伝説のモブウマ娘は失った青春を取り戻したい   作:maple sugar

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なんか運営から怒られてしまった。オリ主ってつけてなかったみたいです・・・

モチベーションがあるうちに書いておこう。今度はいつ溜まるかわからないから・・・


変わらない物と時代遅れ

トレーナーが言うにはトレセン学園から迎えの車が来ているらしい。私のミッションは隠密にその迎えの車を探しトレセン学園に向かうことだった。

 

 海外でさんざんメタ〇ギアをやっていた私には簡単なことのはずだ。

 

「まずは段ボールを……」

 

 おっと、段ボールを手持ちに入れるのを忘れていた。だが慌ててはならない、伝説の傭兵となるのだ。

 

 

 

 

「あら、伝説のご帰還はずいぶんと目立つのを嫌うのね」

 

「!」

 

 

 

 

 GAME OVER 

 

 終った。こんなに早く見つかるなんて思わなかった。さようなら1話しか持たなかった私の青春……

 

 しかし、その声は私には懐かしい響きだった。

 

「マ、マルゼンスキー先輩!」

 

「ヤッホー、元気してた~? 脅かしちゃったかしら? めんごめんご」

 

 このウマ娘はマルゼンスキー、私がトレセン学園に入学した時にはすでに中央で大活躍していたウマ娘だ。時代の流れのせいでクラシック路線に参入することはできなかったが彼女も十分三冠ウマ娘の素質を持ったウマ娘である。その強さゆえに彼女は誰とも並走してもらえないほど強かった。私も当時何度ボコボコにされたかわからない。

 

 しかし彼女は唯一の欠点として自分の中の流行の変化があまりにも遅い。いや、というか私がまだ日本にいた時と比べて何も変わっていない。なぜ私が海外にいる間の数年間の間で流行の流れが更新されていないのか誰にもわからない。

 

「もしかして学園からのお迎えって……」

 

「そう、私よ。ケーちゃんが今日帰国するって聞いてタッちゃん飛ばして駆け付けたわ」

 

 そっかぁ、先輩がわざわざ駆けつけてくれるなんて幸せ者だなぁ。

 

「待ってたわよぉ。今じゃあなたは都市伝説扱いだもの。あなたはちゃんといてあの戦績を築き上げたっていうのにひどい話よね」

 

 マルゼン先輩は私の顔を触りながら再会を喜ぶ。そっかぁ、私は今ではトレセン学園の都市伝説になってるんだ。それもそうか、普通に考えてあんなおかしな戦績信じろというほうがおかしいだろう。それは普通の青春を望む私にとってはある意味好都合だった。

 

 そんなことを思いながらトレーナーと一緒にマルゼン先輩の愛車であるタッちゃんが停めてある駐車場にやって来た。あれ? そういえば先輩の車って二人乗りじゃなかっただろうか? 

 

 まさかトランクに? 

 

「トレーナーさんは別で迎えを用意してあるわ。二人っきりで夕日をバックにドライブと行きましょ」

 

 良かった、誘拐された人みたいにトランクに押し込まれるトレーナーは存在しなかった。ウマ娘がそんなことをやったら大問題である。それに時刻はまだ午後より前ちょうどお昼の時間帯だ。何時間ドライブにつき合わせるつもりだろうか。

 

「うふふ、理事長にはあなたのことは丁重にもてなせって言われてるの。今日学園につけばいいんだから久々の日本を満喫したらどう? どこでも連れてってあげる」

 

「でも私最近の日本知らないのでいいとこって言ってもあまり何も思いつかないんですよねぇ」

 

「あら、だったら私が最近の流行にぴったりの場所に連れてってあげる。日本にせっかく帰って来たんだったらまずはザギンでシースーでしょ? それから最近流行ってる老舗のナタデココとかどうかしら?」

 

 あーあ、そうだった先輩に聞いたらこうなるよね。変わってないなぁ。数年前に私が海外に行くときも同じことを言っていた。

 

 私は、先輩の車の助手席に乗り込む。すると、マルゼンスキーは「あっ、そうだ!」と手を叩く

 

「最近新しい広場が出来たの。ほら私ってちょっぴり有名人じゃない? まだ新しいからとってもきれいに整備されているし、あまり人も来ないからとっても走りやすいの」

 

 そういうと、マルゼンスキー先輩も運転席に乗り込む。

 

 

 

「伝説のウマ娘のおもてなしにはそっちのほうがお好みじゃないかしら?」

 

 

 

 その声は先ほどよりも少し楽しそうだった。

 

 ああ、本当に先輩は変わってないなぁ。まるでここにいるのは私と先輩だけで逃げられないという感覚にされたうえで絶対的に負けないという自信があるからこそ出てくる独特の緊張感に捕らわれてしまう。それのせいで彼女とレースするときは自分の実力を全く出せないというウマ娘がたくさんいた。そもそも彼女はそのあまりの速さから最初からレースの集団を突き抜けて結果的に戦略が逃げになってしまうという規格外の逸話がある。

