千手扉間に責任を取って欲しいうちはイドラの話   作:藤猫

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感想、評価ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

短めです、次回で終って、その次からそれが~続きも投稿します。


番外編:カグヤという女について 3

 

 

「・・・・カグヤの婆様、うるさいよお。」

「五月蠅いではないわ!まったく、お前はどうしてそうなのだ?」

 

呆れたような声を出して、大筒木カグヤはうちはカグヤの両脇に手を入れて猫よろしく抱き上げる。そうすれば、びろんと伸びた末娘が眠そうにしぱしぱとまぶたを開け閉めする。

 

「もう良い年であろうが!もう少し、あぷろーちの仕方というものがあるだろうが!」

「うーん・・・・」

 

カグヤはそれにゆっくりと目を見開く。

それと同時に、少女の髪は真っ白に、そうして瞳は真っ青に染まる。その瞳は、澄んだ青の中に魔方陣のような紋様が浮び、そうしてぐるぐると忙しなく回転している。

それと同時に、カグヤは抱き上げられた腕からずるんと、それこそ女の腕をすり抜けるように離れた。

 

「こやつ、また!」

 

それにカグヤ、皆からわかりにくいからと婆様と呼ばれているそれは呆れたように声を上げた。

地面を見れば、不満そうな白髪の髪をしたカグヤがいた。

それに呆れる。

 

「まったく貴様というやつは。」

 

カグヤはその場に座り込み、そうして、ぐしぐしと目をこする。婆様は眠たげなそれの頬を両手で掴み、むにむにと揉む。

むーと目を細めるそれにため息を吐いた。

 

「はあ、せっかく可愛らしい顔に生まれたというのに。誘惑の仕方というものがあるだろう?大体、ああいう初心な奴なら、その乳でも押しつけてやればよいのに。」

「婆様、下品。」

 

眠たそうな顔をしてカグヤはぶるぶると震えた。そうすると、カグヤの見目は、元の夜色の髪と瞳に戻る。

 

「婆様、託児所はいいの?」

「分身体を置いて来とるから支障はない。」

「婆様、元気ねえ。」

 

変わることの無い暢気な声だ。それにカグヤはため息を吐き、そうして、抱き上げる。今度は拒絶もすることはない。カグヤはその場に座り込み、膝の上に乗せた。そうすれば、二代目のつんつん髪の隙間から里が見えた。

 

(・・・・妾が目覚めてから、長いことが経ったな。)

 

カグヤの婆が、千手イドラと出会って少しして。

彼女は喜々としてカグヤに会いに来た。

 

「カグヤ様のこと、お外に出てもいいって許可を貰えました!」

 

カグヤはそれに目を丸くした。どこをどうすれば、そんなことになるのかと頭にはてなが浮んだのだ。

というのも、イドラは固有瞳術のおかげで大筒木ハゴロモや、その妻達とコンタクトが取れたらしい。

 

「ハゴロモ様から、兄様とか、扉間様とか、説得してもらったんです!」

条件付きでなら、許可が出たんです!

 

「ばっちくそ怒られましたけど・・・・」

ぐずっと鼻水を啜りながらちょっと泣いていた。

まあ、カグヤのことを扉間たちに知らせず、こっそりと色々動いていたのだから、当たり前なのだが。

 

(・・・・ハゴロモの奴、嫁達にもそこそこ言われたらしいからな。)

 

ハゴロモは、妻達にも説得されたらしい。時間もずいぶんと経ったのだし、一度、話をしてもいいのではないかと。

だからといってさすがにそのまま解放するわけにはいかない。

どうするとなった時のことだ。

 

「それならば、私のことをお使いください。」

 

そう言ったのは、すっかり子どもたちのおもちゃのようになっていた月兎だった。

 

私が分裂できるのは知っておられますね?

あれは、全てが私なのです。私は個にして全。全にして個。

・・・深く考えずともいいのです。その一つをお貸ししましょう。

 

神卸し、というものをご存じでしょうか?

 

(人の意識だけを他に移す、か。)

 

事実、山中という一族では同じような術を使っている。そのため、ここにいる大筒木カグヤというのは月兎という仙兎の体に精神だけを卸されている状態なのだ。

月兎自体、分裂し、体をいくらでも作れるからと、その一つを貸し出されている。

千手扉間が考案した穢土転生は肉体の一部から、その当時の情報を再現するものだ。

 

穢土転生はメモリーカードで、カグヤ様のこの術はネットでリアルタイムの情報を引っ張ってる感じですかね?

