上鳴電気─レベルアップ!─   作:竹中治治

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入試

 この世界はファンタジーだ。

 

 人間のほとんどが『個性』という異能を持ち、それを悪用した(ヴィラン)が繁栄し、それを誅する正義であるヒーローが活躍する。

 誰が言ったかヒーロー社会。

 アメコミ的な世界観と言えばわかるだろう。

 これをファンタジーと称するかは諸説あるだろうが、まぁ大別してファンタジーのジャンルの一つと見て良いだろう。

 

 現実に魔法なんて存在せず、超能力なんて眉唾物。それが常識であり普通だ。

 しかし、この世界では『個性』という異能はあって当たり前。

 炎を吹く人がいて、水を操る人がいて、人間の規格を逸脱した機能を備えた人がいて、でもそれが当たり前。

 この世界の人々はそんな当たり前に対してなんの疑問も抱かないが、俺に言わせれば異常としか思えない。

 そんな『普通』と『異常』の両方を知っている俺は、『普通』の世界から『異常』の世界にやってきた。

 要するに転生だ。

 

 前世の記憶とも言える、『普通』の世界の記憶を思い出したのは8歳のころ。

 当時どうしようもないクソガキだった俺は、日々元気に外を駆け回り遊びまくっていた。

 そんな中、ある日。

 外でいつも通り遊んでいると、ゲリラ豪雨が降り出した。空はゴロゴロと唸りだし、立つのがやっとの強風が吹き荒ぶ。

 遊ぶってレベルじゃねーぞ! 

 と危機を感じた俺はすぐに避難しようとして、瞬間、視界が真っ白に染まった。

 

 雷が落ちたのだ。俺の真上に。

 その時である。体に凄まじい電流が走り、1億ボルトの雷に包まれながら俺は前世の記憶を取り戻した。

 それと同時に個性も覚醒する。

『帯電』

 電気を体に溜め込み、纏うことができる個性だ。

 この個性によって雷の強力な電気を取り込むことで死なずに済んだのだ。

 ラッキーである。

 

 しかし生まれてから死ぬまでの人間1人の人生分の膨大な記憶と、無効化したとはいえ莫大な電気を浴びた影響はでかい。

 とてつもない情報量、目覚めたばかりの個性には些か荷が重すぎる電気エネルギー。

 幼い脳は処理能力の限界を超越し──俺はアホになった。

 

 これは伝え聞いた話だが、公園で豪雨の中「ウェ〜イ、ウェ〜イ」とうわごとのように繰り返しアホ面を晒しながら徘徊する俺は警察に保護されて家に帰ったらしい。

 アホになっている間の記憶がないので伝聞なのである。

 

 そんな感じでなんやかんやあって前世の記憶を取り戻し、かなり遅めの個性の覚醒を迎えた俺は精力的に動き始めた。

 なにせファンタジーだ。

 夢見た魔法とは違うかもしれないが、個性というせっかくの異能。これを楽しまないなんてもったいない。生まれ直した意味がない。

 

 なので、ヒーローを目指すことにした。

 この世界の日本では個性を無許可で行使することは禁止されている。なぜなら個性という力は千差万別だが、その気になれば悪用などいくらでもできるからだ。

 例えばだが、そこらの一般人の多くが目に見えない銃を持っているとする。そしてそれを見破ることはほぼ不可能。さらに外的な制限はなくその引き金を引くかどうかは本人の気分次第。

 お分かりだろう。個性はこの見えない銃となにも変わらない。

 そんな世の中でどうやって秩序や平和を唱えることができるのか。

 人のモラルに訴えかけるだけではあまりに不足。個性の行使を制限するのは当然の帰結である。

 

 それでも俺はこのファンタジーな力を自由に振るって楽しみたい。あとついでにちやほやされたい。

 その欲求は『普通』の世界からやってきた俺だからこそ、この世界の誰よりも強いのだ。

 だが個性を制限なく行使できるのはヒーローか、(ヴィラン)のどちらか。

 (ヴィラン)になるのは論外。いったい誰がわざわざ犯罪者になるというのか。

 であるならば、自然とヒーローを目指すことになる。

 そのためにもなによりも戦闘力だ。ヒーローにはさまざまな能力が求められるが、戦闘力以外はおいおい身につければ良い。

 そして戦闘力を伸ばすことは、俺のファンタジーを堪能したいという欲求と一致する。一石二鳥だ。

 

