迷宮都市にて咲く菖蒲   作:にがりって…美味しいよね。

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邪悪胎動
異世界転生(リィンカーネーション)


 

 

 

 

 

目が覚める。

身体が…重い。

昔、武家甲冑を着たことはあるが、それに近い感覚だ。

 

 

怠け者な身体を無視して起き上がる。

目に映るのは教会と思しき建物の内観。

 

 

しかし所々崩れ、暫く人も立ち寄っていないのか寂れている。

規模も小さいようだ。

 

 

立ち上がり、少し歩くと違和感がある。腰に、長剣がぶら下げてあった。厳密には鞘もセットでだが。

 

 

自分が寝ていた傍には盾と思しき残骸が転がっている。

少し屈んで、その残骸に触れた。

 

 

そして、光の粒になって私の中へ消えた。

同じく、長剣も触れると光になって消えた。

しかも身体が揺れた。

耳鳴りもする。呻きつつ一歩、二歩とよろめく。

 

 

危うく倒れる所だったが、なんとか姿勢を持ち直した。

そんな時、腹の虫が鳴った。

 

 

私はここがどこかも分からず、己が何者かも知らぬまま、教会の外へ出た。

 

 

外に出て最初に見た物は空だった。

暗雲立ち込める暗い空。

 

 

辺りを見回すと街の規模と活気に差があることがわかる。

広く整備された街だが、かなりの建物が崩れ、かと言って皆が復興に向けて動き回っている訳でもない。

なんせ、今も遠くで炎が見える。

 

 

“怯えた街”という印象だった。

本来は、“こう”ではないのだろう。

 

 

もっと活気があるはずだ、人々の笑顔に溢れているはずだ。

そう思いつつ、歩く。

 

 

目指すのは街の中心。あの天高く聳える塔だ。

今の自分は来歴すら分からない。

 

 

最後にいたのは病院のベットのはずが、目覚めたら教会にいるという不思議現象だ。

 

 

周囲の建築様式からすわ中世かと思ったが、中世にあんな塔はないし、態々建造する酔狂な国もいないだろう。

 

 

故に、あの塔にこそここがどこかを知る手がかりがあると思ったのだ。不思議と、死に際の夢とは思わなかった。

 

 

歩いていて気づいたが、そもそも病院で寝ていた自分の身体とは骨格が違う。もっと言えば性別も違う。

 

 

なんというか…転生、というやつだろうか。しかもTS付きの。

軽い頭痛を感じ頭を手で押さえる。

 

 

なんというかあの天を衝く塔までの距離が縮まってる気がしないんだが…

そう思い呆然としながらため息をつく。

 

 

私の意識は再度鳴った腹の虫を最後に、途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハロー、グッモーニン。

しかし…どこだここ。

 

 

 

「目が、覚めましたか?」

 

 

 

はい!目も覚めました!バッチリです!

そして、目が覚めると目の前にいたのは、女神でした。

 

 

 

 

 

 

 

冗談で言ったつもりだったのだが、比喩表現抜きに彼女は女神だった。

全知零能となってまで、下界に未知を見出そうとした者達。

超越存在(デウスデア)。有り体に言えば本物の“神様”だった。

 

 

そしてそんな神達の中で、正義を掲げる者…

それこそが、女神アストレア。

 

 

そして、何故かそんな善神に介抱されていたらしい。私。

女神アストレア本人に聞いても埒が明かないと思い眷属(ファミリア)の方々に聞くと何故か許された。

 

 

不敬だとか言われなくて良かったが、一つ、いや二つ、三つ、もっとか…良くないニュースが飛び込んできた。

 

 

まず“この世界”について。

 

 

 

“ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか”

 

 

 

英雄に憧れた少年“ベル・クラネル”が炉の女神“ヘスティア”の眷属となって迷宮都市オラリオにて英雄を目指す。そんな冒険系ファンタジーだ。

 

 

私はその世界に転生した、らしい。

数々の単語が一致している。

可能性は高い。

 

 

そして今は原作開始7年前。

前日譚アストレア・レコードの舞台だ。

 

 

本編に登場するキャラの一人、リュー・リオンの視点からオラリオ最悪の時代“暗黒期”を綴る物語。

だったはずだ。

 

 

何故仮定形なのかと言われれば、私はアストレア・レコードの事を名前しか知らない。

 

 

私はダンまち*1をアニメ三期まで履修したが、アストレア・レコードの内容を知らない。元々がゲームアプリ内のシナリオだというのもあるが…

ダンまち三期が終わる頃には私は既に骨肉腫のステージIVB。末期ガンだった。

 

 

 

…これでどうやって履修しろって言うんですかねぇ!?

 

 

 

2年の闘病の末、死んだ…のだろう。

私が最後に持ってる記憶は2021年9月にあった誕生日の記憶までだ。そこからの記憶は、ない。

享年19…か。

母さんと父さんには、申し訳ない事をした。

とんだ親不孝者だ。

 

 

ただ、命の危険がある世界には、転生したくなかったなぁ…

そうは思いません?神様?いや、目の前にいたわ。

 

 

 

 

アストレア・ファミリアの皆さんと交流していた時にふと、困った事に気づいた。

名前だ。

今の私は自らの顔立ちも分からない。

これでは東洋人なのか西洋人なのかも分からない。

 

 

前世の名前は…名乗りたくなかった。

別段嫌いな名前でもないのだが…

 

 

何故かダンまち世界の言語共通語(コイネー)が喋れた私は、アストレア・ファミリア団長のアリーゼさんに手鏡を貸してもらった。

 

 

そこには、美女がいた。

…こればかりは伊達でも酔狂でも冗談でもない。

TSしたのは、感覚で理解した。

しかし手鏡で確認した今、わかったことだが顔立ちが相当に整っている。

 

 

女神アストレアも美しかったが、匹敵しかねない美貌だった。

 

 

何より、見覚えがあった。

まさか、この人の姿でダンまちに殴り込むことになるとは…

 

 

私はかつて最推しだったカードの名前をそのまま頂戴し、“フルルドリス”と名乗る事にした。

 

 

 

 

Day.1  TAKE1

*1
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかの略





遊戯王の背景ストーリーを知らない方への説明はまた次回。


簡単に言わせてもらえばフルルドリスは遊戯王OCG11期ストーリー最強格のキャラクターです。


どうでしたでしょうか、よろしければ評価・感想よろしくお願いします。

自分で13話を読み返してこの先の展開に繋げるにしても、この締まり方では気持ち悪いと思ったため13話書き直しの可否を確認します。50票ぐらい集まったら締め切ります。

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