千手扉間に責任を取って欲しいうちはイドラの話   作:藤猫

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感想、評価ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

すみません、ちょっと過去と現代のカグヤについての話です。三話で終ります。



フォロワーさんにマダアカと扉イドのFAいただきました!
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番外編:カグヤという女について

その日、木の葉の里の、任務関係の受付ではどこかそわそわとしている空気が漂っていた。

 

(・・・・そう言えば、今日か。)

 

うみのイルカは己に向けられる視線を理解しながら、仕事に集中しようと目の前の書類を見つめた。

そんなとき、かたんと、机の上に何かが置かれる音がした。

その音にイルカは顔を上げた。

そこには、一人の女が立っていた。

それを見て、イルカは一瞬、等身大の人形でも立っているのかと錯覚した。

 

美しい女だった。

まるで雪のような肌に、絹糸のようにさらさらとした黒い髪。黒と白で構成された女は、腕利きの職人が丹精込めて作ったかのように美しかった。

ぴくりとも動かない表情のせいか、それから生気のようなものが感じられない。それが、人形染みた何かに見えるのだろう。

けれど、何よりも目を引くのはその瞳だ。

 

真っ黒な、瞳だ。

まるで新月の夜のように、しんと静まりかえった、真っ黒な瞳だ。

吸い込まれるという表現がしっくり来る瞳にイルカは必死に渇を入れて視線を引き剥がした。

机の上に置かれた書類を受け取り、そうして、手続きをした。

 

「お疲れ様です・・・」

 

イルカのそれに、女は動くこともなくじっと己を見つめ続ける。それに、イルカは何か不備があっただろうかと考えるが、それにようやく思い立つ。

 

「・・・・おかえりなさ、い?」

 

それは正しかった。

イルカが、そう言った瞬間、女は言葉の通りまるで花のように微笑んだ。

可憐で見目麗しい人形のような顔に、まるで幼子のようにあどけなく、子犬のように愛嬌に満ちた笑みが浮べばどうなるだろうか?

 

「うん!ただいま、イルカ先生!」

「は、はい!」

 

イルカは熱くなる頬を隠すように首をすくめた。

 

(ああああああ!今日も可愛い!)

 

 

 

うちはカグヤ、この人名はおそらく、木の葉の里でも相当に有名だろう。

二代目火影の孫であり、三代目火影の娘なんて肩書きはそれだけできらめいているとさえ言える。

それと同時に、忍界隈でも超が着く名門というのだろうか、著名な家系のうちはと千手の血を引き、血継限界である写輪眼を開眼、それと同時に木遁まで使えるなど属性盛り込みすぎだろうとツッコミが入るレベルである。

おまけに当人も相当優秀な忍だ。

イルカが知る限り、困難な任務をやり遂げている。

 

が、それ以上に、やはり考えてしまうのは。

 

(今日も可愛かったなあ、カグヤさん・・・)

 

可愛いのだ、これがまた。

うちは一族独特の美麗な容姿に加えて、愛らしくぽやぽやとした空気感のギャップが溜まらない。

普段の、人形染みた冷たい空気が、懐いた人間を目の前にすれば一変して花開くように笑うのだ。

それが、まるで気高い生き物が、人の足にすり寄るような仕草で。

 

イルカはアカデミーの廊下を歩きながら、ちらりと自分の手の中のそれを見つめた。

 

どんぐりである。

まんまるとして、傘が着いた、立派などんぐりだ。

 

どんぐりって。

アカデミーの生徒でさえも、もうちょっと、こうあるのに。

上忍で、S級ランクの任務さえもこなす女であるのに、贈り物がどんぐりなのだ。

イルカの脳裏には、それを自分に渡して、ばいばーいと控えめに手を振っていく様を思い出した。

美人からの微笑みが自分に一直線に、それこそ好意を隠さないそれはなかなかのインパクトだ。

 

(でもなあ・・・・)

「イルカ先生?」

 

熱っぽいため息を吐いていたとき、声をかけられ、イルカは肩をふるわせた。

 

「え!?あ、ま、マヒル先生・・・・」

 

振り向いた先にいたのは、一人の男だった。

 

