アサルトリリィ×仮面ライダー GrandPrix of ヘルヴォル 作:黒破リンク
謀略I:「マディック〜新世界。始まる新たなゲーム〜」
ツムリ「仮面ライダーギーツが世界を救い、ギーツこと、出雲英寿様の勝利で幕を閉じたデザイアグランプリ。その功績を讃え、この世界は、彼の理想通りに作り替えられることになりました。
しかしそれは、受け入れ難い世界だったのです!!」
英寿「何やってるんだ?姉さん。」
ツムリ「やめてください、その呼び方。寒気がします…!」
英寿「水臭いこと言うなって。
家族だろ?」
『デザイアグランプリの運営者と家族になっている世界』
英寿は嘆くツムリの隣に座り、『DoNe』と朱印が押されているデザイアカードを見せる。
そしてエレンスゲ女学園の近くにある、和の雰囲気が目立つ一軒家には、ギロリ、ツムリ、英寿の3人が住んでおり、そこで英寿は朝食を食べていた。
英寿「美味い。」
焼き鮭を食べ、そうつぶやく英寿に、ツムリは疑問を投げた。
ツムリ「何故こんな世界を?あなたの目的はなんですか!」
英寿「あのさぁ、家族なんだから敬語はやめろって。」
ツムリ「ギロリさんもなんか言ってください!」
ギロリ「『父さん』、と呼びなさい。」
ツムリ「はぁ…!?」
ギロリ「光栄じゃないか。英寿様と家族になれて。」
英寿「父さんの料理美味いよ。」
ギロリ「ははははっ。」
ツムリ「いつまで続くの…この世界…。」
英寿「俺がデザ神であり続ける限り。つまり一生だな。」
ツムリ「イヤ!!
……ギーツに勝てる仮面ライダーを呼ばないと。」
英寿はふと、思い出したかのように質問を2人に投げた。
英寿「そうそう、デザグラでエントリーされる人間ってどうやって決めてんの?」
と、2人に投げる。
ツムリ「それは……厳正なる審査によって。」
英寿「審査って、誰がやってんの?」
ギロリ「……ゲームマスターだ。」
英寿「……あぁ、あの。
で、ゲームマスターってどういう基準で参加者を決めてんだ?」
ギロリ「それは……我々も知らない。」
ツムリ「何を気にする必要があるんですか?あなたが初めてデザ神になった時に叶えた願いで、どうせあなたの参加は決まっているのに。」
英寿「そらぁ、気にはなるだろ。次のライバルが誰かね。」
エレンスゲ女学園、教導官室──
景和「なんで俺たち呼ばれたんですかね?」
祢音「わかんない。
けど……。」
隼人「けど、なんだ?」
祢音「なんか、大切なことを忘れている気がする……。」
景和「……俺も同じだよ。なんか、頭にモヤが掛かってるみたいで……。」
恋花「確かに……。なんか忘れてるんだよなぁ……。ちょいちょいあるんだよね、思い出せないこと。」
瑤「ボケてるだけなんじゃないの、恋花。」
恋花「そんなわけないって!」
仮伝「……前と同じ。」
藍「……?」
ツムリ「おめでとうございます。今日からあなた達は、仮面ライダーです。」
突然、ヘルヴォルメンバーの背後から声が聞こえた。
皆が振り返ると、そこにはミッションボックス001を持ったツムリと英寿が立っていた。
一葉「仮面……ライダー…?」
仮伝「……。」
仮伝はその手をミッションボックスへと伸ばし、IDコアに触れる。
仮伝「っ………!!!」
IDコアに触れると、消えていた記憶を思い出す。
仮伝「……思い出したわ。」
仮伝が記憶を思い出し、他の全員もまた、記憶を思い出していた。
景和「俺の願い……なんで忘れてたんだろう……。」
恋花「また忘れてたのかー…。そういう時にこれに触ると思い出すんだよなー。」
隼人「……また、デザグラが始まるのか。」
英寿「あぁ。それだけじゃない。紹介頼むぜ、姉さん。」
全員「姉さん!?」
ツムリ「姉さんと呼ばないでください!!
