すみません、ショタ化の続きではなくて、リクエストであった原作軸の千手兄弟がこの世界線に来たらという話です。
どうしても、こっちが書きたくなっていまいまして。
その日、千手扉間という男は本当に運が悪かった。
例えば、予定した締め切りが早まっただとか、兄の賭博場への通いが多くなっただとか、他からの要望の調整だとか、目が回るほどの忙しさだった。
「扉間よ?」
「・・・・ああ?」
もう、ぶっ通しでどれほど机に向かっていただろうか、兄が話しかけてきたことに頭を上げた。
「大丈夫か?」
「・・・ああ。そろそろ、休もうと思っていたところだ。」
「そ、そうか。あと、お前に頼まれていたものだ。」
扉間は目をしょぼしょぼさせて兄から巻物を幾つか受け取った。それに千手柱間は心配そうな顔をする。
現在、細かな調整を扉間が担っている。柱間は良くも悪くもそういったことに向かないし、下に振るとしても命令系統があまり出来ていない今、難しいことが多くある。
「休んでおるのか?」
「今は、踏ん張りどころだ。」
ぼやく言葉と共に、扉間はあまり巻物を確認せずに、封を解く。
それが、きっと間違いだった。
もっと、確認を行えば良かったのだ。なのに、なのに、扉間はその時、回らない頭とがたつく体と、そうして、薄れそうな意識が全ての間違いを引き起こしたのだろう。
ふわりと、浮遊感に襲われた。
「な、何だ!?」
柱間の声と共に扉間は視界が暗がりに切り替わったことを理解した。そうして、そのままその場に降り立つ。いくら疲労が溜まっているとは言え、腐っても忍である男は易々とそれを行った。
「これは、時空間忍術か?」
柱間が慌てた様子でそう言えば、扉間は意識に渇を入れ、そうして持っていた巻物に目を向けた。
「・・・兄者。」
「お、おお、どうした?」
「この資料、棚の、三段目のどれを取ってきた?」
「右から二番目であろう?」
それに扉間は眉間に皺を寄せた。
「ワシは、左からと言ったのだ!」
「そ、そうだったか!?すまん!」
「もういい。にしても、これは、作りかけの術か?あそこには何を・・・」
扉間がぶつぶつと呟いているが、柱間はぐるりと周りを見回した。その部屋は、どうやら書庫のようで、狭い部屋の中に所狭しと巻物や書物が置かれている。
「にしても、ここはどこだ?」
「・・・おそらく、そこまで遠くではないだろうが。」
「おい、扉間よ、これを見ろ。」
その言葉に視線を向けると、そこには千手の家紋が書かれた箱が置かれていた。古びたそれの中身を見ると、雑多なものが放り込まれていた。
「一族の誰かの家か。」
「勝手に詫びを入れねばならんな。」
「ともかく家人を探すか・・・」
身内の証を見つけた二人はともかくと部屋を出た。扉間は一応はという警戒、そうして家人を探すために周りを探った。
そうすれば、数人の人間の存在を感知した。
「誰かいるようだな。」
「そうか、にしても、誰の家だろうな?」
そんなことを言いつつ、二人は一応、詫びだけは入れねばと歩みを進めた。
そうすると、庭に面しているらしい縁側に出た。
それは、目が眩みそうなほど、明るい場所だった。
柔らかな日光の射した縁側には、布団が並べられている。けれど、その布団の上には家の人間なのだろうか、三人ほどごろ寝している。
それに柱間は笑みを浮かべた。
母君に怒られるぞ、なんて言葉が出そうになった。
けれど、そんな言葉はすぐに喉の奥に引っ込んだ。いいや、隣にいた弟さえも息を飲むのが聞こえた。
その布団の隣に、少年が一人、いた。ぶらんと縁側に足を放り出していた。
齢は十になるか、なってないかという程だろうか。自分たちに背を向けて、何か書物を読んでいるらしいそれは、白と、黒に分かれた特徴的な髪。
いいや、それだけではない。
それだけではないのだ、柱間がその子どもに目を奪われたのは。
「い、たま・・・・?」
喉の奥で、戦くように、張り付くようにあった言葉が柱間のそれから漏れ出た。それに少年はゆっくりと振り返った。
その面立ちは、ああ、弟と瓜二つで。あの日、物言わぬ骸になって帰ってきた幼い末の弟。いいや、あのときよりも少しだけ成長しているだろう顔立ちだった。
少年は、柱間と扉間の顔に驚いた顔をしたが、すぐに表情をほころばせて立ち上がり、二人に駆け寄る。
「どうしたの?」
それは可笑しそうな、そんな顔で自分たちを見上げた。
柱間はそれに動揺するように戦いた。
これは、なんなのだろうか?
