千手扉間に責任を取って欲しいうちはイドラの話   作:藤猫

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感想、評価ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

前からずいぶんと間が開いてしまってすみません。切りのいいところまで書けたので一端投稿します。

次回は里ぶらりになるのかな?

身内向けに書いたこのシリーズのR18ものを投稿してみましたので良ければ読んでみてください。


番外編:それが自分であるなんて、絶対に認めたくはない 6

 

 

「今日何しようか?」

「おうちでのんびりとは行かなくなりましたしね。」

「外れの方で鍛錬でもしますか?」

「おじ上、ちゃんと付いてきてくださいよ。」

「あ、ああ。わかっておるよ。」

 

千手柱間こと、初代は自分の手を引いている少年に頷いた。それに、少年はうんうんと頷いた。

その少年は、不思議な髪色で、頭の右と左で綺麗に色が分かれている。白と、黒に分かれたその様はやっぱり男の末の弟によく似ていた。

 

(・・・兄者。警戒を。)

(わかっておるよ、わかって、おるよ。)

 

自分の隣に立つ弟の言葉に、初代はこくりと頷いた。けれど、己の手を握る、幼くて暖かなそれに初代は少しだけ涙ぐんでしまいそうになった。

切り替えるには、少しだけ遠い昔の残光が目映すぎて。

それに千手扉間こと二代目はため息を吐いた。

彼は己の隣をちらりと見た。そこには、なんともまったりとした空気を纏った、己と瓜二つの少年がいた。

 

「どうかされましたか?」

「いいや。」

「ああ、もしや、僕だけにお二人のことを任されたのが気になっておられるのですか?」

「・・・・他にもおるだろうが。」

「そうですねえ、カグラにカザリもいましたねえ。」

 

言外に、自分たちに付けられた忍がいることを示せば、少年は笑みを深くした。それがなんとも言えない脳天気というのだろうか。

ふにゃふにゅとした覇気の無い笑みのせいか、体から力が抜けていく気がした。二代目の頭上にはさんさんと太陽が降り注ぎ、青い空が広がっている。

こんな風に暢気にしているのは何故だろうかと、思い出す。

 

 

 

二代目は千手扉間の罠(自傷)に怒り狂い襲いはしたが、さすがに千手柱間二人とうちは兄弟たちには勝てず、取り押さえられた。

その横でイドラがえーんと泣いていた。

 

「貴様!ワシを道連れにしおって!」

「ふん!こちとら落ちる名などないのでな!」

「これ以上悲しい話ってありますか?」

 

ぜーぜーと言いながら扉間と二代目はにらみ合う。そこで埒があかないと、最初の話題に戻ったのだ。

 

 

うえ?猫の話ですか?

ええっと、事象における多面的な可能性について観測についての話、だっけ?

うん?あれ、違うんだっけ?でも、これって量子物理学の話だから関係ないのかなあ?

え、量子物理学の話?うーん、うーん。せ、説明が難しい・・・・

あ、話がそれた。

ええっと、例えば、ここに箱があります。この箱の中に猫を入れます。そうして、この箱には箱を閉めた後、二分の一の確率で毒が中に吹き出すようにします。

え?猫が死ぬか?

・・・・猫が、死ぬのは、やですね。うーん、あ、いれるのは何かわからない、生きてる何かにしましょう!

それならいいですね?

はーい、いいですね。

えっと、それでですが。

例えば、ここでその何かを箱に入れるとします。箱の中はわからないので、毒をくらった何かが死んでいるのか、生きてるのか、私たちにはわかりません。

さて、何かは生きているのか、死んでいるのか。

箱の中には、生きている何かと、死んでいる何かが存在している。

 

「でも、箱を開ければ事実がわかります。そうなれば、例えば開けた先で生きている何かがあったとすれば。死んでいた何かはどこにいったのか。」

 

 

(辿った可能性は、観測できないだけでどこかで続いている。)

 

その女は、それを平行世界と言った。

二代目としてもその話については理解は出来た。辿ったかも知れない可能性の先はどこに向かうのか、消えるのではなく、違うものとして自分たちが観測できないどこかにあるというのは考えられないものではない。

 

「・・・それはお前の考えなのか?」

「いいえ?私のじゃないです。」

「これは未来視のようなものが出来るのだ。」

 

扉間はそう言って、自分の隣にいる千手イドラのほっぺたを片手でもちもちと触る。

いちゃつくなあ!と叫びたかったが、また話が戻るのがわかっていたため、ぐっと歯がみした。

何はともあれ、これからどうするという話になった。

 

「監視でもつける?」

 

うちはイズナの言葉に二代目は不機嫌そうな顔をしたが、それも妥当かと理解する。少なくとも、ここは自分たちの里ではないようだ。ちらりと見た、隣にいた千手柱間こと初代はじっとうちはマダラのことを見ていた。

 

(里抜けまでされてまで、兄者は・・・・)

 

苛立ち混じりにそう思っていると、扉間の声がした。

 

「広間。」

 

短くそう言った言葉に、部屋の端で妹を膝の上に置いて和んでいた少年が返事をした。

 

「はーい?」

 

間延びした、それこそ母親そっくりの声音で言った。少年はにこにこと、常に笑っているせいか糸目のように見える顔のまま扉間に近づいた。

 

「なんでしょうか?」

 

自分にそっくりのはずだ。けれど、その間抜けな、なんとも言えないまったりとした声音には違和感というものはない。

そののんびりとした仕草や空気のせいだろうか?

