迷宮都市にて咲く菖蒲 作:にがりって…美味しいよね。
体は感想を求める。
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感想を頂いた分更に欲しくなる。
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追加分の投稿が遅くなる
以上、御託の時間でした。
序章から逃れても、悲劇は続く。
逃げることは許されない。
さぁ、君たちはどうする?
まず気づいたのは神…『
次いで、高所から見下ろしていた者と、感知能力の高い者。
そして、それ以外も気づいた。
世界の中心とまで呼ばれた都市で業火が舞う。
ある者は絶句し、ある者は「まるで戦争のようだ」と評した。
悪の使徒達は各々悦びに打ち震えていた。
そして、都市南方の一角では…
「あ、ぁぁ…」
一人の少女がいた。動けず、固まり、命が零れ落ちる様をただ見ているエルフの少女がいた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「そっちに行っちゃダメ!こっちへ…」
ぐしゃっ。
一人のヒューマンの悲鳴は、胸をあっさりと貫かれて断末魔になった。
「助けてぇ!冒険者様ぁぁぁ!」
「こっちだ!急げ!都市の中央に向かえばまだ…」
直後、その女性は悪が齎す数多の自爆。その一つに横から呑まれて姿を消した。死体は、ない。
「……くそ…ちくしょぉおおおおおおおお!」
被害は加速度的に増え続け、都市を飲み込む。
少女が炎に呑まれた。商人は瓦礫の下敷きになって息絶えた。
彼ら彼女らが死んだ事に気づく者も、また死んでゆく。
必死に避難誘導を行う彼女ら正義の眷属、【アストレア・ファミリア】は己の無力を憎み、己を叱咤した。
これ以上、誰も死なせてなるものかと。
だが、決意とは裏腹に消える命は増えゆく一方だった。
それを、見て茫然とし、目の前の現実を否定する少女がいる。
その足は、動かない。
「突っ立っているな!間抜けェ!」
その少女の胸ぐらを片手で掴み吠えるヒューマンの少女。
「…か、輝夜…!」
「さっさと剣を
「し、しかし、でもっ、だって…こんな、こんなこと、あっていい筈がない!こんな『地獄絵図』が!」
叱咤の言葉を前にして、それでも動けない。
その目の前に広がるのは、純粋で、清廉な『正義』を信じる少女を前にあまりにも残虐で、非道で、重く、酷な現実だった。
「現実から目を背けるな、たわけぇ!絶望に呑まれ虜になるな、青二才!」
だが、受け入れられないというのは、今ここで足を止める理由足り得ない。
ヒューマンの少女は空色の瞳を正面から睨みつけ、叫ぶ。
「考えるな、動け!戦え!一人でも多くの命を救え!
…フルルドリスは…奴は、死ぬ直前まで止まらなかった!」
瞬間、エルフの少女が激情で呆けた己を吹き飛ばした。
何度も頭に蘇るのは短い間とはいえ、同じ物を掲げた少女。その死の瞬間。
私達を全員脱出させるために、好機まで待ち、己の命すら使い切った。そんな最期の叫び。その最中、彼女が少し泣いた事に。後ろを向いて担がれた
木刀を握り締め、人々を襲う闇派閥を斬り捨てていく。
それでも、『悪の宴』はまだ、始まったばかりだ。
都市の東西南北、全域で鳴り響く剣戟の音。
多くの冒険者が仲間を失い、それでも死ぬまいと戦っていた。
だが、戦況は思わしくない。敵は倒せど倒せど溢れてくる。迎え撃ち、倒しても自爆で相打ちまで持っていかれる。【
状況把握を行う余裕がある冒険者などいなかった。
でたらめに逃げ回る民衆の動きもそれを助長した。
戦場となったオラリオは混乱の極致にある。
反撃も防衛も、誘導も。全てが行き当たりばったりなっていた。
「敵の数が多すぎる…!どこからでも湧いてきやがるぞ!」
「指揮系統が麻痺してる!市民を守ればいいの?!敵を迎え打てばいいの?!」
「知るかよ!知らねぇよ?!どうすればいいんだよ、こんなの!」
急造のパーティーは互いに怒号を交わす。
だが、そんな時
「ーー落ち着きなさい。
女神の澄み渡った声が、混沌に伝播し平静を取り戻させた。