一族に、こんなにも弟に似た子どもが産まれたなんて話があっただろうか?
そうであるのなら、血縁として近いはずだ。
いいや、違う、幻覚なのだろうか?
それとも、もっと。
柱間はふらふらとその子どもに手を伸ばそうとした。その、丸い頬に手を伸ばそうとした。
けれど、その手は隣にいた扉間に振り払われた。そうして、その板間にそっくりの子どもの胸ぐらを掴んだ。
「何が目的だ?」
「え、え?」
「扉間、子どもぞ!?」
扉間は柱間の言葉など気にもとめずに子どもを見下ろした。そうして、子どものことを睨みつつ、観察した。
動作としては、困惑が一番だろうか?
特別、悪意などは感じない。けれど、その見目は何だ?何を目的にしている?
(・・・ならば、先ほどの家紋こそ罠か。)
扉間はこの場が自分たちにとって安全な場所なのか、それさえも疑ってその子どもに手を伸ばす。
ひとまず、人質に取って、この場が安全かどうか確認だけでも。
そう思ったとき、何かが自分に突っ込んでくる。
扉間は咄嗟の動きで、その何かに取り出したクナイを向ける。けれど、そのクナイを、何かは同じように弾き、そうして、跳び上がったそれは天井に逆さに着地する。
柱間と扉間はその何かに視線を向けた。
そうして、驚く。
それは、一人の見目の良い少女だった。おそらく、年齢としては十数か、そこらだろう。
夜のような黒い髪に、白磁の肌。そうして、朝焼けのような赤い瞳をしていた。
けれど、その纏う衣装と、そうして、顔立ちは何を見てもうちはのものだろう。
その赤い瞳は自分たちを捕らえた瞬間、まるで墨を垂らしたかのように、巴が浮び上がる。
(写輪眼!)
扉間は咄嗟にまぶたを閉じて、子どもから距離を取るために後方に下がる。
「ひーろま!ぱす!!」
「はい!」
「うああああ!」
軽やかな少女の声と、少年の声が二つ。
それに、扉間と柱間は声の方向から少女がどこにいるのか予想して、目を開く。そうすると、板間によく似た少年を囲い、自分たちを見ている。
それに、柱間と扉間の目が見開かれた。
何故って、その少年達の顔には覚えがあった。
一人は、未だ幼かったために薄れてはいるが、確かに記憶があるだろうその顔。
「うちは、タジマ・・・・」
扉間の口から漏れ出たそれに次、柱間は口を開く。
「瓦、間?」
そうして、もう一人。
それは、よくよく見れば扉間によく似た髪の色をしていた。顔立ちも扉間によく似ていたけれど、纏う空気の朗らかさは二番目の弟に似ていた。
そうして、その三人の前に立つ、写輪眼で自分たちを睨む少女。
「・・・・何者だ。」
ギラつくような瞳の中、少女は怖じ気づくこともなく、柱間と扉間をねめつける。
「この屋敷が誰ぞのものであるのか知ってのことか?いいや、ずかずかと入り込んできた無頼者の分際で、家人に手を出すとは恐れ入る。」
せせら笑うようなそれに扉間の眉間に皺が寄る。けれど、それを慌てて柱間が止める。
「ま、待て!家に勝手に入ったのは俺たちの方だろう!?」
「・・・・兄者、あれを見てそんなことが言えるのか?」
それに柱間は何と言えばいいのかわからなかった。目の前の、少女を除いた子どもたちの顔。それは、何というか、悪意を感じないと言えば嘘になる。
そんな顔の子どもがいれば、噂ぐらいは知っているはずだろう。いいや、逆に知らされなかった。
けれど、そんなことがあり得るのか?
その前に、ここはどこだ?
