本編が終ったら、マダラとアカリの話と、我愛羅のラブコメのネタ書きたいと思ってます。
空気が重くなったことを理解して、うちはイドラこと、千手イドラは無意識に、己の隣で寝ていた千手広間を抱え上げ、そうしてペン吉に手を伸ばそうとした。その殺気が戦場でよく感じたもので、イドラはその場から逃げ出す算段を立てる。
ペン吉に手を伸ばしたのは、偏にそれがその殺気を纏った存在に勝てないだろうと考えてのことだった。
けれど、それよりも先に、イドラは背後から伸びてきた手に捕まった。
それはイドラの顎をすくい上げるように掴んだ。己の首を這う、荒れた指先にイドラは固まった。
「・・・・ほう。」
短い声だった。それは、彼女にとって安心できる手のはずだ。けれど、今、背後から立ちこめる、三つの殺気にイドラは戦くように固まった。
そうして、持ち上げていた腰を下ろし、素直に座った。
脳裏にあるのは、戦場での記憶だ。逃げろと頭の中でがたがたと本能がなっている。もちろん、それが自分に向けられていないことぐらいは理解している。
けれど、自分で無くとも、誰かが怒鳴られている光景に気まずさというか、居心地が悪い思いをするだろう。
イドラの今は、それに似ていた。
「・・・扉間よ。」
「兄者の考えているようなことはありえん。」
「確かか?」
「山中の結界をかいくぐり、うちはの目さえもくぐり抜け、そうして、千手の住居の中心にあるこの屋敷に潜り込めるほどの存在がいれば、の話だ。」
「うちの目を抜けるか、確かにありえんな。」
喉元を、指がすりすりとこする。
その仕草には覚えがあった。扉間がイドラを可愛がるときに、そんな仕草をする。普段ならば構って貰えるとそのまま体を預けるのだが。
そんな考え、浮びもしない。するりと、指先が、己の喉元をこするたびに、まるで刃物でも突きつけられている気分になった。
ぞわりぞわりと、腹の底から何かに撫でられるような感覚だった。
(・・・・怒ってる。)
義兄の柱間は別にして、扉間もマダラも、怒りの感情に関してはひどく激しい。
怒鳴って、怒っているとわかりやすく示している。
けれど、イドラは知っている。
マダラが本当に怒るとき、それはまるで凪いだ海のように静かなのだ。
そうして、今、本当に怒った扉間もまた、そうなのだと理解した。
この、平淡で、静かな感情こそが、三人が本当に怒っているときなのだと。
発せられた、その言葉。
それは、絡みつくように粘着質で、そのくせ燃えさかるような苛烈さに満ちていた。
まるで愛玩動物を撫でるような指の動きに、イドラはがたがたと震える。
(せ、生殺与奪の権限を握られている!)
もちろん、殺されるだとか、そんなものはないのだが。
さすがに、戦えば、山だろうと、岩場だろうと、更地に変える人間達のマジギレの殺気を浴びれば、イドラもびびる。
イドラはちらりと抱き上げた広間を見たが、赤ん坊はのんきにくうくう寝ている。
(肝が据わってるうううう!)
