ホロメンと悪魔の実   作:炎駒枸

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67話 シエロソニード最強の傭兵

 

 時は現在へ戻る。

 マリンは、スバルとちょこに出会い、城へ。

 

 会議室に通され、あやめ以外の主要メンバーが揃った。

 

「それで……2人がCT騎士団というのは……」

「事実だ」

 

 騎士団のバッチを見せつける。

 が、ノエルは難色を示す。

 一方わためは事実を知っているが口を挟まない。

 

「洗脳の事はマリンから聞いたんだろ? ならあいつらを釈放してくれ。姫が囚われて切羽詰まってんだ」

「ノエちゃん、頼むって」

 

 スバルとマリンが情に訴える。

 勿論論理も添えて。

 

「トワちゃんの例が、あるけん……」

 

 CTで虚実を突き通した事実。

 当然、ノエルは現場にいなかったわけだが……。

 

「都合の悪い事から目を背けんなよ。んな事言ったら、このバッチも、お前らのバッチも、権力も、意味がねえだろ」

「……っ」

 

 図星を突かれ、ノエルはぐうの音も出ない。

 マリンは何度も首肯して、いいぞ、と内心勝利を確信した。

 

「……ノエルちゃん」

 

 わためが、そっとノエルの肩に手を触れた。

 

「……」

 

 パシッとその手を払った。

 

「どさくさに紛れて何しとんの」

 

 こんな時でも、ブレないわため。

 ゆっくりと手を胸の方へずらしていた。

 そりゃ怒る。

 

「……ん、分かった。確かにスバルちゃんの言う通りじゃね」

「じゃあ――!」

「釈放する」

「っし!」

 

 マリンはガッツポーズを決めた。

 スバルとちょこも、ホッと胸を撫で下ろす。

 そうと決まれば、とっとと監獄へ行って解放してあげよう。

 

 ノエルが通信機を手に取った、そのタイミングで、コンコンと、ノックが。

 

「はーい」

 

 ラミィが無警戒に扉を開くと――

 

「ぅべ――!」

 

 ドー、っと巨大なブロックが扉の枠をぶち壊して突入。

 ラミィは壁とブロックに挟まれ、倒れた。

 

 がらがら、パラパラと、砕けた壁が崩れ落ちる。

 

「「――‼︎」」

 

 室内に緊迫した空気が流れる。

 

「ら、ラミィ……動かない」

 

 マリンが、倒れたラミィの容態を危惧する。

 

「別に、殺してないし」

「そうそう。殺さないんだよねぇ?」

「ふんっ……」

 

 大きくなった入り口から2人――すいせい、AZKiが入室。

 更に――!

 

「ほんとに滅茶苦茶だねー。ほら、2人も入っといでよ」

「あぶねぇよ、こんな派手に壊しちゃってぇ……」

「いいの? 僕はあまり人に見せられないって……」

 

 アキロゼの入室後、背後から登場するのは……。

 なんたる事だ……。

 

「フレア……!」

「「かなたん⁉︎」」

 

 不知火フレア、天音かなた。

 フレアはマリン以外知らないようだが、かなたは注目の的。

 本人は何故、視線が集まるのか理解していないようだ。

 洗脳下にあると見て間違いない。

 

「もういいんだよ。ルーナちゃんも捕えたし、ここの人達にもバレちゃったから」

「――」

 

 かなたの存在が隠す必要を無くし、戦力として扱い始めた。

 そして、序での様に登場したフレアも未知数な存在。

 他3人は、ある程度のスペック分析が完了しているが。

 

「あやめちゃん、至急会議室へ来て!」

『え、でも見張り――』

「至急‼︎」

『ん! 分かった!』

 

 通信機で釈放の件は伝えず、あやめに緊急を要すると伝達した。

 見張りも放置させ、あやめを呼ぶ。それはつまり、戦力求む、と言う事。

 

「最強と噂のあやめちゃん? すいちゃんやアキちゃんより強いのかな」

「私も気になる。来たらやっていい?」

「いいよ。それじゃあアキちゃんはあやめちゃん担当ね」

 

 かなたがいる時点で、そうだろうとは思ったが、情報は漏れてしまっているな。

 

 ノエルはメイスを構え、わためも胸ポケットから徐に……。

 

「銃⁉︎ わため、銃使うの⁉︎」

「……」

 