 

 本人は全く気付いていないだろうが、この緊張感がマルゼンスキー先輩が周りのウマ娘に畏怖される原因だと思っている。もちろん私もだ。

 

 優しいところも変わってないが、レースのことになると容赦などしないってところも変わってないということも今ので分かってしまった。

 

「無理ですよ、どれだけブランクがあると思ってるんですか。それに私は伝説とかじゃなくてただのモブウマ娘です」

 

「えー、つれなーい。結構楽しみだったのにー」

 

 どうやら今でもその強さは健在のようだ。あーあ、さすがにもう丸くなったと思ってたのになぁ。もしこの人と一緒にいたら私の経歴が周りにばれてしまうかもしれない。

 

 結局、マルゼン先輩の計らいでお寿司を食べに行くことになった。エンジンをかけたマルゼン先輩にふと疑問に思ったことを聞いてみる。

 

「そういえば先輩って今何してるんですか? お忙しいのに私の迎えにまで来てもらえるなんて……。もしかして、トレセン学園にそのまま就職したとかですか?」

 

「……え?」

 

「え?」

 

「……」「……」

 

「あの……もしかしてですけど、まだがくせ……」

 

「……飛ばすわよ」

 

 その時のマルゼンスキーの声はどこまでも無機質でそしてこれから始まる地獄のドライブの合図でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい、とうちゃーく」

 

 ようやくトレセン学園についた時、そこには助手席で泡を吹いているウマ娘がいた。冗談抜きで死んだおばあちゃんの顔が見えた。走馬灯というやつだ。

 

 忘れていた、マルゼン先輩の運転はとてつもなく荒いのだ。法定速度は守ってるらしいがウマ娘は全力疾走すればその速度など簡単に超えてしまう。それにもかかわらずウマ娘にこれだけの絶叫アトラクションを体験させられるのだからもはや才能である。彼女に運転免許を取らせた教官はよほどの人物だったに違いない。

 

 あまり、寿司を食べないでよかった。調子に乗っておなか一杯になるまで食べていたら私の目指していた普通の青春は社会的な意味で終わったいただろう。

 

「それじゃ、荷物は任せてまずは理事長室に行きなさい。あなたがここにいた時の理事長とは変わってしまっているけれどまあその……びっくりしないであげてね。それじゃあまたね、バイビー」

 

 車を降りてフラフラの私に何やら不安な話をするが理事長室に行けばわかるだろう。千鳥足のような状態で私はトレセン学園の校門に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

トレセン学園の校門に向かうフラフラのウマ娘を車の中でマルゼンスキーはずっと見守っていた。

 

「おかえり、さっそくで悪いが私も乗せてもらえるかな?」

 

「あらルドルフ、モチのロンよ。今とっても気分がいいの、どこへでも飛ばしちゃうわよ」

 

彼女に声をかけた人物はこの学園の現生徒会長シンボリルドルフだった。彼女を乗せたマルゼンスキーはまたエンジンをかけて走り出す。

 

「それで?どうだったんだ?」

 

「どうもこうもないわよ!あの子ったらなーんにも変わってないの。私がちょっとデートに誘おうとしたらすごい顔するんだから!久しぶりにゾクゾクしちゃった。ま、フラれちゃったけど」

 

「そうか・・・それが分かればいいんだ。やはり、ウマ娘はその本能に逆らうことはできないというのは彼女も例外ではなかったようだな」

 

「そうよそれよ!あの子ったら海外でレースも出ないで数年間もなにしてたの?まさか本当に遊んでたんじゃないわよね?」

 

ルドルフはいくつかの資料を取り出す。そこには何人かのウマ娘の写真と経歴が書かれていた。

 

「海外のトレセン学園から留学の希望者が来ていてね。みんな口をそろえて言うんだ「日本のすごいウマ娘に出会った」とな」

 

「それって・・・」

 

「ああ、皆彼女に触発されたらしい。あの強さだ、そうならないほうがおかしいというものだろう。どうやら前理事長が彼女を海外に数年間送った理由が見えてきたな」

 

ルドルフはその資料をカバンの中に入れ直し、走っている車の車窓から、水平線に見える夕日を眺める。

 

「あーあ、かわいそうに。あの子の望む普通のウマ娘の青春は遠のきそうね。あなたもそのつもりはないんでしょう?」

 

「ああ、彼女には私の夢の実現のために手を貸してもらいたいと思っている。それに君のほうこそとてもかわいそうだと思っている声色ではなかったぞ」

 

マルゼンスキーの愛車が夕日をバックに走る。心なしかそのエンジン音も気分がよさそうに聞こえた。

 

 

 

 




のちにレプリケーションはその運転の荒さはクレイジータクシーを思い出させると語った
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