ホロメンと悪魔の実   作:炎駒枸

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119話 アルメンドラ

 

 海へと漕ぎ出して早2ヶ月。

 ゼロ海賊団は幾つかの小さな悪事を働き、一つの山場を乗り越えた。

 

 彼女達が働いた悪事とは、主に悪党からの金品回収や、喧嘩を買って返り討ちにし詫び金などを巻き上げる、と言った海賊としては温い行為ばかり。

 それがそらといろはの方向性である。

 自ら市民に手は出さず、下手に人を傷つけない事。

 ロボ子とAZKiは当然賛成。

 だが、AZKiは案外やんちゃな方で、隙あらば喧嘩を買っていろはやロボ子に戦闘丸投げと言うスタイルだった。

 血気盛んでありながら、実力が伴なっていない。

 

 そしてその闘争心と好奇心が災いして、海の警察――海軍と衝突してしまった。

 これがもう一つに挙げていた、山場だった。

 

 とある島に停泊していた所、海賊期を確認した海軍に職質の様な何かを受けて、AZKiが反抗したので交戦する羽目に。

 AZKiが海に飛ばされたり、船の一部が破壊されたりと損害を受けつつも何とか逃亡に成功――そして現在に至る。

 

 全身海水塗れのAZKiを甲板に上げて、いろはは水を吸った服を全て脱いだ。

 サラシと下着だけになって、服を全て絞った。

 

「あり゛がど、いろじゃん……」

「大丈夫?」

「ゔん、へいぎ」

 

 甲板に仰向けで倒れたまま、荒れた呼吸を繰り返す。

 

 能力者のカナヅチは噂に聞いていたが、実際の入水は初めて見た。

 入水時の絶望ぶりを目の当たりにして、いろはは絶対に能力を得たくないと思った。

 

「マストに帆、あと船底がやられてる」

「直るでござるか?」

「応急処置は済ませたけど、一度どこかの島に止めて本格的に整備しないと」

 

 血と泥で薄汚れたロボ子が整備キットを手に甲板へ戻ってきた。

 

「あずちゃんが下手に暴れるからこうなったんだよ!」

「だっで、あののうりょぐ、うばえぞうだっだがら――!」

「それで壊滅の危機って!」

「えへへ、でも楽しかったね〜」

 

 AZKiの身勝手を嗜めるロボ子に対し、船長のそらは笑って水に流す。

 

「しかしあの4人、強かったでござるなぁ。海賊続けてたら将来また戦う事ありそうだけど……」

「ん、いろはちゃん足焼けてるよ、大丈夫?」

「ほへぇ? うそ、なんでぇ〜?」

 

 服を干すいろはの右脚に火傷痕を見つけて、そらが近寄る。

 しゃがみ込んで2人まじまじと傷を見つめた。

 

「ああ、それ、あの触手のせいだよ、きっと」

「そうなの?」

「うん。ボクも腕掴まれた時に――ほら」

 

 ロボ子が右腕の裏側を見せると微かに服が溶けており、その隙間から火傷跡が見えた。

 触手で火傷。

 これはつまり、熱による火傷ではなく――

 

「酸とかアルカリとか――まあ酸だろうね。あの触手、酸性液を分泌してくるみたい」

「すごーい」

「そっか、でも余り痛くないし……⁉︎ 待って刀‼︎」

 

 いろはは服を干す手を止めて大至急抜刀した。

 ギラギラと太陽光を乱反射する刃。

 見事なまでにボロボロだった。

 

「ああああああああ‼︎ 風真の刀があああああ‼︎」

 

 全てを切り裂くいろはの絶叫。

 ガタガタに溶かされた安い愛刀が小刻みに震え、かちゃかちゃと音がなる。

 

「そう言えば切ってたね、あの触手」

「うわぁ〜、凄いねあの能力! 面白いなぁ」

「面白くなぁいぃ!」

 

 100年間溜まっていた好奇心と青春の爆発で、そらは常に笑っている。

 いろはが涙目でそらに顔を寄せた。

 

