ホロメンと悪魔の実   作:炎駒枸

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77話 恋愛事情

 

 トワは城内を回って騎士団の3人を探した。

 その際一度立ち寄った王室の机から、ロッカーの番号一覧を取り出す。

 その紙を持ち出し、ロッカールームへ。

 

「…………」

 

 誰もいない。

 紙面からノエルの名前を探し、番号を確認。

 ノエル用ロッカーに0314と入れると開いた。

 そっと開いてもガチャっと音が鳴る。

 中には……

 

 ポツンと一つの辞表が入っていた。

 封筒にデカデカと『辞表』と達筆に書かれている為、分かり易い。

 署名してから、もう長い時間が経っていると思われる。

 

「……」

 

 開けばバレると思い、開封はせずに扉を閉める。

 閉じるとオートロックが掛かる。

 

 続けてわためのロッカーだ。

 7662と入れれば、同様に開いた。

 

「…………」

 

 4丁の拳銃と、1丁のライフル。

 拳銃は全て造りが異なるようだが、ピカピカで手に取れない。

 そしてキャンディータウン騎士団のバッチ、光り輝く小瓶。

 小瓶には、ルーナ、と書かれていた。

 

「……?」

 

 よく見ると、小瓶の中には何もない。

 ただ虚無が――空気が淡く光り輝いている。

 

「……」

 

 結局目ぼしいものもなく、また扉を閉ざした。

 

 続いてあやめ。

 0996と入力して開錠。

 

「――!」

 

 禍々しい気魄を放つ刀が2本、掛けられていた。

 あやめに刀の良し悪しはある程度聞いたが、それでもトワは素人目。

 そんな眼で見ても、この刀たちは一本数十万で買えるか否かの代物だと一見して分かる。

 刀身が鞘に納められていてるのに、だ。

 

 こんな刀、携る姿すら目にした事がない。

 

「……」

 

 きっと、この城へ来て以降、一度も降ろしてないのだろう。

 手入れは欠かさずされているように見えるが。

 

「……」

 

 あやめ以外では扱えぬ代物だろう。

 トワが借りても宝の持ち腐れ。

 パタンと戸を閉めた。

 

 そして最後、ラミィ。

 1582と番号を選択し開いたロッカーの中――

 

「――はぁ」

 

 無だった。

 ロッカーには何一つ入っていなかった。

 トワと同様に、秘密にする物などなかったか。

 

 ラミィのロッカーを早々に閉じ、もう一度ため息をついた。

 

 気掛かりな物こそ複数あったが、現状で有効に活用できる品はなかった。

 

 幸運にもこの場で人には遭遇せず、そのまま騎士団がいるであろう本命の会議室へ向かった。

 ノックすると、ノエルの返事が返ってきた。

 

「トワやけど、入ってえーか?」

「いいよ」

 

 許可を得て入室すると、会議室には3つの布団が敷いてあった。

 この部屋備え付けの布団だ。

 

「……それは一生使わんと思っとったわ」

「ん、団長も」

 

 仕事が立て込み、泊まり込みを要する場合にのみ使用される備品。

 夜間勤務の人は、大抵が仮眠室を使うため、会議室の布団は押入れの奥に仕舞われる。

 

「もう寝るとこじゃったけど、どうかした?」

「ああ、そりゃ悪かったな。トワたちは船に戻るって伝えにきただけなんだ」

 

 会釈する感覚で右手を上げると、トワはそそくさと退室しようとする。

 

「……」

 

 しかし思い止まった。

 特に話したい事なんて、無いけれど。

 

「……あやめちゃんが敵に回っちまったけど」

「――そうじゃね」

「わためもラミィちゃんも団長も、勝てない」

「――タイマンなら、ね」

 

 最後にラミィが狡賢く笑う。

 既にあやめの対処法は考案したのか、3人は視線を分かち合う。

 

「――はっ、計画作りで夜更かしして、寝坊すんなよ」

 

 3人とは異なる笑いを飛ばして、トワは退室した。

 

 

 

 トワが船に戻ると、ある一室に窮屈にも布団を敷いたりしていた。

 

「全員で寝んのかよ」

「結束力超強化記念」

 

 戻ったトワからの苦言に、マリンはVサインで答える。

 

 まあ、こんな雰囲気で纏まって寝るのは初めてだし、偶にはいいか。

 

 場所の取り合いで騒ぐ一部を放って、マリン、トワ、ポルカは就寝準備と出発準備を進めた。

 明日の朝、騎士団とラプラスの到着直後に出航できるよう備えておかねばならない。

 

 荷物の整理や船の設備の点検などを進めながらポルカがこう呟いた。

 

「船長はさ、みこちの事どう思ってんの?」

「え――! 何急に」

 

 小道具を弄っていたマリンは、ポロリと部品を落としてしまった。

 トワが拾い上げる。

 

「あくたんが仲間入りしてから、あの2人がよく話してるのを見かける」

「そう……ですね、そう言えば」

 

