インフィニットストラトスー可能性に満ちた閃光ー   作:のらり くらり

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頑張ったつもりですが、強引に戦闘まで持っていきました。結構、雑です。

まだ数話かかるかもしれませんので、ご了承ください。

あとがきにて、簡単な機体解説を載せています。

後々に、キャラと共に解説していきます。


第3話

「あの野郎、覚えてろ……」

 

眉間の皺を寄せながら、ヴァルトは寮の廊下を進む。

 

静夢の不意打ちにより、ヴァルトは泣く泣く相部屋に入ることとなった。

教室を去る際の、マスク越しの静夢の顔を忘れることができないだろう。

 

「……ここか?」

 

ポケットから受け取った鍵を見て、部屋の番号を確認する。ドアノブに手をかけた瞬間、最悪の展開を予想した。

 

「…………」

 

コンコンコン……。

 

―――呼吸置いて、ヴァルトは扉をノックした。

 

「……どうぞ」

 

部屋の主もまた、少し間を空けて返事をする。

 

ヴァルトは諦めて、扉を開ける。そのまま進むと、豪華な部屋の内装に言葉を失う。日本はクオリティの高さが有名だと聞いていたが、それも貧しい者たちから搾取したものと思うと、暗い気持ちが溢れてくる。

 

部屋の主は、机に向かって黙々と作業をしていた。ISに使用するOSのようで、プログラムが画面を埋め尽くしていた。

 

「……あぁ、俺―――」

 

「更識 簪、よろしく……」

 

部屋の主である更識 簪は、振り返ってヴァルトを一瞥するが、ヴァルトの目つきに臆して体を引いた。

 

「あ、ああ……ヴァルト・パークスだ。よろしく」

 

「うん……」

 

あまり良いファーストコンタクトとは言えないが、ヴァルトは既に運び込まれた私物の整理を始め、簪も自分の作業を再開したのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁてと……」

 

一人部屋を賭けて、ヴァルトとのじゃんけんに勝利した静夢は大きく息を吐く。同時に安心もしている。

同室となれば、自分の正体を探られてしまうからだ。常に気の抜けない状況だけは回避したかったのである。

 

部屋の前に到着すると、静夢は扉に耳を着ける。中の状況を探ろうとするが、当然ながら何も聞こえない。国立の学園であるならば、ほとんどの扉は防音仕様だろう。静夢も聴覚に大した自信はない。

 

「まぁ、聞こえるわけないか……」

 

諦めて部屋に入ろうとするが、鍵を回したところで違和感を感じた。

回した鍵の感触があまりにも軽かったのだ。

 

既に開錠しているということである―――。

 

「…………」

 

中にトラップがあるかもしれない、静夢は神妙な面持ちで扉から離れた。

 

"こんなに早く仕掛けてくるのか、どうする……?"

 

懐にある護身用の得物に触れながら、静夢はゆっくりと扉に背を着ける。周囲を警戒しながら、懐に手を突っ込む。取り出した静夢の手には一丁の拳銃が握られていた、組織の仲間から持たされた物である。

 

周囲に人がいない事を確認し、マガジンやセーフティーの確認をする。スライドを引いて、深呼吸をして息を整える。

 

再び周囲の確認をして、突入の準備を整える。挿したままの鍵を元の方向に回し、ゆっくり抜いてポケットにしまうと、ドアノブに手をかける。

 

ガチャ!!

 

勢いよく扉を開け、静夢は部屋に突入した―――。

 

「……!」

 

銃を前に構え、前進する静夢は部屋を見まわした。

何も聞こえなかったとはいえ、誰もいない部屋が開錠しているのはおかしい。進んだ先にあるベッドルーム、個室用のキッチンやシャワールームなどを、注意しながら確認した。

しかし、この部屋には誰もいない―――。

 

銃を下ろし、静夢は考える。

 

"勘違い……?それにしても、モヤモヤするな"

 

静夢は部屋中から視線を感じていた。その場で部屋を見まわすが、やはり誰もいない。仕方なくベッドに腰をかけ、運びこまれていたスーツケースを見つける。

上着の内側にあるポケットから、スーツケースの鍵を取り出すと、しゃがみ込んで開錠する。

 