……失礼しました。
今回の第1ゲームは、横浜で行ないます。」
一葉「横浜……ですか。」
ツムリ「はい。
教導官から、こちらの隊服を預かっております。横浜滞在中は、こちらの隊服に着替えていただき、くれぐれも、『エレンスゲ女学園のヘルヴォル』だということを一切明かさずに、第1ゲームを終えてください。」
瑤「身分を明かすなって……どういうこと?」
ツムリ「そちらは分かりません。
エレンスゲ女学園の教導官からのご指示を伝えるように、と言われておりますので。」
道長「わかんねぇのにミッションやれってか。
……面倒だな。」
隼人「大人しく従ってろ、猛牛さんよ。」
道長「うるせぇ。
てめぇからぶっ潰すぞ。」
隼人「おー、怖い怖い。」
ツムリ「身支度を済ませていただき、横浜へお向かいください。」
一葉「……わかりました。
では皆さん、身支度を済ませたら校門で待ち合わせましょう。」
一同は一度解散、そして全員は身支度を済ませて校門前に集まっていた。
バスに乗り、とある話をしていた。
一葉「皆さん、何か違和感を感じませんでしたか?」
祢音「え、なになに、どういうこと?」
一葉「一部の記憶が、綺麗さっぱりなくなっていたことについてですよ。」
景和「確かに……綺麗に自分の願いとデザグラの戦いの時の記憶だけ綺麗に抜け落ちたみたいな感覚になってて……。」
英寿「それは間違っていないな。」
仮伝「私たちプレイヤーは、デザイアグランプリから脱落した場合、理想を願う心と、デザイアグランプリに関する記憶が消えて、普通の生活に戻される。」
藍「りそうをねがうこころ?」
英寿「あぁ。途中で脱落になった時も同じように、記憶を消されて普通の生活に戻る。俺はその光景を何度も見てきたさ。」
仮伝「現に、私たちは最終戦まで残ったけれど敗退して普通の生活に戻った。」
恋花「確かに、気がついたら自分の部屋にいたわ!」
瑤「けど、なんで英寿は失ってなかったの?」
英寿「俺はデザ神だからな。特別措置ってやつだ。」
千香瑠「なるほど……。これで今まで違和感を感じていたことに納得がいきますね。」
景和「そういえば、デザイアカードになんて書きました??」
一葉「私は、前と変わりません。」
藍「らんも同じくー。」
恋花「あたしも。」
瑤「私も変わらない。」
千香瑠「私もです。」
隼人「俺に叶えたい願いは無いからな。」
仮伝「私も変わらずよ。」
祢音「私も一緒。景和は?」
景和「『退場した人達が蘇った世界』。」
英寿「また大きく出たな、タイクーン。」
景和「デザイアグランプリで脱落した人たちだけじゃなくて、今までヒュージ災害で亡くなった人たちも蘇った世界。それを望んでる。」
英寿「なるほどな。」
横浜に着くと、ユウキが待っていた。
ユウキ「お、みんな来たねー!」
一葉「え、どうしてユウキ様がここに?」
ユウキ「ん?どうしてって、私、今回任務に同行しろって言われててさー。ツムちゃんから聞いてこっち来たの!
あ、あとついでに言うと、今回からヘルヴォル所属になったから、よろしくっ!」
笑顔でピースをするユウキ。
藍「つむちゃん?」
ユウキ「うん!ツムリのツムちゃん!我ながらいい呼び名だと思うんだよねー!」
道長「普通だな。」
ユウキ「なんだって!?」
そんなこともあり、一日目は何も無く、夜になった。
──相澤一葉は、夢を見ていた。
一葉『(暗闇、熱……煙の匂い。
また……あの夢…………?)』
??『そんな……!私たちだけで時間を稼げと……!?』
一葉『(……誰?あの装備……エレンスゲのマディック……?でも、私を助けてくれたお姉さんじゃ……ない…………)』
マディック『む、無理ですっ!ここにきてリリィの皆さん抜きであのヒュージの群れに立ち向かうなんて……!』
『──なんだ、あなたもわかってるじゃない?リリィという貴重な戦力を、こんなところで無駄に消耗する訳にはいかないのよ。私達リリィとCHARMの起動もできないマディック──今の戦況において、どちらが殿を務めるべきかなんて考えるまでもないでしょう?』
マディック『し、しかし……!』
『どうせろくに戦えないのだから、最後くらい役に立ってはいかが?』
マディック『っ───!!』
『そうね……踏ん切りがつかないのであれば命を懸ける理由をあげましょう。
──戦場において、エレンスゲに所属するマディックは、最も序列の高いレギオンの命令に従う義務がある。あなたもよく知っているはずよね?であれば……エレンスゲ女学園のトップレギオン、ヘルヴォルの主将として命じます。命を捨てて、私たちリリィの盾となりなさい。』
マディック『っ……………………………!!!