 まずは自らの個性である『帯電』について理解を深めることにした。

 やれること、やれないことをはっきりさせるのだ。

 さまざまな検証を行い、その応用の幅を広げていく。

 前世の記憶を得た俺には多くのアニメやゲームといった創作の知識がある。それらの記憶を探り、参考になりそうな能力をピックアップし試していく。

 そうして個性の練度を上げていき、我ながらかなりイケてるのではと思うレベルまで鍛え上げた。

 

 さらに、個性を鍛える傍らで肉体改造も行った。ヒーローは体が資本。個性は大事だが、それを振るう器である肉体もまた大事。

 とくにこの世界の人類は個性因子が作用しているのか前世の人類と比較して明らかに身体能力が高い。

 正確には、身体能力の上限が高いといった印象だが。

 多くの一般市民の身体能力は前世の人間の標準とそう変わらないが、トップヒーローの身体能力など明らかに前世のトップアスリートのそれを上回る。

 

 肉体は鍛えれば鍛えるだけ得だ。しかも細マッチョはモテるらしい。

 前世の記憶を取り戻してから鍛え続けた結果、俺の肉体は機能美に溢れたしなやかな筋肉に覆われた細マッチョに進化した。

 中学の水泳の授業では女子の視線を釘付けにした肉体美。今世の顔面レベルがもともと高かったのも相まってモテモテだ。素晴らしい。

 俺はモテたい一心で肉体を……違う、俺はヒーローになるために個性鍛錬と同時に肉体改造を極めたのだ。

 

 だが個性の行使を制限される社会であまり派手に鍛えることはできない。

 なので、俺は近所の山の中で鍛えることにした。

 山中なら警察にバレることもおそらくない。実際捕まったことはないのでバレていないはず。

 バレなきゃ犯罪じゃないので問題はなかろう。

 

 山は素晴らしい。個性を派手に運用しても咎められることはないし、山を駆け回るだけで自然と肉体が鍛えられる天然の筋トレマシーンだ。

 たまに遭遇する野生動物はいいアクセントだ。ちょうどいい実戦経験を提供してくれる。

 俺が初めてクマを倒したのは10歳の時、死闘だった。ちなみに今では個性を使わずに殴り倒せる。

 

 残念なのは俺が修行場にしている山で爆音を発しながら高速で動き回る正体不明の動物がいるらしいのだが、そいつにはついぞ出会えなかったことだ。

 きっと素晴らしい経験値になってくれたであろうに。

 そいつに出会うために夏休みを使って一週間家に帰らず山の中でスニーキングしたこともあった。その間、噂の爆音すら聞こえてこなかったのであれはおそらくガセだったのだろう。

 許せん。

 

 そんなこんなで充実した第二の人生を送っている俺ももう中学3年生。

 そして今日。高校受験の当日である。

 

「これで60ポイントか」

 

 大きなロボットを軽くボコして、呟いた。

 他の受験生の状況的に多分60ポイントもあればまず合格ラインは超えてるだろう。

 時間はまだまだ余ってるが一段落、と言った感じだ。

 

 俺が進学先に選んだ高校は雄英高校。ヒーローを目指す俺は当然ヒーロー科を受験した。

 どうやら日本で最も高度な教育を行うヒーロー科があるのはこの雄英高校だと言う話だ。正直な話、ヒーロー科でしっかりとした実績があるならどこでもよかったのだが、中学の教師や同級生に熱心に勧められてここを受験することに決めた。

 どうせなら一番いいところにしとけと言われると 「それは、そう」という気持ちになったのである。

 

 今行われているのが、ヒーロー科の実技試験。

 ヒーロー科らしく、(ヴィラン)に見立てたロボットこと擬似(ヴィラン)をボコして得点を競い合う単純明快な試験である。

 ぶっちゃけ、楽勝だ。

 なにせスパーリングの相棒であるクマ三郎と比べて明らかに弱い。クマ三郎なら余裕の表情で耐えてくる軽いジャブで大破するのだから苦戦などするはずもなく。

 まぁ、仮に個性があったところでクマと戦える中学3年生はあまりいないと思うので擬似(ヴィラン)がクマ三郎くらい強かったら雄英高校はアホということになる。これから入学する学校がアホじゃなくて良かった。

