ホロメンと悪魔の実   作:炎駒枸

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48話 小林道の戦い

 

 小林道の戦い――

 

岩石銃(ペトロガン)

 

 ミオが石を乱射して攻撃する。

 ポルカもトワも周囲の木々に身を隠して回避するが、ずっとこれが続いている。

 ポルカもトワも、遠距離攻撃の手段がなく、リーチが長いミオには分が悪いので、安易に動けない。

 敵がミオだけなら、二手に分かれて挟み撃ちすればいいだけの事。

 しかし、敵は2人で、ころねが常にミオの周囲に張り付いて、リーチを死守している。

 この2人の連携は本当に相性が良すぎる。

 

「おいポルカ! 何とかできんのんか!」

「ミオさんに触れれば何とかなる! けど!」

 

 異なる木の裏に隠れて、言葉を交わす。

 ポルカの能力でミオのパワーを抜けば、2対1のシチュへと持ち込めるが、その「ミオを触る」が最難関。

 

「トワ様、ころねさんとタイマンで勝てる自信は――」

「あるわけないやろが」

 

 トワの怒号が響き渡る。

 せめてあくあかみこを残しておくべきだった、と今更後悔する。

 

古式銃(レトロガン)

 

 万事休すに追い打ちがかかる。

 先までとは技名が変わった。

 石の乱射が止まったかと思えば、火縄銃のように激しい勢いで石が一発放たれた。

 射撃音はないが、その一撃は先までのものと異なり、容易く木の幹を貫通した。

 連射力を落とし、火力を上げたのだ。

 

 殺意は感じないが、命中すれば致命傷の威力。

 そう容易くぶっ放されては困る。

 

「隠れてても好転しない! 賭けに出るよ!」

「1ベットで」

「命全賭けしろ!」

「そんな賭けれるかアホ!」

 

「1:1交換を試みる」

「どっちいく?」

「ミオさん」

「じゃあトワがころねさん」

 

「「Go‼︎」」

 

 恐怖を塗り潰すように軽く茶番を挟むと、素早く切り替えて作戦に打って出た。

 ミオの銃撃で全滅しないよう、2方向に分かれて姿を出す。

 ころねとミオの配置に合わせて周囲を駆け、適度なタイミングでポルカはミオ、トワはころねを仕留めに行く。

 

 ミオがポルカを狙ってガトリングガンのように石やプラスチックを連射するが、何一つ当たらない。

 そのまま距離を詰め、ミオの懐に潜り込んで背負い投げ。

 

「うっぐ……」

 

 衝撃で微かな眩暈が起き、一瞬視界が揺らぐ。

 そして、今触れた事によりミオのパワーを20から1へ。

 ほぼ無気力状態と化した。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 ポルカは肩で息をしながら、ミオに跨り押さえ込み続ける。

 

 一方トワ。

 ポルカと同じタイミングでころねに立ち向かう。

 脈を取られれば終わり。

 とにかく相手に触れられぬように立ち回れ。

 

 来る、右の大振り。

 回避――

 に動揺せず続けて左脚の蹴り上げも。

 だがこれも回避。

 流石に面食らったこの瞬間、トワは自らころねに触れる。

 投げ技や絞め技は体得していないが、軽い衝撃(ショック)をプレゼントできる。

 

「フルフルDevilショック」

「――――‼︎」

 

 トワから迸る微弱な電撃。

 体内の電気エンジンから発電して帯電した。

 接触していたころねは即効で感電。

 スタンガンほどの威力で、死にはしない。

 上手くやれば丁度気絶する電圧と電流。

 それ以上の電撃は、エネルギー的に能力者本人が保たない。

 

 この2人の攻撃が同時に成功し、ミオところねを同じタイミングで這いつくばらせた。

 

「はぁ……いけるじゃん……っ、トワ様……」

「ポルカは運に味方されたな」

 

 ポルカは苦笑して流す。

 そして、息切れしながらミオの腕をしっかり握り、色々考察を始めた。

 

「この状況、正直想定外だった」

「ああ……作戦が無意味だったどころか、寧ろ敵側の勝利に貢献しようとしてやがる」

 

 2人とも――特にポルカは一味でもずば抜けて頭と勘がいい。

 他5人に比べて根拠は少ないが、ほぼ確信した。

 

「トワ様、能力で頭ん中とか見れるんでしょ?」

「見れる――けど、見たくないって言ったら、どうする」

「……トワ様を人一倍疑う。けど、まあ、トワ様だけ白を証明できないから、一定以上信憑性を欠くし、それはそれでいい」

「じゃあ悪いけど、トワは見たくない」

 

 例えトワが他人の頭の中を見ても、トワだけは嘘をつく事ができる。

 見られた側がどう反論しようとも、トワを根拠にされれば、必然的にトワの意見が強まってしまう。

 答えが2択に絞られれば、それは楽だが、「それ」が1人だけとは限らない。

 

「……まあ、何にせよ、この船でこれ以上航海はできない。どんな方法でもいいから、この件が片付いたら、徹底的に洗う」

「だな」

「…………因みに、野暮なこと聞くけど――」

「おい‼︎ ポルカ避けろ!」

「――⁉︎」

 

星の光線銃(アストロ・レーザーガン)

 

 抑え込んでいたミオが力強い眼力でポルカを見つめる。

 その目に淡い光が集まりやがて強烈な光を発し、最後には両目からレーザービームを放射した。

 レーザーは瞳と同じ細さだが、その光の通路にあった木は、綺麗にレーザーの焼き穴が空いていた。

 

「ッッぶ‼︎」

 

 間一髪、飛び退いたポルカはレーザーから逃れたが、ミオの拘束を解いてしまう。

 だが、パワーは抜いたまま。ミオは立ち上がることすらままならない。

 しかし……溜めこそあれど、四肢を動かさず撃ってくるか――!

