アサルトリリィ×仮面ライダー GrandPrix of ヘルヴォル 作:黒破リンク
彼女がいかにしてフリーダムに出会い、結婚したのか……
深夜のエレンスゲ女学園の寮の一室──
仮伝「……。」
仮伝の周りにはホログラムディスプレイがあり、それらを操作すると数台の3Dプリンターは稼働し、作業アームは忙しなく動いている。
彼女が今作っているのはデザイアグランプリの運営やG.E.H.E.N.A.の過激派に対抗する為に、仮伝だけのオリジナルレイズバックル。
仮伝がオリジナルのバックルの制作をしていると、コンコンと部屋をノックする音が響く。
仮伝「……。」
仮伝はホログラムディスプレイを消すと、同時に作業していた3Dプリンターは停止すると同時に、3Dプリンターを隠すように幕が降りてくる。
八雲「私です。」
仮伝「……八雲先生ですか。」
訪ねて来た人物は高島八雲であり、仮伝は一旦ホログラムディスプレイを一枚展開して、部屋の扉の前を確認すると確かに仮伝の扉の前を確認してから扉を開けて八雲を部屋に入れる。
仮伝「先生、こんな時間にどうしたんですか?」
八雲「いえ、本当ならもう少し早く行くつもりでしたけど、何故か六本木の郊外まで行ってしまって……。
此処まで戻って来るまでかなり時間が掛かってしまい、こんな時間に。」
仮伝「あぁ…。
その事は母から聞いていましたけど、予想以上の方向音痴ですね…。」
八雲「……それで私が此処に訪ねてきた理由は貴方の母についてです。」
仮伝「私の母?」
仮伝は会話しながら部屋の冷蔵庫からミルクティーと自分用のエナジードリンクを取り出し、ミルクティーを八雲に手渡してからエナジードリンクをプルタブを開けて飲みはじめる。
八雲「えぇ。
……貴方の母親の語説医知と、貴方の父親……語説翼の馴れ初めについて聞きたいんです。」
仮伝「ブブブ!?」
八雲の予想外の訪問理由を聞いた仮伝はビックリして思わず口に含んでいたエナジードリンクを吹き出してしまう。
仮伝「ゲホッ…ゲホッ…。」
八雲「大丈夫ですか?」
八雲は顔色変えずに仮伝が用意したミルクティーを飲む。
仮伝「な、なんでいきなりお父さんとお母さんの馴れ初めを聞きに来たんですか…?」
八雲「いえ、大分前に聞こうと思い、色々と落ち着いているタイミングを探っていたのです。
……そもそも私と医知はリリィだった頃、同じ部隊に配属されていまして。
一緒に戦場を駆けまわって、大人になった今も交流はありますよ。
昔、酒場で食事している時にですね……」
八雲は自身の携帯を取り出して操作する。
医知『やぐも~』
酒が入って居るが仮伝の母親、医知の声が八雲の携帯から聞こえた。
八雲『……何ですか。』
八雲も酒が入って居るのか若干声のトーンが違う。
医知『わたしたちってさ~〜、仕事一筋じゃん~?』
八雲『まぁ…。
……私達…G.E.H.E.N.A.に入ってからは…良く家に…帰らず研究室で寝泊まりしていますからね…。』
医知『そうそう~!
だから~どっかに行って~〜男性との出会いとか~ないじゃん~』
八雲『……そうですね。』
医知『だ~か~ら!宣言します~!
わたしたちは~いっしょ~どくしんをつらぬきとおします〜!!』
八雲『なぜ…私を巻き込むのですか。』
医知『いいじゃん~いいじゃん~
後で~音声おくるねぇ〜』
此処で音声が途切れて八雲は携帯を仕舞う。
八雲「と、酒の席で医知に強引に取り付けられた約束を冗談半分で守っていたんですが…。」
八雲は、懐から正月のハガキを取り出して仮伝に差しだす。
仮伝「……これって…。」
仮伝はそれを受け取ってハガキをみると、仮伝の母親である医知と父親であるフリーダム……語説翼が♡マシマシのデコレーションの写真を載ってあり、そこには『今年結婚します♡』と書かれていた。
仮伝「……八雲先生……此れって………」
八雲「えぇ。お正月の挨拶兼、結婚式の招待状です。
……後で知ったのですが、医知はデザイアグランプリに参加してデザ神になり、願いでデザイアグランプリのサポーターのフリーダムと結ばれたと聞いています。
……それもあって、馴れ初めを聞きに来たのです。」
仮伝「は、はぁ……そうですか……。」
仮伝は手に持っていたハガキを八雲に返す。
仮伝「分かりました。」
仮伝はそう言って仮伝から近い机の引き出しから一般的なUSBメモリの様なシンプルな四角形のメモリーメモリを取り出す。
仮伝「これで両親の馴れ初めを聞いている場面を見せます。
……ただ問題としては…馴れ初めの場面は母からの口伝えで聞いたところですけど……。」
八雲「構いません。」
仮伝「分かりました。」
仮伝はメモリーメモリのスイッチを押す。
『メモリー!』
その後仮伝は自身の頭にメモリーメモリを突き刺すと周りの景色が変わって行く。
2人「「……。」」
2人が目にした光景。
それは、医知が日本酒の一升瓶を持って悪酔いしており、仮伝は悪酔いしている医知に捕まっている場面だった。
医知『ねぇ~仮伝~…!