 

 そんな具合なので、周囲を見る余裕も出てくる。

 他の受験生の様子を見た感じ、ロボットの強さはけっこうちょうど良く設定されているように感じた。

 戦闘に有利な個性を持った受験生はそれほど苦労なく倒せるし、そうでなくともある程度鍛えていれば素の身体能力で十分倒せるくらいの強さだ。

 必要なのは攻撃力よりも体力な感じもするな。この広い試験会場を駆け回り、擬似(ヴィラン)を他の受験生より早く見つけて速く倒す。

 体を鍛えて筋力と体力をつければ極端な話無個性でもそこそこやれそうではある。

 それでもやはり戦闘系個性持ちがかなり有利だが。

 

 不公平……とはあまり思わない。

 俺の勝手な考えだが、やっぱりヒーローに一番求められるのは(ヴィラン)を制圧できる戦闘能力だと思うし。

 災害対策や救助支援に有効な個性を持ったヒーローも大事だし、そういったヒーローが活躍する場面も多い。

 だとしても、やっぱり最低限の戦闘力はないといざってときに時間稼ぎすらできないので困ってしまう。

 戦闘に無関係の個性を持ったヒーローでも、突発的なチンピラ程度は即制圧できるくらいの戦闘力は必要なはずだ。

 

 なので不公平とは思わないが……戦闘に向かない個性持ちに対してもっとチャンスはあった方がいいとも思う。

 まぁ、素人の俺が考えつくくらいだ。雄英高校の上層部もそのくらいのことわかってるだろう。俺が難しく考えることじゃねーわ。

 

「よう。大丈夫か?」

 

「え、?! あ、えーと、脚痛めちゃって」

 

 60ポイント稼いで勝手に実技試験をクリアした気分になったので、目についた受験生に声をかける。

 道端で疲れた感じで座り込んでいる男子だ。脚を痛めたらしいが、とくに焦っている様子はないのでおそらく記念受験なのだろう。

 本気で受かりたいなら脚を痛めたくらいで諦めたりはしない。

 

「そっか、歩けるか?」

 

「なんとか……」

 

「じゃ、あっちの方から会場出るといいぞ。今は擬似(ヴィラン)がいねぇから。ここにいると危ないぜ」

 

「……探知系?」

 

「そんな感じ」

 

 電波を放って、返ってくる反射波から物質や地形を把握する。

 要するにレーダーだ。山という厳しい環境ではいかに先に野生動物を発見できるかが重要だったため、真っ先に習得した技の一つである。野生では索敵を怠った者から死ぬ。

 目で見るほど詳細にはわからないが、物体の輪郭を掴むことができる程度の精度で探知できるので擬似(ヴィラン)がいるかいないかくらいはわかる。

 

「なるほど。正直、どうすればいいのかって思ってたんだ。助かったよ」

 

「おう、転ばないよう気をつけろよ」

 

「ありがとう」

 

 脚を気にしながら歩いていく男子の背中を見送る。

 うーん、ヒーローっぽい。多分だけどヒーローってこういうこともするよな。

 擬似(ヴィラン)の強さは理不尽なものではないし学校側も気をつけてるだろうから重症者はまず出ないと思うが、ああいう軽傷者は試験の性質上どうしても出てしまうだろう。

 俺はもうポイント集め終わって余裕あるし、少し気にかけとくか。

 さっきの男子みたいに諦めて休んでる受験生はほかにも何人かいる。擬似(ヴィラン)が休んでるヤツを追撃することはないだろうが、流れ弾とかは当たるかもしれんしちょっと危ない。

 諦めてないなら余計なお世話だろうが、諦めて休んでるくらいなら会場出た方がいいだろ。

 

 そうして何人かに声をかけて適当に救助活動の真似事をしていると、突如大きな音を立てながら巨大な擬似(ヴィラン)が動き出した。

 実技試験前の説明で聞いたヤツだ。0ポイント(ヴィラン)。倒してもポイントにならないおじゃま虫的なフィールドギミック。

 

「でけー」

 

 そんな感嘆が思わず出てくるくらい、思ったよりも大きい。周りのビルと変わらない大きさだ。これってけっこう危なくないか? 