イドラは現状のことなど忘れて感心していたが、また、首筋に走る指先の感触に現実に引き戻される。
扉間は、まるでいつものように、イドラを可愛がるような手つきで首を指先で撫ぜる。けれど、まるで凍り付くような視線がイドラの首に注がれている。
イドラの気分は、肉食獣に捕食される寸前に適当に弄ばれる獲物の気分だ。
(いいなあ、私も夢の世界に逃げたい・・・・)
「・・・・人格の書き換え。」
「もっと、言えるのならば、身体情報の書き換えも行う。」
ペン吉の追加の情報に三人の視線が向かったことを理解する。イドラはそれにこの殺気の中を平然としていることに驚いた。
「犯人はわからんと?」
「我はあくまで使いだと言っただろうが。そんなことをするよりも、早く動くことを勧めよう。」
「・・・尾獣の捕獲、というとなかなか難しいものがある。」
「ふん、千手柱間よ。マダラは万華鏡写輪眼を開眼しているのだろう。それがあれば、尾獣程度、操ることも造作も無い。何より、我は尾獣たちと交渉を行うためにやってきたのだ。」
びしりと翼が三人に向けられた。
「尾獣たちは気性の激しいものもいるが、穏やかなものもいる。そういったものたちから集めていけばいい。そうだな、磯撫や牛鬼から進める方がいいか。」
「いそ・・・・?」
「三尾と、八尾のことです。」
それに自分の後頭部に視線が来るのがわかった。イドラは非常に気まずい思いでそれに黙り込む。
イドラの様子に扉間はため息を吐いた。
「・・・尾獣に名前があると?」
「あるだろう。尾獣たちの名前、そうして、こう伝えればいい。長らく分かたれた、大筒木が再び交わった、六道仙人へご報告を行うと。」
「待て!尾獣たちと六道仙人はどういった関係なんだ!?」
「・・・・そうか、それさえも、貴様らは忘れ果てたか。」
苦々しさの混じった声音で、そのペンギンは吐き捨てた。なかなかにシュールな絵面だった。
「元々、尾獣たちは、六道仙人が作りだした、というのは語弊があるが。彼の人が育てたのだ。人と共に生きるようにと。だが、時が進むにつれ、人は尾獣たちの力を欲しがり、やがて、人に絶望した尾獣たちはそのまま距離を置いた。」
ペン吉は翼をぱたぱたと動かした。
「・・・忍宗を受け継ごうとした、後継者達の末が散々に殺し合っていたのだから、それもまた当たり前か。」
「ならば、それで尾獣たちと交渉が叶うと?」
「ああ、といっても、けして人を信じぬというものがあるだろうが。その時は、力尽くで連れてこい。後は我が何とかしよう。」
「といっても、尾獣たちを連れてくるのは避けた方がよいのだが。」
「そんなことを言ってる場合か!?」
「今、他国でそれぞれ里を作る動きが出てきている。火の国で尾獣を集めるような動きがあった場合、そのまま火の国と他の国で戦争が起こる可能性もある。」
「イドラがどうなってもいいと!?」
「そう言っているわけではない!」
(どうしよう・・・・)
イドラは兄の怒りと、柱間の苛立ちに冷や汗が流れ始める。
自分のせいだ。
何か、自分自身でも把握できていないが、えらいことになってしまった。
また、戦になる?
何よりも、己のせいで。
何よりも、自分の、この命一つだけのせいで。
終ったはずなのに、また、始まるの?
腹の底が冷えていく感覚がした。ずしりと、腕にかかる重みが、いつかに、もういなくなってしまった弟たちと重なった。
「イドラよ。」
その時、また、扉間がかかっていた手を引いて、イドラを上に向かせた。
「うえ。」
「イドラよ。」
扉間は柔らかに微笑んで自分を見ろしていた。のけぞるような形で見上げた、扉間の慈悲深ささえ感じる笑みは、はっきり言おう、めちゃくちゃ怖かった。
絶対にそういった表情をするような空気で無いことは分かっているため、怖くてたまらない。
イドラは腹の底が寒くなるような感覚も吹き飛んで、がたがたと震え出す。それに尻尾があればくるんと丸まっていたことだろう。
「ひゃい・・・・」
「なんだ、そう怯えるな。」
にこにこと笑う、その様が怖い。
(何もしてない、何もしてない、本当に、何もしてない!!)