「どうかされましたか?」

 

その男、うちはマヒルはどこか気遣わしげにイルカのことを見た。

 

 

 

 

マヒルというそれの特徴を一言で言うのなら、二代目火影であるうちはマダラと、見た目が瓜二つであることだ。

当たり前で、彼はマダラの長男であるうちはカザリの息子であるのだから当然だが。年のいった人間はマヒルの顔を見るだけで思わず頭を下げたり、びくりと肩をふるわせるほどには似ている。

ただ、さすがに彼のような長髪ではなく、さっぱりと刈り込まれた短髪だ。けれど、それ以外はまったくといってそっくりだ。

ただ。

 

「何か、深刻そうと言うか、考え事をされていたようですが何かありましたか?」

 

柔らかな声音でそう言ってくる男は、気遣わしげに自分を見ている。

 

「い、いえ!なんでもないですから!」

「そうですか。ですが、何かありましたらいつでも相談してください。私に無理なことでも、これでも伝手は多いので、解決案が見つかるかも知れませんから。」

 

そう言って控えめに笑うさまにイルカは、優しいいいいいいと胸の中で叫んだ。

マダラを知るものがいたら、さぶいぼが立っているだろう光景だった。

 

そのまま二人は隣だって歩き出した。

教師として働いているマヒルとは、基本的に生徒の話になる。

 

「サスケは、上級授業ではどんな感じですか?」

「少し調子に乗るところはありますが、それはそれとしてきちんと学んでいますよ。」

「それはよかった。」

 

といってもマヒルはただの教師というわけではない。忍の養成のためのアカデミーでは、やはりどうしても体術など、実力が飛び出てしまうものが出てくる。

そのために、一部の力量に達した子どもには別口で上級授業というものが存在している。ただ、クラス自体を分けては将来は同僚になることが決まっている他の生徒と溝が出来てしまうことを考えて、あくまで一部の授業を別にしている。

そんな授業を担当しているのがマヒルだ。

 

やはり、飛び抜けた実力がある子どもは有名氏族の出身が多く、下手な大人では舐めている場合が多い。

そう言った中、有名氏族出身で、腕利きである彼はうってつけの存在だった。

何よりも、彼は子どもにはある程度恐れられている。

何故、といわれると一言で済むだろう。

マヒルというそれが見た目は祖父に似ているが、中身は赤毛の祖母似である。

 

(すごいなあ・・・・)

 

年がそう違わないが、優秀で、そうして教師として結果を出しているマヒルにイルカは尊敬の念を向けた。

そんな中、マヒルは恐る恐るというような顔をする。

 

「ところで、イルカ先生。その、カグヤが何かしていませんか?」

「え?い、いいえ。何か、この頃よく話しかけて来てくださるんですが。」

「そうですか。ですが、何か、迷惑だと思うならばすぐに言っていただきたい!」

 

食い気味のそれにイルカはおずおずと頷いた。

イルカはそれに、少しだけそうだよなあと納得した。

 

 

マヒルからすればカグヤは可愛い妹分だろう。

うちはや千手の人間達がカグヤのことを可愛がっているのは有名な話だ。そんな彼女が自分のような、言っては何だがぱっとしない男の周りをうろついてるのは面白くはないだろう。

その様子に何かを察したのか、マヒルは手をぶんぶんと振った。

 

「い、いいや、気にしないでくれ!あくまで、カグヤが迷惑をかけていないか気になっただけだ。その、あの子は周りから甘やかされていたから。」

 

気を遣わせてしまったことを理解して、イルカはなんとも言えない顔をした。

というよりも、イルカ自身、ずっと悩んでいるのだ。

 

なぜ、カグヤというそれが自分の周りをうろついているのか。

 

カグヤとイルカが会ったのは、それこそ、ほんの数ヶ月前だ。見回りで校舎の屋上を訪れた際、そこで爆睡を決め込んでいたカグヤにあったのだ。

 

(おお。)

 

イルカは思わず、まじまじとそれのことを見つめた。何と言っても、その顔は文句の付け所のないほどに愛くるしい。

生徒の一人である、うちはサスケの母親であるうちはミコトに似ていた。けれど、ミコトよりも、幼く、そうして小柄な体は庇護欲を誘った。

 