ケースを少し開けると、その隙間をジッと見つめる。

よく見ると、細い線が縦に伸びている。恩人から教えられた行動である。

もし、この線が伸びていなければ、既に自分以外の誰かがこのスーツケースを開けたということになる。

 

誰も開けていない、それを確認した静夢はスーツケースを完全に開く。だが、彼の警戒には余念がない。

本当に誰も開けていないか、スーツケースの端を触れていく。何も怪しいところがない事を確認すると、今度は中を確認していく。

 

手を突っ込んでごそごそとまさぐる。自分が何を入れたか、思い出しながら中の物に触れていく。

 

「…………」

 

結果、スーツケースに異常は見当たらなかった。荷解きをするでもなく、その場に立ち上がる静夢の眉間には皺が寄っている。

 

その時、静夢の携帯電話が震えた―――。

 

ポケットから取り出し、通知の確認をする。

 

「ん……?」

 

一通のメッセージが届いていた。内容を確認するために、画面をタップする。

 

「あ……」

 

差出人の名前を見て、声を上げた。同時に飛び込んでくる内容に笑みを浮かべると、静夢はベッドに身を投げた。

 

『 おいっすー♪

 部屋に監視カメラがあったけど

 ハッキングしてダミー流しちゃった♪

 いつも通りにしててくれて大丈夫だからね~♪ 』

 

メッセージの内容を思い出し、静夢は安堵の息を吐いた。

 

「また借りができちゃった……相変わらず、凄い人だよ」

 

メッセージを送って来た、もう一人の恩人に感謝した。

静夢はスーツケースの荷解きをしようと、体を起こしてベッドから出た―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日、ついに決戦の日を迎えた―――。

 

急造された男子更衣室に三人が控えているが、張りつめた空気が漂っている。

織斑 春十はどこか表情に余裕があり、ロッカーに背を着けて立っていた。ヴァルト・パークスは溢れる熱を抑えられないのか、シャドーボクシングで体を動かしている。

累 静夢はベンチに座って静かに瞑想をしている。まるで眠っているかのように、彼は雑念を取り払っている。

 

『お知らせします。アリーナの準備が整いました、選手の皆さんはピットへ移動してください』

 

アナウンスが入った、真耶の声だ。それを聞いて、三人は顔を上げた。

 

「フン……浮かれているところ悪いが、お前たちが勝つことは無いぞ?この俺が完勝するからな……!」

 

自信に満ちた宣言と共に、織斑は更衣室を最初に出る。残された二人はお互いに顔を見合わせる。

 

「随分な物言いだ、あれは自分に負けるタイプだな」

 

「一人で盛り上がっているけど……僕らは勝っても負けても、どうでも良いんだけどね」

 

静夢もヴァルトも、この戦いに大きなメリットは存在しない。ただ、内申点が付くというだけで、特にこだわる理由がないのだ。

 

「どうする?敢えて負けるか?」

 

「それもアリだね。やる気のある人間に任せればいいのにさ……」

 

「とんだ暴君だな、あの教師は……」

 

「今からでも辞退できないかな……」

 

そんな会話をしながら、静夢とヴァルトは更衣室を出た。

アリーナのピットに着くと、織斑 千冬を始めとした主要人物が揃っていた。その内の一人であるケネス・スレッグと目が合う。

 

「よう、似合っているじゃないか」

 

「どうも……」

 

「先生もここに?」

 

「おう、お前たちがどれだけ強いか間近で見たくてな。無理を言って、入れてもらったのさ」

 

そう言って、千冬の隣に立つ真耶に目を向けるケネス。彼女は苦笑いを浮かべていた。

 

「では、今日の対戦形式を発表する―――」

 

咳払いをして、千冬はこれからのことを説明する。対戦形式は総当たり戦、全員が戦うこととなる。

さらに、機体の情報漏洩を避けるため、控え選手はピットから出ることとなる。

 

「試合の順番はランダムで決定した」

 

モニターを見ると、スポーツ競技でよく見かけるリーグ戦の表が映る。

 

「まず第一試合、オルコット対パークス。第二試合は織斑と累だ」

 

「ほう……」

 

