すみません、扉間様のショタ化の続きではなくて、自来也たち三忍の日常になります。何か、無性に書きたくなってしまって。
「・・・・はあ。」
その日、自来也はふらふらと歩いていた。丁度、なんとか終えた締め切りの後の事だ。
体力的には問題ないが、精神的な疲労の元、その日は倒れるように寝てしまった。
そうして、起きればとっぷり日は暮れている。
腹が減ったと起き上がれば、悲しいかな、籠りきっていた自宅には食材なんて存在しなかった。
のそのそと何かを買いにと出かけたものの、さすがに商店などはすでに閉まっている。
(さすがに空きっ腹はなあ・・・・)
などと考えていた自来也の目に、何やら屋台が飛び込んできた。この辺りに、あっただろうかと考えたが、それよりも空きっ腹の方が堪えた。
自来也はそのままいそいそと屋台に近づいた。
「で、なあーんで、お前らがいるんだ!?」
「それはこっちの話だよ。」
不機嫌そうな綱手の声に自来也は顔をしかめた。それに綱手は酒で赤らんだ顔のまま、隣の大男を見る。
「あんた、うっさいわよ。」
「大声も出るわ!というか、大蛇丸、お前、いつの間に帰って来とったんだ?」
「私用があったのよ。」
「なんだ、一言いやあ、飯にでも誘ったというのに。」
それに大蛇丸はふんと息を吐いた後、大根を口にする。そんな同期、というか、同じ班であった子どもたちだった彼らを見て、おでん屋の店主は目を細めた。
「ふふふふふ、いいですねえ。久方ぶりの同窓会ですか。」
それに自来也は目を見開いて、叫んだ。
「わしは、何よりもあんたに聞きたいんだが!?何をしとんだ、カザリ様!?」
「何を、とは?私はしがないおでん屋ですが?」
きょとんとした顔をした男は、不思議そうな顔をした。うちは一族を思わせる秀麗な顔立ちと、そうして、黒い髪に黒い瞳、そうして、それに混ざる一房の赤髪。
多趣味な男ではあるが、とうとうおでん屋まで始めているとは驚いた。
「マヒルをまた困らせてないでしょうね?」
「・・・自来也、カザリのおじ様に何を言っても無駄だぞ。」
「おや、酷いですね、綱手ちゃん?」
カザリのそれに、綱手はごほりとむせる。
「おじ様!頼みますから、ちゃんづけはどうにかしてください!」
「嫌ですか?元々、あなたがそう呼べと言ってきたのに?」
「・・・・若かった頃、狭間なんかがばあさん呼ばわりしてきたのが気にくわなかったんです。おじ様まで呼ばなくても。」
「おかげで、うちの身内、ちゃんづけが根付いてますものねえ。変えたのなんて、気を遣ったオビトぐらいでしょうし。」
がっくりとうなだれる綱手を横目に、自来也は気にしない方がいいと思い居直る。そうして、空きっ腹だと注文をする。
「なら、カザリ様、なんか適当にくれないか?」
「おや、お酒は?」
「今日は何にも食ってないんだよ。」
「おや、そうなのですか?」
「・・・・どうせ、またくだらない小説でも書いてたんでしょう?」
「くだらねえとはなんだ!?」
「カザリ様、うどんあったでしょう?おでんのおだしで出してあげたら?」
「ですね、少し待ってください。」
大蛇丸はどこ吹く風で隣でそんな注文をする。それにカザリは準備を始めた。それに自来也は大蛇丸を睨む。
「お前な、人の仕事をくだらないとはなんだ!?」
「・・・・あら、くだらないでしょう?」
大蛇丸は心底不機嫌そうな顔をする。
「自分の理想の女を捜す旅がてらに書いてる小説をくだらないといって何が悪いの?」
それに自来也はぐうの音も出ない。言外に、お前、忍者だろうがという副音声が聞こえる。
「お前も懲りないな。」
「五月蠅いぞ・・・・」
「自来也、何ですかお前、まだ初恋を引きずってるんですか?」
それに対して自来也は思わず黙り込んだ。
自来也という男は尊敬している男が幾人かいるが、その中に入っている男、千手扉間。彼の人を尊敬しない男なんてこの世にいるだろうかと思っている。
そんな彼に自来也が憧れるのは、もちろん、その突き抜けたスケベさの他に、もう一つ理由がある。
それは、男の妻についてだ。
当時、うちはマダラの家に通っていた自来也はそこで一人の女に会う。
「あれ、君は、誰かな?」
「・・・・あのとき、わしは、雷に打たれたんだ!」
自来也は拳をぎゅっと握りしめた。
覚えている、鴉の濡れ羽のような黒い髪、黒曜石のような瞳、そうして、秀麗な顔立ちに浮かべられたあどけない表情。
体質なのか、若々しいままの女に、自来也の中で何かが鳴り響いた。
「それで開口一番に結婚してくださいってイドラの大叔母様に告白して、扉間の大叔父様に面会禁止にされたんだろう?」
「うるさい!知らなかったんだよ!見た目的に、うちはの誰かだとしか思っておらんかったんだ!」
「それで、形作られた性癖に忠実になったと。」
「カザリ様、言い方を考えてください・・・」
自来也は気まずい思いをしながら、目の前のうどんを啜る。だしの利いた汁で食べるうどんは非常に旨い。
そうだ、あの日、まさしく初恋と言えるそれにあった自来也であるが、数日も経たないうちに見事失恋を果し、おまけに夫の扉間に警戒されてなかなか会わせて貰えなかった。
いいや、子どもであることを笠に着てイドラに抱きついていた自来也の自業自得なのだが。
そんなこんなで、自来也というそれは旅を趣味にしている。
何故って?
