ラミィに地下監獄へと案内された。
監獄前にはあやめが待機していた。
監視役らしい。
ラミィとあやめが話をつけると、「妙な事はするなよ」と強く釘を刺して10分間持ち場を離れた。
「皆さん、大丈夫……ですか?」
牢屋越しに会話を図る。
ポルカ、みこ、あくあはダメージが大きいため、まだ意識が戻っていない様子。
その他は元気こそ無いが、ピンピンしている。
「船長、私たち、どうなっちゃうの……」
「大丈夫です。ちゃんと解放してもらうように交渉してきたところです」
「本当!?」
「はい、条件付きですが、それさえ果たせば全員解放してもらえます、絶対に」
明確に全員釈放の言質は取ってないが、トワの無罪を証明すれば、間違いなく全員釈放だ。
そのまま、ノエル達も連れて、ハングリー島へ攻め込む。
……が理想のプラン。
「そのために、トワ様――」
「…………」
「時間が10分しかないので、手短に」
「うん……」
「かなたを探してます。心当たりは?」
「――ごめん、心当たりはないんだ」
と、手掛かりなしだった。
「じゃあ何か、この島で情報を得られる場所とか、ないですか? 些細な情報でもいいので」
「……港なら、海外の人も多いし、何か得られるかも」
「分かりました、そこで聞き込みしてみます」
屈んでいたマリンは立ち上がる。
一分一秒が惜しいので、折角だが面談は打ち切りとしよう。
積もる話も、全て片付いた後。
「ごめんよこより、とばっちり食らわせちゃって」
「別に」
下手したら死刑の状況でも、こよりは態度が崩れない。
「じゃあ船長は行きますね」
「は、早めにね?」
「はい」
マリンは駆け出そうと踏み込んだ。
「船長――!」
「――はい」
トワに呼び止められたので、全身を振り返らせた。
面と向かって、もう一度屈み込む。
「ごめん……」
「……いえ、それは――」
「――あと、ありがと」
謝罪と謝礼。
一度紡ぎかけた言葉を、マリンは一瞬で忘却してしまう。
口角を上げて。
「可愛いですよ、今のトワ様」
今度こそ駆け出した。
5分にも満たない面会。
監獄の出入り口を潜った先に、あやめがいた。
「お、あやめ先輩、面会は終わったので、どうぞ仕事に戻ってください。では!」
「――――」
やけに上機嫌なマリンの背中を睨み、姿が消えると獄内の様子を確認に戻った。
マリンは城内を駆け回り、出口を探す――。
「っと……もしや今なら、城内探れるのでは?」
監視の目がない今しか出来ない事を、とよからぬ事を企む。
城内マップが不明なので、適当に駆け回ることに変わりはないが、一先ず怒られるまで城の中を探るとしよう――
「船長さん」
「おわっ! わため⁉︎」
次の行動を思案し終え、いざ動こうとしたその時、背後から緩い声が。
振り返れば、ニコニコと微笑むわためがいる。
「面会はもういいの?」
「はい、話は終わったので」
「そっか〜」
「……えっと、用事ですか? 船長これでも、急ぎなんで」
要件を切り込まないわために、急ぐ素振りを見せて多忙をアピールする。
わためは、知ってるよ、と屈託なく笑った。
「ノエルちゃんが、船長さんに誰か案内人をつけろって言うからね、そのために来たの」
「案内……じゃあ、城を案内してくれるって事ですか⁉︎」
「うん。捜査はある程度自由にしていいって」
マリンは大いに喜んだ。
(なぁんだ! ノエちゃん結局優しいじゃんか!)
「それなら早速――」
「あー……えっとねぇ、わためも自分が行きたかったんだけど、監視が居ないと困るからって……」
と、マリンの勢いを抑止して頬を掻きながら視線をあちこちに飛ばす。
それに合わせて、マリンも周囲を見回すが特に何もない。
「すぐ来ると思うから、ちょっと待ってて」
「むー……仕方ない」
やはり時間は惜しいのだが、案内の有無は捜査の時短に大きく影響する。
わためを眺めて待つとしよう。
と、視線をわために向けると、わための視線と合わない。
角度がやや低かった……。
「……ょっ」
軽くジャンプしてみた。
マリンの胸の弾みに合わせて、わための瞳も弾むその瞬間を、マリンは目撃した。
もう数回ジャンプ、ジャンプ、少年ジャンプ、きららジャンプ。
「ふふふ……揉む?」
「――!――!――!」
押し付けるように胸を突き出して、聞いてみた。
目を見開いてブンブンと激しく首を振った。左右に。
しかも滅茶苦茶に距離を開きながら。
なんで……マリンちゃん、かなちぃ……。
「わためぇー、来たよーぉ」
また、マリンの背後から人が来る。
この声はラミィ!