私とお父さんの馴れ初め~聞きたいだろ~?聞きたいだろ〜!』
仮伝『……。』
不機嫌な顔をしていた仮伝はある場所を見る。
見た先には医知の携帯があり、父であるフリーダム=翼に電話をかけようとしていたが、医知に捕まって居た為に携帯を取る事が出来ずにいた。
仮伝『はぁ~……。』
仮伝はため息をつきながら、気持ちが籠って居ないカタコトな言葉を言った。
仮伝『えっと……オカアサント、オトウサンノナレソメキキタイナー……。』
医知『お!やっと~聞きたくなったな~?』
医知は指で仮伝の頬をぐりぐりと押し付ける。
この場面を見た八雲は少し困惑していた。
八雲「…此れは…?」
仮伝「えっと……すいません。
……お母さんがお父さんとの馴れ初めの話をしている記憶が、これしか無いので…。」
八雲「…そうですか…。
それにしても、相変わらず酒癖は悪いですね。」
仮伝「すいません。母がいつも迷惑かけてます…。」
八雲と仮伝が会話している間にも、過去の記憶は進んでいた。
医知『20代で仕事一筋でさ〜!恋愛のれの字も知らずに過ごしてきたの!
気づいた時には30過ぎててさ?それ自覚したら急に寂しくなってね?
婚活を始めようとしたけどさぁ!半生をリリィと仕事だけで過ごしていたからさ〜……男性との付き合い方を知らなかったの!
どうやって愛を実らすか分からなかった時にデザイアグランプリの招待状が来たんだよね〜。』
仮伝『……デザイアグランプリ?』
仮伝はデザイアグランプリの単語を聞き返した。
なお、この時の仮伝はまだデザイアグランプリのことを知らなかったためこの反応をしている。
仮伝「この時の私はデザイアグランプリを知らなかったので。」
八雲「成程。」
医知『そうだね~』
医知は机の上に置いていたスマホを手に取り何かを検索し始める。
医知が持って居るスマホの画面には漫画の表紙は赤髪の女性はウェディングドレスを着ているが何故かボロボロであった。
仮伝『その……デザイアグランプリ、ってのに優勝してその時に父さんに出会って結婚したの?』
医知『ううん。違うよ?
……ゲームの休憩のタイミングで出会って……そのままあの人が求婚を求めてきたのよ〜!』
仮伝『相変わらず自由な人……。』
医知『まぁ~その後は〜優勝して〜、改めて求婚を受け入れただけ〜。』
仮伝『へぇ~…。』
仮伝が納得したタイミングで周りの景色が歪み出して、歪みが収まる頃には元の仮伝の部屋に戻って居た。
仮伝「……これが両親の馴れ初めです。」
八雲「成程、大体わかりました。」
仮伝「それで他の用事は……?」
八雲「いえ、特にはありませんが……ん?」
八雲の携帯が鳴り響く。
画面には『語説医知』と書かれていた。
八雲「医知…?」
八雲が電話に出ると、医知の声が聞こえてきた。
医知『や〜く〜も〜〜〜!!』
八雲「はぁ…。
……医知、こんな時間になんですか。」
医知『久しぶりに一緒に飲もうよ〜!!』
八雲『結構です。
それよりあなた、もうかなり飲んでるでしょう。』
医知『そ〜だよぉ〜?でも八雲と飲まなきゃ楽しくないよぉ〜!!』
電話越しの医知の声が聞こえたのか、仮伝は八雲の電話越しに声をかける。
仮伝「お母さん、八雲先生に迷惑かけないで。」
医知『あれ〜?仮伝いるの〜?なんで八雲、仮伝と一緒にいるの〜?』
仮伝「ただ先生と話してただけだから。」
医知『も〜〜!!お母さんも混ぜてよぉぉ〜!』
仮伝「あのねぇ、お母さん。お母さんは一応部外者なんだからね?わかってる??」
医知『わかってるよぉ〜!!でも仮伝に会いたいんだもん〜〜!!』
仮伝「……はぁ。
夜遅いんだからお酒は程々にね。」
医知『わかってるよぉ〜!じゃあね〜!』
そう言い、医知は電話を切った。
仮伝「……お母さんがすみません…。」
八雲「大丈夫ですよ。
……あの感じ、仕事で何かありましたね…。」
仮伝「わかるんですか?」
八雲「えぇ。なんとなくですが。」
仮伝「流石ですね……。」
八雲「もうそろそろ消灯の時間ですね。
……仮伝さん、ご無理なさらず。今日はしっかり寝てください。」
仮伝「はい。」
八雲はそのまま仮伝の部屋を出ていく。
扉が閉まり、八雲が居なくなったことを確認した仮伝は、ベッドに座る。
仮伝「八雲先生も、大変だな…。
……眠いし、今日はこの辺で寝るか…。」
END
仮伝の母、医知の過去でした。
次回は、仮伝の前世が明らかに。彼女が前世でどのような生活をして、何があって転生に至ったのか。その経緯が明らかになる。