本に現れたのか?


第6話 随伴艦、摩耶さま

摩耶が部屋に戻ってきた。碧輝は、面倒なことが続きそうだ、とため息をついた。

 

「提督、どうしたんだ? ため息なんかついてさー。あたしが急に消えたから心配したかー?」

 

摩耶は、うつむいている碧輝を見ながら愉快そうに笑った。摩耶の笑い声に反応した碧輝が顔を上げた。

 

「心配なんかしてねーよ! てか、いきなり外に飛び出して、こっちの世界の人間に見られたらどうするんだよ?」

 

「見られるくらいならいいんじゃないか? 減るもんでもないしさ!」

 

事の重要性が分かっていないのか、笑顔のままで答える摩耶。そんな摩耶に、碧輝は一瞬言葉を失った。

 

「なんだ、提督。もしかして、嫉妬してるのか?」

 

「嫉妬?」

 

「そうさ。提督は、あたしが、こっちの世界の男たちに見られたくないんだろ?」

 

摩耶がニヤニヤしながら碧輝の鼻先まで顔を近づけた。碧輝は驚いて目を丸くした。碧輝は摩耶から顔をそむけると、そのまま彼女に背を向けた。

 

「摩耶、ここはお前がいるべき世界じゃないんだ。今すぐ帰りなよ」

 

碧輝は摩耶に背中を向けたまま自分が望むことを伝えた。すると、碧輝と摩耶だけしかいない狭いワンルームに沈黙が訪れた。摩耶の反応が気になった碧輝は、振り向いて摩耶を見つめた。摩耶は玄関に落ちていた自分の帽子を栗色の頭にのせていた。そんな摩耶に、碧輝は呆れて言葉を失った。摩耶は、左手で小さな丸い帽子を押さえながら碧輝を見つめた。

 

「なあ、提督。さっきも言ったけどさ、帰るにも帰り道が分からないんだよ。それにさ······」

 

「それに?」

 

「ああ、なんでもない。とりあえず、この摩耶さまが提督の護衛をしてやるからさ。安心しなよ」

 

摩耶の言葉を耳にした碧輝は彼女に少しばかりの疑念を抱いた。

 

摩耶の奴、何か隠してるな······。だけど、摩耶自身が帰り方を知らないのならどうしようもない。摩耶がゲームの世界に戻る方法を見つけるまで部屋にかくまうしかないか······。

 

バイトの時間が迫っている碧輝は、とりあえず摩耶を部屋に置いておくことに決めた。

 

「仕方ない。ゲームの世界に戻る方法が分かるまで部屋にいればいいよ」

 

碧輝は低い声で呟くように摩耶に伝えた。さらに言葉を続ける。

 

「ただし! 絶対に部屋から出るなよ! これだけは守ってもらう!」

 

「はあ? こんな狭い部屋に摩耶さまを閉じ込めようってのか?」

 

摩耶は本当に分かりやすい。すぐに摩耶の表情が険しくなった。

 

「仕方ないだろ。摩耶は、こっちの世界の人間じゃないんだぜ? そんな連装砲を身につけた女の子が街を歩いていたら目立つどころか、すぐに警察に捕まるよ」

 

「なんだ、そんなことか。大丈夫だぜ、提督。この摩耶さまの連装砲があれば警察が束になってかかってきても吹き飛ばしてやるからさー!」

 

摩耶は、連装砲を得意げに掲げながらケラケラと笑った。そんな摩耶を見つめながら碧輝は呆れてため息をついた。

 

「とにかく、俺は今からバイトに行かないといけないんだ。せめて、バイトに行っている間だけでも留守番していてくれよ」

 

摩耶は黙りこんだ。無言のまま碧輝の顔をじっと見つめている。

 

「なんだよ、急に黙り込んで。言いたいことがあるなら······」

 

「なあ、提督。やっぱり、提督とはいえ、留守番の命令には従えないなー。ここは、やっぱり、摩耶さまが提督の随伴艦として一緒に出撃するぜ」

 

摩耶が碧輝の言葉を遮って真顔で答えた。摩耶の意図がさっぱり分からない碧輝は首を傾げた。同時に、もうどうでもよくなってきた。

 

「分かったよ。勝手に随伴艦してればいいさ。だけど、バイトの邪魔だけはするなよ」

 

「おう、任せとけ! 逆に提督の任務を邪魔する奴らは、この摩耶さまがぶっころしてやるぜ!」

 

碧輝は、これはひと波乱ありそうだ、とため息をつきながら摩耶を見つめた。摩耶は屈託のない笑顔で碧輝にウインクして見せた。

 

碧輝はバイトに出る準備を始めた。

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

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