さぁ、始めようか   作:赤目猫

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え、まって、幽霊怖い

 

さて、俺は今どこにいるでしょう?

 

 

え?文字じゃわからないって?

ならこの会話を聞けばわかるよ。

 

「カオル様…まさかとは思いますが…迷子ですか?」

「…うん」

「…だから私言ったじゃないですか!!天然の迷路と言われてるならトキワの森に入る前にトキワシティで準備しましょうって!!!」

 

そう、俺は今トキワの森にいる。

トキワシティ?なんだそれ知らん。

 

「だってトキワシティは早く抜けたかったんだもん」

 

理由?

理由は…はは、リオンとシオンだよ…。

旅に出て早3日。

1日1回必ずリオンとシオンと出くわしてはバトルの日々だった。

アイツらストーカーかよ。

 

「はぁ、確かにあの二人はめんどくさいですが、だからと言って…」

「だってだって!!ゲームじゃ一本道だったから余裕だと思ったんだもん、それにトキワの森なら広いし!あの二人を撒けると思ったんだもん!!」

「見た目が幼少だからとダダを捏ねないでください、貴方中身アラサーのオッサンでしょうが」

 

失礼な、27はおっさんではない。

お兄様と呼べ。

 

「…キモっ」

 

俺の事を蔑んだ目で見てくるリル。

ああ、ほんとにそろそろ目覚めては行けない何かに目覚めそうだ。

 

とはいえ、ほんとうにどうしたものか、ゲームじゃ一本道だったトキワの森。

それが現実ともなればもちろん一本道な訳もなく、対して舗装もされてない天然の迷路はあちらこちらに獣道が出来ていて、対策をしなければ簡単に迷子になるレベルだった。

 

せめて方位磁針でも持っていれば、方角に沿って進むだけだったから楽だったろうに。

面倒を避けた結果がこれでは文字通り救いようがない。

 

「…それにしても、妙に霧が濃いな、それに肌寒い」

 

季節は初夏。

そして今は昼間。

暑い、とは言わないまでもそこそこ気温が高くてもおかしくない季節なのにこれだけ寒いのは、木々が太陽を覆っているから、だろうか。

そしてこの霧。

 

この霧こそが、俺達が迷子になっている最大の要因だ。

 

森に入ってすぐは普通に晴れていたのに、奥に進めば進むほど、霧が濃くなっていく。

 

「…この霧、嫌な感じがしますね」

 

そう言ったのはリル。

なんだ?ということはポケモンの仕業か?

となると、ゴーストタイプ。

初代のゴーストタイプと言えば、ゴース、ゴースト、ゲンガー辺りか。

だが、トキワの森でゴーストタイプのポケモンなど聞いたことがない。

 

なんて事を考えながら歩みを進めていると、ソレは俺達の前に姿を現した。

 

「「…洋館?」」

 

目の前に、巨大な洋館が現れた。

え、俺知らないうちにシンオウ地方に来てる?

 

「…カオル様、気付いてました?霧が出てきてから野生のポケモンを見ていないのを」

「いやだ!考えないようにしてたのにやめてっ」

 

そう、森の入口にはスピアーやバタフリー、キャタピーやコクーンなど、様々な虫ポケモンがいたのにも関わらず、霧が出てきてからは1度も遭遇していない。

 

この洋館のせい、なのだろうか。

そう思うとこの霧が洋館から出ているようにも見えてきた。

 

「ゴーストタイプ…で間違いないでしょうね」

 

リルは真剣な目付きでそう言った。

かなり警戒しているようだ、ということは…。

 

「『ヒトガタ』、か」

「恐らく、こちらの存在に恐らく気付いてます、それも、かなりの悪意を持って」

「そうか…」

 

俺はそれだけ呟いて、その場を後にした。

しかし、リルに回り込まれてしまった。

 

「…カオル様?どちらへ?」

「え?あー、トイレ?」

 

カオルは無理やり推し通ろうとした。

しかし念力で押さえ付けられてしまった。

 

「ええいリル!はなせ!ヒトガタのゴーストタイプってことは幽霊だろうが!」

「貴方嫁パにゴーストタイプいたでしょうが!もしかしたらその子かもしれないんですよ!?」

 

そう言われても幽霊は嫌だ。

幽霊は怖い。

 

え、幽霊こわいんだけど。

 

そんな俺の思いとは裏腹に、リルは俺を念力で引きずりながら屋敷の中へ入っていく。

 

「いいいやぁぁあだぁぁぁああ!!!!」

 

俺の悲痛な叫びは誰にも届かなかった。

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