思い付き お試しシリーズ   作:もすブラック艦

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 なんとなく思いついてやってしまった。

 クロス元は、不思議少女ナイルなトトメス

 主演 雪ノ下雪乃

 ヒッキーは出ません。

 基本、雪乃視点でありますが、所々三人称になっているところもございますのでご了承下さい。


やはり私が不思議少女なのは正しいことよ。

 

 

 20XX年 1月。

 

「そう言えばさぁ、雪乃ちゃん…明日みんなで墓参り行くから」

 

 一人暮らしの私、雪ノ下雪乃の部屋のソファでゴロゴロする姉・陽乃から突然そう言われた。

 

 唐突過ぎるわね。この姉は唐突にやって来ては突飛なことを仕出かす奇妙奇天烈な人だから。

 

 それに墓参りなら年末の挨拶として、この間済ませたばかりなはず。

 

「あ、お参り行くところは御先祖様のお墓で、いつも行ってるところじゃないから」

 

 どういうことかしら?

 あのお墓は御先祖様のお墓でなくて、一体誰のお墓なの…?

 

「なんでも、雪ノ下の始祖からのお墓で、私達がいつもお参りしてるお墓は曾祖父の代からのなんだって」

 

 初耳よそんなの。

 

「私だって今日になって聞いたのよ、父さんが今になって思い出したのよ」

 

 ぞんざいな話ね。

 

「一番最後に行ったのは私が生まれる前だってさ」

 

 両親は今までよく祟られなかったわね。

 

「罰当たりな話よね…」

 

 クワバラ クワバラ

 

 珍しく奇人姉さんと意見が合ったわね。

 

 御先祖様は大事にしないと。

 

 私達は揃って合掌した。

 

 

 

 明日は、一家で御先祖様のお墓参り。

 

 けれど、このお墓参りが重大な不幸を引き起こすことになるなんて、このときの私は知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 とあるお寺へと、雪ノ下一家と都筑さんも加えてやって来た。

 

 

「あなた、こっちじゃないかしら?」

 

 母さんは林の向こうを指した。

 

「こんな奥だったか?」

 

 水桶を持って父さんは、なにせ約20年振りなものだから、墓の所在はうろ覚えである。

 

 奥へ進むと茂みが生え放題で迷子になりそうね。

 

「旦那様、ここを真っ直ぐ進んで行けば間違いありません」

 

 どうやら、都筑さんの方は所在をよく覚えているよう、その誘導に従うことにした。

 

「この辺りで、間違いありません」

 

「草が伸び放題ね」

 

 母さんが辺りを見回す。

 草木が育ち過ぎて、肝心の墓標は見えないわね。

 

「ひどいなこれは。お堂へ行って道具を借りてこよう」

 

 父さんと都筑さんはお堂へと向かっていった。

 

「荒れ放題…」

 

 こんなになるまで放置するとは…

 現状にひどく呆れてしまうわ。

 

「クワバラ、クワバラ」

 

 私の横で、お線香を持っている姉さんは片手で合掌した。

 

 

「えっさ! ほっさ! ヨっ!」

 

 父さんと都筑さんは忙しく鍬を動かし、母さんは鎌で地道に刈っている。

 

 私と姉さんは素手で引き抜いている。

 

「なにこれー!?」

 

 姉さんが引っこ抜いたところを見て驚きの声がした。

 そこにあったのは…

 

「スフィンクス?」

 

 そう、エジプトにあるものよりサイズが縮尺されたスフィンクスの石像が二体あった。

 

 エジプトのものが、どうして日本の墓地にあるのかしら?

 

「あら、二人には話さなかったかしら?」

 

「父さんの、雪ノ下家のルーツはエジプト人なんだ」

 

 なんですって!?

 

 驚愕な事実だった。

 

 さらに父さんが雑草を刈っていくと、出てきたのは三角形をした墓標…

 

「ピラミッド!?」

 

 それを見て、姉さんと私は目を丸くした。

 

 御先祖様のお墓が縮尺版のピラミッドだなんて。

 でも、エジプトがルーツなら不思議でもなんでもないことね。

 

「ピラミッドがうちの先祖のお墓なんて、笑っちゃうわね」

 

 姉さんはそれを嘲笑する。

 

「陽乃、笑っては罰が当たりますよ」

 

 ケラケラ笑う姉さんを母さんは窘め、姉さんはむくれた顔になった。

 

 その台詞は母さん達から言われたくないわね。

 でも、曾祖父の代が日本式の別のお墓に変えたのは、これが原因とも考えられるかしらね。

 

 

