キャンディータウン訪問から半年……。
シエロソニード騎士団に新たなメンバーが加わることとなる。
騎士団メンバー全員を招集し、その前に2人を立たせる。
「じゃあ、自己紹介よろしく」
かなたの指示でまず1人、一歩進み出た。
「雪花ラミィです。今日よりシエロソニード騎士団全員の座学の教授を担当します。よろしく」
今まで存在しなかった教授という立場の存在。
戦闘に関しては基本、団長であるノエルが指導していたが、座学には特定の先生がついていなかった。
満を持して、その役を導入した。
そしてもう1人――
ラミィが一歩下がると、その1人が半歩前へ進み出た。
「百鬼あやめです。よろしく」
すぐに半歩退いた。
ラミィと違い、役職を名乗らなかった。
ただの傭兵のようだ。
「それだけ?」
「うん」
「もっと何か言えばいいのに」
「だって、余、役ないもん」
ラミィとあやめが言葉を交わしている。
同期だからか、仲がいい。
「今後は、座学に関して分からない事があればラミィちゃん、戦術に関して分からない事があればあやめちゃんに聞くように」
「――? あやめちゃんに?」
役職はないが、あやめを戦いの教官とする。そんな発言だった。
不満はないのだが、疑問に思ったわためが首を傾げた。
かなたはにっこりと笑う。
「そうだよ。あやめちゃん、最強だから」
「――???」
何かの比喩?
最強って……つまり、最強って事なのか?
「まあそれに関しては、この先稽古つけてけば分かるよ」
と、かなたは話題を打ち切る。
あやめ最強説は、ノエルも初耳で、いまいちピンと来ていなかった。
なんせ、当のあやめが全くやる気を感じさせない珍妙な風格だから。
「はい、それじゃあ今回は解散。ラミィとあやめちゃん以外は各々持ち場に戻ってね」
パンと拍音を響かせて号令をかけると、騎士団員は従順にその場から散ってゆく。
そしてやっぱり、ノエルとわためは居残る。
特に指示は出していない。
「折角だから、2人の事案内してあげなよ」
でも、示し合わせたように、かなたは2人に別の指示を出した。
元気よく頷き快諾。
4人で城内の案内へと出発。
それを見届けると、かなたもまた、どこかへ向かった。
城内散歩――もとい、案内中の4人。
「ここが食堂」
ノエルがバァンと勢いよく扉を開けば、大きな食堂が。
昼食前なため、人は少ないが、厨房では料理人がせっせこ調理していた。
メニュー表を2人に見せる。
メニュー表紙には、ドドんと大きく牛丼がアピールされていた。
が、目もくれず内側の一覧を見た。
ノエルは少し悲しそう。
「おいしそう」
「どれもおいしいよ、わためはコンプリートしちゃった」
自慢げに鼻を鳴らすが、ここへ来て半年。
メニューコンプリートには、十分すぎる時間がある。
勿論、期間限定だってコンプリート済み。
「ノエルちゃんは大抵牛丼だからね」
「わためだって、コンプとか言って、主食はいっつもポテチじゃん」
「――?」
新入り2人には主食はポテチ、の意味が分からなかった。
「早いけど食べてから回る?」
「そうだね、遅くなるとすごく混むし」
ノエルとわためが今のうちに食事を済ませようと提案するので、新入りは頷くしかない。
まだ、大してお腹は空いていないが。
「だんちょは牛丼、メガ盛ね」
「わためは……どうしよぅ」
2人は対照的な態度を取った。
メニューコンプして以降、わためはいつも食事選びに時間をかけている。
なんて優柔不断なんだ。
「余はうどんでいいや」
お腹が空いていないので。
天ぷらうどんを選択。
「ラミィは……いや、ラミィもうどんで」
やっぱりお腹が空いていないので。
月見うどんを選択。
「え、みんな決めるの早い」
「わためが遅いの」
メニューの決まらないわためは、あたふたとしているが意味がない。
焦るだけ無駄だ。
「もうポテチでよくない?」
「うーん……」
「それこそ悩みどころじゃない」
ご飯代わりにポテチなんてあり得ない。
太るぞ。
「えっと……じゃあ……カレーで……えっと、カツ? いやチーズ?」
「めんどくさいなぁ! どっちもトッピングすればいいじゃん」
ラミィが焦ったくなり、先輩後輩を無視して指示した。
わためはあわわと慌てて、そうだねと言う。
「うん、決めた! 唐揚げ定食!」
「「カレーは⁉︎」」
新人2人のツッコミが心に染みる。
意図的に誘発したわけではないが、割といい。
特にラミィのツッコミ気質が。
「ほら、行くよ」
カウンター?で注文し、料理提供を待つ。
ノエルとわためはトレーを一つと、それぞれ箸とスプーを取った。
「トレーを一つ取ってね」
「ん」
「おお、トレーを取れー、ってか」
「――――」
ラミィはツッコミ気質でなかったかも。
「笑ってもええんやぞ」
「面白かったら笑うよ」
「おいおい遠慮すんなよ〜」
なんだコイツ、酔っているのか?