 ポルカはトワ、フブキはおかゆと良くペアでいるため、その余り的な意識で見ていたが。

 

「あの2人多分、そこそこ気が合うんじゃない?」

「と言うと?」

「……直接言わすなよ」

「――?」

「だからさ……みこち、結構ガチなんじゃないの?」

「え……船長に? ないないない! 絶対無いって!」

 

 重要な部分は隠すが、漸くマリンに伝わった。

 かと思えば、まるで拒絶するような仕草で否定する。

 

「それ、みこちの前で言える?」

「いや……それはまた別の話でしょ」

「そう、だけどさ」

 

 みこから定期的にアタックを受けてはいるが、本命ははあとだと思っている。

 ってか、そうあって欲しい。

 みこは可愛いし、面白いし、この世界では強いし、いい人だとは思う。

 けれど、好意を向けられるのは少し違う。これは誰から出会っても同じ。

 それこそ本当の意味で蛙化現象を起こす。

 

「おかゆんはちゃんと、あくたんに本心ぶつけてるみたいだし」

 

 その上であくあはおかゆに近付いている。

 だがマリンは、みこに本心をぶつけた事がない。

 引き延ばし続ける事に利が無いことは、今回身に染みたはずだ。

 

「トワは人を好いた事ないけどさ……みこちにはちゃんと話しとかんと、後々気まずくなるんじゃない?」

「そ、そんな、大袈裟だって……」

 

 トワもポルカも作業を終え、手を止めるマリンの側に立つ。

 

「それよりポルカは好きな人、いんの?」

「明ら様に……」

 

 マリンは作業に戻り、雑に話題を逸らした。

 

「まあ、恋愛的に好きってのはないかな」

 

 マリンをじっと見つめて答えたが、他意はない。

 トワも今し方居ないと明言したし、マリンだっていない。

 

「あくたんもみこちも、羨ましいですねぇ〜」

 

 マリンも作業を終え、腰を上げた。

 一先ず出発準備はほぼ完了。

 後は朝になってからだ。

 

「さて、戻りますか」

 

 もうすっかり深夜。

 甲板へ出ると水面が月光を反射している。

 ほぼ満月だ。

 

 トワが僅かに顔を顰めるが、暗闇では誰にも見えない。

 

「あ、いた」

 

 背後から1人、闇の中に混ざりに来た。

 

「あくたん? どうかした?」

「……ポルカちゃんに話したい事があったから」

「ポルカ? 珍しいじゃん」

「…………」

「――どした?」

 

 普段より言葉の角を丸めるが、あくあは一向に本題に入らない。

 いや、それどころか言葉を発さない。

 概形しか見えない闇夜でしばし見つめ合う。

 

「……船長、ちょっと邪魔」

「ぇぇ……」

 

 口を開いたかと思えば突然母に八つ当たり。

 反抗期って怖い。

 

「ぉ、ぉぉ……娘よ、優しさをどこに忘れてきたんだ……」

 

 年老いたように声を震わすが、あくあは無視する。

 泣けてきたぜ。

 

「慰めたるから、トワたちは戻ろう」

「うう……」

 

 泣き真似をしながらあくあの傍を通るが、無反応だったので途中でケロリと開き直る。

 2人の入室を確認し、あくあは数秒待つ。

 そして、

 

「ポルカちゃんの事をずっと疑ってたし、陰で色々言ってたの。ごめんなさい」

「――態々謝りに来たのか」

「おかゆを想ってではあるけど、喧嘩腰だったし。それに結局はポルカちゃんに助けられた。だから、その……うん」

 

 次第に声に覇気がなくなる。

 多分頬を染めていることだろう。

 

 口にしなければ気にせず流れた事だ。

 それでもきちんと謝罪に来る所は、本当に人として、よく出来ている。

 

 ころねと言う想い人がいなければ、おかゆも惚れていたのではなかろうか?

 

「それだけ……!」

 

 あくあは踵を返し、部屋に戻った。

 

「――――」

 

 少し間を空けて、ポルカも部屋に帰った。

 

 





 皆様どうも、作者でございます。
 あと少しで洗脳討伐作戦編が始まるので、諄いけどお付き合いください。

 いやーしかし……恋愛はどう転ぶか分からないものですよね、多分。
 因みに私のホロメンへの初恋はおかゆんです。
 今は全員だけど。

 そして似合う能力という例のアレ、いきます。
 そらちゃん……ヒトヒトの実「幻獣種 モデル大仏」
 ロボ子さん……ガチャガチャの実
 あずきち……ウタウタの実
 お嬢……ノロノロの実
 団長……オリオリの実
 ぺこら……ラキラキの実
 フレア……メラメラの実
 わため……ヒソヒソの実
 ラミちゃん……ユキユキの実
 ラプちゃん……ペトペトの実
 風真……カマカマの実
 です。

 以上!
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