(いつか、わしも、イドラ様のような人と、なんて思っているが。)
それで結婚し損ねているのだから笑える話だろう。
結局、三人の中で結婚したのなんて綱手ぐらいだろう。自来也はここまで気の強い女を惚れさせた加藤ダンに感心する。
「ですが、それなら、うちの母様はダメでしたか?美人でしたよ?」
のんびりとしたそれに、三人の肩が三者三様に震えた。
「カザリ様!」
「あり得ないでしょう!」
「あんな例外に惚れる方なんていないでしょう!?」
がたんと立ち上がった三人に、カザリは口元を隠して悲しそうな顔をした。
「おや、ひどい。我が母上にそのような・・・・」
それに三人はそれぞれ苦い顔をした。
うちはアカリ、この名前を聞いて震え上がらない木の葉隠れの里のクソガキはいないだろう。
かくいう自来也も、なかなかのクソガキであったため、彼女には散々に扱き倒された。それこそ、火影岩から彼女の封印術の鎖で吊り下げられたことさえある。
記憶の隅で、初代様もつるされていた気がするが、多分、記憶違いだろう。
そうして、自来也の両隣の二人も又、幼い頃に彼女に叱られたことがあるため、その態度もわかる。
めっちゃ怖いのだ。
身に染みついた、逆らわない方がいいという感覚はけして拭えず、女はそのままある意味で伝説になっている。
おかげで、自来也がすっかり勝ち気な女が苦手になってしまった。ちょっかいはかけても、本格的に手を出すなんてことは出来なくなった。
(あの人に惚れられておるマダラ先生はすごい・・・・)
自来也は心の中でマダラへの尊敬を深くした。というか、若干、うずまき系統のクシナに惚れた愛弟子の趣味もわかんねえなあと思っている。
「猿は母様が初恋だったんですけどねえ。」
「・・・・身内のそういう話、聞きたくないんですが。」
「えー。そう言わず。いやあ、懐かしいですねえ。母様に構って欲しいから散々にいたずらをしては、怒られて。」
「・・・・猿飛先生は、女の趣味が悪いわね。」
「ふふふふ、そういう大蛇丸はどうですか?」
その言葉に大蛇丸の持っていた箸がかすかに揺れた。それに、大蛇丸は睨みつけるようにカザリを見た。カザリはおやおやと淡く笑う。
その言葉に自来也が飛びついた。
「お、なんだ、大蛇丸、好いた女がいるのか?」
「・・・・あんたには関係ないでしょ?」
「は?関係あるに決まってるだろう?」
自来也はひどく真剣な目で大蛇丸を見る。それに大蛇丸は驚いた顔をして、思わず自来也を見返した。
その空気に綱手とカザリは、おおっと二人のことを見る。
「・・・・ネタに困っとるから話を聞かせんか!女の落とし方ぐらい、教えてやれるしな!」
バキ!
