マサラタウンでは、10歳になるとオーキド博士からポケモンを貰うしきたりがある。
これは、ゲームやアニメの設定なのだが、この世界でもそれは変わらないらしい。
クソド田舎のマサラタウンで唯一の観光名所?のオーキド博士の研究所、俺は今そこに……いなかった。
「どちくしょうがぁぁぁああ!!!!」
ではどこに居るのかというと、1番道路で大量のコラッタ&ラッタに追いかけられていた。
マサラタウン周辺のポケモンは比較的大人しい性格をしている。
んなわけあるか、野生動物だぞ?
お前ら野犬に出会った事ねぇだろ、アイツら問答無用で人間に襲いかかって来るからな!!
という状態が今。
いや、訂正、問答無用ではない。
野生動物の代表的な本能と言えば、縄張り意識だ。
コラッタ達の根城に勝手に踏み込んだ俺が悪い。
「っぁ、はぁ、はぁ」
何とか命からがら逃げ出した俺は、木の影で息を整える。
そもそも、なぜ俺が1番道路にいるのかと言うと、だ。
「どうせ実機でも御三家は使ってなかったし、なら自分でポケモン捕まえたいよなぁ」
という理由である。
俺は左手に持った空のモンスターボールを見ながらそう思った。
前世の野生動物にも、分布というものは存在する。
だが、ポケモンはそのほとんどが群れで生活しているのだ。
実機ではコラッタやポッポしかいない、ということはつまり、その親に当たるラッタやピジョン、ピジョットが現実でならいてもおかしくないのだ。
実際初代では序盤で低レベルピジョンを手に入れることもできるわけだしな。
「に、してもだ、これはやや予想外だな」
だが実際外に出てみれば、いたのはポッポやコラッタだけでは無い。
マンキー、オコリザル、オニスズメ、空にはオニドリル、木にはキャタピーやトランセルなど、様々なポケモンがいた。
「選り取りみどりと言えば選り取りみどり、ただ、こんだけいると迷うなぁ」
この中で絞るとしたら、ゲットしたいのはポッポ系統とビードル系統だ。
理由?
最終進化系の見た目が好きだから。
基本的に嫁パ中心でパーティを組んでた俺からすれば、バトルは見た目重視でやりたい。
もちろん、どんなポケモンでも好きではあるのだが。
「ん?」
とりあえず一服と、持っていたジュースを開け、それを飲もうとした時、視界の端に何かが映った。
俺の興味は完全にそっちに移行する。
もし、もし俺の目が正しければ……。
「やっぱり…」
そこには緑のオカッパ頭をした白いワンピースの幼女が、傷だらけで倒れていた。
ーーーーーーーー。
マサラタウン唯一の見所であるオーキド博士の研究所。
俺は現在そこにいた。
「まったく、丸腰で町の外に出るなど、無茶しおって」
と、オーキド博士は呆れたように俺に説教してくる。
しかたない、ポケモンの世界に飛び込むなど、エサが自ら口の中に入り込むような物だ。
実際、旅のトレーナーがポケモンに食い荒らされる事件が毎年起きているくらいなのだから。
「博士、たぶんるーちゃんに何言っても無駄だよー」
そう言いながら俺の横でココアを飲みながら笑う少女シオン。
彼女はこの町に住む子供で、俺の幼馴染。
淡いブルーの髪と、同じくブルーの瞳が特徴の少女だ。
「そうそう、どうせこうなることわかってて回復装置の準備もしてたくせに」
シオンとは反対隣に座る少女、リオンが、雑誌を読みながらそういった。
シオンと同じくこの町に住む少女で、シオンの双子の姉。
淡いレッドの髪と、これまたレッドの瞳が特徴。
シオンとの違いと言えば、背が低いくらいだ。
だが、身長を弄ると殺されかねないので何も言わない。
「うるせぇ、どうせなら自分で捕まえたポケモンと旅してぇだろうが」
「ま、言いたいことはわかるがの」
オーキド博士は苦笑しながら俺達の話を聞く。
「しかし、一体このポケモンはなんじゃろうな、少なくともカントー地方のポケモンではないの」
と、少し困ったように幼女のデータを見ながら博士は呟いた。
傍から見れば完全に事案である。
ともかく、俺はそのポケモンの特徴に覚えがある。
緑のおかっぱ頭、白いワンピース、胸には赤い宝石、本来ならカントー地方に生息しているはずのないポケモン。
『ラルトス』
他の地方でもごく1部1部にしか生息していないエスパー・フェアリータイプの珍しいポケモンだ。
「……頑張れよ、『リル』」
そう呟いた俺の声は、誰にも聞こえなかったようで、皆見たことないポケモンに夢中になってる。
まさか、な。
俺の予想が正しければ、このポケモンはきっと……。