 掃除の仕上げにピラミッドの溝の土を掻き出してから、整地が完全に終わってスッキリしたところで、墓前に花を供えて、お線香を突き立てる。

 

 私達は目を瞑ってから墓前に合掌する。

 

 御先祖様、うちの両親が今まで放ったらかしにして、ごめんなさい。

 

 

 

 

 無事にお参りを終え、お寺を去ろうとしたところで私は大変なことに気付いてしまった。

 

「パンさんのストラップが…ない…」

 

 なんてこと、あのストラップはレア物で世界に一つしかない品よ。

 

「雪乃ちゃん、私が探してこようか?」

 

「…いえ…自分で探すわ…」

 

 姉さんの好意は嬉しいけれど、自分のことは自分でやるわ。

 

「雪乃ちゃんじゃ迷子になっちゃうからね」

 

 そう、そういうことなのね。

 まだ私を方向音痴だと思っているのね。

 

「なにを言うのかしら? 私は自分の足で行けるわ」

 

「でも体力持つの?」

 

 屈辱だわ。

 

 思わず駆け出す私。

 

「あっ、雪乃ちゃん! 雪乃ちゃーん!!」

 

 叫ぶ姉さんを尻目に、私はストラップを探しに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 確か、この道で間違いないはず。

 

 走って体力を使い切った私は、息絶え絶えにフラつきながらも歩いた。

 

 パンさん 私のパンさん きっと寂しがってるわ。

 

 絶対に迎えに行くから!

 

 さらに進んでいくこと数分ーーー

 

 見つけたわ、ピラミッド。

 

 その傍に居たわ、パンさん!

 

 見つかったことに喜びながらも、フラフラのあまり私はパンさんばかりに目がいっていたのか、足元もよく見もせずスフィンクスに躓いてしまったわ。

 

 バランスを崩して前のめりになって倒れいくしかない私は、墓石に頭を打ち付けてしまう。

 

 痛いわ……

 

 頭を打ったせいで、ピラミッドの墓石は崩れて見事に穴が空いた。

 

 なんてこと! お墓を壊してしまうだなんて。

 罰が当たってしまうわ。

 

 なんてことを考えていると、壊れたピラミッドから地響きが起こって揺れている。

 

 穴から煙みたいなのが吹き出している。

 

 空は暗雲が出てきて雷まで鳴っているし、さらに穴の中から霊魂みたいなのが数多く飛び出していった。

 

 トカゲにエビ、エリマキの蛇だっり、終いには龍みたいなのが出てくるし…

 赤青黄緑と、異様な雰囲気と共に光っていて、この世ものとは思えない。

 

 どういうことかしら?

 なにが起こってるというの?

 これは、夢なの?

 

 この見た目がおぞましい生き物を目の辺りにしたのと、元々の体力切れも相まって、私は意識を手放してしまった。

 

 様々な異形な生き物の群れは、不気味な鳴き声を漏らしながら私の周囲を漂ってから、空の彼方へと消えていった。

 

 気絶から醒めると、空はすかっりと晴れ渡っているし、先程の異形共はいなかった。

 

 ピラミッドの穴は白い煙が未だに吹き出していた。

 

 夢ではなかったようね。

 

 私は地面に座りこんだまま、それを茫然と見つめていると、その穴からまた人魂みたいなのが出てきてた。

 

 人魂は白いローブを着た女性の姿に変わったけれど、そのサイズは人形のように小さく、なにやら泣いているように見える。

 

「どうか、なさいましたか?」

 

「……この世を、不幸のドン底に陥れる、五十一匹のナイルな悪魔が、逃げてしまいました……」

 

 嗚咽を漏らしながらも、その人は語り始めた。

 

「この世を不幸のドン底に陥れる、五十一匹のナイルな悪魔……?」

 

 先程飛び出していった、あの異形共がもしかして…

 

「遥か紀元前の、その昔のことでございます…」

 

 私は未だに座り込んだまま、頷きながら耳を傾ける。

 

「エジプトに、まだ文明ができる前のことでございます。

その頃、エジプトを支配していたのが、五十一匹のナイルな悪魔だったのでございます」

 

 ローブの女性は、右手に赤いステッキを持って上へとかざした。

 

 エジプトの壁画のイメージ映像を、魔法みたいなので出した。

 

「人々は不幸のドン底に陥れられ、苦しい生活をしていたのでございます」

 

 私に見せた画とは…

 

 巨大な三ツ目の青い蛇と双首の角が生えた犬、他は形容しがたい怪物達に襲われ、逃げ惑う人々が描かれいた。 

 

「この不幸のドン底に、五十一匹のナイルな悪魔を退治してくれる者が……」

 