 意外な武器にマリンは思わず声が出た。

 拳銃を一丁、右手で構える姿が、異様だ。

 全く似合わない。

 

「え、わため……⁉︎ って事はあの人が……」

 

 顔を知らなかったのか、スバルとちょこはその名前を知り、何かに納得した。

 が、今はそんな時じゃない。

 スバルとちょこも、戦闘態勢をとった。

 マリンもそろりと服のポケットに手を突っ込むが、戦う意志はあまりない。

 

「5対5か……」

「4対5です!」

「あやめちゃんが来るから5対5でしょ」

「……」

 

 マリンを戦力に入れて計算するスバル。

 訂正させたが、ノエルは正しいと判断した。マリンではなくあやめをカウントして。

 それはそれで悲しい。

 

「お、噂をすれば――!」

「んんっ!」

 

 無い扉越しに、アキロゼとあやめが衝突した。

 その様子は、敵にしか見えない。

 が、あやめなら勝つと信じて疑っていない。

 その思いにマリンも便乗した。

 

「わため、かなたんは団長が行く」

「ん」

 

 ボソッと呟く。

 きっと、かなたを相手にできるのはノエルだけ。

 これは実力面ではなく、精神面で。

 

 ノエルが駆け出すと、わためは銃口をフレアに向ける。

 狙撃の腕は、ミオ以上。

 

 パァン、と銃声。

 

 弾丸を目で追える奴などいない。

 でも、自分が狙われていると分かれば、タイミングを見て躱すなど、不可能ではない。

 フレアの手に持った剣が、原型を留めないほど形を変えて、真四角の壁となる。

 材質は剣と同じ壁。銃弾は貫通できない。

 

「そんな感じの能力ね」

 

 パッと見た所、物を変形させる能力。

 ノエルが敵精鋭に迫る。

 

「部位分割」

 

 地面に巨大な升目が生まれた。

 均等に床を分割し、敵全員がそれぞれ1升内に収まる。

 

「――――」

「そのマスは全て、一回休み」

「――? あー、動かないね」

 

 マス内にいる全ての人間が、殆どの行動を封じられた。

 軽く口は動かせるが、四肢は動かないし、首も回せない。

 

 これは、ノエルの能力か。

 

「リーダーは、あんたじゃね」

 

 行動制限が上手く行ったので、直接AZKiを狙う。

 

「スピアソード」

 

 身体は動かないが、完全に束縛されたわけではない。

 体を動かさずに扱える能力なら、幾らでも攻撃可能だ。

 

 真四角の鋼鉄となった剣が、今度は細長く、槍の様に変形し、ノエルへと伸びてゆく。

 半径は非常に短いが、その分長く、一点への威力も大きい。

 

 どうやら、質量を一定のまま、形を自由に変えられるみたいだ。

 

「ん」

「邪魔すんな」

 

 わためが銃口を槍に向けると、すいせいからブロックが飛んできた。

 

 ガキん――。

 

「硬さは自慢なのよね」

 

 駆けるノエルと槍の間に、ちょこが割り込んだ。

 鉄よりも硬い服が、槍を弾く。

 

「ナイスちよこ!」

「助かる」

 

 ノエルが前方へ跳躍し、メイスを振りかぶる。

 全力でAZKiの腹へ撃ち込む――。

 

「――⁉︎」

 

 とん……。

 

「ぇ?」

 

 AZKiに、ダメージは殆ど入っていない。

 いや……だって……。

 

「何してんだ!」

「いや――今本気で――!」

 

 殴る瞬間、全身が脱力した。

 これは偶然じゃない。

 

「あれ、動くなぁ」

 

 ノエルのほぼ不発だった一撃を境に、AZKiの束縛が解けた。

 

「言葉通り、一回休みなんだね」

 

 そこまで察するか――!

