さぁ、始めようか   作:赤目猫

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岩の男がもうすぐ出てくるねっ

 

こんな噂がある。

 

ー曰く。

ニビのジムリーダーは不思議な戦い方をする。

ー曰く

イワークの強さが異常だ(ダジャレでは無い)。

ー曰く

いくら何でも硬すぎる。

 

etc.....。

 

俺はそんな噂を、ニビシティのポケモンセンターで耳にした。

 

トキワの森を抜けてから1週間。

俺はジムバトルに向けて情報収集をしていた。

 

シオン&リオンを相手にするのとは訳が違う。

今回やるのは『公式』なポケモンリーグ公認のバトル。

即ち試合だ。

ならば、相手の情報を手に入れるのは必須である。

 

「トキワの森でだいぶ時間喰ったな、まさか3日も彷徨うことになるなんて」

 

トキワの森でムゥを仲間にしてからトキワの森を抜けるまで3日。

だってムゥがトキワの森に住んでる癖に森の内部構造把握してないんだもん。

 

「うひっ、だってボクお屋敷から出たことなかったもーん」

 

こら、その歳で引きこもっちゃいけません。

何歳かは知らないが。

 

「にしても、ニビジムの話、聞けば聞くほどわからないな」

 

イワークが強すぎる、てのは、多分そのイワークはヒトガタだと、思って間違いないだろう。

だが硬すぎる。

これがどうにも腑に落ちない。

 

確かに、岩タイプのポケモンというのは得てして防御面に優れている。

 

だが、大抵の場合弱点でゴリ押せばどうにかなるレベルの種族値のポケモンが多いのだ。

 

にも関わらず。

 

水タイプ、草タイプ、格闘タイプ、鋼タイプ、どの弱点を突いてもまるで効いていないかのように振る舞い、逆転される、とのことだ。

 

「それに、不思議な戦い方って、なんだ?」

 

この噂に関しては、ほんとに情報がない。

恐らく、硬すぎるというのと何か関連があるのだろうが、その中身がわからない以上対処のしようがない。

 

「対処できないってのが、1番怖いよなぁ」

 

この世界のバトルにおいて、いや、この世界に限らず、どんな戦いに置いても言えることだが、最も怖いのは相手の正体が掴めないことだ。

 

姿でも、名前でも、そして戦略、戦術の類でも。

 

正体がわからないということは対処できないということ。

それはつまり、手も足も出せないということだ。

 

「それなら、百聞は一見にしかず、だな、直接自分の目で確かめるか」

 

俺は頭の周りをふよふよ飛んで遊んでいる幼女をボールに戻し、ニビジムへと足を進めた。

 

どうせジム戦は何回でもできるんだから、様子見小手調べの負け戦と行こう。

 

ーーーーー。

 

さて、まずは結論から言わせてもらおう。

 

うん、ジム攻略無理ゲー。

え、何あの化け物イワーク。

いや、この場合イワークが化け物と言うより……。

 

 

ーー遡ること1時間前。

 

俺たちはニビジムの全貌を確かめるべく、現在ニビジム内部で受付をしていた。

 

「解せませんね、ジム攻略の情報収集のために負け前提の試合をするなんて」

「負けを前提にしてるつもりはないさ、目的はあくまでも情報収集だから勝っても負けても構わないって話だ、当然手を抜くつもりなんかない」

 

少し不機嫌そうなリルを宥めながら俺は試合に呼ばれるのを待った。

当然だ、戦うのは、痛い思いをするのはリル達なんだから。

 

「…信じていいんですよね」

「今更だな、信じてくれてるから、ここまで着いてきてくれたんだろ?」

 

リルの真剣な眼差しに、俺も真剣に答える。

普段反抗期だけど、それが信頼の証だってのは充分理解している。

勿論このジム戦だって、俺は勝つつもりだ。

けど、今後のジム戦のことを考えれば、情報は持っていて損はしない。

 

『不思議な戦い方』

 

俺はこの噂が、妙に気になって仕方がなかった。

 

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