天魔がボコされる回です。
目の前にいるのは、僕をこの世界に連れて来た自称神様である。
彼女が言うには僕を転生させたのが自称神様の上司で、
それを譲って貰ったらしい。
知らない間に人が受け渡されてるのだが。
「私の頭はイカれてなんかいませんよ。」
「これには訳があるんです。」
「まず、妖怪の山っていうのは知っていますよね?」
「ああ、知っているね。天狗がいる所だろう?」
「そうですね。今は鬼に支配されているんですけどね。」
「そこの天魔様が凄い怠けていて、仕事をしていないらしいんですよ。
だけどタチが悪いことに“そこそこ”強いからいうこと聞かないんです。
それで、少し懲らしめて来て欲しいって事なんですよ。」
「それを何で貴方が僕に頼むんです?」
「いや、別に私が干渉してもいいんですけど、私はもっと上の神様なので干渉するのは控えるように上司に言われているんですよね。」
「なので、私と関係があってこの世界にいる人物…つまり貴方となった訳です。」
「…という訳で、お願いしますね?」
不味い。このままだと勢いで無理やりやらされそうである。
「ちょっと待て、じゃあこちらからも提案があるんだ。」
「最近麻酔銃の残弾が少ないんだ。補填してくれないか?それで手を打ってあげよう。
ついでにサングラスも。」
こちらも条件無しで受けるわけには行かない。
「そうですね、分かりました。それくらいならやってあげましょう。」
何で上から目線なんだ?
「それじゃあ、お願いしますね〜。あ、妖怪の山は自分で行って下さいね。」
送ってくれないんだ…
あ、意識が遠のく〜
◇◆◇◆
目が覚める。
お願いされてやると言ったのだから、しっかり遂行しなければ。
そうだな…天魔とやらをいい感じに怖がらせるんだっけな…
その時に考えよう。
取り敢えず飛鳥京を出て、妖怪の山へ向かわないとな。
◇◆◇◆
道中はそこまで問題は起きなかった。
弱めの獣に襲われたくらいだ。
そして、妖怪の山に着いた。
作戦はこうだ。まず、隠密行動をしながら山の頂上に行き、天魔の横スレスレに麻酔銃でも撃ち込んでおけば、腰を抜かしてくれるだろう。
未知の武器は、一番恐ろしいものだ。
さあ、ぱぱっと終わらせよう。
◇◆◇◆
終わらなかった。
犬の耳を付けた巡回が多過ぎて動こうに動けない。頂上に近づけば近づくほど、どんどん量が増えていく。
これは、作戦変更だ。
プランB。何つって。
「ふぅ…」
麻酔銃を上に構え、放つ。
火薬の咆哮が周りに轟く。
『何だ!何の音だ!』
『対応しろ!』
今がチャンスだ。
音が響いた方向にどんどん巡回が集まって来る。
この戦法、使える…
名前は、〔巡回ホイホイ〕
安直過ぎるか…
そこからは面白いほどにスムーズに進め、
頂上付近に来た。
周囲に数人の護衛が飛んでいる。
表の扉の護衛を蹴散らし、
天魔を恐怖させ、仕事を終えよう。
幸い、扉の前は一人しかいない様だ。
後ろから忍び寄って殴って気絶させる。
突然の事で声も出なかったらしい。
さあ、どうやって登場しようか。
ドアを蹴破って登場するのがいいだろう。
ドアを蹴破り、拳銃を上に放つ。
「さあ、恐れ慄け。クソ天魔ァ」
部屋の中には
1,2,3,4,5…既に臨戦体制に入っている。
こんなの聞いていない。
天魔が言い放つ。
「恐れ慄くのはお前だよ。」
心の中で舌打ちしながら剣を引き抜く。
まずは一人、下から潜り込んで顎から貫く。
刀を抜き、そいつが座っていた椅子を蹴りその後ろにいたやつを転ばせ、麻酔銃を打ち込み頭を砕く。
机の上から二人ほど斬りかかって来る。
一人の剣を受け流して狼狽える奴の所に突っ込ませ、剣で串刺しにする。
そんな調子で戦っているといつのまにか
残ったのは天魔一人となった。
部下が全員やられた事で狼狽ている様子だった。
そんなのは関係ない。真正面から斬り掛かる。少し手加減して浅く斬った。
そして首筋に剣を突きつける。
「ちょっちょっと待たないか。今なら今ならまだ間に合う。こんな事やめよう。な?」
これは自称神様が僕に頼む理由が分かった気もする。
もしかしたらこいつ、戦った事無いのだろうか。〔箱入り天魔〕と言う事か?
まあ、取り敢えずこれで仕事をする事を約束させて仕事は終わりだ。
「さあ、選べ。ここで首を掻っ切られるか、真面目に仕事をするか。」
「なっ何で仕事…」
「選ぶんだよ。」
「真面目に仕事しますっ だから殺さないで…」
天魔の目がうるうるして来ている。
よし。いい感じに脅かしたし、仕事もする様に言った。
これで仕事は終わりだ。
最後に決め台詞言おう。
「僕はこれから一生、お前が恐れ慄く人間だ。」
いい感じに決め台詞を言い自称神様から貰った転移魔法陣(使い切り)を使い妖怪の山から10km程離れた所に転移する。
疲れた。今日はもうそこら辺で休もう。
その後、天魔の部下が全員倒されたこの事件は
〔天魔事変〕として妖怪の中で話題になり、
霊力を使わない色眼鏡を付けた変わった格好の人間で天狗殺しとして名を広めていった。
◇◆◇◆
私は後悔していた。
こんなことになるなら、あの男に頼むんじゃなかった。
少し怖がらせるだけでいいと言ったのに。
天狗の会議がある事は把握できた事なのに…
この後、天魔は人間を極度に嫌う様になるが、それはまた別の話だ。
◇◆◇◆
その夜寝たら、また白い空間に僕は居た。
「やってくれたわね。」
何の事だろうか。
「天魔様があんなにすぐ怖がった理由は分かる?」
「いいや、分からないね。怖がらせるだけで良いって言ったのは貴方だし。」
「天魔様は本来三千年生きているのよ。だけど、この前三十年ほど前ね。不注意でこけて机に頭を打って記憶喪失になったの。
それで、今回ついでに戦う事で記憶も戻るかと思ったけど…まさか戦う前に恐怖に陥れるって…」
「そんな天魔が記憶喪失になった事なんて知ったこっちゃ無いだろ。
ていうかなんでそんな重要なことを隠していたんだ。」
「いや…貴方が天魔が記憶喪失だって聞いたら、嘗めてかかるかと思って…」
「そんな理由か…」
「ま、まぁ取り敢えず仕事は終わりね。」
「一応お疲れ様」
「一応って何なんだい?一応って」
また意識が遠のく〜
目が覚める
「はぁ…」
とりあえずまた旅するか…
◇◆◇◆
はっ…
私はどうやら寝ていたいだ。
三日前のあの日…
「うっ…」
考えるだけで頭が痛くなってくる。
仕事しに行かないと…
「あ゛っ」
段差にコケる。そしてその先には机の角_
◇◆◇◆
途中に会った村で、今の都はどこか聞いてみると、平城京だと答えられた。
どうやら今は奈良時代に突入したらしい。
少し平城京に行ってみようか。
天魔登場回でした。
公式では男…だったんでしたっけ。
ですがここでは女性です。
次回は奈良時代に突入します。
鎌倉時代まではしばらくかかります。