さぁ、始めようか   作:赤目猫

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お前らなんで補助技知らないんだよ

 

土煙が、ゆっくりと晴れる。

 

フィールドに立っていたのは……リルとロック、両方とも。

 

「……は?」

 

ちょっと待て、アレだけの威力の技を食らっといて、なぜそんなにピンピンしてる?

 

ロックは額から血を流している以外にダメージを受けた様子は無い。

 

額から血?

 

ロックの近くにある岩に、ロックのものであろう血がこびりついている。

 

「まさか、自分で頭打ち付けて無理やり混乱を覚ましたのか?」

 

無理やり覚まして、無理矢理かわした?

可能なのか?そんなことが。

 

「っ、リル!『マジカルリーフ』」

 

リルは何処からともなく現れた葉っぱを念力でロックに打ち付ける。

ロックはその攻撃を、防御体制も取らずに受けた。

 

こうかは ばつぐん だ。

 

だが。

 

「……は?」

 

ロックはピンピンしている。

まるで効いてない。

 

「ふはははは!俺のロックは特別でな!鍛えに鍛えた結果、ピンチになればなるほど、弱点の攻撃が効かなくななるのだ!」

 

なんだそれ、チートかよ。

 

「名付けて、『絶対防御』」

 

そう、タケシは嫌な笑みを浮かべながら言った。

……いやそれならなんで補助技知らないんだよ、矛盾してるだろ。

 

どういう理屈かはわからないが、恐らく御三家の特性『もうか』『しんりょく』『げきりゅう』に近い物。

ピンチになるとタイプ一致技の威力が上がる、に近い。

 

だが、イワークの特性は確か……『がんじょう』だったはず。

 

「さて、そろそろお遊びは、終わりにしようか」

 

そこからは、ロックの独壇場だった。

蹂躙、そんな言葉が似合うほどに、リルは手も足も出せず、敗北。

 

かくして、俺の初のジム戦は惨敗という形で幕を閉じた。

 

ーーーーーーー。

 

 

「んー、アレ、なんなんだろうな」

「正直、手の打ちようが無いですよ、カオル様」

 

ポケモンセンターに戻った俺は、リルとムゥと3人で反省会を行っていた。

情報を手に入れるために試合をしたのに、まともな情報は手に入らなかった。

いや、ロックのあの状態を自分の目で見れただけでも収穫だと思うべき、か?

 

「手の打ちようはあるんだよ、方法は、ないわけじゃない」

 

ただし、その為には火力が足りない。

弱点が効かないなら弱点以外の攻撃でダメージを与えればいい。

だけど、アレだけの防御を超えるほどの火力は、今の俺のパーティでは出せない。

 

「実質詰み……か」

 

こうなったら、近くの野生のポケモン達と戦いまくって、リル達の強さを底上げするしかなくなる。

ただそうなると、かなり時間を食うけど。

 

「『スキル』って言うらしいよ」

 

そんな事を考えていると、後ろから声がした。

振り向かなくてもわかる。

聞き飽きたその声の主。

 

「よう、シオン」

 

双子の片割れ、シオンが俺の後ろに立っていた。

はて、リオンの姿が見えないが。

 

「ほら、お姉ちゃんパワー馬鹿だから、未だにタケシさんに勝ててなくて、もう1週間ぶっ続けで挑んでる」

 

わかっちゃいたけど、バカだよなぁ、ちっちゃい方の姉。

けど、その口ぶりだと、シオンは勝った、ということになるが?

 

「え?うん勝ったよ?一回目で」

 

……は?

一回目で?

いやいや、アレは一回目で勝てるような相手じゃないだろ。

 

「るーちゃん昔から言ってたじゃん、ポケモンバトルで物を言うのは知識と戦略だって、私『スキル』の知識は持ってたもん」

 

持ってた?

何故?

いや、何故、では無いな。

初登場時に本を読んでいたのはリオンだが、その実、シオンはリオンよりも読書家だ。

幼い頃から本を読み込んでいた。

じゃあ俺は?

 

補助技の存在を知っていることに胡座をかいて、余裕をかましていたな。

 

そりゃ、シオンに後手に回るわ。

 

「シオン、交渉だ、俺の持ってる知識と戦略全てと引き換えに、その『スキル』のことを教えてくれ」

 

シオンはその言葉を聞くと満面の笑みを浮かべた。

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