ホロメンと悪魔の実   作:炎駒枸

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57話 捜査開始……?

 

 ラミィに地下監獄へと案内された。

 監獄前にはあやめが待機していた。

 監視役らしい。

 ラミィとあやめが話をつけると、「妙な事はするなよ」と強く釘を刺して10分間持ち場を離れた。

 

「皆さん、大丈夫……ですか?」

 

 牢屋越しに会話を図る。

 ポルカ、みこ、あくあはダメージが大きいため、まだ意識が戻っていない様子。

 その他は元気こそ無いが、ピンピンしている。

 

「船長、私たち、どうなっちゃうの……」

「大丈夫です。ちゃんと解放してもらうように交渉してきたところです」

「本当!?」

「はい、条件付きですが、それさえ果たせば全員解放してもらえます、絶対に」

 

 明確に全員釈放の言質は取ってないが、トワの無罪を証明すれば、間違いなく全員釈放だ。

 そのまま、ノエル達も連れて、ハングリー島へ攻め込む。

 

 ……が理想のプラン。

 

「そのために、トワ様――」

「…………」

「時間が10分しかないので、手短に」

「うん……」

「かなたを探してます。心当たりは?」

「――ごめん、心当たりはないんだ」

 

 と、手掛かりなしだった。

 

「じゃあ何か、この島で情報を得られる場所とか、ないですか? 些細な情報でもいいので」

「……港なら、海外の人も多いし、何か得られるかも」

「分かりました、そこで聞き込みしてみます」

 

 屈んでいたマリンは立ち上がる。

 一分一秒が惜しいので、折角だが面談は打ち切りとしよう。

 積もる話も、全て片付いた後。

 

「ごめんよこより、とばっちり食らわせちゃって」

「別に」

 

 下手したら死刑の状況でも、こよりは態度が崩れない。

 

「じゃあ船長は行きますね」

「は、早めにね?」

「はい」

 

 マリンは駆け出そうと踏み込んだ。

 

「船長――!」

「――はい」

 

 トワに呼び止められたので、全身を振り返らせた。

 面と向かって、もう一度屈み込む。

 

「ごめん……」

「……いえ、それは――」

「――あと、ありがと」

 

 謝罪と謝礼。

 一度紡ぎかけた言葉を、マリンは一瞬で忘却してしまう。

 

 口角を上げて。

 

「可愛いですよ、今のトワ様」

 

 今度こそ駆け出した。

 5分にも満たない面会。

 監獄の出入り口を潜った先に、あやめがいた。

 

「お、あやめ先輩、面会は終わったので、どうぞ仕事に戻ってください。では!」

「――――」

 

 やけに上機嫌なマリンの背中を睨み、姿が消えると獄内の様子を確認に戻った。

 

 マリンは城内を駆け回り、出口を探す――。

 

「っと……もしや今なら、城内探れるのでは?」

 

 監視の目がない今しか出来ない事を、とよからぬ事を企む。

 城内マップが不明なので、適当に駆け回ることに変わりはないが、一先ず怒られるまで城の中を探るとしよう――

 

「船長さん」

「おわっ! わため⁉︎」

 

 次の行動を思案し終え、いざ動こうとしたその時、背後から緩い声が。

 振り返れば、ニコニコと微笑むわためがいる。

 

「面会はもういいの?」

「はい、話は終わったので」

「そっか〜」

「……えっと、用事ですか? 船長これでも、急ぎなんで」

 

 要件を切り込まないわために、急ぐ素振りを見せて多忙をアピールする。

 わためは、知ってるよ、と屈託なく笑った。

 

「ノエルちゃんが、船長さんに誰か案内人をつけろって言うからね、そのために来たの」

「案内……じゃあ、城を案内してくれるって事ですか⁉︎」

「うん。捜査はある程度自由にしていいって」

 

 マリンは大いに喜んだ。

 

(なぁんだ! ノエちゃん結局優しいじゃんか!)

 

「それなら早速――」

「あー……えっとねぇ、わためも自分が行きたかったんだけど、監視が居ないと困るからって……」

 

 と、マリンの勢いを抑止して頬を掻きながら視線をあちこちに飛ばす。

 それに合わせて、マリンも周囲を見回すが特に何もない。

 

「すぐ来ると思うから、ちょっと待ってて」

「むー……仕方ない」

 

 やはり時間は惜しいのだが、案内の有無は捜査の時短に大きく影響する。

 わためを眺めて待つとしよう。

 と、視線をわために向けると、わための視線と合わない。

 角度がやや低かった……。

 

「……ょっ」

 

 軽くジャンプしてみた。

 マリンの胸の弾みに合わせて、わための瞳も弾むその瞬間を、マリンは目撃した。

 

 もう数回ジャンプ、ジャンプ、少年ジャンプ、きららジャンプ。

 

「ふふふ……揉む?」

「――!――!――!」

 

 押し付けるように胸を突き出して、聞いてみた。

 目を見開いてブンブンと激しく首を振った。左右に。

 しかも滅茶苦茶に距離を開きながら。

 

 なんで……マリンちゃん、かなちぃ……。

 

「わためぇー、来たよーぉ」

 

 また、マリンの背後から人が来る。

 この声はラミィ!