 人々が月に礼拝してお祈りを捧げる画に切り替わる。

 

「…現れることを、月に祈ったのでございます。その願いが通じたのでございましょうか…」

 

 次に出た画は、白いターバンのような赤い羽根付きの帽子、口元に白いヴェールを掛け、金色に紺のストライプが入った服装を身に纏い、赤い宝石が付いた金の装飾を所々身に付けた、その手には今ご先祖様が手にしているのと同じステッキを持っている女性が描かれていた。

 

「この不幸のドン底のエジプトを救う者が、現れたのでございます…その名はトトメス…」

 

 トトメス…古代エジプト王朝のファラオの名。

 

   〝ユキペディアさん乙〟

 

 ……今、悪寒がしたわ。どこからか…ゾンビの声がするなんて。

 

 思わず身震いしてしまう程の、おぞましさだわ。

 

 いけないわ、ちゃんと説明を聞かなければ。

 まだ登場してはいけない、名も知らないヒキガエルの鳴き声なんかに気を取られている場合じゃ、ないわ。

 

「五十一匹のナイルな悪魔は、トトメスに退治され、

人々は素晴らしい文明を作りあげたのでございます」

 

 昔のエジプトに、そんなファンタジーなことが現実に起こっていたなんて、事実は小説よりも奇なりをいく話を聞き、私は驚くばかりで口が閉じられないわ。

 

 白い人はステッキを下ろして、画像を消した。

 

「以来、私はこの世を不幸のドン底に陥れる、五十一匹のナイルな悪魔を封印し、この世に出すまいと守り続けてきたのでございます」

 

「では、あなたがトトメス?」

 

「遠い昔の話でございます…」

 

「でも、あなたが再び五十一匹のナイルな悪魔を退治しなければ、この世は不幸のドン底に…」

 

「…落ちることでございましょう…」

 

「そ、そんな…!」

 

「もう私には、五十一匹の悪魔を退治するだけの力がないのでございます」

 

 ああ、なんてことなの。

 私がドジを踏んでしまったばっかりに。

 

「でも大丈夫です。今はアミノ酸やクエン酸のサプリがたくさんありますから、それらをしっかり取れば二十四時間戦えますから…」

 

「アンタ、あたしをおちょくってんの?」

 

「いえいえ、滅相もありません」

 

「さっきから妙に馴々しいけど、アンタ何者(なにもん)?」

 

「雪ノ下、雪乃です」

 

「ユキノォシタ? するとお前は…私の孫の孫の孫の孫の…」

 

 孫の孫のって、普通に子孫と言えばいいのに。

 

「あなたは私の遠い…」

 

「御先祖様!」

「…遠い孫」

 

「ご、ごめんなさい! ピラミッドを壊してしまったのは私なんですッ!」

 

 私は正直に謝った。

 座り込んだままなものだから、思わず土下座の体勢になってしまったけど。

 

「なにぃ!? なれば我が遠き孫、雪乃よ」

 

 頭を上げてから見えた御先祖様は、若干呆れた様子ながらも凛とした声で私の名を呼ぶ。

 

「お前がトトメスとなり、この世を不幸のドン底に陥れる、五十一匹の悪魔を今すぐ退治して、この世の平和を救うのです」

 

 えぇ!?

 

 私がトトメスに…?

 

  「イブンバツータ・スカラベルージュ」

 

 困惑する私に御先祖様は、ステッキの先を私に向けて何やら呪文を唱えた。

 

 次の瞬間、私の全身は先程の画に描かれていた、トトメスと同じコスチュームに変わっていた。

 

 自分のこの変化に、さらに困惑を深めてしまう。

 

 御先祖様はいつの間にか、左手に封印用のピラミッドを手に持っている。

 

「私は、この墓石(ピラミッド)の中で、トトメスが五十一匹の悪魔を一匹ずつ退治して、捕らえてくるのを待ちましょう」

 

 左手のピラミッドをこちらへ向かって投げる。

 

 私の左手に瞬間移動のように、パッとピラミッドが現れた。

 

 それから、御先祖様は人魂になって墓石の中へと戻っていき、空いていた穴は逆再生のように塞がった。

 

 けど、すぐまた穴が空いて、御先祖様は現れた。

 

「忘れていました。このことは、遠いおばあちゃんと遠い孫の秘密ですよ」

 

 御先祖様は笑顔で念押しする。

 

「はい」

 

 私もそれに釣られて、笑顔で返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 後半も近日中には投稿する予定です。

年代別 不思議コメディシリーズを視聴したことがある方 または未見だけど興味のある方

  • 十代
  • 二十代
  • 三十代
  • 四十代
  • 五十代以上
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