迷宮都市にて咲く菖蒲 作:にがりって…美味しいよね。
本を閉じた。18階層の襲撃から3日経った夜遅く。
これでこの書庫に収められた400冊以上の蔵書は全て読み終わってしまった…
前回ギルドに向かった時は冒険者登録だけで終わってしまったが、次向かう時は書類を是非とも閲覧したいものだ。
書庫の外に出て、裏庭まで移動し、大剣を召喚。素振りを行う。更に盾も召喚し、構える。
信じられないことだが、この肉体は『教導の騎士 フルルドリス』のガワだけでなくその経験までもを継承しているらしい。
【
そして、何より私の知らない。2021年9月以降の烙印ストーリー。それをフルルドリスの視点で叩き込まれたこちらとしては18階層に着くまでに相当精神にキた。
魂がかき混ぜられる感覚など二度と味わいたくない。
結果として様々な事がわかったのはまだ良かったが。
この『神器』…堕ちた鎧『クエリティス』の最も有効な活用方法も。そして、そのためには私自身の“格”が足りないこともわかっている。
「ままならないな…こればかりは。」
何とか、相剣師の力…“
まぁ、方法論は後々考えるとして。
夜は更け、日は登り始める。
私は一番目覚めが早いリオンが起きてくるまで、ひたすらに剣を振った。
今日もアストレア・ファミリアは巡回を行っている。が、私はただ一人、ギルド本部にいた。
アストレア様の口利きでギルド内の重要書類の閲覧が許可されたのだった。アストレア様がどこか焦っているような気がしたが…聞くのは躊躇われた。
我々はお互いに隠し事をしているのだから。
ギルド本部の受付で手続きを行う。
あぁ、そういえば…
『正義』とは?
昨日のことだ、リオンが巡回中にそう問われたらしい。
問うた神の名は“エレン”。
私にも前に同じ質問をしたうだつの上がらない男神は、今度はリオンにちょっかいをかけに行ったらしい。
リオンは
「無償に基づく善行。何時如何なる時も揺るがない唯一無二の価値。そして悪を斬り、悪を討つ。ーーそれが私の『正義』だ。」
と答えたらしい。
はっきり言うと崇高に
気高さを否定はしないし、貫き通せば誇り高くもなるだろう。
“正しさとは武器だ。それは、傷つけることはできても、守り救済することはできない。”
という言葉を私は知っている。
もし、世界を“正義”と“悪”、白と黒に無理矢理二分すれば、最も割を食うのはその狭間にいる弱者だ。
故に、彼ら彼女らは
いつか直視するのだとしても、今だけはと囁く甘美な蜜。
そこから出るのは自分の意思であるべきだ。
少なくとも私はそう思う。
などと考えていると手続きが終わったらしい。
書庫へと案内される。
ちなみに滞在時間は昼までに限られる事になっている。警備、機密保持の両観点からもそれ以上は不可との判断が成されたためだ。
要するに
最大限活用すべきだ。
巻かれた一枚の紙を地面に広げる。そう
「さてと…」
椅子に腰掛け、闇派閥の幹部戦力のプロファイリング資料を読み込む。
タナトス・ファミリアのLv.5。ヴァレッタ・グレーテ。二つ名は【
そもそも、奴は
これを軽はずみに伝えられないのが厄介な所だが…
だが、分からない…『顔無し』自身の美的感覚はともかく何らかの意味はあったはずだ。『冒険者狩り』とは別の…
いや、まさか無意味だったのか?本当に?現に、あの日他の層も含め襲撃や不審事があった、という報告は無いようだしな…
ここまで考えさせて何も掴ませないなんて、まさに神算鬼謀だ…な…?神算…?
………この件に
【殺帝】ではなく、神が全てを動かしている可能性は…?
別に有り得ないでもことないだろう。
“ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか”という作品は
眷属が動く舞台に神が関与することに、一体何の不思議があるというのか。原作の
過去8年の被害報告を読み込んでいく。
最近になって工業地区が襲われて…魔石産業への打撃?
そうじゃない。これは前準備だ。
頭の中にある
神ならば、必ず大きな絵を描く。何故なら闇派閥が大きく縮小するだけの“大事”がまだ起きていない。
ならば起こすだろう。大事を。零能なれど、全知たるその力で。
工業地区から奪われたのは魔石製品の『撃鉄装置』…電化製品で言うところの起動スイッチだ。
闇派閥は何らかの仕組みの簡易的な装置。それを大量に欲しているということだろう。簡易で破壊を行える武器。
…爆弾か。
スイッチを押せば誰でも冒険者を殺せるとかそういう代物を用意していそうだ。恩恵を授かっていない信者も含めた人海戦術もまた、奴らの強みなのだから。
更に、闇派閥の物資が途切れない事から一定数、商人の支援者がいることは確実だ。
しかし、資料を見ると8年前暗黒期黎明の時代。商人が闇派閥に協力していた形跡はない。
つまり今回は闇派閥が勝ち、尚且つその後が安定すると踏む商人がいるということだ。
後ろ盾、武器…様々な物が
“決戦は近い”か…
しかし、敵の目的、陣容、計画、展望、全てが分からないままだ。
このままでは先手を譲ることに…
私は更に資料を並べて狙いを探った。
暫くして刻限となり、
その後、私はギルドの長であるノイマンに礼を言ってからホームへ帰った。昼ご飯を食べてからは巡回に参加だ。
何人かとは顔合わせも必要だし、何より情報を集めなけれらばならない。
真上から差し込む光が、影を作る。
その暗い影がこの先を暗示しているようで、目を逸らして
一話丸々ルリス視点でお送りしました。
神エレン…一体何者なんだ…?
実は資料を読む際ルリスは凄まじい荒業をしていたりするのですが、そこまで書くのは蛇足だと思いカットしました。
そして、どんなに資料があっても、核心に近くないのでは本筋には至れない。未来知識も飛び飛びで限定的。
その結果がルリスの推測がもどかしい、あと一歩届かないという所で止まる理由です。
本人が一番悔しがっていますのでお許しください。
それでは最後に。
どうだったでしょうか?
よろしければ評価・感想よろしくお願いします。
(超乞食)
自分で13話を読み返してこの先の展開に繋げるにしても、この締まり方では気持ち悪いと思ったため13話書き直しの可否を確認します。50票ぐらい集まったら締め切ります。
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許可します
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そのままやれ