「うっ!!」
短い音共に、自来也はカウンターに突っ伏した。それに会わせるように、カザリは自来也の目の前の食器類を素早く引き上げ、綱手もまた自分の皿などを持ち上げる。
「・・・カザリ様、おかわり。」
「はいはい。」
短い距離の中、的確な腹へのエルボーに自来也は呻く。
「お、お前、さすがに酷いだろう!?」
「昔なじみの恋愛話、メシの種にしようとしたあんたに言われたかないわよ!」
「仕方が無いだろうが!狭間の奴とも情報交換しとるが、なかなかいいネタがないんだよ!」
「だからってあんたにだけは、絶対言いたくないわ!」
「やはり、好いた奴がいるんだな、この、憎い奴め!」
二人の話を聞きながら、綱手は酒を啜る。
「・・・・カグラの姉様が現役だった頃は互いにもっとピリついてたのになあ。」
「まあ、父様や叔父様達が色々と退かれた後でしたからねえ。ただの小娘と侮って、戦争が始まってすぐのことでしたし。」
「にしても、大蛇丸のやつも丸くなったな。火影になると、色々と根回ししてた時期もあったのに。」
「それはそうでしょう。それを気に入った姉様に色々と連れ回されて懲りたようですから。」
その言葉に綱手の脳裏には、うちはカグラに連れ回されて疲れ切っていた男の姿が思い浮かぶ。
綱手、火影って、大変よ。大名連中の機嫌伺いまでは予想してたけど。あたし、うちはの人間とずっと話してたら、狂いそうになるわ・・・・・
それっきり、大蛇丸は自分には向いていないと火影になることは諦めた。まあ、わかる。
火影になるというのイコールで性格はさておいて、能力だけはくそ高いうちはの人間と密接に関わっていくのだ。
そうして、なんだかんだ面倒見のいい大蛇丸はそのままずるずるとうちはに懐かれ、とうとう家出した。
家出、というか、実質抜け忍なのだが、上の人間も大蛇丸に押しつけ過ぎた自覚はあるらしく、特別な取り計らいで、今は音の里に出向している扱いだ。
今は、音の里で広間と連帯して研究を続けているそうだ。
(・・・・なんだかんだ、ライバル視していた日向も、全体的に真面目な性格が災いして、振り回されたあげく、ツーマンセルになってるのもいるし。)
「というか、綱手、あなたは帰らなくてもいいんですか?」
「今日はダンが帰らないからな。深酒だ!」
「まあ、私も今日は遅くまでやる気ですけど。ほどほどにしないと、姉様呼びますからね?」
「・・・・控えます。」
綱手はがっくりと肩を落とした。
千手の姫君なんて言われる綱手だが、頭が上がらない存在は多くいる。
それは、まず、千手ならば誰もが頭を垂れるアカリの大叔母だ。
祖父に賭博について教えられたとき、二人で叱られたあげく、千手柱間が火影岩からつるされたのを覚えている。
そうして、兄貴分と姉貴分の千手広間と、うちはカグラだ。
幼い頃から叩き込まれた関係性は見事に綱手を締め付けている。
「綱手!」
「なんだよ、自来也!」
「お前は、大蛇丸の好いとる奴、知っておるのか?」
それに綱手はちらりと大蛇丸を見た。教えたら殺すと言っているその目に、綱手はそっと目をそらす。
「命は惜しい。」
「なんだ、ケチだのお。」
むすっとしたそれに大蛇丸は大きくため息を吐き、立ち上がる。
「もう、よろしいので?」
「ええ、この馬鹿といると疲れる。」
「はあ!?久しぶりに会ったというのに、もっと何か言えんのか?」
それに大蛇丸は答えずさっさと屋台から離れていく。
「大蛇丸!帰る前にちゃんと、広間の兄様に挨拶してくださいよ!あなたの後見人なんですから!」
「わかっています!」
そのまますたすたと去って行くそれに自来也も立ち上がった。
「追いかけるのか?」
「おお!ぜえったいに聞き出してやる!」
そう言って料金をおいて、大蛇丸の後を追いかけていく大男の姿に綱手は呆れた顔をした。
「あいつら、いつまでああしてるんだ?」
「さあ?春が来るまででは?」
「あんた、本当にしつこいわね。」
「いいだろうが、昔なじみと話したいという健気な心だぞ?」
「好奇心でしょうが。」
暗い夜道をそのまま歩いて行く。
そうしていると、大蛇丸が口を開いた。
「昔馴染みって言ったって、いったいまともに話もせずにどれだけ経ったのだ。あたしは、別の里で、あんたはふらふらと他の場所を旅してるし。執着する意味がわかんないわ。」
その言葉に、自来也はきょとりとした。そうして、ああと笑った。
「なんだ、ひどいこと言うの。寂しいと言ったのは、お前だろ?」
それに大蛇丸は夜の道を歩いていた足を止めた。そうして、心底驚いたような顔をした。自来也はそれに気づかずに、歩きながら昔のことを思い出していた。
当時、猿飛ヒルゼンの元で同じ班になった綱手と、そうして大蛇丸であったが、お世辞にも仲が良いとは言えなかった。