「昔お小遣い貯めて商船から買ったのにぃ……」

「あらよちよち――ロボちゃん直せない?」

 

 涙ぐむいろはの頭を撫でてあげた。

 海水が乾いてベタベタ、パサパサだ。

 

「ここじゃあ無理だよ。設備がないもん」

 

 フェンシングの剣のように細身まで削る事は可能だが、削れた部分に鉄を付け足すには、撃ち直す必要がある。

 その技術をロボ子は持ち得ているが、船に設備がない。

 

「新しく買うか、鍛冶屋を探すか」

「うぅ……値段で決めるぅ」

「堅実だなぁ」

 

 刃毀れの目立つ刀を仕舞って鞘ごと外すと、自室へと仕舞った。

 いろはの動きに合わせてAZKiもよろっと立ち上がる。

 

「いろはちゃ〜ん、お風呂入りたーい」

「んー、風真も入りたかったから行こっか」

「見張と舵取りお願いね〜」

「りょうか〜い」「分かった」

 

 そらが見張へ、ロボ子が進路確認の持ち場へと付き、いろはとAZKiは2人仲良くバスルームへ。

 

 下着姿だったいろははそれを脱いでタオルを巻き、AZKiも同様に脱衣してタオルを巻く。

 一つだけのシャワーでまずはいろはが全身を洗い流し、海水と汚れを落とす。

 その後シャワーを明け渡し、湯船に浸かる。

 

「いろはちゃんも慣れたね、混浴」

「混浴⁉︎ 混浴ではないよ⁉︎」

「あー確かに? そらちゃんが好きだもんね」

「そういう問題では無く‼︎」

 

 纏わり付いた塩分とその他汚れを丁寧に洗いながら、AZKiが揶揄う。

 航海したての頃は2人での入浴も随分躊躇っていたが、今ではこれが普通。

 しかも、いろはは唯一の非能力者なので、介護人として全員の入浴に毎度付き添っている。

 とは言っても、脱衣所で待機する事が多いが。

 

 泡を流したAZKiが浴槽に浸かる。

 

「ふにゃぁ……」

 

 蕩けるような声を上げて脱力し、いろはに凭れ掛かった。

 

「大変でござるなぁ、能力者ってのは」

「う〜ん〜……お風呂はねぃ……ツライよぅ〜」

 

 入浴は大好きだが、1人では肩まで浸かることすら危険。

 なのでいろはの存在には一同大感謝である。

 

「はぅ〜……あの触手能力、欲しかったなぁ〜……」

 

 AZKiは性懲りも無く口走る。

 

「他の3人も能力者っぽかったでござるよな」

「だねぇ〜ぃ」

 

 身体能力の高い者と謎の能力者が2人。

 才の見えない2人や、単純な強化のみの能力より触手が欲しかった。

 欲を掻けば全部ストックしたいのだが。

 

「ねぇいろはちゃ〜ん」

「ん?」

「戦い方、教えてぇ〜」

「戦い方?」

「能力関係なく戦う方法。いろはちゃんみたいに」

 

 AZKiにも夢がある。

 それはもう、語った事だ。

 でも夢を叶える為の力量が足りない。

 実力も無しに語る夢など、ただの妄言。

 夢を夢とし、現実とする為に、AZKiは強くならなければ。

 

「うん。じゃあ毎日ちょっとずつ、お稽古しようね、あずきち」

「ありがとぉ〜」

 

 ふやけた声が風呂場に響いた。

 

 短い入浴時間だったが、何が起こるかも分からない船上で長風呂は出来ない。

 いろははAZKiに肩を貸して、仲良く2人で浴槽を出た。

 そしてやっぱり、能力は得たく無いと心から思ったのである。

 

 

 

         *****

 

 

 

 市民どもが噂話を口にしていた。

 この国の市民の話す内容は大抵ゴミ。

 退屈な国に暮らす奴らが、退屈でない訳がない。

 だがふと耳に届いた言葉に、少女の身体は弾かれた。

 

「西の海岸に海賊が来たんだって〜」

「へぇ。こんな何もない島に来るなんて、弱そう」

「返り討ちにしたら儲かるかな」

「ラミィちゃんには無理だって」

「何をう! じゃあこよりがやってみなさいよ‼︎」

「こよりやるなんて一言も言ってないもんねぇ」

 

 ――――。

 

(海賊――?)

