ホロメンと悪魔の実   作:炎駒枸

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62話 追求と貢献

 

 キャンディータウン訪問から半年……。

 

 シエロソニード騎士団に新たなメンバーが加わることとなる。

 騎士団メンバー全員を招集し、その前に2人を立たせる。

 

「じゃあ、自己紹介よろしく」

 

 かなたの指示でまず1人、一歩進み出た。

 

「雪花ラミィです。今日よりシエロソニード騎士団全員の座学の教授を担当します。よろしく」

 

 今まで存在しなかった教授という立場の存在。

 戦闘に関しては基本、団長であるノエルが指導していたが、座学には特定の先生がついていなかった。

 満を持して、その役を導入した。

 

 そしてもう1人――

 

 ラミィが一歩下がると、その1人が半歩前へ進み出た。

 

「百鬼あやめです。よろしく」

 

 すぐに半歩退いた。

 ラミィと違い、役職を名乗らなかった。

 ただの傭兵のようだ。

 

「それだけ?」

「うん」

「もっと何か言えばいいのに」

「だって、余、役ないもん」

 

 ラミィとあやめが言葉を交わしている。

 同期だからか、仲がいい。

 

「今後は、座学に関して分からない事があればラミィちゃん、戦術に関して分からない事があればあやめちゃんに聞くように」

「――? あやめちゃんに?」

 

 役職はないが、あやめを戦いの教官とする。そんな発言だった。

 不満はないのだが、疑問に思ったわためが首を傾げた。

 かなたはにっこりと笑う。

 

「そうだよ。あやめちゃん、最強だから」

「――???」

 

 何かの比喩?

 最強って……つまり、最強って事なのか?

 

「まあそれに関しては、この先稽古つけてけば分かるよ」

 

 と、かなたは話題を打ち切る。

 あやめ最強説は、ノエルも初耳で、いまいちピンと来ていなかった。

 なんせ、当のあやめが全くやる気を感じさせない珍妙な風格だから。

 

「はい、それじゃあ今回は解散。ラミィとあやめちゃん以外は各々持ち場に戻ってね」

 

 パンと拍音を響かせて号令をかけると、騎士団員は従順にその場から散ってゆく。

 

 そしてやっぱり、ノエルとわためは居残る。

 特に指示は出していない。

 

「折角だから、2人の事案内してあげなよ」

 

 でも、示し合わせたように、かなたは2人に別の指示を出した。

 元気よく頷き快諾。

 4人で城内の案内へと出発。

 それを見届けると、かなたもまた、どこかへ向かった。

 

 

 

 城内散歩――もとい、案内中の4人。

 

「ここが食堂」

 

 ノエルがバァンと勢いよく扉を開けば、大きな食堂が。

 昼食前なため、人は少ないが、厨房では料理人がせっせこ調理していた。

 メニュー表を2人に見せる。

 メニュー表紙には、ドドんと大きく牛丼がアピールされていた。

 が、目もくれず内側の一覧を見た。

 ノエルは少し悲しそう。

 

「おいしそう」

「どれもおいしいよ、わためはコンプリートしちゃった」

 

 自慢げに鼻を鳴らすが、ここへ来て半年。

 メニューコンプリートには、十分すぎる時間がある。

 

 勿論、期間限定だってコンプリート済み。

 

「ノエルちゃんは大抵牛丼だからね」

「わためだって、コンプとか言って、主食はいっつもポテチじゃん」

「――?」

 

 新入り2人には主食はポテチ、の意味が分からなかった。

 

「早いけど食べてから回る?」

「そうだね、遅くなるとすごく混むし」

 

 ノエルとわためが今のうちに食事を済ませようと提案するので、新入りは頷くしかない。

 まだ、大してお腹は空いていないが。

 

「だんちょは牛丼、メガ盛ね」

「わためは……どうしよぅ」

 

 2人は対照的な態度を取った。

 メニューコンプして以降、わためはいつも食事選びに時間をかけている。

 なんて優柔不断なんだ。

 

「余はうどんでいいや」

 

 お腹が空いていないので。

 天ぷらうどんを選択。

 

「ラミィは……いや、ラミィもうどんで」

 

 やっぱりお腹が空いていないので。

 月見うどんを選択。

 

「え、みんな決めるの早い」

「わためが遅いの」

 

 メニューの決まらないわためは、あたふたとしているが意味がない。

 焦るだけ無駄だ。

 

「もうポテチでよくない?」

「うーん……」

「それこそ悩みどころじゃない」

 

 ご飯代わりにポテチなんてあり得ない。

 太るぞ。

 

「えっと……じゃあ……カレーで……えっと、カツ? いやチーズ?」

「めんどくさいなぁ! どっちもトッピングすればいいじゃん」

 

 ラミィが焦ったくなり、先輩後輩を無視して指示した。

 わためはあわわと慌てて、そうだねと言う。

 

「うん、決めた! 唐揚げ定食!」

「「カレーは⁉︎」」

 

 新人2人のツッコミが心に染みる。

 意図的に誘発したわけではないが、割といい。

 特にラミィのツッコミ気質が。

 

「ほら、行くよ」

 

 カウンター?で注文し、料理提供を待つ。

 ノエルとわためはトレーを一つと、それぞれ箸とスプーを取った。

 

「トレーを一つ取ってね」

「ん」

「おお、トレーを取れー、ってか」

「――――」

 

 ラミィはツッコミ気質でなかったかも。

 

「笑ってもええんやぞ」

「面白かったら笑うよ」

「おいおい遠慮すんなよ〜」

 

 なんだコイツ、酔っているのか?

