自己肯定感低めの高2病元ぼっち   作:LSR

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距離を詰められるぼっち

翌日、僕はいつも通り学校に来ていた。

むしろ来ないことがないのだけれども。

その日も表面上はいつも通りに見えていたんだろうと思うけど、内心は昨日のことをまだ考えていた。

覗き防止フィルムでも貼っておくべきだったかな、とか。壁を背にするべきだったよな、とか。

放課後になってもまだ引きずっている。こんな状態では書けるものも書けないから、僕は図書館に行こうと思った。そう決めて下駄箱へと歩いている時、僕は見てしまった。昨日の女性を。

「うわ………いるよ………」

思わず小声でぼやいてしまった。たしかに同じくらいの歳に見えたけどまさか同じ学校だったなんて。これじゃ喫茶店で気まずいどころの話ではない。つくづく自分の迂闊さを呪う。小説を書いて投稿しようなんて思い返せば自己顕示欲から来る行為に思えてくる。そんな欲求はいらない。でも、消そうという気にもならない。楽しめている趣味をやめるなんて、とても。

「あ」

こっちを見た。

「あ」

奴の口が開いた。

僕は目を逸らす。教室に戻ろう。

踵を返して階段を上り、教室の机に戻って中を見る。ノートを一冊、忘れ物でしたという風に鞄に入れて、それからまた下駄箱に。

「ひぇっ」

いた。奴が。

「………」

ふざけるなよなんで着いてきてんだよ見なかったことにしろよそれが人情ってもんだろ泣くぞ。

とにかくスルーだ。スルーすればいい。

「待って」

「あっはい」

声をかけられた上に手首を掴まれた。

くそっこいつ同類じゃないな!?

「話し合いをしたいです」

「………なら、図書館に来てください」

少なくとも、ここで話し合いだけは嫌だった。

 

 

学校にはこじんまりとした図書室しかない。必然的に図書館と言ったら市立の図書館になる。僕と女性、いや女子生徒は図書館のフロアの隅、人気のない閲覧席にいた。

「で、何を話し合おうってんです」

「………私たち、気まずいですよね」

「そりゃそうでしょ。まさか同じ学校だったなんて思わなかった」

「そう。それで私は思ってしまったんです」

「………薄々想像はつくけど、続けて」

「この先もどこかで顔を合わせることになるって」

「そうなんですよねえ………」

喫茶店の趣味が似ている。それ以前に学校も、そして制服の首元を見るに学年も同じ。

「だから気まずいのは同意する。けれど、それで何を話し合うんですか」

「………この際だから、友達になりませんか」

「うへえ」

友達。勘弁してくれ。

「私は貴方の書く小説、好きです」

「う」

「貴方も、直接的に他人の意見を得たくないですか」

「うぐ」

「何より、友人とはっきりしていたほうが精神的に良いと思いませんか」

「うー、あー、ん、そう、思います………」

騎兵隊並みの突撃。そう思った。これは勝てない。

実際、いつ会うかに怯えるよりは友人関係ということにしておいたほうがいいのは確かだ。でも友達、友達か。人生初の友達が同い年の女子ってハードル高くないか。おまけに少なくとも、不細工とは言えない外見だし。

それに小説の感想をくれる人というのも魅力的だ。今まで家族には見せていなかったので、ネットの感想が頼りだったのだ。目に見える形での読者というのもいい。

「………参りました」

「え、将棋ですか?」

「いえ何も……名前を聞いても?」

「あ、うん。志賀菜々子って言います」

「志賀さん、ね。僕は平野綾人です。ええと…よろ、しく?」

「よろしくね、平野くん」

ごく自然に敬語をやめるなよ陽キャか、と僕は考えざるを得なかった。




主人公の名前が某人気声優に似てるのは思いつきの連想元だからです。
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