「試合は十分後に開始する、質問が無ければ解散だ」

 

対戦表を見たケネスはニヤリとする。静夢とヴァルトは、反対側のピットに向かって歩き出した。

それに続いて、ケネスもピットを出た。

―――織斑 千冬はピットを出る静夢の背中をジッと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

反対側のAピットにたどり着いた三人、中には数人の教師がスタンバイしていた。

 

「あ、ケネス先生。それに噂の二人も」

 

「噂……?」

 

「ええ、織斑先生の弟さんよりも有名なのよ?」

 

そのうちの一人に声をかけられて、ヴァルトは問い返す。静夢もヴァルトも、特に周囲のことを気にせずに過ごしてきた。

 

「織斑先生の弟くん、あまり良く言われてないみたい」

 

「「へぇ……」」

 

他の女性教師がそう話した。入学から一月も経っていないが、彼の普段の生活態度は生徒の噂を通して、教師陣の耳に入っているらしい。二人は特に興味もないので、適当な相槌を打った。

 

「それに比べて、累くんもパークスくんも真面目ですから」

 

「恐縮です」

 

「…………」

 

教師たちの評価に、静夢は謙虚な態度を取る。対して、ヴァルトはあまり褒められることに慣れていないのか、ポカンとしてから会釈をした。

 

「さぁ、お話はそれまでにして。ヴァルト、準備に入れ」

 

「はい」

 

和らいだ空気を入れ替えるため、ケネスは手を叩いた。カタパルトの前に移動するヴァルトは、右手を掲げる。

その刹那、右手の人差し指の指輪が輝いた―――。

 

そこには愛機を纏うヴァルトがいた。

 

「これが、ヴァルト君のIS……」

 

「おう、俺の愛機『エクスプロード』だ」

 

ヴァルトのIS、エクスプロードをまじまじと見つめる静夢。ロボットを彷彿とさせる脚部に甲冑のような胸部、最も目を惹くのは腕部だろう。

通常のISより一回りも二回りも太い腕部は、四か所に銃器のような砲口が設置されている。

 

深紅の機体を身に着けるヴァルトの目は一段と鋭くなっていた。

 

「『エクスプロード』、データベースへの登録完了しました」

 

「うん、行けるな?」

 

「当然……!」

 

ケネスの確認に、ヴァルトはニヤリとして答える。

 

「それじゃあ、外しますね」

 

「ああ、頼む」

 

準備が整ったところで、静夢はピットを出る。ゲートの前で立ち止まり、ヴァルトのの方へ振り返る。

 

「あえて聞くけど……勝てる?」

 

「あえて言うぞ、俺が負けると思っているのか?」

 

互いに無邪気な笑顔を浮かべ、静夢は手を振りながらピットを出た。手を振り返して、ヴァルトはカタパルトへ移動した。

 

脚部をロックして、ヴァルトは目を閉じた。深呼吸の後、再びその鋭い目を開いた。

 

「カタパルト、問題なし。発進どうぞ……!」

 

「了解。ヴァルト・パークス、エクスプロード 出るぞ!」

 

勢いよくカタパルトが前進し、ヴァルトはアリーナへ飛び出した―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァルトがアリーナに出ると、既にセシリア・オルコットがいた。優雅な雰囲気を放ち、青い機体を纏う姿は貴族の品位を表すようであった。

エクスプロードのOSが対面したセシリアのISを分析する。ヴァルトは視界の端に移るデータを一瞥する。

 

「ブルーティアーズ」―――イギリス産の第三世代のISで、遠距離の戦いを得意とするらしい。

 

「あら、逃げずに来られたのですね」

 

「あ?」

 

「最後に選ばせて差し上げます。今この場で謝罪をすれば―――」

 

「お前、何言ってんだ?」

 

セシリアの言葉を遮るように、ヴァルトは口を開いた。

 

「わざわざ『勝てる戦い』で逃げるわけがないだろ?安心して負けてくれ」

 

「な、私を馬鹿にしていますの!?」

 

「ほう、馬鹿にされているという自覚があるのか。悪いが、お前の演説を聞いてやるほど、俺は紳士じゃないんだよ。いいからかかって来い」

 

挑発するように手を扇いで、ヴァルトは落ち着いて戦闘態勢に入る。

 

「そうですか、なら……後悔させて差し上げますわ!」

 

ヴァルトの言葉に激高するセシリア、試合開始のカウントがゼロへと迫っていく。

 

ブ―――!!

