避けられた。
また避けられた。
またまた避けられた。
「なんで避けるの!?」
現在、リルを捕まえる為にリルをボールに入れてる真っ最中。
だがこの幼女、どんだけボール投げても全部避けやがる。
「いや、なんとなく…」
丁寧な言葉使いと、カオル様と敬称で呼ぶくせになんで反抗的なんだよコイツ……。
「はぁ、ちょっと、休憩」
そう言って俺は近くにあったお茶を飲む。
「あ、そうだリル…」
1口飲んで振り返ると、そこにはリルはいなかった。
ただ、リルのいた場所にモンスターボールが……。
…………。
「……っ、あの幼女…やりやがった…」
リルは俺が見てない隙に勝手にボールのボタンを押し、勝手ボールに入り、勝手にゲットされるという行為に出たのだった。
コイツ俺に何か恨みでもあんのかな。
なんにせよ、俺のポケモン初ゲットはモヤモヤする形で終わった。
ーーーーーーー。
「…なんじゃそれは」
ゲットの経緯を聞いたオーキド博士はため息混じりにそう呟いた。
知るか。
んなもん俺が聞きたいわ。
「まぁよい、ほれ、ポケモン図鑑じゃ」
テッテレー、カオルはポケモン図鑑を手に入れた。
…今思ったんだけどさ、俺のポケモン図鑑て俺の手持ち調べれなくね?
だってカントー図鑑だよ?
全国図鑑くれないかなぁ。
いや、リルの存在を知らなかった以上全国図鑑があるかどうかすら怪しいものだけど…。
兎にも角にも、これで旅をする準備は整った。
これで何時でも出発できる。
「でも勿論、そうは問屋が卸さないってか…」
オーキド博士にお礼を言って外に出ると、リオンとシオンが立っていた。
やっぱりあるよなー、旅立ちのバトルイベント。
「選べよカオル、私とシオン、どっちと戦うか」
リオンは不敵な笑みを浮かべてそういった。
はぁ、めんどくせぇ。
「いや、もう2人まとめてかかってこいよ」
「「あ?」」
2人が俺を鋭く睨む。
やばい、可愛い少女二人に睨まれてる。
変なものに目覚めそう。
「上等だよカオル、ぶっ飛ばしてやる!『ヒトカゲ』」
「るーちゃん、私達に喧嘩を売ったこと、後悔しないでね?『ゼニガメ』」
リオンが繰り出したのはヒトカゲ。
そしてシオンはゼニガメ。
ゲームでもお馴染みの博士から一番最初に貰う御三家。
そしてその姿は…。
通常の姿。
「『リル』」
対して俺は人間型のラルトス。
出てきたリルはめんどくせぇと言うような目で俺を見る。
やめろ、俺だってめんどくせぇよ。
だって勝負、最初から見えてるんだもん。
「リオン、シオン、先に言っとく、お前らは今後一切俺に勝負を挑むな」
『ーーっ♡♡♪ーーっ♡♡♪』
辺り一体に可愛らしい叫び声が響き渡り、その衝撃で砂煙が舞う。
その絶大な音量と砂煙でリオンとシオンは耳を塞ぎながら目を閉じた。
声が止み、砂煙が晴れた後、そこに立っていたのはリルだけ。
ヒトカゲ及びゼニガメ、戦闘不能。
何をした、と言われればただ『チャームボイス』を使用しただけ。
ただし、威力は底上げしてるけど。
博士の研究所に入った時から、リルは『瞑想』を積んでいたのだ。
旅に出る。
初代ポケモンにてそれは、ライバルとの戦闘を意味する。
ましてやこの双子だ、必ず仕掛けてくると踏んでいた俺はそう、リルに指示を出していた。
お互いレベル差はなくとも、個体値、ステータスに差がある、高レベルのポケモンには通用しないが、貰ったばかりのレベルの低いポケモンにとってはばくおんぱレベルの衝撃だっただろう。
「はい俺の勝ち、じゃあ俺もう行くからな」
俺はそう言って研究所を後にする。
後ろで2人がなにか喚いていたが知らん。
どうせまた会ったらバトル仕掛けてくるんだから。