綱手はいいとして、大蛇丸に関しては本当に気にくわなかった。お高くとまっていて、女とも男とも言えない中性的な容姿は少女達にも人気があったことが面白くなかった。
そのせいでよく突っかかっていった自来也であるが、あるときのことだ。珍しく、大蛇丸を見かけた。
それは、偶然通りがかった墓場のことで。
(あいつの両親が死んだ時だったか。)
そんなことも知らない自来也は軽く声をかけてしまった。黙りこくった大蛇丸に無視されたと思った自来也はいきり立って怒鳴り、そうして、よくよく目の前の墓を見て後悔した。
それは、大蛇丸の両親の名前があったのだ。
「・・・・お前、一人になったのか?」
幼い自来也には言える言葉なんてそれぐらいで。それに大蛇丸はのろのろとようやく顔を上げた。
「だったら、何?」
それはいつも通り、平淡そうで。けれど、なんだか、らしくなくて。
「だったらって、お前、そりゃ、悲しいし、寂しいだろ?」
無表情のまま、動じないそれが気まずくて、自来也は視線をうろうろとさせる。
「・・・・そうか。」
大蛇丸は自来也の言葉に、ふっと空を見た。
「寂しいのか、な。」
自来也は、その顔に。今まで、いけ好かなくて、気取ってて、つまらなさそうな少年の顔に、初めてそれに胸がぐずりとうずくような気がした。
だから、自来也は咄嗟に大蛇丸の手を握った。
「お、おれはいるからな!」
「・・・何言ってるの?」
「だから、お前の側におれはいるから。おれだけは、絶対、どこにもいかないから。お前のこと、見てるぞ。そうしたら、寂しくはないだろう?」
幼い子どもの戯れ言だ。きっと、その、クールぶった少年の、初めて見る弱り切ったそれに、自来也はその手を握ったのだ。
今にも、どこかに行ってしまいそうなほどであったから。
(あの後、先生も来たなあ。そういえば。)
「・・・・どこにもいかないって言ったのはそっちでしょう?」
「なんか言ったか?」
後ろから聞こえてきたそれに、自来也が振り返った。そうすれば、大蛇丸が呆れた顔をしていた。
「そんなこと覚えてたの?」
「そりゃあな。あのとき、ようやく、お前のこと仲間と思えたし。」
「仲間、ねえ。」
大蛇丸はふっと笑った後、自来也にひらひらと手を振った。
「付いてきても、何も教えないわよ。大体、子どもだっているんだし。恋とか、それとか、してる暇ないもの。」
「子ども!!??」
夜に響くそれに、大蛇丸は振り返える。そこには、あんぐりと口を開いた男がいた。
「いつのまに!?嫁さんは!?結婚しとったのか!?」
「嫁なんていないわよ。」
「え、お前が産んだのか?」
混乱のあまりそういった自来也に、大蛇丸は少し考えた後、笑った。
「そうよ。」
「はあ!?」
「何驚いてるの。別に、性別を変えることも、胎を作るのだってできないわけじゃないしね?」
にっこりと微笑んだそれの顔には、幼い頃のようなあどけない表情が浮んでいた。それに、自来也は父親が誰であるのか、とんと聴けずにいた。
自来也
ずっと平和な世の中なので、後継教育の後は好きにしている。数日で散った初恋を引きずりまくっている未練がましい男。
黒髪ロングで細身の女が好み。アカリから受けたトラウマのせいで綱手のことは恋愛対象に見れなかった。ある意味で、恋に恋している男。
大蛇丸
両親以外はそこそこどうでもよかった天才。両親の死に、ぐらついていた脳を自来也に焼かれた。ずっと側にいるとか言っといて理想の女を捜して里にいない自来也に怒っているが、約束を覚えていたことにまた脳が焼かれている。
白い髪の子がいる。容姿はたぶんBORUTO版
綱手
多分一番幸せ。弟も生きてるし、旦那もいる。
ただ、親戚一同に頭が上がらないし、アカリのことはトラウマになっている。
カザリ
趣味の多い男。不定期に屋台を出しては里の噂話など集めている。
猿飛
初恋はアカリ。いたずらして叱り飛ばされるのを喜んでいたのは黒歴史。そのせいか、マダラが苦手。
扉間
妻の周りにスケベなクソガキが湧いてバチキレた。
扉間は
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女の子が欲しいが、息子しか産まれない
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女の子がすぐに産まれる
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女の子が欲しくて、末っ子に産まれる
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どっちでもいい