 戦闘力自体は見かけほど強いわけではないのかもしれないが、巨大ってのはそれだけで危険だ。

 雄英高校なのだから安全面にはちゃんと配慮してると思いたいが、ちょっと……いや、かなり心配である。

 

 案の定、周りの受験生がパニックを起こし始めた。

 それも仕方なかろう。普通の中学生はビルの大きさの物体が動けばそれだけで恐怖してしまう。

 だが闇雲に逃げるのは逆に危ない。パニックで視野狭窄に陥っているのなら尚更だ。不幸な事故を防ぐためにもおかしの法則は守護らねばならぬ……。

 

 どうしたものか、と考えてるとこの状況でもパニックにならず比較的落ち着いた様子の受験生を見つけた。

 見つけたといっても、その受験生は目に見えないのだが。

 服だけがそこに浮いているというなんともシュールな絵面を見つけたのである。透明人間の個性なのだろう。服は見えても着ている本人は視認できない。面白い。

 

「なぁ、アンタ。落ち着いてるな」

 

「え!? う、うん……なんかパニックになってる人見ると、逆にちょっと落ち着いてきたかも……?」

 

 あーわかるわー、それ。

 自分よりも焦ってたりする人見ると、逆に冷静になる理論ってあるよな。

 客観的になれるっていうか。この現象ってなんか名前ついてたりすんのか? 

 

「怪我してる人もいるし、大丈夫なのかなって……」

 

 不安そうに呟く透明人間の女の子。表情はわからないが、声でも感情はわかるものだ。

 この状況で自分より他人の心配をできるなんてたいしたものである。

 俺みたいに自分の強さに自信があって、害されるわけがないとたかを括ってるから問題ないって思ってるタイプじゃないだろうし。

 ヒーローは自分の命をベットして他人を助ける利他主義の極致みたいな仕事だ。

 恐怖を感じながらも他者を思いやれる利他的な彼女は、なんかすごくヒーローっぽい。

 すごいね、この子。合法的に個性を使いたいがためにヒーローを志した俺よりよっぽどヒーローに向いてるよ。

 

「じゃあ、俺たちでなんとかしようぜ」

 

「なんとかって……どうするの?」

 

「アンタがみんなを落ち着かせて、俺がヤツをぶっ倒す! 簡単だろ?」

 

「倒せるの?」

 

「余裕だぜ」

 

 自信満々にニヤリと笑ってやると、少女もつられるように笑みを浮かべた(多分)。

 

「よし、やろう! 私はみんなを落ち着かせればいいんだね?」

 

「おう、これでも振り回して注目を集めてくれ。アンタは透明だけどよく目立つだろ?」

 

「任された!」

 

 ジャージの上着を脱いで少女に渡す。

 彼女は透明人間なので目立つのとは対極の存在に感じるが、服だけが浮いているなんて逆にかなり目立つだろう。

 その上で渡したジャージをぶんぶん振り回して大声でも出せばかなりの注目が集まるはずだ。

 

「じゃ、こっちは頼むな」

 

「うん! そっちも無理はしないでね!」

 

 少女と別れ、逃げてくる受験生とは反対に俺は0ポイント(ヴィラン)を目指す。

 

「やっぱでけー」

 

 近くで見るとその大きさがよくわかる。

 こんな巨大なロボットが動けばそりゃあ怖いしパニックにもなるだろうな。

 まぁ、倒すくらいならなんとでもなりそうだ。周囲にはもう受験生もいないし巻き込んでしまうこともない。

 せっかくだしあまり使う機会のない必殺技をぶちかましてやろう。良いサンドバッグになってくれ。

 

 電磁力を操って近くのビルの外壁を駆け上がり、屋上に登る。

 あの巨体を倒すなら、足元からちまちま攻撃するよりも同じ高さから弱点の頭を狙う方が良い。

 おもむろにポケットからコインを一枚取り出す。

 

「電気使いなら、やっぱこれは外せないっしょ」

 

 コインを持った手を伸ばして0ポイント(ヴィラン)の頭に狙いを定める。

 そしてコインを弾き……落ちてきたコインを磁力と電流で撃ち出す! 