 

カウントがゼロになると同時に、ブザーが鳴り響く。セシリアは専用武器のスナイパーライフル『スターライトMK-Ⅲ』を構えた。

同時にトリガーを引くと、ヴァルトは右足を引いて半身になった。

 

空を切る弾道にセシリアは目を見開き、ヴァルトはいつも通りの行動に移る。

セシリアに接近し、右腕を振り上げる。

 

「ッ!」

 

間合いを詰められ、セシリアは戦慄する。勢いに任せて、ヴァルトは右腕をセシリアにぶつけた。

 

「オラァァ!」

 

「ぐうっ…!?」

 

エクスプロードの右腕がブルーティアーズを捉えた。同時に爆発が起こり、拳を受けたセシリアのだけでなく、ヴァルトにも衝撃が走る。

 

「な、なんて野蛮な……!いや、それ以上に……なんて「衝撃」ですの!」

 

パニック手前のセシリアだが、そのダメージが彼女を冷静にさせた。IS同士の戦闘とはいえ、セシリアを襲った衝撃は並のものではなかった。

よく見ると、エクスプロードの右腕からは四つの煙が上がっている。

 

「……ッ!」

 

わざわざ相手に情報を与えるような真似はしない。ヴァルトの肉薄に、セシリアはライフルの弾幕で対抗する。

今のところだが、ヴァルトは近接攻撃のみ。遠距離のブルーティアーズとは機体の相性は最高といえよう。

 

しかし、セシリアが最も恐れているのは機体性能でも武装でもない―――。

 

「なぜ、なぜ避けませんの!?」

 

―――ヴァルトは、セシリアの一切の攻撃をかわさなかった。

 

セシリアの引いた一撃が、またもヴァルトに直撃する。しかし、ヴァルトが止まることはない。

エクスプロードのスピードを警戒したセシリアの弾幕に、ヴァルトは回避という選択を取らなかった。

段々と恐怖を感じ始めたセシリアは何度も引き金を引く、どれほどのダメージでもヴァルトはお構いなしだった。

 

「フッ……!」

 

機体のダメージが目立ってきたエクスプロードだが、ヴァルトにはまだ余裕があった。再び接近したヴァルトセシリアに拳を打ちつける。

 

「くうッ!」

 

打ち付けた拳が爆発し、ブルーティアーズへダメージを与えていく。その爆発でよろけるブルーティアーズだが、ヴァルトは攻撃の手を緩めない。

 

ブルーティアーズの腕部を掴んで引き寄せると、連続で拳を打ちつける。

 

「ハァァ!!」

 

「キャァァァ!?」

 

連続で起こる爆発にセシリアの思考が追い付かなかった。ヴァルトがセシリアを蹴り飛ばしたところで、ようやく考える間が生まれる。

 

「あなた、正気ですの!?防御も回避もしないなんて、なんて野蛮な……!」

 

「野蛮だぁ?」

 

お互いにダメージを負った状態で、セシリアの言葉にヴァルトはピクリとする。

 

「俺はこうやってのし上がって、生き残ってきた!温室育ちのお前なんかに、分かるわけがない!」

 

ヴァルトの目に力が宿る。呼応するかのように、エクスプロードの出力が上がり始めた。

 

「ああ、イライラさせるぜ!俺も親父も、こんなやつらのせいで……!」

 

ヴァルトの咆哮に、セシリアは思わず竦む。怒りと憎しみが混ざり合う感情が溢れ、彼は拳を強く握る。

 

「思い知らせてやる。俺たちの痛みを、俺たちの屈辱を!!」

 

 

 

 




簡単な機体解説

エクスプロード

ヴァルト・パークスの専用機。ヴァルトに合わせて、近接格闘を主軸に置いて製造された第二世代のIS。
銃火器も備わっているが、素手の戦いを好むヴァルトは使わない。
他にも隠された機能があるらしい……。

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