身体をくるりと回して振り向いた。
胸を強調した体勢のまま。その勢いで――
「ラミィ、揉む?」
「は? キモい」
悲しすぎて頽れた。
よろよろよろと、おばさんのように……。
「それじゃぁラミィちゃん、あとお願いね〜」
「…………ねぇ、なんかイヤだぁ!」
膝から崩れたマリンの悲壮な背中に「言葉の刃」が突き刺さる。
痛い。
ヒシュンっ――
と、一切の苦情を受け付けず、わためは消えた。
「…………」
「ら、ラミィ……」
「好きなところ行けば。困ったら教えるから」
冷たい。
声も刺々しさがある。
「えぇっと……」
「なに」
「あー……いやね、案内じゃないんだけど……その、かなたとトワ様の事件について……」
「それはダメ!」
「で、ですよね……」
守秘義務ってやつだろう。
冷徹なラミィもまた美徳としてみれるが、「船長大好き」なラミィの方がいい。
「仕方ない……!」
出鼻は挫かれたが、想定通りさ、問題ない。
「であれば自力で解明してみせますよ! ってわけで、かなたの部屋を――」
「それもダメ!」
「なんでだよ! 案内するって言ったじゃん!」
「王室は騎士団員でも基本は入室が制限されてるんだから!」
「なんだよちくしょう! ラミィのけち!」
子どもじみた愚痴は受け流される。
王室もダメなら、それもまあ、仕方ない。
「なら、事件のあった場所を――」
「それもダメ!」
「全部ダメじゃん!」
今度はなんだ、アレか、事件現場荒らすなとかいうのか、1年も経ってるのに! 経ってるのにー‼︎
「王室が事件現場だもん、しょうがないでしょ」
「クッソ! もっといい場所で事件起こしてろよ!」
「…………」
不謹慎な発言が飛び出す。
配信に載せれば、軽く炎上しそうだ。
「仕方なくないけど、仕方ない!」
何度言い聞かせた事だろう。
そもそも、城内すら、当初は捜索範囲外だったのだ。
今更そこが制限されようと、マイナスにはなるまい。
「人が1番多い港まで案内しろ、ラミィ!」
「なんで命令形になんのよ」
「こちとら妥協してやったんだぞ!」
「あーもう! なんでこんな面倒な役をラミィがしなきゃなんないの!」
理不尽なマリンの怒号に、ラミィも苛立ちを募らせた。
整った髪をくしゃくしゃと乱す。
髪がめちゃくちゃ跳ねて、寝起きみたいだった。
「…………」
無言でラミィが歩き出す。
黙ってついて来い……って事か。
半歩遅れてマリンも後に続いた。
「ねえラミィ。今かなたがいないなら、誰が国を仕切ってんの?」
黙って着いて来い、を察しつつも黙らずに着いて行く。
その奔放さにラミィはまた、眉をぴくりと歪ませた。
「ノエたんが代わりに回してる」
「へぇー」
関心の低そうな相槌に、ラミィの眉がまた揺れる。
「ラミィは騎士団のなんて役職なん?」
「…………」
「ねえ、ラミィ?」
「…………」
「なんで怒ってんの、なんか言ってよ」
「うるさいなぁ! 黙って歩けんのかアンタは」
喋り続けていると、怒鳴られた。
聞き慣れた声音に癒される。
それが、つい表情に出てしまったから……。
「――ねぇ〜、ほんとにやだぁー……」
振り返ったラミィが顔全体を歪めて、不快感を露わにした。
どうしよう――! 口角が――! 上がっちゃう――!
我慢我慢……。
「……もういい! 黙って着いてきて!」
「――は、い」
必死に感情を堪えて、マリンはラミィの背を追いかけた。
登場キャラ設定プロフィール11(?)
「白銀ノエル」
所属と役職……シエロソニード騎士団、団長
能力……???
能力名の由来……???
出身……機械の国アルマ
好きな物……筋トレ、運動、遠征
嫌いな物……服従、巡回警備
「雪花ラミィ」
所属と役職……シエロソニード騎士団、教授
能力……???
能力名の由来……???
出身……アルメンドラ
好きな物……酒、月、団子
嫌いな物……昼寝、味付けの濃い物(調味料)
「百鬼あやめ」
所属と役職……シエロソニード騎士団、傭兵(最強)
能力……???
能力名の由来……???
出身……ディアスケーダシティ
好きな物……運の悪い人、刃物
嫌いな物……運の良い人、銃
「角巻わため」
所属と役職……シエロソニード騎士団、監視員
能力……???
能力名の由来……???
出身……キャンディータウン
好きな物……ポテチ、わたがし、人と話す事
嫌いな物……非常食、権力
*このメンバーのプロフは能力などの判明後に再掲されます。