 

 とはいえ、他のメンバーの動きが停止している事に変わりはない。

 まだ打開できる。

 

「かなたん」

「ん、任せて」

「――マズイ!」

 

 AZKiの指示でかなたが能力を発動。

 室内に大量の粉塵が舞い、視界が曇る。

 敵も味方も、1人も見えない。

 

「全員、背に仲間か壁をつけて――」

 

 どさっ……。

 

「――⁉︎」

 

 誰かが倒れた。

 ノエルの指示が間に合っていない。

 

「わため!」

 

 …………。

 

 返事が無い。

 わためがやられたか。

 

 他3人はどうだ。

 

「――! なんだおまっ――」

 

 スバルの声が途中で途絶え、倒れる音が。

 ノエルは能力を解いていない。

 AZKiか、もしくは別の敵か。

 

 続いてまた、誰かが倒れた。

 マリンか、ちょこか……。

 

 ノエルは味方を諦め、まず自らの安全を確保する。

 壁に背をつけ、正面にメイスを横向きで突き出す。

 粉が消えるまで待つしかない。

 

 ばたっ……。

 

 最後の1人もやられた。

 神経を研ぎ澄ませ。ノエルまでやられては、もう覆せない。

 意識を奪う手段も、解明できなければ、直後の戦闘に勝ち目もない。

 せめてあやめと、ノエルで……。

 

 粉が晴れゆく……。

 

「――――」

 

 そして、晴れた視界の中――倒れた味方ノエル以外。

 初っ端ブロックでやられたラミィ、そして今しがた謎の力で昏睡させられたその他のメンバー。

 

「さて、あとはノエルちゃんだけ――」

 

 チャキッ……。

 

「…………」

 

 AZKiの喉元に刀が突きつけられた。

 

「何で――」

「お前、偽者か」

「……よく分かったね。でも、なんで?」

「勘」

 

 偽者と勘付いたが、刀は当然下ろさない。

 

「アキちゃんを倒しちゃうなんて、ほんとに最強なんだ?」

「まーけーてーなーいー!」

 

 通路からアキロゼの悔しそうな声がする。

 が、登場しない。動きを封じたのか。

 賢明だ。

 

 しゅるる――と、伸びた鉄があやめに突撃する。

 カッ、と刀一つで軌道を逸らして床に突き刺し、踏みつけ、動きを抑えた。

 

「偽者なら、躊躇なく殺すよ」

「どうぞ、ご自由に」

 

 あやめは刀を心臓に突き立てた。

 一滴の血も垂れず……静かに、靄のように、その姿が消えていった。

 

「…………」

 

 すいせいが瞳孔を開いた。一瞬だけ。

 

「ノエルちゃん、この人たちはどうする?」

 

 あやめがかなた以外に刃を向けた。

 ノエルはあやめに駆け寄る。

 

「流石……。そうだね、取り敢えず拘束して、投獄しとこうか」

「ん、じゃあせめて気絶くらいさせとこうか」

「そうじゃね」

 

 未だノエルの能力で行動制限を掛けられた者たち。

 その処遇が決まった。

 頸のやや上、その辺りを上手く殴り込めば、人を昏倒させる事が可能だ。

 あやめはまず、すいせいの背後へ周り、

 

 バゴン――。

 

「ぅっぶ――ッ‼︎」

 

 次の瞬間、あやめの頬を、一つの鈍器が撃ち抜いた。

 誰も予想だにしない不意打ちに、あやめは防御さえできず、諸に食らった。

 床を跳ね、壁へ激突。

 パラパラと砕けた壁が崩れた。

 

(……あやめちゃん? ぇ、今……団長が……)

 

 今、右腕を振るった。

 メイスが右から左へ動いた。

 殴ったのは間違いなく、ノエルだった。

 

 更に、ノエルの腕が動く。

 メイスがコツンとすいせいにぶつかる。

 同様に、かなた、フレアにも。

 

「はいはいどうも」

「ほえ〜、やっと動ける」

「すいちゃーん! 私も解放してよー!」

 

 一回休み、とはつまり、ノエルが一度干渉するまで休み。

 休みマスに敵を収める事で、強制的にノエルに1ターンを与える事になる。

 

「寸善尺魔」

 

 突如、床が歪み、グニャグニャと変形する。

 立つこともままならない。

 まるで、スライム。

 

「ノエルちゃん! どういう事!」

 

 あやめが額から血を流しつつも、立ち上がった。

 敵もノエルも、そのスライム化した環境で体を拘束した。

 

(よかった。無事だった。これなら最悪、団長がこのままでもいける)

 

 と、ノエルは安堵した。

 しかし、不意打ちとはいえ、あやめにダメージを与えたのは初めてだ。

 あやめも、怪我するんだな……。

 

「なに、これ!」

「気持ち悪い」

 

 畝る床。

 纏わりついて行動を制限されたまま、元の材質へと戻るので、もうどうにも動けない。

 と、思ったら大間違い。

 

 ぐがががが……と、フレアを抑える床が変形し、解放される。

 

 そのまま、すいせいとかなたも。

 

「あんたが最強ね。なるほど、ぽいかも」

 

 すいせいはポケットからルービックキューブを取り出す。

 かと思えば、バラバラに飛び散り、斧を形成した。

 

「フレア、アンタはそろそろ一旦離脱しな」

「あたしがいなくて平気?」

「アンタがいたら計画が狂う可能性が高い。やり方は嫌いだけど、あたしはあいつの指示に従わなきゃいけない。だから行って」

 

 あいつ、とは?