 あやめは慣れた顔でスルーを決め込んでいる。

 

 

 扱いに困っている所、お待たせしましたー、と牛丼が差し出された。

 ノエルはそそくさとその場を離脱した。

 定位置に座ると、独りで3人を待つ。

 

「…………」

 

 一瞬だけ気まずくなった。

 

「そういえば2人は――」

「お待たせしましたー」

 

 わための言葉を遮って届いた2つの注文品。

 月見うどんと天ぷらうどん。

 

「「じゃ」」

「うぅ……」

 

 先輩なのに扱いが酷い。

 かなたの選抜だけあって、先輩だろうと臆さずジョークを飛ばせるあたり、やはり肝が据わっている。

 

 先に席へ着いた3人は楽しそうに談笑している。

 そして時折、わためを見て笑う。

 ずるい、ひどい。

 

 羨ましそうに3人を見つめると、目を逸らされた。

 

「お待たせしました」

「お待ちしておりましたありがとうございます!」

 

 わためなりの猛スピード。

 さっさとトレーに乗せて、席へ。

 走ると転ぶから、気をつけて、でも急いで。

 

「おまたせ!」

「いやいや、待ってないよ」

「そこは待ってたでいいの!」

 

 彼女とのデートでもあるまい。

 この場でその返答は逆に凹む。

 分かっててやってるあたり、生意気だ。

 

「んじゃ、いただきます」

「「「いただきまーす」」」

 

 合掌して早速食べる。

 その前にあやめは何かを思い当たり、席を立つ。

 給水機の方へ走って行くので、ノエルとわためも、あっ、と喉を鳴らして席を立つ。

 ラミィは動かない。

 

「ごめー……あれ」

 

 あやめは給水機を通り過ぎてカウンターへ。

 一味を手に取り戻ってきた。

 

「どしたん?」

「いや、水を取りに行ったのかと」

「へ、ああ、ほんとだ」

「あー、ま、戻ってて、2人の分も持ってくから」

「ほい」

 

 てってて、と席へ戻るあやめの姿にほんのり母性を覚えた。

 

 あやめは一味を手にラミィの隣へと座り直す。

 手に持ったものをチラリと見ると、ラミィはすぐ目を逸らした。

 

「かけ――」

「ない」

 

 即答。

 薬味はあまり体に良くない。

 香辛料は特に喉に悪い。

 調理に必須の場合を除いて調味料は加えない。

 

「……」

 

 あやめはしゅんとして一味を3回ほど振った。

 無音で、振る光景だけがチラチラと視界の端に映る。

 

 ぱさっ、と音がした。

 

「あ……」

 

 量を調整する覆いが外れて、中身が溢れた。

 天ぷらの上に、覆いと大量の一味が。

 

「そんな漫画みたいな事ある?」

 

 あるから起きている。

 

「……交換し――」

「ない」

「ちょっと食べ――」

「ない!」

 

 ラミィはちゅるちゅるとうどんを啜る。

 

「おまたせ、水持ってきた……けど、どしたん?」

「あーあぁ……」

「ん? あー……」

 

 凄惨な天ぷらを目にして察した。

 

「「そんな事ある?」」

「言わないでぇ!」

 

 あり得ない現場。

 それを起こしてしまうのがあやめ。

 なんせ生まれながらの不幸体質。

 1日最低1回。最高で6、7回の不幸と巡り会う女。

 

「うん。ま、まあ……それじゃ食べれんし、一味は捨てよう」

 

 ノエルがスプーン1つ、そしてカウンターで小皿を一つもらい、それらを駆使して一味と蓋を除去した。

 

「これくらいでいい?」

「うん……ありがと」

 

 一味を適量に整えて、残りはカウンターに謝罪して渡す。

 

 テンションの下がったあやめ。

 悲しそうにうどんと天ぷらを口にした。

 美味しくて少し微笑んだ。その後の勢いは中々のもの。

 

 わため以外は、あっという間に完食した。

 

「みんな早い!」

「だからわためが遅いの」

 

 わための皿にはまだ半分ほどの残っていた。

 また焦る。

 