 

などとイドラは言っていたが婆様にはよくわからない。

が、そのおかげでなんとか、術だとかは使えない状態で降り立った現世であるが。

まあ、暇である。

強いて言うのなら、好み!!と何やら嬉しそうにカグヤのことを飾り立てる変わった赤毛の女が構ってくるぐらいだった。

婆様は思わず己の姿を見た。

別段、お洒落だとかに興味があるわけではない。

 

いいですか、カグヤ様。どこにだってふさわしい格好というものがございます。もちろん、そういった古風な格好も結構ですが、それはそれとして似合うものがあるのならそうすべき、いいえ、趣味とかではなく!

 

なんて赤毛の女、いいや、うちはアカリからの猛プッシュから衣服にある程度気にはしている。といっても、基本的に興味は無いので、カグヤの衣服はうちはカグラが用意していたりする。

 

等身大の着せ替え人形~なんて言われていたりするが。

 

それはそれとして、カグヤの婆様は暇だった。カグヤの術と、忍術はまったく違う。ただ、今後のことを考えて大筒木の情報を扉間達に渡せば、あとは特にやることもない。

というか、カグヤの婆様自体正直、人間というものが嫌いだ。

彼女の中で、弱者とは、己に恐怖する、迫害する苦い経験が根付いていたせいだろうか。

けれど、それはそれとして。

 

「カグヤ様、新しく生まれた、一族の子なんですよ!」

 

赤ん坊は可愛かった。

 

イドラやアカリの周りには常に女衆であふれていたし、そうすれば、婚姻した女が赤ん坊を連れてくる。

それに、カグヤは、まあ赤ん坊だけは可愛いと認めた。

その後、カグヤはただ、ぼんやりとしていた。

いつ、同族が来るかはわからないが、ひとまずはそれらがどうするか。イドラとの約束通り見守ることにしたのだ。

が、さすがに数十年も何もやらないわけにはいかない。

暇というのは人を殺す。

 

そこで、カグラが火影になった時だ。

 

「いやあ、くのいちも登用したいけど、子どもがネックだしなあ。」

 

火影の代替わりで一時的に起った戦争で、孤児が増えたために人手が足りなかった。それに、カグヤの婆様は手を上げたのだ。

 

「ならば、妾が世話をしよう。昼間に親がおらんのならそれも見よう。」

 

端的に言えば、暇だったのだ。

カグヤの婆様は、まあ、立派な人でなしで。

気長で、子どもの泣き声を聞き続けても疲弊することもなく、人手が足りないのなら分身すればいいわけで。

おまけに、数日寝なくても大丈夫というのだ。

 

「お、いいなあ!なら、婆様、頼みますよ!」

 

カグラはそう言って、本当にあっさりとカグヤの婆様に許可を出した。いいのか、とざわつきはしたが長い間里で大人しくしていたし、術も瞳術も使えないのならば、まあと頷いた。

それを聞きつけたハゴロモが、いいのかと抗議をしたが、子育てに関してだけは貴様に言われる筋合いないわとたたっ切られていた。

 

そんなこんなで託児所を始めたカグヤの婆様であるが、普通に運営していた。監視用にと付けられた千手スズランと一緒に順調に子どもの世話をしている。

孤児院と託児所、全部ごった煮で、カグヤの婆様自体、医療まで学んで病児療育まで始めている。

まあ、施設内にあふれるカグヤの婆様の姿に慣れれば快適だ。それに混ざる、元火影の姿もあったりするけど、それも慣れればいいだろう。

 

「大体、お前とてわかるだろうが。あのようでは結婚など一生無理だぞ?」

「どんぐりも、綺麗な石も嬉しいよ?」

「そういうことではないわ!まったく。そのようにのんびりしおって。妾は心配ぞ?」

 

それにカグヤは不思議そうな顔をした。そうして、ぱちりと瞬きをした。

 

そうして、その瞳は、万華鏡写輪眼に変わる。その模様は、母親のうちはカグラのものと瓜二つだった。

そうすれば、カグヤの影はうぞりと、手の形をしてカグヤの婆様の頬を撫でる。

 

「大丈夫?」

「・・・・心配しておるだけだ。」

 

特異な子が生まれたと、カグヤは夢を見るように目を細めた。

 

 

うちはカグヤは、最強の忍である。

それは、その少女が開眼した瞳術のせいだろう。

青く、そうして、不可思議な紋様が現れるそれは、見た術を全てコピーすることの出来るものだった。

血継限界さえもコピーすることの叶うそれは、まさしく規格外であった。

チャクラを多量に消費することさえも、千手柱間に引けを取らないチャクラ量のおかげで問題はない。

戦闘技術さえも、それは、祖父達の資質をしっかりを受け継いでいた。

 

(カグラもなかなかだったが。)

 

うちはカグラの瞳術は、吸収と放出だ。

カグヤの婆様は自分に触る、影で出来た手を見る。その手は、少量であるが、チャクラを確実に吸い取っている。

 

いやあ、便利は便利。影を媒体にして、触れたもののチャクラをそのまま吸い取って。忍術だってチャクラに変換出来るし。ああ、でも、チャクラの保存に困ってたんです。出来れば多めに保存はしておきたいし、というか、出来れば私以外にも使えたら便利ですから。

月兎の中に保存出来るから、咄嗟の時になんとかなるだろう!