 AZKiか、ぺこらか、それ以外か。

 

「はーい」

「ねえフレアちゃーん! 助けて〜」

 

 アキロゼがまた叫ぶ。

 可哀想に。

 ずっと放置されて。

 

「はいよ」

「ありがとうー!」

 

 壊れた扉からアキロゼが入ってきた。

 アキロゼも、もう一度戦闘態勢に。

 

 アキロゼ、すいせい、かなた。

 いくらあやめとは言え、3人同時は流石に無理があるか。

 ノエルは固唾を飲むことさえできず、やりようのない歯痒さを心に溜めていた。

 

「寸善尺魔」

 

 もう一度、環境に軟化を与える。

 次捕まれば、フレアに助けてもらえない。

 

 すいせいはブロックの上へ、アキロゼは空を蹴って中へ逃げる。

 上空から小さなブロックを飛ばすが、刀で弾かれる。

 虚をついて、背後に回ったアキロゼが強烈な回転蹴りを放つが、それにも対応し、刀をぶつけ相殺。

 寧ろ、接近したアキロゼをスライム化した腕で拘束する。

 無理やり壁に押し付けて、壁に拘束。

 

 しかし、今度は簡単に諦めない。

 足元に転がる瓦礫を、微かに動く足で蹴り飛ばすと、高速であやめの腹に激突する。

 が、柔化し、衝撃を逃す。

 軽く浮き上がったあやめの頭上にブロックが出現し、押し潰す。

 床がぐにゃりと歪んだ。

 あまり感触はない。

 

 スパッ、とブロックが両断され、下からあやめが現れる。

 スライムの弾力をバネに跳躍。しかし、すいせいを一度スルーし天井へ。

 天井も軟化させ、さらに跳ねる。

 天井、床、壁を足場に縦横無尽に跳ね回り翻弄する。

 

 ひゅるる、と粉が舞った。

 

「――――」

 

 目に、鼻に、粉が侵入して染みる。

 涙、鼻水が溢れてくる。

 でも的は定められる。我慢し、あやめはすいせいを標的として刀を振るった。

 

 しかし、あやめの斬撃に合わせて、すいせいは自身を半分に割った。

 刀の通過地点で、自分を分解して回避して見せる。

 勢いに乗ったあやめの腹部に向けて拳を構えると、相手から抉られにきて楽ちん。

 軟化の適応が間に合わず、鳩尾に拳がめり込んだ。

 胃酸が逆流し口から吐き出す。

 ゲロ不味い。

 

 更に、無防備になったあやめ――ではなくその刀に触れる。

 どうせ次の攻撃は軟化で無効化されるのだから。

 

 パラパラ……と、刀がパズルとなって分解され、床に散らばった。

 2本ともだ。

 

(あやめちゃん‼︎)

 

 勢いは収まり、床の上へ真っ逆様に転がるが、スライムとなり、衝撃は発散させたため、負傷はない。

 転がって、受け身を取って、即刻立ち上がると、サッと口元の汚物を拭う。

 

「刀が無くても余は戦える」

「それが?」

 

 すいせいは斧を肩に掛け、コンコンと叩きながら見下ろす。

 

「かなたんに、最強という称号を貰った以上、相手が何人居ようと、簡単には負けれんのんよ」

「――? 僕?」

 

 鬼のような鋭い眼光ですいせいを貫く。

 かなたはキョトンとしていた。

 

 

 再試行。

 あやめは大きく跳躍した。

 コツンと、背後からアキロゼが瓦礫を蹴り飛ばすが、軟化で受け流し。

 しかし正面のすいせいから斧が振り下ろされる。

 だが想定内。

 斧による一撃も軟化で上手く受け流す。

 勢いは殺されて地に落ちるが、意識を逸らすことが目的。

 既に手遅れ。

 

「――ぃ!」

 