 

 頭の悪そうな少女2人の喧嘩を流し目に見ながら、少女――星街すいせいは斧を握った。

 分解、構築、分解、構築。

 斧をバラして能力の感触を確かめる。

 数日前に訪れた船からパクった、パズパズの実。

 自身と小サイズの物質をパズル化したり、ブロックを生み出したりできる能力。

 

 すいせいは力の使い所が欲しかった。

 退屈な島で一生を過ごすなんて、耐えられない。

 

(丁度いい。ぶっ潰してやるよ、海賊‼︎)

 

 少女は西の海岸へと向かう――

 

 

 

         *****

 

 

 

 近場の無人島に一度停泊し、船の整備を済ませたゼロ海賊団は次なる島――アルメンドラに到達した。

 取り上げる程の特徴は無く、至って普通の街並みが見張り台から確認できた。

 

 西の海岸へ船を停泊させ、そらといろはが真っ先に砂浜へと降り立つ。

 

「2人で先に行かないでよー!」

「大丈夫ー!」

 

 2人の先行で事態が悪化した例は数え切れないほどある。

 学びが遅いが、2人を身勝手に行動させてはいけない。

 

「ここには何があるかな〜」

「風真としては鍛冶屋があって欲しいな」

 

 刀を掴む動作を交えながらそう溢す。

 あの刀は使い物にならないので、置いていくことにしたのだ。

 今、いろはは装備一つ付けてはいない。

 重心が右に傾くので、何かを携えたい。

 

 がさっ――。

 

「――――」

 

 微かな物音に反応していろはがそらを庇う体制を取った。

 丸腰だが、警戒心をマックスに林の方を睨む。

 

「…………」

 

 ビュッ、と人1人分のサイズのブロックが、突如茂みから飛び出してきた。

 咄嗟の判断でそらを押し倒して浜に転がると、2人の頭上を通過してブロックが船へ衝突。

 大きな揺れが船を襲う。

 そして船の側面にはヒビが入った。

 

「ちょっと! 何やってんの2人とも‼︎」

 

 敵襲とも知らずロボ子が怒鳴りながら淵へと歩み寄り、浜を見下ろす。

 すると、浜に倒れる2人と、船に激突した1つのブロックが。

 

「何事⁉︎」

 

 ロボ子の反応でAZKiも素早く倒れた身を起こし、砂浜を見下ろす。

 ブロックを一目見て、AZKiの目は輝いた。

 

「欲しい‼︎」

「――っ、コラ!」

 

 ロボ子が強引にAZKiを抑えた。

 その瞬間――林から3個のブロックが飛来していろは達の頭上を通過、全てが船に直撃すると同時に――

 

「どらぁっ‼︎」

 

 ドンっ、と1人の少女がいろはに襲いかかった。

 頭上から降り注ぐ斬撃を回避して、立ち上がる。

 傍にはそら。

 どちらも無傷。

 

「急に何するでござる‼︎」

「お前ら海賊だろ⁉︎ 弱かったら許さねえからなぁ‼︎」

 

 斧を降り被ってすいせいが肉薄する。

 そらを押し除けながら身軽に回避し、いろはは速攻で反撃に向かう。攻撃の意識がそらへ向かない様に。

 

 だが、いろはは現在装備無し。

 そらも分かっているからこそ、ちょっとだけ手を貸した。

 

「今いろはちゃん、武器ないんだから〜」

「うぇっ⁉︎」

 

 すいせいのバルディッシュが意思を持つように浮遊して、彼女の手を離れる。

 そのまま真っ直ぐにそらの手元へ。

 

「これは没収。危ないし」

「ッチ、何だよ、能力者かよ」

 