「イドラよ、お前にふざけたことをした奴に覚えはあるか?」
「な、ないですううううう。広間が産まれてから、基本的におうちにいましたし。前みたいに、修行で出かけたりも無かったし。基本的に、外に行くのも、町中にしかいきませんでしいいいいいい!」
無実ですうううう、と情けない声を上げたそれに、扉間は緩く笑った。するりと、イドラは己の首に這う、夫の指先にぞわざわと背中に駆け巡るものがある。
「そうか、わかった。」
扉間はそういうと、ようやくイドラの首から手を離した。そうして、ひょいっと、イドラと広間を抱え上げた。
「え、あの、あれ?」
イドラの不思議そうな声音など聞こえないように扉間は静かに笑った。
「マダラよ、暫く、イドラを姉者に預けたいが、大丈夫か?」
「そりゃあ、大丈夫だが。お前、どうする気なんだ?」
「・・・・兄者、マダラよ。ガキの頃、禁止はされていたが、どうしてもしたいことはなかったか?」
「だから、それが何の関係が。」
「してはいけないというのなら、簡単だ。」
扉間は瞳孔のかっぴかれた瞳で、ぎらぎらと凶悪に笑って見せた。
「ばれなければ、なかったも同じだ。」
「・・・・あれ、あんたも呼ばれたのか?」
「ああ、お前もか。」
その日、千手の男は何故か呼ばれた千手扉間の屋敷に呼び出されていた。そうして、通された先にはうちはの人間が数人と、そうして同じような千手の人間が数人。
男が声をかけたのは、顔見知りになっているうちはヒカクだった。
「あんたも扉間様に呼ばれたのか?」
「いや、私は族長様だが。呼ばれた理由は?」
「いや、知らん。ただ、急ぎとしか聞いてないが。」
そんなことを話していると、ほかのうちはの人間がわらわらと集まってくる。先ほどまですました顔をしていたのに、慣れた人間が来ると群がるようにやってくる。
「久しぶりだな。」
「お久しぶりです。」
「元気にしているか?」
(うちはの人間って物腰柔らかか、高圧的な奴の二択しかないのか?)
ただ、慣れればまあ、好意的であることがわかるのでいいのだが。
「集まったか?」
そう言って入ってきたのは自分たちを呼んだ、千手扉間だ。
不機嫌そうな彼の後に、千手柱間とうちはマダラ、そうしてうちはイズナが続いた。
それに千手の人間も、うちはの人間も気を引き締めてその場に止まった。
上座に三人が座り、珍しく、マダラと柱間の間、中心に扉間が座った。
「・・・よく集まってくれた。今日、この場に呼んだのは、秘密裏の任務を頼むためだ。」
おもむろに口を開いた柱間の言葉に千手の人間は首を傾げる。
秘密裏、なるほど、そのために事前の情報が無かったのか。
(だが、それにしちゃあ、人数が多すぎねえか?)
うちはでは門番の、と呼ばれる千手のそれは内心で不思議に思う。
現在集まっている人数を考えれば、小隊がいくつかできるほどだろう。おまけに、人選を見れば、マダラや柱間に近しい、実力者揃いばかりだ。
(ここまでの人数、実力者集めるって。戦争の準備か?いいや、それだとしても、他の氏族も少しは呼ばれてねえのはおかしい。)
他の人間の顔を見ても、情報を知っているものはいなさそうだ。
そんなことを思っていると、マダラが口を開く。
「・・・今回の任務は、氏族の長と、そうしてこの場にいる者しか知らされていない。そうして、その任務は、同胞以外に知られてはいけない。」
(おいおい、まじか。)
男は顔を引きつらせた。それは、その任務が大名達へは知らされず、あくまで里内だけで完結すると言うことだ。
(それはさすがにまずいだろう。)
自分たちはあくまで国に仕えるという名目がある。そこまでの独断は赦されるのか?
