さて、俺は今どこにいるでしょう?
え?文字じゃわからないって?
ならこの会話を聞けばわかるよ。
「カオル様…まさかとは思いますが…迷子ですか?」
「天丼やめろ、読者が読み間違えたかと困るだろう、それに迷子はお前のせいだ、勝手に屋敷に入り込んで勝手に歩き回って、迷子になるのは当たり前だろうが」
答えは、森の洋館の中。
絶賛迷子中。
しかもこの屋敷、見た目以上に中が広く、その上部屋の場所や廊下が勝手に変わる為、俺達には出口がどこにあるのかもうわからない。
だから入るの嫌だったのに、あぁ、幽霊出てきたらやだなぁ。
「天然の迷路の中に人口的な、というかポケモン的な迷路といえのも、中々乙ですね」
「乙ではねぇよ、強いて言うなら鬱だ」
「それはカオル様の感想では?」
あー言えばこー言う、こいつ屋敷に置いて帰ろうかな。
あーほら、ウダウダしてるからまた通路が変化したよ。
「って、あれ?」
「カオル様、どうしました?」
「いや、どうしたっていうか、あれ?」
通路が切り替わった結果、俺達の前に道はなくなり、巨大な扉が現れた。
他の部屋の扉とは明らかに大きさや装飾が違う。
例えるなら…ゲームのボス部屋みたいな。
「っ!?カオル様!この部屋、明らかに異質です、部屋の中から凄まじい殺気が…」
「うんいや、まぁ、多分そうなんだろうけど、なんで急に?展開いきなり過ぎない?待ちくたびれたのかな?」
「おいカオルお前実は幽霊怖くないだろ」
「え?」
なんか急にリルの口が悪くなった。
リルの方を見るとじとーっとこちらを見てる。
…。
「あ、いや、怖いようん怖い、この部屋入るのやだなー」
「…あー、なるほど、そーゆー事ですかそーゆー事ですか、わかりましたよ私、カオル様、この屋敷の存在、最初から知ってましたね」
「……」
うん、ていうか、実は森の外から少しだけ屋根が見えてたからね。
だから知ってた。
知ってて知らない振りした。
もっと言うなら『ヒトガタ』だとリルが言った時点で、ここの屋敷の主も誰なのかわかった。
俺が実機で使用していたゴーストタイプは2体。
内一体はこんな森に住むようなやつでは無いから、間違いなくもう一体の方。
「…リル、悪かった、ちょっとバトルがめんどくさいから逃げようとしてた」
その相手は補助技のエキスパートだ、正直バトルになればめんどくさい。
だからここは避けて後回しにしたかったんだが、霧のせいでこの屋敷に辿り着いてしまった。
いや、多分、森に入った時点で誘い込まれた、のだろう。
「先に言っとく、『あやしいひかり』には気をつけろ」
そう言って俺は意を決して部屋の扉を開ける。
刹那。
部屋の中全体を紫色の光が照らした。
やばい、まずい。
部屋の主がいきなり仕掛けてきた。
リルを見るとふらふらしていて壁に頭を打ち付け始めた。
あやしいひかり、相手のポケモンを混乱状態にする技。
部屋に入った途端に繰り出されたんじゃ注意のしようがない。
俺はリルにキーの実を食べさせようと近づく。
が、その行く手を黒い影で出来た球体が阻む。
「っ、シャドーボールか」
俺は咄嗟にカバンからある物を取り出し、それを床に叩きつける。
すると、辺りが紫色の煙で覆われ始め、瞬く間に視界が悪くなった。
俺はリルの手を引いて部屋を飛び出し、一心不乱に走る。
ただでさえ厄介なヒトガタだ、リルが戦闘出来ない以上、あの場にいるのは危険と判断した。
「……っはぁ、はぁっ」
がむしゃらに走ったせいで息が切れる。
かなりの距離走ったし、ここまで来りゃ大丈夫だろ。
「大丈夫か、リル」
俺は振り返り、手を握りしめていた人物を見る。
「おにーちゃんてば、大胆」
そこには頬を赤らめた紫色のツインテール、髪の毛先はほんのりピンクになっており、灰色のワンピースを着た幼女がいた。
【悲報】、見知らぬ幼女のお兄ちゃんになりました。