 舌打ちしてそらを睨め付けた。

 しかし、そらはこれ以上手出しする気はなく、戦場を譲る様に甲板へと帰ってゆく。

 

 仲間の安全を確認し、いろはは漸く本格的に攻撃へと移行。

 足場の悪い中でも素早く距離を詰め、苦手な格闘術ですいせいを襲う。

 

 高く跳躍して回避。更にいろはの拳にブロックをぶつけた。

 グギッ、と鈍い音が腕から響き、衝撃で浅瀬まで吹き飛ぶ。

 水飛沫が上がった。

 全身が海水に濡れて気持ち悪い。

 

 めげずに復帰。

 

 正面に人影を探すが、すいせいは見当たらず。代わりに不可解な影が浮かび上がっていた。

 視線を上空へ向けるとブロックに乗ったすいせいが見下ろしていた。

 

「お前じゃ相手になんないんだけど」

「「――ッ」」

 

 その発言に鋭く反応したのは、いろはではない。

 甲板から戦いを眺めていたAZKiとそら。

 

 刀さえあればブロック程度切断する。

 刀さえあれば一瞬でズタズタにできる。

 刀さえあれば寧ろすいせいが相手にならない。

 

 いろはを過信した2人は内心ですいせいをバカにしていた。

 そして意気投合した2人がロボ子の制止を振り払って参戦する。

 

「いろはちゃん、私が相手するよ。変わって」

「あずきち?」

「今は調子が悪いんでしょ? 偶には私も頼りになるよ!」

 

 ゆったりと文字通り舞い降りるAZKiの姿を見て、全てを理解した。

 そらに能力を借りたのだ。

 空に逃げられる以上、今のいろはは部が悪い。

 敗北を認める形だが、ここはAZKi(とそら)に任せよう。

 

 いろはは打撲した右腕を庇いながら甲板へ登った。

 

「いろはちゃんが本調子じゃなくてよかったね」

「――は?」

「うんうん。きっとズッタズタだったよ、その綺麗なお顔」

「はい潰す。絶対ぶっ潰す」

 

 AZKi目掛けてブロックが飛来。

 浮遊で躱したのでブロックは船に激突。

 

「ちょっとー‼︎ こっちに飛ばすなぁ‼︎」

 

 ロボ子が怒鳴ったが2人は気にも留めない。

 

「ミラク」

 

 すいせいの体が分離して周囲に飛散する。

 それらは自由意志を持つ様に飛び回り、四方八方からAZKiを襲う。

 

 パーツの形も自由自在なので、中には鋭利な形のパーツも存在する。

 それが体を掠め、深めの切り傷ができた。

 

「鬼火」

 

 青白い炎がAZKiの周囲に浮かび上がる。

 それも複数個。

 

 勢い余ってすいせいのパーツがその一つに触れた。

 

「熱っ――」

 

 反射的に身を引いて、パーツが一点に帰着する。

 鬼火を操ってすいせいへ飛ばした。

 

「ポルックス」

 

 出現したブロックに鬼火が接触。上手く引火しない。

 

(流石にブロックの操作権限は向こうが上か――)

 

 ポルターガイストでブロックは操れない。すいせいが生み出したものだから操作権はすいせいの方が強い。

 しかし全方位をブロックに覆われて、すいせいは今、目が無いも同然。

 AZKiは素早く林へと身を置き、幽体離脱した。

 

 次の瞬間――爆散する様にブロックが上下左右前後ろの6方向へ弾けた。

 風圧で鬼火が消滅。

 その一瞬を狙ってすいせいは右腕をAZKiへ向けた。

 

「アークトゥルス」

 

 指先から細かく分離していき、パーツがマシンガンの様に放たれる。

 100発以上の弾丸が押し寄せるが、幽体のAZKiには無意味。尽く身体を貫通して林の木々へぶち当たる。

 

「……なんだ、急に」

 

 手首ほどまで使用して異変に気付いたすいせいは、手を再構築しながらAZKiの様子を観察する。

 