(ばれたらえらいことになるんじゃ・・・)
そう思っていた男の耳に、さらなるとんでもないことが飛び込んでくる。
「任務の内容は、尾獣の回収だ。」
それに息を飲む音がしたけれど。はてさて、それは、誰のものなのか。
「扉間様!」
千手の人間が、任務内容を告げた扉間に叫んだ。そうして、彼に近づき、そうして首を振った。
「その言葉の意味をわかっておいでか!?」
「そうです!尾獣など、あれの力を求めてどれだけの人間が犠牲になったのか知っておいででしょう!?」
「そうです!捕獲など、出来るはずがありません!」
その言葉に扉間は無言で後ろを指した。その先にいるのは、当代最強と名高い、木の葉の双璧。
それに思わず黙り込む。
そりゃあ、その人たち出されたら、黙り込むことしかできない。というか、その二人でかかればぶっちゃけ出来そう。
確かに、という納得の空気が漂うが、すぐに正気に戻った。
「い、いいえ!確かにお二人ならば可能でしょうが!仮に尾獣を捕獲できたとして、他国からの非難は避けられません。」
「そうです。木の葉の里は、ただでさえ、お二人がおられるというのに。」
それに、門番の男は顔をしかめた。
現在、他国でも里作りが進んでいる。それは、木の葉隠れの里の運営が順調であるからだ。元より、因縁の深すぎる千手とうちはの氏族の同盟は早々と瓦解すると思われていた。けれど、そんな予想なんてなんのそので、すでに混血の子まで生まれている。
それに慌てたのは、他の忍達であり、そうして他国の大名だ。
千手は木遁使いの柱間に、参謀役の扉間。うちはは万華鏡写輪眼のマダラとイズナがいるのだ。
それでさえも過剰戦力といっていいのに、もしかすれば、次代からも同じほどの存在が出てくるかも知れないのだ。
それに対抗するという意味合いもあり、里作りが行われている。このまま、尾獣捕獲が叶えば。
(いや、マダラ様と柱間様ならたぶん出来る。)
もう、それに関しては安心と安全の二人なのだ。ならば、捕獲は確実だろう。だが、現状、これ以上の戦力、つまりは尾獣まで手に入れてしまえば、下手をすれば警戒した他国の連合軍との戦争になる。
「・・・イドラが何かの術にかかった。」
それにうちはの人間からひりつくような敵意、いや、殺気とも言える何かが湧き上がる。扉間はそれに目をつぶり、息を吐いた。
「その術は、強いて言うならば山中一族の心転身の術に似ている。他人の体を乗っ取るものだ。」
「・・・それは、だれが?」
刺すような感情が、己の隣からわき上がる。男は見たくねえと思いながら、ちらりと隣をうかがった。そこには、写輪眼をかっぴらいたうちはの人間がいた。
(うわあ、みんな写輪眼で光っててきれいねえ。)
現実逃避のようにそう思った。
隣の千手の同胞があからさまにびくっと肩を揺らしているのはご愛敬だろうか。
「・・・犯人の目星はついておらん。ただ、里の人間に同じような人間がいないか探してはおる。そうして、この術には尾獣が関係しておることはわかった。」
「なるほど、そのために・・・・」
男は納得した。あの、現実主義の扉間が何をそこまでと思ったが、それにあの人が関わっているのならと頷いた。
そんな中、千手の人間が声を上げた。
「確かにイドラ姫の安否は重要です!ですが、あまりにもそれは危機感がなさ過ぎます!たった一人のためにそのような!」
「貴様、イドラ様が死んでも良いと!?」
「そうだ、あの方の危機なのだぞ!?」
「だが、そうだとしても、あまりにも危険が過ぎるだろう!」
その言葉にうちはの人間が全員立ち上がり、そうして、千手の人間に食ってかかる。男はやばいと慌てて、千手の人間をなだめる。
「おい、止めろ!」
「静まれ!」
びりびりとしたマダラのそれに、その場は静まりかえる。そうして、沈黙の後に扉間は口を開いた。
「全ての責はワシが取ろう。」
「な!」
男はあんぐりと口を開けた。
いや、だって、扉間だぞ?
いっくら、色ボケ、変態、卑猥なことに全振りになっている昨今であれど、男はやはりどこまでも理性的で、合理的で、感情など置いて来ていて。
(責任って、それで済むような問題か?)
確かに扉間は地位も高く、重要な人間だ。けれど、今回の問題はそれで片が付くのか?