あやめは慣れた顔でスルーを決め込んでいる。
扱いに困っている所、お待たせしましたー、と牛丼が差し出された。
ノエルはそそくさとその場を離脱した。
定位置に座ると、独りで3人を待つ。
「…………」
一瞬だけ気まずくなった。
「そういえば2人は――」
「お待たせしましたー」
わための言葉を遮って届いた2つの注文品。
月見うどんと天ぷらうどん。
「「じゃ」」
「うぅ……」
先輩なのに扱いが酷い。
かなたの選抜だけあって、先輩だろうと臆さずジョークを飛ばせるあたり、やはり肝が据わっている。
先に席へ着いた3人は楽しそうに談笑している。
そして時折、わためを見て笑う。
ずるい、ひどい。
羨ましそうに3人を見つめると、目を逸らされた。
「お待たせしました」
「お待ちしておりましたありがとうございます!」
わためなりの猛スピード。
さっさとトレーに乗せて、席へ。
走ると転ぶから、気をつけて、でも急いで。
「おまたせ!」
「いやいや、待ってないよ」
「そこは待ってたでいいの!」
彼女とのデートでもあるまい。
この場でその返答は逆に凹む。
分かっててやってるあたり、生意気だ。
「んじゃ、いただきます」
「「「いただきまーす」」」
合掌して早速食べる。
その前にあやめは何かを思い当たり、席を立つ。
給水機の方へ走って行くので、ノエルとわためも、あっ、と喉を鳴らして席を立つ。
ラミィは動かない。
「ごめー……あれ」
あやめは給水機を通り過ぎてカウンターへ。
一味を手に取り戻ってきた。
「どしたん?」
「いや、水を取りに行ったのかと」
「へ、ああ、ほんとだ」
「あー、ま、戻ってて、2人の分も持ってくから」
「ほい」
てってて、と席へ戻るあやめの姿にほんのり母性を覚えた。
あやめは一味を手にラミィの隣へと座り直す。
手に持ったものをチラリと見ると、ラミィはすぐ目を逸らした。
「かけ――」
「ない」
即答。
薬味はあまり体に良くない。
香辛料は特に喉に悪い。
調理に必須の場合を除いて調味料は加えない。
「……」
あやめはしゅんとして一味を3回ほど振った。
無音で、振る光景だけがチラチラと視界の端に映る。
ぱさっ、と音がした。
「あ……」
量を調整する覆いが外れて、中身が溢れた。
天ぷらの上に、覆いと大量の一味が。
「そんな漫画みたいな事ある?」
あるから起きている。
「……交換し――」
「ない」
「ちょっと食べ――」
「ない!」
ラミィはちゅるちゅるとうどんを啜る。
「おまたせ、水持ってきた……けど、どしたん?」
「あーあぁ……」
「ん? あー……」
凄惨な天ぷらを目にして察した。
「「そんな事ある?」」
「言わないでぇ!」
あり得ない現場。
それを起こしてしまうのがあやめ。
なんせ生まれながらの不幸体質。
1日最低1回。最高で6、7回の不幸と巡り会う女。
「うん。ま、まあ……それじゃ食べれんし、一味は捨てよう」
ノエルがスプーン1つ、そしてカウンターで小皿を一つもらい、それらを駆使して一味と蓋を除去した。
「これくらいでいい?」
「うん……ありがと」
一味を適量に整えて、残りはカウンターに謝罪して渡す。
テンションの下がったあやめ。
悲しそうにうどんと天ぷらを口にした。
美味しくて少し微笑んだ。その後の勢いは中々のもの。
わため以外は、あっという間に完食した。
「みんな早い!」
「だからわためが遅いの」
わための皿にはまだ半分ほどの残っていた。
また焦る。
「急がなくていいよ、まだ時間あるし」
「ゆっくり食べなー」
「うぅ……いい後輩たちだぜ……」
「いいから早よ食べい」
「どっち⁉︎」
手のひら返しがすごい。
とっつき易くて嬉しいけれども。
わための食の進みを黙って待ってもつまらないので、何か話題を振ろう。
「そいえば、2人はどこの出身?」
「あ、それさっきわためが聞こうとしたのに!」
カウンターで聞きそびれた事はこれか。
ノエルに先を越されて少しショック……。いや誰が聞いてもいいだろ。