「急がなくていいよ、まだ時間あるし」

「ゆっくり食べなー」

「うぅ……いい後輩たちだぜ……」

「いいから早よ食べい」

「どっち⁉︎」

 

 手のひら返しがすごい。

 とっつき易くて嬉しいけれども。

 

 わための食の進みを黙って待ってもつまらないので、何か話題を振ろう。

 

「そいえば、2人はどこの出身?」

「あ、それさっきわためが聞こうとしたのに!」

 

 カウンターで聞きそびれた事はこれか。

 ノエルに先を越されて少しショック……。いや誰が聞いてもいいだろ。

 

「ラミィはアルメンドラって島」

「余はディアスケーダシティ」

「アルメンドラは知らんけど、DCなら知っとるよ」

「わため、その近くのキャンディータウン出身だよ!」

 

 知っている国が出てきてなんだか嬉しい。

 

「あやめちゃんはどうしてうちの騎士団に?」

「強くなりたくて色んな国を回りながら修行してたら、ここに辿り着いた」

「どうして強くなりたいの?」

「特に理由はないかな。強い人ってかっこいいなぁ、って思っただけ」

「す、すごいね……」

「うん……でも、自分磨きって楽しいし、力も人間性も、成長を実感できると嬉しい」

 

 あやめの人生を知り2人は感心した。

 並の人間では数日で挫けるような事だ。

 まるで仙人のような道を辿っている。

 

「その精神、かっこいい」

 

 強さの追求か……。

 ノエルも団長として、もっと上を目指すべきだろうか。

 でもなぁ……。

 

「ラミィちゃんは?」

「カッコいいやつ聞いた後だと言い難いなぁ」

「えー、何でもいいよ。わためなんてノリで移籍したんよ?」

「何でもって……テキトーに理由づけしてるみたいな言い方」

 

 少し面倒くさい事を言い出した。

 これ以上何か言うと、次々脱線していきそうなので、話すまで黙る。

 

「ラミィは人に助けられた事があるから、人を助ける仕事がしたいなって思ったの」

「十分まともな理由じゃんか」

「うん、わためよりはまともだと思う」

 

 しっかりと自分なりの思い、持っているではないか。

 確かにカッコいい路線ではないが、純粋に応援したくなる理由。

 2人に比べれば、わためやノエルの動機はショボすぎる。

 

「――? でも、何でわざわざこの国に?」

「アルメンドラは国家が形成されてないから、大きい組織もなくてさ……。警察みたいなのはあったけど、そもそも大きい事件とか起きる場所じゃなかったし」

「なるほどねぇ、もっと多くの人に大きく貢献したいと」

「そう言う事。だから、この国見つけたのは偶然かな」

 

 バイトの求人のように言うが、そう簡単に就ける職ではない。

 ラミィもかなたに認められるだけの才がある証拠だな。

 座学の教授を務めるあたりから、戦闘力より知識力や作戦立案などの能力が高そうだ。

 

「でもそう考えると2人の加入で、戦力知力、共に爆上がりって感じじゃね」

「うんうん」

「そうかな……」

 

 仏頂面なあやめの横でラミィは表情を隠すように視線を逸らした。

 

「照れてる照れてる」

「う、うっさいなぁ……!」

 

 ラミィのような反応をされると、つい揶揄いたくなる。

 紅潮した顔でわために怒鳴った。

 よきよき。

 

 気付けばわためも完食していた。

 

「さて、早めの食事も済んだ事じゃし、案内を続けようか」

「え、わためまだポテチ食べてない」

 

 ガーン、とオーバーリアクションする。

 

「それは後」

「そんなぁ……」

 

 あやめとラミィがポテチと言う単語にまたまた首を傾げた。

 

「ねぇ、ポテチって、どう言う事?」

「さっき主食とか言ってたけど」

「ん、あー。わためはね、やる気源の半分くらいがポテチだから、1日一袋はポテチを食べとるんよ」

「「へ、へぇ……」」

 

 新入り2人のドン引きした様相。

 わためは全く気に留めない。

 

「ポテチ食べててもいいけど、その場合置いてくよ」

「食べながら……」

「それは汚れるからいけんよ」

「うぅ……一緒に行きます……」

 

 わためを観念させ、4人は城案内を再開した。

 

 





 忘れていたアレをまとめて書きます。
 ワンピに出る能力なら何を与えるか、です。
 いきます!

 まつりちゃん→ホルホル
 アキロゼ→コブコブ
 はあちゃま→ククククorクモクモ(古代種 モデル ロサミガレ・クラウボゲリィ)
 シオン→カゲカゲ
 あくたん→ナギナギ
 おかゆ→バクバク
 みおしゃ→イヌイヌ(幻獣種 モデル 大口真神)
 トワ様→ヤミヤミ
 ねねち→ムシムシ(モデル カブトムシ)
 こより→ヒエヒエ

 かな。
 あ、アンケート解答求む。
 今後の作品づくりの参考にしますので。

 以上!

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