イルカはそれに、少しの懐かしさを感じた。

本当のところ、イルカは一度だけそれに会ったことがある。イルカが中忍になって 少ししたときの任務だった。

機密文書を運ぶというそれを、他の忍に襲われたとき。

 

思い出すのは、黒い獣が、それらをあっさりとのけてしまったとき。

イルカはぼんやりとその時のことを思い出す。

 

(・・・・本当に顔がいいな。)

 

不躾であれど、芸術品を鑑賞するような心持ちだった。

そこで、ぱちくりと、丸まったそれの瞳が開いた。それにイルカは体をのけぞらせた。

その、澄んだ、真っ黒な瞳は、何の感情も浮んでいないように見えた。

それに一瞬だけ、恐れを抱いたけれど、次の瞬間、それはほころぶように微笑んだ。

 

「誰?」

 

にっこりと、人形のような、美麗な顔にある無表情さから一転。にっこりと、それこそ、花のように、人に懐く犬のような愛嬌が足されたそれは文句なしに愛らしい。

 

「え、あ、あ、アカデミーの、うみのイルカです!」

 

イルカは寝込みを襲っているような状況であることに思い至り、慌てて叫んだ。それに、女は不思議そうにイルカを見た後、また、にっこりと、子猫のような愛らしさを浮かべて、イルカの方に顔を寄せた。

 

可愛い、いい匂い、無礼、いろんな事が頭をぐるぐると回っている中、それはイルカに甘えるように言った。

 

「私、うちはカグヤって言うんだ。」

よろしくね?

 

そう言って、女は夢のように美しい笑みを浮かべて見せた。

 

 

それからだ。

カグヤという存在が、イルカの生活の中に入り込んでくるようになったのは。

任務から帰ってくればいの一番に会いに来るし、イルカを見つければ寄ってくる。

何故かはわからない。

カグヤ自体、にこにこと笑っているだけで何かをイルカに望むことはない。イルカも又女慣れしていないせいで何故かを聞けない。

 

(本当に、何でだろうなあ。)

 

イルカはそんなことを物憂げに考えた。

 

 

 

 

「はあ・・・」

「元気がないな。」

 

うちはマヒルはため息を吐いていると、後ろから声をかけられた。それに振り返れば、彼にとっては親類に当たる千手蔵間が立っていた。

ツートンカラーだった髪は、だんだん白髪が多くなって父親のような雪景色になりかけているのが悩みらしい。

 

「蔵間のおじさん、珍しいですね。」

「うん、まあ、ちょっと用事でな。さっきのが、あのうみのイルカ君?」

 

蔵間は今ではすっかり、うちはと千手の間で時の人になっている存在の名前を口にした。

それにマヒルはええと頷いた。

この頃、ずっと気にしている存在にマヒルはどうしたものかと考える。

 

「やはり、カグヤは、その、うみの先生のことを好ましく思っているんですかね?」

「鈍いねえ。どうみても、そうだろう?」

「・・・・ですよねえ。」

 

はあとマヒルはため息を吐いた。

それに、蔵間はさもありんというか、同意するように頷いた。

悲壮な顔をした二人であるが、別段、イルカのことを悪く思っているだとかではない。

ただ、彼らの悩みの原因はうちはカグヤのことだった。

 

「・・・・力の扱いは、わかっているはずです。」

「そこら辺は、まあ、わかってるとは思うがなあ。」

 

ああ、心配だと二人はため息を吐いた。

二人にとって、うみのイルカにじゃれつくカグヤというのは、偏に、中型犬にじゃれつく熊を見ている気分なのだ。

 

「誰が、この世におじ上二人の強さを足して割らずにぶち込んだ存在を爆誕させるんだろうなあ。」

「さすがに、さすがに、乱暴に扱わないとは、思いますが。ただ。」

 