「あ、あんたは…」
「【アストレア・ファミリア】の…」
女神は迷う子供たちに明確な“方針”を与える。
「民衆の避難は『都市中央』に。『盤面』を俯瞰できる者達は必ずそこに集結する。」
誰もがその言葉に耳を傾けた。
「貴方達はどうか、力なき子達のための盾に。ー私の名を以て星の加護を与えます。どうか、耐えて。」
神意に従って冒険者達が動き始める。
民衆も希望を抱いて無謀な動きを止めた。
絶望的な状況が、息を吹き返していく。
戦線を立て直す冒険者達を見て女神『アストレア』は微笑んだ。
そこに新たな神の靴音が鳴る。
「アストレア、無茶をするな。神が護衛も付けずに子供たちの鼓舞なんてーー体を張りすぎだぜ?」
「あら、ヘルメス。高いところから一人状況を見渡していると思ったのに。そういう貴方は、どうしてここにいるの?」
「…オレは女性の味方でね。まして麗しい女神の損失など耐えられそうもない。
…あとは、そうだな。俺も
その言葉からは彼のここに至るまでの行いーー『
そして彼も、護衛も連れていなかった。
「なら、私と同じ。少しでも子供達の背中を押し、命を救う。ヘルメス、
その言葉にさしものヘルメスも難色を示した。
アストレアは更なる戦場に飛び込もうと言うのだ。
ヘルメスは言葉の上では三枚目を演じ、鋭い視線で訴える。
「生憎、オレの子も総動員してる。はっきり言って手が足りない。零能の神
ヘルメスの言う通り、今のオラリオに余力がある【ファミリア】はないと言っていい。
正しく猫の手も借りたい状態の時に戦場に赴くのは自殺行為と言ってよかった。
「そうね。貴方の言う通りよ。ヘルメス。神々は下界で子供達を見守ることしか出来ない。けれど、挺進して、光の道筋を示すことくらいは許されると。」
胸に手を当て、目を瞑り、言葉を一旦切った。
「子供の成長を願うなら、
そう言って新たな戦場へと歩を進める。毅然とした姿勢で道を示すために。
「…ああ、まったく…ちっとも似てないのに貴方は
苦笑して、それから観念したようにアストレアの後を追った。
オラリオの中心に位置する天を衝く魔塔、『バベル』。
その最上階に座する
「冒険者の主戦力を三箇所の拠点に集め、これ以上ない
「戦力不十分。確定されていた後手。都市全域に仕掛けられた『罠』なんて、止められる筈がないわ。」
『盤上』の向こう側に見据える敵はフレイヤを含む美の女神達による
「この盤面を用意した神は、相当に意地が悪く…悪辣。」
多くの神は、静観か、退避していた。
しかし、そんな中で明らかに異常な行動を取っている女神の一柱に、フレイヤは感嘆のため息を漏らした。
「まったく、普段はのんびりしてる癖に…」
そこで部屋に一人の男が駆け込んでくる。
「失礼します!無礼をお許しください!」
彼は敵の物か自らの物か分からぬ血で己を濡らしながら、駆けて来た【フレイヤ・ファミリア】の団員だった。
「闇派閥の破壊行為、止まりません!都市の混乱も収拾が着かず…!どうか
「『バベル』を防衛…いえ、『
その言葉をすかさず届けに走る団員を見届け、燃え盛る都市の景色に視線を戻す。
そこで、フレイヤの顔が興味深い物を見つけた時のソレになる。
彼女の目には白と黒が混ざり合った異質な魂が映っていた。
数秒置いて、もう一度魂の色を見た。
見間違え、では無い。
「フフフ…イレギュラーが英雄へと至ろうとしている、か。」
本来混ざり合わない二者が混ざり合い、まったく新たな形になろうとしていた。
その直後、都市上空に閃雷が迸った。
とても間が空きました。申し訳ありません。
まだ邪悪胎動すら終わっていないのに勝手に燃え尽きていました。
今回は繋ぎ回ですが、これも捻り出したものなのでいつもより数段落ちたクオリティであることをお許しください。
次の回は、恐らくオリジナル要素多めのルリス復活回になる予定です。少しだけお待ちください。
ルリスの涙についても明かす予定です。
それでは最後に、
どうだったでしょうか?
よろしければ、評価・感想よろしくお願いします。
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