 

「──『超電磁砲(レールガン)』!」

 

 射出されたコインが超加速され、まるでビームのような軌跡を描きながら0ポイント(ヴィラン)の頭を完膚なきまでに破壊する。

 頭部を破壊されたヤツは動きを止め、完全に沈黙した。

 

「はぁ……最高の気分だぜ」

 

 電気系の個性に生まれてよかった。

 

 多くの厨二病が憧れた、御坂美琴の『超電磁砲(レールガン)』。

 この技は『とある魔術の禁書目録(インデックス)』に登場する電気使いの超能力者、御坂美琴の代名詞でもある必殺技だ。

 転生して厨二病を再発した俺も試行錯誤してなんとか習得した。

 彼女はこの技を分間8連射することができる。だが、俺はそこまで非常識で圧倒的な力を持っているわけではないので、せいぜい数発撃つくらいしかできない。

 俺の個性は帯電能力であって発電能力ではないからな。

 出力自体はそれほど負けてないだろうが、自発的に電力を供給できない俺はスタミナが決定的に足りないのである。

 

 それでもこうして『超電磁砲(レールガン)』を撃てるなんて感無量。

 習得したはいいものの破壊力が大きすぎて山の中では撃てないし、ヒーローになっても不殺が原則な以上撃つ場面ないんじゃないのかと思っていたところだ。

 こうしてちょうどいいサンドバッグを用意してくれた雄英高校には感謝しかない。

 

 そんな感じでしばし余韻に浸っていると『終了!!』というアナウンスが会場に響いた。

 実技試験が終わったらしいのでビルを降りる。今度は外壁を歩いたりせず普通にビル内の階段を使って降りた。

 

 あの『超電磁砲(レールガン)』を見て他の受験生がどんな反応をしているか楽しみだ。

 そんなことを思いながら会場を歩く。しかし、0ポイント(ヴィラン)が倒されたことでざわついてはいたのだが誰も俺のことになど触れない。

 俺の姿を見てもなんのリアクションもない。

 

 なんで誰もちやほやしてくれないのか……と残念がっていたが、よく考えたらビルの上で行った攻撃をいったい誰が地上から確認できるというのか。

超電磁砲(レールガン)』は見えたかもしれないが、それを誰が撃ったのかなどわかりっこない。

 失敗である。効率を考えてビルの上から攻撃したが、多少手間がかかってもみんなが見てる前で地上から派手に倒すべきだったのだ。

 俺が1人悔しがっていると、誰かが俺の方に駆け寄ってきた。

 

「お疲れ! 本当に倒しちゃったんだ! すごいね!」

 

「! へ、まぁな。余裕だぜ!」

 

 さっきの透明人間の女の子だ。彼女は「すごい! すごい!」とキャッキャしながら俺を褒めてくれる。

 俺の自尊心と虚栄心に彼女の言葉が染み渡り、あまりにもちっぽけで矮小で謙虚でささやかな自己顕示欲が満たされていく。

 ── Foo!! 気持ちいいぜ!!! これだよ、これ! 俺はこういうのが欲しくてヒーローになるんだよ! 

 

「あ、そうだ! 名前聞いてなかった! 私、葉隠透(はがくれとおる)! あなたは?」

 

「上鳴電気だ。よろしくな!」

 

「よろしくね、上鳴くん! ね、連絡先も交換しよ!」

 

 そんな感じで、葉隠としばらく交流をした。

 彼女は素直で優しくて、すぐ褒めてくれる。しかもめちゃくちゃ元気で明るくて話してて楽しい。

 葉隠と友達になれただけでも今日受験に来た価値があったな。

 それから流れで入試が終わるまで一緒にいて、最後は雄英の校門で別れた。

 

「じゃあな、葉隠! 4月に会おうぜ!」

 

「うん! 連絡もするね! またねー!」

 

 そんな感じで俺の受験は終わった。

超電磁砲(レールガン)』は撃てたし、葉隠という友達もできたし、今日はとても素晴らしく充実した1日だったな。




高評価と感想がとても嬉しくてモチベーションが上がったので続きができました。
高評価、感想、ありがとうございます。ウレシイウレシイ

前話であれだけキルアのパロディやっておいて技は禁書から引っ張ってくる暴挙。
ヒロインは葉隠ちゃんになりそうです。理由は葉隠ちゃんがかわいいからです。シンプル!
でも恋愛描写はそんなにやる気ないのでふんわりした感じだと思います。
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