そうでないのなら、ここは、一体。
「・・・・おい、無礼だと理解しているのなら、名の一つでも名乗ったらどうだ?それとも、名も名乗れん程度の人間か?」
「何を・・・・」
少女がそんなことを吐き捨てると、ぱたぱたと、間抜けな音が聞こえてきた。
それは、丁度、柱間達の右側のふすまの向こうから聞こえる。それに、少女達の顔に焦りが出る。
「広間ー?どうかしましたかー?」
間延びした声と共にひょっこりと顔を出したのは、一人の女だった。
それは、少女とよく似た顔をしていた。
違うのは、黒い瞳だけなのだろう。そうして、その纏う空気だろうか。
顔立ちや、その服装から女がうちはの人間であることは理解できる。けれど、まるで小春日和のような、柔らかな空気を纏っていた。
それだけで、どこか、見たことがないような異端を見るような気分だった。
それは自分を見て、まるで、花が開くように微笑んだ。それに扉間は女が目を引く程度に見目が良いことを理解する。
「あれえ?柱間様に、扉間様?どうかされましたかー?」
「あれ?」
女が不思議そうな顔をして、自分たちを見上げた。そうして、同じような間延びした声が女の足下から聞こえた。
そうすると、そこには幼い、白髪の少女がおり、自分のことを不思議そうに見つめている。
「母上!こちらに来てください!」
その言葉に目の前の女は不思議そうに扉間によく似た少年の方を見た。それに、白髪の幼子だけが嬉しそうにてとてとと部屋を横切る。
それに少女がいち早く反応し、白い髪の幼子を攫うように抱えて、後ろに匿う。それに、女は何か異常事態を察したのか、少女達の方に向かおうとした。
けれど、それを扉間は腕を掴んで引き留めた。
「え?」
不思議そうな顔をしたそれに扉間は口を開いた。
「・・・ここは誰の家で、あれらは誰の子だ?」
「おい、叔母様を離せ!」
「・・・叔母、なら、ここはやはり木の葉の。」
「黙っていないで、答えろ。」
柱間の言葉を無視して、扉間はたたみかけた。それはうちはの人間であるのならば何故、千手の屋敷にいるのだ?
写輪眼になった時のことを考えて、女の胸の辺りに視線を向ける。
それに女はおずおずとした声で話し始めた。
「こ、ここは・・・・」
「くそ!カザリ!もういい、吹け!」
「はいはい、準備は出来ていますよ。」
そんな言葉に扉間は少女達の方に視線を向ける。そこには、巻物を広げ、何かを口寄せした。
(・・・・ホラ、貝?)
頭の上にどでかい疑問符が浮んだと同時に、少女達は耳をふさぐ。
そうして、タジマによく似た少年はそれを構え、高らかに笛を吹いた。
ぶおおおおおおおおおおおおおおおおん!
とんでもない音量で辺りに響き渡る。そうして、吹き終わった少年、カザリと呼ばれたそれは爽やかに微笑んでホラ貝を下ろした。
「練習した甲斐がありました・・・・!」
満足げなそれの後に、女が目を見開いて叫ぶ。
「ああああああああああ!吹いちゃったんですか!?」
「不審者がいるんだから、当たり前です!」
「不審者って、どこに。」
(なんの合図だ!?)
扉間はそう思った瞬間、庭を囲んでいた塀の上にわらわらと何かが集まってくる。
「どうされましたか!?」
「カグラ様?」
「カザリ様、また、吹きたくて吹いたとか言わないでくださいよ?」
「広間様!?」
「なんだなんだ・・・」
「扉間様たち、駆けつけるぞー」
「今日って、アカリ様はどうしてるっけ!?」
それは、見覚えのある千手の人間と、そうしてうちはの人間達が幾人も連れ立って、堀を越えて庭に入ってくる。
「あれ?扉間様?」
「なんでこんな時間に・・・」
「カザリ様、また吹きたくて吹いたんですか!?」
「・・・・お母上からお叱りが来ますよ?」
「やべ、俺、ずらかるぞ。」
「おい、どこ行く気だ?」
わらわらと、なんだなんだと集まってきたらしい両氏族の人間は部屋の中の柱間と扉間を不思議そうに見た後、呆れた様子で扉間達を見た。
「扉間様?こんな時間にどうされたんですか?」
「柱間様、早く執務に戻られた方が!」
「アカリ様、どうされてたっけ?」
「だが、扉間様もいるのだから、何か用があるのでは?」
扉間と柱間はその光景に目を白黒させた。何というか、彼らの知る両氏族とはあまりにもかけ離れていた。
なんというか、非常に和やかだった。互いに雑談を交わしながら、柱間と扉間を心配そうに見つめる。
(アカリ、とは誰だ?)
「おい!それは、二人に似ているが、不審者だぞ!」
「不審者って何を。」
「叔父上たちによく似てるが、まったく違う!変化の術か何かを使っているんだ!」
「そのようなこと・・・・」
何て言っていると、扉間は己の隣に何かが現れたことを理解した。それに視線を向ける前に、女の腕を掴んだ手を何かが払いのけた。
「・・・・昼間に何があったのかと思えば。」
そこにいたのは、自分と鏡映しかのようなそれ。
「人の姿を取って、家に入り込むとは。」
いい度胸をしているな?
そう言ったのは、まさしく、己自身、千手扉間の姿があった。
ホラ貝
トラブルほいほいの子どもたちに持たされている防犯ブザー代わり。こりゃあやばいと思ったら吹けと言われている。カザリが一番吹くのが上手い。
時々、里に響くホラ貝はある意味で名物になっている。
扉間は
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女の子が欲しいが、息子しか産まれない
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女の子がすぐに産まれる
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女の子が欲しくて、末っ子に産まれる
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どっちでもいい