(・・・・やはりか。)
扉間は静かに事の騒動を見ていた。
その反応は予想通りだった。
うちはの人間はいい。けれど、千手はそうはいかないことは理解していた。けれど、尾獣の捕獲など、千手の人間に知らせないわけにはいかず、そうして、早急な回収には人手がいるため、ばらさない手はない。
また、氏族の長達には術のことを伝え、尾獣を調べると言うことは伝えている。
こういう時、忍最強の双璧たる二人の男が兄弟だと非常に便利だ。
なんとかすると言ったときの安心感と信頼度が半端ないので、説得は早かった。
何よりも、氏族達にはあくまで調べると言うことで済ませている。さすがに、彼らも尾獣を回収と言うことに関してすぐに判断を下すことは難しいだろう。だが、イドラのことを考えれば、そんな悠長なことをしている暇はないのだ。
イドラは同盟の要で有り、そうして、己の息子の母なのだ。死なせるものか、誰が、奪われて堪るものか。
何よりも、扉間にはどうしても六道仙人に会いたい理由があった。
(人の嫁に、何を粉をかけてやがるのか!)
扉間の脳裏にはイドラから聞いた話が浮んだ。
(六道仙人様ですか?お膝の上に載せてくれて、頭を撫でてくださいました!)
は?
扉間の眉間に青筋が浮んだのはまた別の話だろう。
前々から気になっていたが、仙人だかなんだか知らないが、何を人の嫁さんに粉をかけてるんだ?
というか、妻に似てるからって人の嫁さん、膝の上に乗せるか?
ぜってえ、一言、二言言ってやる!
金輪際、イドラに近づかないように言い含めてやる!
仙人とか関係ねえ、夫として絶対にイドラから引き離す!二度と現れないように、封印でも何でもしてやる。
扉間はそんな思惑も込みで、尾獣の回収に乗り出したのだ。
(・・・・千手の人間も、うちはの人間も、おそらく、ワシがイドラを溺愛しているがために強行を行おうとしていると思っているのだろう。)
それでいい、扉間自身、今回は散々な目にあっているが、自身の勘違いを逆手に取ることにした。
扉間が尾獣について接触が図れると知ったとき、彼の脳裏には一つの考えが浮んだ。
そのまま、尾獣の力を運用することは出来ないか?
正直、扉間も尾獣については制御をしたいのが本音だ。あんな、天変地異の権化のような存在が闊歩しているのははっきり言って迷惑だ。
ならば、どうするか?
(尾獣自体を封印し、その力を運用することが出来れば。)
それについてはうずまきの封印術をあさっている。そうして、それが叶えば、他の里への分配について考えていた。
元より、扉間は戦力についてできるだけ均等にすることで、三すくみのように戦争の勃発を避けたいのが本音だ。
何よりも、尾獣を制御しようとするなんておごった思想をする人間はいない。ならば、例え、尾獣がいなくなろうとも、人気のないところに引っ込んだのだろうと誰もが思う。
元より、尾獣の存在する地域に近づく者もいないため、ばれる可能性も非常に低いのだ。
そうして、どの里も、尾獣の力というそれを前にすれば、受け取らないという選択も出来ない。
(尾獣については回収時に封印し、その後は他の里への分配で黙らせればいい。そうして、事前にばれた場合も、交渉である程度、色をつければよいだろう。他里の人間も、うちはと千手、そうして、猿飛に志村、おまけに日向が連合を組んであせっておるだろうし。)
ただ、さすがに扉間も尾獣の捕獲に関しては己一人では無理であるし、確実に兄たちの力は必要だ。が、さすがにその二人も尾獣の捕獲には難色を示すだろう。
扉間はほくそ笑んだ。
そうだ、うちはの人間は扉間のイドラへの愛に熱狂してそれを受け入れるだろう。
千手の人間も、なんだかんだでイドラにほだされているものは多い。危険だと口にしても、尾獣の力の運用(本命)について話をすれば、納得はするはずだ。
扉間は内心で悪い顔をした。
ふ、今まで散々な目に会ってきたが、今回はその勘違いを受け入れよう。どんどん、勘違いして、今回の尾獣の回収の賛同が増えればいい。
(事前に、この件は兄者たちにも根回しをしている。それ以上のことなどない・・・・)
そこでうちはの一人が立ち上がり、扉間に叫んだ。
「扉間様!もしや、責任を取るとは・・・そんな、扉間様、自身の命をかけておられると!?」
部屋に訪れた沈黙。
扉間の背中に、嫌な汗が伝った。
なにか、非常にまずいことだけは理解した。