 AZKiは相手の理解が及ぶ前に行動に出た。

 

「鬼火」

 

 青白い鬼火がひゅんひゅんと飛び出すので、すいせいはブロックを打ち出して風圧で炎を消す。

 AZKiは堂々と拳を握って一直線にすいせいへと浮遊し迫る。

 またしても不自然なムーブ。

 迎撃に危機感を覚えたすいせいは、様子見として自身をブロックで囲い保身に走った。

 

 薄暗いブロックボックス内で、AZKiの拳の衝突を待っていた――

 

「はろー」

「ぃっ――――ぎゃぁあああ‼︎⁉︎⁉︎」

 

 ブロックを貫通して、ヌッとAZKiが顔を出すので、すいせいは大絶叫。

 同時にブロックが多方面へ弾けてすいせいは一瞬無防備に。

 そこへ、ポルターガイストで予め用意していた岩をぶつけて吹き飛ばす。

 

「ぅぉっ――‼︎」

 

 ドン、と林の木の幹に衝突し、地面に倒れ込んだ。

 意識はあるが視界が数秒定まらない。

 

 AZKiは目にも止まらぬ早業で肉体へと帰り、すいせいの下へ駆け寄る。

 立ちあがろうとするすいせいの両手を握った。

 

「っ――」

 

 想像だにしない動作に面食らって言葉を詰まらせた。

 が、慌ててブロックで押し返そうと能力を展開――できない。

 

「ぇ――?」

「ねえいろはちゃん見た⁉︎ やったー‼︎ やったよー‼︎」

 

 AZKiの叫びが決着の合図となり、3人が船を降りてすいせいの下へ駆け寄った。

 AZKiは嬉々として跳ね回り、勝利報告する。

 そしてすいせいに向き直りニヤニヤと笑う。

 

「テメッ……何しやがったんだよ!」

「ふっふっふっー! とくとご覧あれ!」

 

 AZKiはすいせいの見様見真似でブロックを生み出してみせた。

 

「――⁉︎ あたしの能力‼︎ テンメッ! 返せ!」

「残念でした、これはもうAZKiの能力になりましたー!」

 

 AZKiの挑発に憤慨したすいせいが暴力に出たが、単調な動きなので易々と回避。その間に全員が辿り着き、ロボ子がすいせいを木に固定した。

 そしてAZKiにはチョップを打ち込む。

 

「こらっ、挑発しない」

「あだっ」

「んっ! ぐっ! 何だよこれ‼︎」

 

 すいせいは必死に足掻くが、両腕が木に接合されて動かない。

 2人の距離を置かせると、AZKiは後方でそらに能力を返還していた。

 

「それで。キミは何で急に襲ってきたの?」

「退屈だったからだよ! 文句あんのか!」

「――そんな理由で襲われたら、文句しかないけど」

 

 ロボ子は滅茶苦茶な動機に嘆息した。

 ふと背後の3人の様子を一瞥するとAZKiが何かを申し立てていた。

 

「言っとくがあたしは金目のものは持ってねぇからな!」

「……裏社会には人身売買ってのもあるんだよ、一応」

「っ……」

 

 冗談混じりに脅すと初めてすいせいが臆した。

 四肢の動きも口も静まったので、ロボ子はそらたちの側へ。

 

「どうす――」

 

 ロボ子が尋ねる前にそらがすいせいの目前まで進み出た。

 

「ねえ、この街に鍛冶屋ってある?」

「あ? しらねぇよ」

「――鍛冶屋、ある?」

「……ある」

 

 目力に気圧されて二言目には答えた。

 

「そこまで連れてってくれたら能力返してあげる」

「…………」

 

 AZKiを一瞥すると心底不満げだった。

 でもそらが船長であることは明白。

 

「分かった」

 

 すいせいも不満タラタラながらに承諾した。

 こうしてアルメンドラの観光案内人が決まり、一同はすいせいの案内の元、島の鍛冶屋を訪ねたのだった。

 

 

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