 

「あちらの兄者達にはお前がつけ。」

「「「「はあ!!??」」」」

 

呼ばれた広間にそう言った扉間の言葉に、二代目はもちろん、マダラたちも驚きの声を上げた。

 

「おい!さすがに砂利共に任せんなよ!」

「ダメに決まってるでしょ!?」

「そうだぞ!?扉間!」

「いくら何でも、ワシらのことを舐めておるのか!?」

「扉間よ、さすがに己のこととは言え過信しすぎだろう?」

 

両者からされる批難に、扉間はええいと振り払うように答えた。

 

「ええい!なら言うが、そちらの兄者とワシの実力を鑑みて、だ。二人を拘束できるような設備はない!」

「なら、貴様が見張るなり、なんなり方法はあるだろうが?」

 

二代目の言葉に扉間は据わった眼で顔を近づけた。

 

「聞くぞ?ワシならばわかるはずだ。そんな暇があるとでも?」

 

その言葉にマダラはもちろん、初代や他の面々もあーまあねえと視線を泳がせた。

現在、少なくとも扉間はマダラやイズナにまで仕事を徹底的に振っているので二代目よりは負担は少ない。

ただ、それはそれとして調整役である彼はそのしわ寄せが一気にやってくるため仕事量は多いのだ。

 

「突然やってきた貴様らに割く暇はない!!ともかく、今日の仕事を終らせて、そっちの兄者達のことは後だ、後。」

 

扉間の言葉と同時に、何か、人影が彼に飛びかかる。それは、背中をよじ登り、肩に手をかけて背後から扉間をのぞき込むように見た。

 

「おっじ上!私も!私も、こっちのおじ上達と遊んでもいい!?」

「カグラ、遊びではないのだぞ?」

「えー、でも、こっちのおじ上達は仕事ないんでしょ?久しぶりに木遁見て欲しい!」

 

その言葉に扉間はこれ幸いと返事をした。

 

「おお!行ってこい!」

 

力強い扉間のそれに二人はカグラに引きずられてそのまま家を出たわけだ。

 

 

「・・・・・お前な。」

「いくら、カグラが強くても。」

「さすがに危険ではないのか?」

 

呆れたような兄と、義兄弟の言葉に扉間は肩をすくめた。

 

「・・・ワシが頼んだのは、カグラではなく広間だ。大体、それがわかっておるから本格的に止めんかったんだろうが。」

 

それに柱間達は、まあそうではあるがと互いを見る。

 

「あれのことだ。すでに、あやつらに植え付けておる。そうでなければ、あんなにもあっさりと頷くはずがなかろう。」

「なら、このまま広間に監視を続けさせるの?」

「大体、あいつが柱間と同様の力量なら監視なんざ無意味だろうがな。」

「ただ、あちらの俺?が木遁使いであるのは事実であるし。やはり、俺なのだろうなあ。」

 

扉間は己の足下で出て行ったカグラたちに晩ご飯までには帰っておいでよーなんて暢気を噛ましていた女を抱き上げた。

何故だろうか。

その瞬間だけ、ちまっと、二頭身に見えるそれを抱き上げた扉間は無言で女の後頭部に顔を埋めた。

 

(((またやってる・・・・・)))

 

すうううううううと深呼吸の音が聞こえる中、当の本人は慣れた様子でぷらーんと抱えられている。

それに兄貴達は若干の哀れみの籠った視線を向けた。

 

つかれてんなあと。

いや、疲労の理由もわかりはするためなんとも言えない空気感をともなってそれを見つめる。

千手の男である扉間は太鼓判を押せるほどに体は頑丈ではあるが、それはそれとして精神的にべっきりと行くことはあるようだった。

そんな扉間の精神的な癒やしには近くに丁度いい存在がいるわけで。

それが一番効くらしい。

 

マダラは、それについて己の妻に聞いたことがある。

あれってお前的にセーフの類いなのか?