 迫っていた天井に捕まり、すいせいは天井に拘束された。

 一度軟化すれば、解除するまではあやめの支配下にある。

 天井に拘束されたすいせいに向かって跳ぶ。

 

 万が一に備え、何も触れぬように拘束した。

 今度は迎撃もできまい。

 

 ザシュッ――と、すいせいの手から零れ落ちた斧が床に突き刺さる。

 

夢魘(むえん)

 

 右腕をスライムに変化させ、すいせいの呼吸器を覆った。

 

「ッッッ! ッ! ッ――――‼︎」

 

 殺しはしない。

 酸素の供給不足で気絶するまでだ。

 バタバタと踠くが、何もできない。

 暴れるだけ早く、酸素を消費する。

 酸素が減れば、思考力も薄れる。

 ますます打開策は消えゆく。

 

 すいせいの瞳の色が褪せ、遥か遠方を――虚空を見つめ始めた。

 こいつが1番厄介だから、コイツさえ、押さえれば勝てる。

 

 勝利を確信した事が招いたのか――。

 

「っん⁉︎」

(あやめちゃん‼︎ 誰⁉︎)

 

 全ての能力が解除され、力が抜ける。

 能力を基盤に天井へ張り付いていたあやめは、ポロリと床に落下した。

 

「ぇっほ! ゴホッ……っお……ああ……ゲホッ、ゲホッ……」

 

 すいせいが涙と鼻水と唾液を大量に吐き出す。

 ギリギリ、意識を留めた。

 しかも、あやめの能力で拘束され、その能力が解除された今、すいせいは丁度天井の突出した部分に引っかかり、転落せずに済んだ。

 

「すいちゃん、大丈夫?」

「ぶぅぇ……死ぬかと思った……」

「はぁ、ドッペルの消滅を感じたから来てみれば……とんだ最強キャラが居たもんだね」

 

 新たに入室してきたのは、先ほど消滅したAZKi。

 今回ばかりは本体だ。

 

「お前……!」

「しかもまだまだ威勢がいいね」

 

 噛み付きそうな表情に笑って返す。

 

「フレアちゃんは?」

「早めに退かせた」

「うん、それならいいよ。それより、降りてきたら?」

 

 すいせいと話しながらも、視線はあやめに釘付け。

 

「手がつかないから無理なんだってば!」

「もう……おっちょこちょいだなぁ。アキちゃん」

「はいはーい」

 

 アキロゼが瓦礫を蹴ると、床とほぼ垂直に蹴り上がる。

 すいせいを拘束する天井に衝突し、割れる。

 

「んよっ、と」

 

 落下に合わせてブロックを生み出し、着地。

 

「しかしまあ、アキちゃんとすいちゃんを同時に相手するなんてね」

「――!」

「準最強、かな?」

「――! ――‼︎」

「…………おい」

「…………」

 

(――?)

 

 すいせいが珍しい怒り方をした。

 AZKiもしばし沈黙した。

 

「ごめんごめん。それで……お、ノエルちゃん、は……あー、なるほどね」

 

 動けないノエルを周辺視野で捕らえて、状況を察した。

 

「みんなを拘束しといて」

「ここに?」

「運ぶの大変でしょ。早いけど順番にやるよ」

 

 AZKiの指示でポケットからブロック――否、パズル化した枷を取り出して、わため、ラミィ、ノエル、マリン、スバル、ちょこ、あやめを拘束した。

 真っ先にAZKiはあやめを連れて部屋を出ていく。

 その間ですいせいは、アキロゼを拘束する壁をパズル化して解放させた。

 

「見張りお願い」

「はいはい」

 

 あやめは終始眼光を鋭くし、喉元に噛み付く勢いだったが、能力は使わなかった。

 きっと使えなかったのだ。

 

 

 

 そんな風に、数分おきに1人ずつ室外へ連れて行かれた。

 

 

 





 登場キャラ設定プロフィール12

 「天音かなた」
 所属と役職……シエロソニード、王
 能力……コナコナの実
 能力名の由来……名探偵のアニメ
 出身……シエロソニード
 好きな物……探偵、笑い声、歌
 嫌いな物……酒、嘘、いちご、ツナ

 「不知火フレア」
 能力……ホネホネの実
 能力名の由来……サンズ
 出身……機械の国アルマ
 好きな物……改造、ロボット、船
 嫌いな物……果物、昔の仕事場

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