うちはと千手の両氏族はすっかり、全盛期ほどの数はいない。ただ、なんだかんだで続く交流の内、うちはカグヤは非常に有名だ。

もちろん、うちはの、まさしくアイドルであったイドラに色々と似ているのはそうなのだが。

それ以上に、持って生まれた資質と言えるものがカッ飛びすぎていた。

最強と最強の血筋を混ぜたらすごいの生まれんじゃね?を地で行くような馬鹿の思想の元生まれてしまったその娘は、それはもう強かった。

本気を出すほどのこともないために、皆、まあ強いんだろうなあと言う認識の元で動いているが。

上の人間達や身内は知っている。

 

それが無意味な強さを持って爆誕していること。というか、それ以前に、カグヤの中にいる存在もやばいのだが。

 

おかげでマヒルなんかはドキドキだ。

先ほども言ったとおり、柴犬の周りをヒグマがうろついているようなスリリングな気分になるのだから。

 

「・・・・まあ、あの子にも恋愛感情があるんだと思えば、めでたいんじゃないか?」

「できるだけ良い感じで言おうとしてるんでしょうが、厳しいですよ。というか、どうして扉間のお祖父様の系譜の女達はこう、カッ飛んだのが多いのか!?」

「それって、うちの娘のこと言ってる?いやあ、婿のガイ君、面白いけどなあ。」

 

目の前で頭を抱えるマヒルと見つめて、蔵間は考える。

 

(・・・それを言うと、マダラのおじ上の系譜の男は情けないのが多くないか?)

 

 

 

 

ごろーんと、うちはカグヤは祖父で有り、二代目火影であるうちはマダラの顔岩の上にいた。

つんつん頭は、転がるには不便な部分が多いが、それはそれとして真上からしか見つからないので気に入っている。

まるで、昼寝をする猫のように丸まっているカグヤの足下に誰かが立つ。

それにカグヤは目を開けて、そちらのほうに視線を向けた。

そこには、真っ白な髪に、薄い藤色の目、そうして、額にはかっと見開かれた三個目の目玉がある、美しい女が一人。

というか、頭に角が生えているので人ではないのだろうが。いいや、この世にはもっと尖った装いをしているものもいるが。

それは、ノースリーブのセーターにジーパンという今時の装いをしていた。

それはカグヤを威圧的に見下ろして叫んだ。

 

「カグヤ、貴様、男の口説き方というものをわかっておらぬ!!」

 

それにカグヤはしぱしぱと目を瞬かせた後、またごろりと転がった。

 

「寝るな!!」

 





うん?ナルトにサスケに春野のところの子か。どうした?
ふむ、課外授業でキン角とギン角たちの騒動の話を聞いてくることになった?
懐かしいな、ダンゾウ。
・・・・懐かしいと言うより、悪夢だろう。にしても、あれは悲劇だった。

当時、里同士の同名で里の影同士での立ち会いがあったわけだが。
そこでクーデターが起こったわけだ。
悲惨だったなあ。
ああ。
当時、二代目になったばかりのマダラ様が喜々として迎え撃って。共闘にはしゃいだカグラ様も飛び出して。
ぼっこぼこだったなあ・・・・

今でも先生の、殺すなよ!?生け捕れよ!?ころ、ばっかもん!!という声が思い出されるよ。
その後、期待するほどじゃなかったと、ズタボロの相手側を引きずって来た二代目とカグラ様のしょんもり顔が懐かしいな。
いやあ、ほんとに馬鹿だろ、あやつら。
あの二人が出た時点ですることないですねえと茶をしばきだしたカザリ様と蔵間様に助太刀行かなくていいのかと焦ったが。
本当に必要なかったなあ、ヒルゼン
というか、代替わりしたからといって、何故、二代目ならいけると思ったかわからん。
いけんだろ、普通。
いや、あれよりも、里に留守番されてた初代様が、ずるいぞ~俺もマダラと戦いたかった~とうざがらみされてるほうが面倒だったな。
まあ、というのが、当時の記憶だな。

・・・・・なあ。
うん。
ああ。
悲惨な歴史を聞いて来いって言われたけど、これって悲惨な話?
相手が悲惨ではあるな。

扉間は

  • 女の子が欲しいが、息子しか産まれない
  • 女の子がすぐに産まれる
  • 女の子が欲しくて、末っ子に産まれる
  • どっちでもいい
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