 

月兎曰く、それは器であるらしい。

チャクラをため込む電池にも、何か卸す器にもなるのだと。

 

「いや、私は戦闘能力全振りですし!ほら、隕石とか降らせられ、似たようなこと出来る?」

ぺーんと泣いている黒い鳥のことは気にしなくていいだろう。

 

(・・・星の脅威へのカウンター、最強の生き物、大筒木の天敵。)

 

それは幼い頃から何を考えているのかわからなくて、ぼんやりとしていて、どこか利他的だった。

本能のように、守護することを是としたそれ。

大筒木の権能を人の体に出力したような、そんな生き物。

 

「・・・・命短し、恋をせよと言うだろう?」

 

カグヤの婆様は囁くようにそう言った。それに、カグヤは変わらず不思議そうな顔をした。

そうして、カグヤの婆様はぐっと拳を握った。

 

「さっさと押し倒せ!お前ならいける。」

「そんなんだからみんなに、婆様に恋愛相談するなって言われるんだよ?」

「何を言う?いいか、この里でお前ほど毛並みのいい、血統書を付けてもいいほどの女はいないのだぞ?そんな奴を傷物にしたと思われれば。責任を取るしかなくなる!」

「カグヤの婆様、なんでそこら辺だけ価値観が戦国のままなのお?」

 

珍しくはちゃめちゃに嫌そうな顔をした孫娘に、カグヤの婆様は呆れた。

 

「よいか、いい男とは争奪戦なのだ!」

「イルカ先生、モテてないよ?」

「貴様は鬼か?」

 

惚れた男を一刀両断した娘にカグヤの婆様は呆れた。それにカグヤは立ち上がる。

眠たそうに、変わらずに、くわああと欠伸をした。

 

「婆様も、そろそろ戻りなよ。香燐が探してるみたいだから。」

「これ!まだ、話は・・・」

 

そう言うと同時に、カグヤはそのまま黒い渦の中に吸い込まれていく。

カグヤの婆様は、オビトの神威を使ったのだろうと当りを付けてため息を吐いた。

 

「・・・オビトの奴が、神威の中に秘密基地を作られて困っておると言っておったが。あやつは、本当に。」

 

ぼやきながら、カグヤの婆様は、どこかで聞いた歌の歌詞を思い出す。

命短し、というそれ。

 

(・・・・利他的で、他人に対して、流されてばかりの娘が恋をしたというのだ。応援ぐらい、してやりたくなるものだろう?)

 

そんなことは、当人にはどこ吹く風であるのだが。

カグヤの婆様はそれに諦めを感じつつ、託児所に帰ることにした。

 





大筒木カグヤ
今のとこ、対大筒木戦用の練習相手とか、託児所とかしながら隠居してるおばあちゃん。出来ることは封印されてそこまで多くはないがのんびりやってる。
他人の恋愛ごとに首を突っ込むのが好きだが、あまりにも肉食過ぎて信用はされていない。服はアカリとカグラの趣味。
三男?あれは息子というよりは、切り離した別思考であるからな。放っておいていいぞ。
夫に顔が似ているらしく、千手柱間への辺当りが強かった。
孫娘の事情は知っている。

うちはカグヤ
めちゃくちゃ強いし、めちゃくちゃ頑丈。まったりと過ごしている。
大筒木の天敵。人の膝の上でよく寝る。周りからは色々と大丈夫なのかと心配されつつ、可愛がられて生活している。
火力高めな瞳術に目覚めている。ただし、地球限定のもよう。
強いなりに代償はあって、人生は短め。
その人生にも、今までにも、これからにも、ちゃんと納得しているし、幸せだと思っている。
イルカ先生のことは可愛いから好きらしい。

カグヤの家族
イルカ先生?あ、あの好青年?
いいよー、ちゃんと口説き落としてお付き合いしような?頑張れな?
というスタンス。結婚するなら好きな人が一番丸く収まるからねと見守っている。
カグヤの事情は知っている。


月兎とペン吉
いいもん、ちゃんと火力はあるもんと拗ねている鴉と兎が慰めている。

黒幕に成るはずだった人
処理がめんどくさいと放置されてる。哀れな人。

扉間は

  • 女の子が欲しいが、息子しか産まれない
  • 女の子がすぐに産まれる
  • 女の子が欲しくて、末っ子に産まれる
  • どっちでもいい
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