「ラミィはアルメンドラって島」
「余はディアスケーダシティ」
「アルメンドラは知らんけど、DCなら知っとるよ」
「わため、その近くのキャンディータウン出身だよ!」
知っている国が出てきてなんだか嬉しい。
「あやめちゃんはどうしてうちの騎士団に?」
「強くなりたくて色んな国を回りながら修行してたら、ここに辿り着いた」
「どうして強くなりたいの?」
「特に理由はないかな。強い人ってかっこいいなぁ、って思っただけ」
「す、すごいね……」
「うん……でも、自分磨きって楽しいし、力も人間性も、成長を実感できると嬉しい」
あやめの人生を知り2人は感心した。
並の人間では数日で挫けるような事だ。
まるで仙人のような道を辿っている。
「その精神、かっこいい」
強さの追求か……。
ノエルも団長として、もっと上を目指すべきだろうか。
でもなぁ……。
「ラミィちゃんは?」
「カッコいいやつ聞いた後だと言い難いなぁ」
「えー、何でもいいよ。わためなんてノリで移籍したんよ?」
「何でもって……テキトーに理由づけしてるみたいな言い方」
少し面倒くさい事を言い出した。
これ以上何か言うと、次々脱線していきそうなので、話すまで黙る。
「ラミィは人に助けられた事があるから、人を助ける仕事がしたいなって思ったの」
「十分まともな理由じゃんか」
「うん、わためよりはまともだと思う」
しっかりと自分なりの思い、持っているではないか。
確かにカッコいい路線ではないが、純粋に応援したくなる理由。
2人に比べれば、わためやノエルの動機はショボすぎる。
「――? でも、何でわざわざこの国に?」
「アルメンドラは国家が形成されてないから、大きい組織もなくてさ……。警察みたいなのはあったけど、そもそも大きい事件とか起きる場所じゃなかったし」
「なるほどねぇ、もっと多くの人に大きく貢献したいと」
「そう言う事。だから、この国見つけたのは偶然かな」
バイトの求人のように言うが、そう簡単に就ける職ではない。
ラミィもかなたに認められるだけの才がある証拠だな。
座学の教授を務めるあたりから、戦闘力より知識力や作戦立案などの能力が高そうだ。
「でもそう考えると2人の加入で、戦力知力、共に爆上がりって感じじゃね」
「うんうん」
「そうかな……」
仏頂面なあやめの横でラミィは表情を隠すように視線を逸らした。
「照れてる照れてる」
「う、うっさいなぁ……!」
ラミィのような反応をされると、つい揶揄いたくなる。
紅潮した顔でわために怒鳴った。
よきよき。
気付けばわためも完食していた。
「さて、早めの食事も済んだ事じゃし、案内を続けようか」
「え、わためまだポテチ食べてない」
ガーン、とオーバーリアクションする。
「それは後」
「そんなぁ……」
あやめとラミィがポテチと言う単語にまたまた首を傾げた。
「ねぇ、ポテチって、どう言う事?」
「さっき主食とか言ってたけど」
「ん、あー。わためはね、やる気源の半分くらいがポテチだから、1日一袋はポテチを食べとるんよ」
「「へ、へぇ……」」
新入り2人のドン引きした様相。
わためは全く気に留めない。
「ポテチ食べててもいいけど、その場合置いてくよ」
「食べながら……」
「それは汚れるからいけんよ」
「うぅ……一緒に行きます……」
わためを観念させ、4人は城案内を再開した。
忘れていたアレをまとめて書きます。
ワンピに出る能力なら何を与えるか、です。
いきます!
まつりちゃん→ホルホル
アキロゼ→コブコブ
はあちゃま→ククククorクモクモ(古代種 モデル ロサミガレ・クラウボゲリィ)
シオン→カゲカゲ
あくたん→ナギナギ
おかゆ→バクバク
みおしゃ→イヌイヌ(幻獣種 モデル 大口真神)
トワ様→ヤミヤミ
ねねち→ムシムシ(モデル カブトムシ)
こより→ヒエヒエ
かな。
あ、アンケート解答求む。
今後の作品づくりの参考にしますので。
以上!