……っ、はい。』
一葉『(だ、ダメっ!行ってしまう……行けば、あの人たちマディックは──っ、どうして……声が、出ないの……?誰か……あの人たちを止めて………!!)』
リリィA『そんなの間違ってる!』
一葉『(……え?)』
リリィA『どうして彼女たちを残して、あたしたちだけ撤退なんですか!?マディックだって戦士ですよね?仲間ですよね?人々と仲間の命を守るために戦うのが、リリィじゃないんですか!?それなのにヘルヴォルが──『楯の乙女』が、先に逃げるんですか!?』
一葉『(この声……あの人は、まさか……?)』
マディック『いくわよ──×××。命令が出たわ。』
一葉『(──!?
どうして……どうして遠ざかっていくの?待って!まだ、私は……)』
目を覚ました一葉は、思わず叫んでしまう。
一葉「っ──あぁぁぁぁっ!?
…………はぁ……はぁ……!今の夢……これまでとは、違う………?(外征に来て、気持ちが高ぶっているのかな……でも……夢の中で、遠くから聞こえたあの声……あの声はやはり、恋花様の──)」
考え事をしてる一葉に、目を覚ました千香瑠が声をかける。隣では隼人と景和が作業をしていた。
千香瑠「一葉ちゃん?こんな時間にどうしたの?」
一葉「あっ……千香瑠様。すみません、起こしてしまいましたか……?」
景和「ううん、気にしないでください。元々早起きして準備してたんで。」
一葉「準備……?」
隼人「あぁ。任務とはいえ、こうして横浜に来たんだから。みんなで海を楽しめるようにって、下ごしらえをしてたんだ。」
一葉「お弁当か何かですか……?
はは……、千香瑠様と隼人様、景和さんにはお世話になりっぱなしですね。」
千香瑠「一葉ちゃん、気分でも悪いの?すごい汗……。」
一葉「いえ、別に大したことじゃないんです。
ただ……。」
少し黙る一葉。
千香瑠は思わず声をかけた。
千香瑠「一葉ちゃん?」
一葉「夢を……見たんです。日の出町の惨劇の……。」
3人「「「──っ!」」」
一葉「でも。おかしいんです。私は『あの場』にはいなかったはずなのに、なぜこのような夢を──……。」
千香瑠「……ごめんなさい。私には、なんのことだか……。」
一葉「そうですよね……。すみません、おかしなことを言って。」
千香瑠「ううん。──待ってて、ホットミルクを作ってあげるわ。」
一葉「……ありがとうございます。」
千香瑠「大丈夫よ。夢は夢だもの。それに、日の出町の惨劇のことは、今のヘルヴォル……一葉ちゃんが気に病むことでもないわ。
──そうでしょう?」
一葉「………はい。ありがとう……ございます……。」
隼人「(日の出町の惨劇……。俺があの事件に巻き込まれて、1人のリリィに救われたあの日……。
……相澤一葉、
……はぁ、なんでこんなこと思い出しちまうんだか。」
景和「隼人さん?どうしました?」
隼人「……なんでもない。」
景和「……?」
DGPルール
ゲームから脱落した者は、デザイアカードに記載した理想を願う心を失う。
次回、謀略II:「マディック〜邂逅、新たなるビート〜」