 身体をくるりと回して振り向いた。

 胸を強調した体勢のまま。その勢いで――

 

「ラミィ、揉む?」

「は? キモい」

 

 悲しすぎて頽れた。

 よろよろよろと、おばさんのように……。

 

「それじゃぁラミィちゃん、あとお願いね〜」

「…………ねぇ、なんかイヤだぁ!」

 

 膝から崩れたマリンの悲壮な背中に「言葉の刃」が突き刺さる。

 痛い。

 

 ヒシュンっ――

 

 と、一切の苦情を受け付けず、わためは消えた。

 

「…………」

「ら、ラミィ……」

「好きなところ行けば。困ったら教えるから」

 

 冷たい。

 声も刺々しさがある。

 

「えぇっと……」

「なに」

「あー……いやね、案内じゃないんだけど……その、かなたとトワ様の事件について……」

「それはダメ!」

「で、ですよね……」

 

 守秘義務ってやつだろう。

 冷徹なラミィもまた美徳としてみれるが、「船長大好き」なラミィの方がいい。

 

「仕方ない……!」

 

 出鼻は挫かれたが、想定通りさ、問題ない。

 

「であれば自力で解明してみせますよ! ってわけで、かなたの部屋を――」

「それもダメ!」

「なんでだよ! 案内するって言ったじゃん!」

「王室は騎士団員でも基本は入室が制限されてるんだから!」

「なんだよちくしょう! ラミィのけち!」

 

 子どもじみた愚痴は受け流される。

 王室もダメなら、それもまあ、仕方ない。

 

「なら、事件のあった場所を――」

「それもダメ!」

「全部ダメじゃん!」

 

 今度はなんだ、アレか、事件現場荒らすなとかいうのか、1年も経ってるのに! 経ってるのにー‼︎

 

「王室が事件現場だもん、しょうがないでしょ」

「クッソ! もっといい場所で事件起こしてろよ!」

「…………」

 

 不謹慎な発言が飛び出す。

 配信に載せれば、軽く炎上しそうだ。

 

「仕方なくないけど、仕方ない!」

 

 何度言い聞かせた事だろう。

 そもそも、城内すら、当初は捜索範囲外だったのだ。

 今更そこが制限されようと、マイナスにはなるまい。

 

「人が1番多い港まで案内しろ、ラミィ!」

「なんで命令形になんのよ」

「こちとら妥協してやったんだぞ!」

「あーもう! なんでこんな面倒な役をラミィがしなきゃなんないの!」

 

 理不尽なマリンの怒号に、ラミィも苛立ちを募らせた。

 整った髪をくしゃくしゃと乱す。

 髪がめちゃくちゃ跳ねて、寝起きみたいだった。

 

「…………」

 

 無言でラミィが歩き出す。

 黙ってついて来い……って事か。

 半歩遅れてマリンも後に続いた。

 

「ねえラミィ。今かなたがいないなら、誰が国を仕切ってんの?」

 

 黙って着いて来い、を察しつつも黙らずに着いて行く。

 その奔放さにラミィはまた、眉をぴくりと歪ませた。

 

「ノエたんが代わりに回してる」

「へぇー」

 

 関心の低そうな相槌に、ラミィの眉がまた揺れる。

 

「ラミィは騎士団のなんて役職なん?」

「…………」

「ねえ、ラミィ?」

「…………」

「なんで怒ってんの、なんか言ってよ」

「うるさいなぁ! 黙って歩けんのかアンタは」

 

 喋り続けていると、怒鳴られた。

 聞き慣れた声音に癒される。

 それが、つい表情に出てしまったから……。

 

「――ねぇ〜、ほんとにやだぁー……」

 

 振り返ったラミィが顔全体を歪めて、不快感を露わにした。

 

 どうしよう――! 口角が――! 上がっちゃう――!

 

 我慢我慢……。

 

「……もういい! 黙って着いてきて!」

「――は、い」

 

 必死に感情を堪えて、マリンはラミィの背を追いかけた。

 

 





 登場キャラ設定プロフィール11(?)

 「白銀ノエル」
 所属と役職……シエロソニード騎士団、団長
 能力……???
 能力名の由来……???
 出身……機械の国アルマ
 好きな物……筋トレ、運動、遠征
 嫌いな物……服従、巡回警備

 「雪花ラミィ」
 所属と役職……シエロソニード騎士団、教授
 能力……???
 能力名の由来……???
 出身……アルメンドラ
 好きな物……酒、月、団子
 嫌いな物……昼寝、味付けの濃い物(調味料)

 「百鬼あやめ」
 所属と役職……シエロソニード騎士団、傭兵(最強)
 能力……???
 能力名の由来……???
 出身……ディアスケーダシティ
 好きな物……運の悪い人、刃物
 嫌いな物……運の良い人、銃

 「角巻わため」
 所属と役職……シエロソニード騎士団、監視員
 能力……???
 能力名の由来……???
 出身……キャンディータウン
 好きな物……ポテチ、わたがし、人と話す事
 嫌いな物……非常食、権力


 *このメンバーのプロフは能力などの判明後に再掲されます。
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