 

それに妻は遠い目をして首を振った。

 

「死んだ眼のあれが、一心不乱にイドラのほっぺた揉んでるの見たら、一周回って哀れで。」

 

周りの人間も、扉間の激務具合は理解しているので、嫁さんの体臭で元気になるならええんやないとスルーしている。

イドラはイドラで、扉間の役に立っている!と心なしか顔をきりっとさせている。

 

「・・・・それに、だ。」

 

扉間はイドラの後頭部から顔を上げてカグラ達が去って行った方向を見た。

 

「広間の術は、チャクラが多ければ多いほどによく効くからな。ワシらとは、良くも悪くも相性が悪い。」

 

扉間の言葉にマダラとイズナは苦い顔をした。

広間の術ほど、初見での攻略が難しいものはない。いいや、少年に近づいてしまったその時点で、術に嵌まってしまっているのだ。

マダラは鼻孔を突く甘い匂いに顔をしかめた。ある意味で、すでに自分の体の中にも根付いているのだろうか。

 

「・・・・まあ、時間稼ぎならそれもそうか。おい!」

「すでに、二人ほど付けております。」

 

マダラの言葉に、お茶も終わりかと勝手に片付けに入っていたうちはの人間が返事をした。

 

「まあ、今日の分だけでも終らせて、早くあっちの扉間達のことなんとかしないと。アカリのねえさん、あと少しで帰ってくるんじゃない?」

 

その言葉に綺麗に千手の人間達の動きが止まる。

そうだ、今回、この騒動に一番に駆けつけそうな女がいないのは、彼女がうずまきの里に用事で出かけているためだ。

それに、千手の人間がそっと逃げ出そうとする。それに、誰よりも早く柱間が肩を掴んだ。

 

「おい!逃がさんからな!」

「ああああああああ!知りませんからね!?俺たちは関係ないですから!!」

「柱間様が二人になったからって俺たちは関係ないでしょう!?」

 

他にも逃げ出そうとする存在はいたが、柱間はそれらを木遁によって作りだした蔓で捕らえていく。

 

「俺、この前叱られたばっかなんですよ!」

「そんなもの俺だってそうだぞ!?」

「賭博して服まで剥がされた柱間様が悪いんでしょう!?」

「そういうお前だって、嫁さんを怒らせて姉上に仲を取り持って貰ったんだろうが!?」

「俺のそれと、柱間様じゃあ過失も重さが違いすぎませんか!?」

 

わちゃわちゃと千手の人間たちがアカリを恐れてそれぞれのやらかしを叫んでいるのをうちはの人間はまたかあと見つめていた。

 

「・・・ほんと、柱間さんと千手の人間って仲いいね。」

 

イズナの呆れ半分のそれに扉間は首を振った。

 

「あれは仲がいいとは言わん。連帯感が無駄にあると言うんだ。共通のことが多すぎる。」

 

その場にいた人間達の殆どが、幼い頃はおねしょの後始末から大人になって妻との喧嘩の仲裁を頼んだ者まで幅広くアカリに頭が上がらないものしかいないのだ。

イズナとマダラはそれに扉間の腕の中できりっとした顔をしている女に視線を向けた。

 

まあ、それは、そうねと頷いた。

 

「ですが、アカリ様もこちらの話を聞いてくださらないわけではない。ならば、叱られるとは限らないのでは?」

「「「姉上/アカリ様に詰められるのを考えるだけで恐ろしいんだ!!!」」」

 

綺麗にそろった声に、普段の行いが悪いせいだろうとマダラは呆れた。

 

「・・・ともかく、ワシらがいない状態で、おまけに付いているのが子どもだけなら。目的というものが見えてくるだろう。」

「また、失敗すれば損失がでかいことを・・・」

「だが、今現在の懸念は、何故あいつらがここにいるかということよりも、ここで何をしたがるか、だな。」

「あ・・・」

 

マダラがそう呟けば、イドラが声を漏らした。それに扉間が己の足下を見ると、そこには野ねずみが座っていた。

それはひょいひょいと扉間の足を昇り、肩に飛び乗った。

 

「来たな。」

 

その鼠自体は特別なことはない。それこそ、口寄せをするような類いのものではない。けれど、その鼠は不思議なことに頭の天辺に花が咲いていた。

扉間は嬉しそうにその鼠の首をかいてやった。

 

「眼がばらまかれたのなら、後は情報が入ってくるのを待つだけだろう。残りの仕事を終らせるか。」

「飛雷神は?」

「用意はしておる。飛ぼうと思えば飛べる。何よりも、ペン吉と月兎も付いておるしな。どうする?お前も一応いくか?」

「・・・いいや。下手な眼があれば、食いつかねえだろう。」

「なら、一旦待機か。」

「なら、一旦、火影邸に戻るのか?」

 

もみくちゃになっていた柱間のそれに、扉間は頷いた。

 

「急ぎのものがあるからな。行くぞ。」

 

扉間はそう言って部屋を出て行く。それを見ながら、部屋にいた全員が思った。

 

イドラのことを、連れてくんだ。

扉間の腕の中にいた女は不思議そうな顔のまま連れて行かれた。

 

 

 

 

扉間は

  • 女の子が欲しいが、息子しか産まれない
  • 女の子がすぐに産まれる
  • 女の子が欲しくて、末っ子に産まれる
  • どっちでもいい
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