 

「ぉらよ!」

「はぁ⁉︎」

 

 ミオに連動するように、ころねも起き上がり、トワに殴りかかる。

 人体に強く影響を与えない高周波電流ではあるが、それでもスタンガン程度の威力はある。

 何故こうも復帰が早いのか。

 

渾身の一撃(ハードロール)‼︎」

 

 感電からの復帰直後、ころねの大技が炸裂し、トワが大きく殴り飛ばされる。

 

「ふぐっッ――」

「トワ様!」

 

 今の一撃はかなり深く重い。

 意識があることは幸運と言えよう。

 それでも、骨が一本ほどイッたかもしれない。

 

 ミオは手足を動かせないから、頭を回して放ってくるレーザーでのアシストが可能。

 トワも意識があるため、軽いアシストが可能。

 

 ――五分五分に見えるが、ミオがトワを狙うと防ぎきれない。

 惜しいがここは引く他ない。

 

「くっそ!」

 

 ポルカはある人をこの場で複製する。

 

「ミオさん、足止め頼む」

「うん!」

 

 まさかのミオ。

 岩石銃、古式銃、星の光線銃を見ているため、これらが能力として扱える。

 複製体がころねの周囲に銃を発砲し足止めする隙に、トワを抱え、ポルカはその場を離れる。

 

 ミオのレーザーが時折背後から傍をすり抜けるが、一発も当たる事は無く、無事その場を一時退散できた。

 

 

 

「一旦離れたけど、ころねさんがいるから、また追ってくるかも」

「ああ……悪い」

「いや、こっちこそ悪かった。両腕拘束して油断してたわ」

 

 目から放てる銃まで搭載しているとは……。

 あの様子だと、恐らくミオは全身が銃になっている。

 目からビームが出るなら、口からも出てきそうだ。

 鼻や耳は……正直ダサいが、警戒するとしよう。

 

「動けそ?」

「おん……動く事はできる、けど……さっき見たく激しくは動けれん」

「今奇襲されると不味いな……」

 

 トワを一本の木にもたれ掛け、ポルカは周囲を見張る。

 相手側は索敵こそあるが、透明化という便利能力は無い(と思う)。

 あくあがこちら側で良かった……と、思った。

 

「…………」

 

 また少し、注意が散漫になる。

 

「そ言えばポルカ……っ、さっき、何言いかけたん?」

「え、ああ……トワ様は裏切ってないよねって」

「……そんな事か」

 

 苦笑して目を伏せる。

 

「ポルカこそ、敵じゃないよな」

「…………当たり前だろ」

 

 言葉一つ、行動一つ、全てを疑い始め、トワもポルカも既に作戦に集中しきれていない。

 自分の事実発言すら、もはや無用の長物。

 

 今ではもう、仲間に背中を預けられない。

 

「クッソ……最悪だ」

「ああ、本当に最低な状況だ」

 

 ポルカも付近の木に寄り掛かり、額に手を当てる。

 同調するように、トワも嘆いた。

 

「これからどうする?」

「そうだな……ひとまずトワ様を安全な場所に置きたいんだけど」

「多分、船にも来てるよな」

「100パー来てるな」

 

 情報が漏れているなら、停泊位置も、船残留メンバーもバレているはず。

 人質には最適だから、狙わない理由がない。

 そもそも、ころねがいる以上この周辺では隠れる意味がない。

 かと言って、この状況で街へ逃げ込むのも悪手だ。

 市民への被害は今のところ見られないが、手を出さないとは限らない。

 

「でも一体、誰がどうやって……」

「ホンマな、謎やわ」

 

 ポルカの提唱した疑問に相槌を打つトワ。喋る際、少し痛んだのか脇腹の辺りに軽く触れる。

 

「…………」

 

 ポルカが頭を抱えて唸り始めた。

 

「ポルカ、気になるのは分かるけど今はこの状況をどうにかせんと」

「……あ、ああ、ごめん」

 

 トワが現実に呼び戻す。

 考察は大切だが、それは今じゃない。

 考える暇がないなら、一先ず安全策を取ろう。

 

「あたしらは一度船に戻ろう」

「おけ」

 

 ミオところねを野放しにする事が危ないとは重々承知だが、こちらもトワを1人放置はできない。

 敵がいるかもしれないとは言え、やはり船の間近ならいざという時何とかなる。

 

「んじゃあ戻るよ」

 

 2人はまた動き出した。

 

 

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