「早く体勢を立て直せ時間が無いのだぞ」
『TSF-TYPE00 武御雷(たけみかづち)』。日本帝国斯衛軍の機体であり、日本帝国斯衛軍どころか帝国軍にすら横浜基地への派兵命令は下りていない。なぜ日本帝国が誇る少数精鋭機がここにいるのか?それは彼女の小隊の任務が関係していた。
「月詠中尉!?」
『白銀武』は彼女達がここにいることに驚いた。
「なにをモタモタしている」
「なんでここに…………」
「我々『第19独立警備小隊』の任務はとある要人の警護だ。警護対象の危機に参陣せぬ訳がなかろう」
「……………」
「それにこれはあの方の願いでもある。」
「!?」
(あの方ってまさか!?)
「まだ理由が欲しいか?」
「いえ、ありがとう御座います月詠中尉」
4機の『武御雷』が果敢に迫り来るBETAを迎え討つ。
「冥夜!」
「あっあぁ…………」
2人が安全圏に入ったと同時に上空から砲弾のシャワーが降り注ぐ
「艦砲射撃が始まった…………」
「月詠…………」
「白銀。御剣よく無事に戻った」
「はい」
「けど、御剣。命令違反のツケはあとでしっかり払ってもらうからね」
「…………了解」
「あとは、あの武御雷達だけど…………」
爆煙の中微かに見える影勢いよく4機の武御雷が出てくる。
「ヴァルキリー2。武御雷です!」
「ブラッド1よりヴァルキリー2。これより我が小隊は横浜HQの指示に従う。データリンクの共有を要請する。」
「ヴァルキリー2よりブラッド1。了解。応援及び部下の救出感謝する」
「状況はどうなってる?」
「今、司令部が作戦を協議中で…………」
「中尉。HQより指示が」
「うん?……………ヴァルキリー2よりホーク1。ここは任せる。」
「どうしたヴァルキリー2」
「我が部隊と『第19独立警備小隊』は別の任務に移る。」
「!?」
「ここの防衛を離れて行う任務だと!?ふざけるな!ここの防衛が最優先だろ」
「すまないけど、我が部隊の特性上内容は明かせない。ただこの任務が現状を打開するのに最適な任務だとHQは判断した。」
「…………」
「悪いけど、頼むわ」
「…………さっさと行け、機体がウジャウジャいて行動が制限されうっとおしく思ってたところだ」
「すまない。感謝する」
「必ず打開してくれよ」
「了解。ヴァルキリーズ、ブラッド小隊移動するぞ!」
「…………了解」
ヴァルキリーズとブラッド小隊はHQの案内のもと地下に降りる。
「速瀬中尉!どういうことです!?」
「それは私から説明するわ」
(夕呼先生が直接オープンチャンネルで!?)
「皆お疲れ様。全員無事でなによりだわ」
「…………」
「移動中も気にしてデータリンクを更新してるだろうからわかってると思うけど、速瀬に任務を伝えて30分が経過。その間の状況は思わしくないわ」
「…………」
「メインゲートを突破され残存する戦術機部隊も基地内に撤退。既にほぼ壊滅状態、おまけに兵士級と戦車級が歩兵部隊と機械化歩兵部隊と交戦に入ったわ。既にメインシャフトにもBETAがなだれ込み、最悪の一歩手前ってところね」
「…………」
「最悪の一歩手前で踏み止まる為の策を考えたから、協力して頂戴」
(この状況を打開する策…………ようやく速瀬中尉以外にも開示されるのか)
「BETAは最下層にある反応炉を目指して侵攻中。その目的は反応炉から活動エネルギーを補給すること。そしてここを再びハイヴに戻すつもりらしいわ、仮にそうなった場合、XG-70や基地施設は破壊され、日本は再び滅亡の危機に晒される事になるわ。逆にそれをここで阻止出来ればその危機は回避出来る。奴等のエネルギーはあと数時間しか保たないはずなのよ」
(数時間って…………霞がリーディングしたのか?この距離なら十分可能なはずだけど、そこまで詳しくわかるものなのか?)
「だけど、残念な事に万単位のBETAを相手にあと数時間耐える戦力は、もうこの基地には残ってない。敵が第3隔壁にまで到達している以上、国連や帝国の増援を待っている余裕すらない。従って現状の最善策は反応炉を停止させることよ」
(反応炉を止めるのか…………そこまで追い詰められてるんだな俺達)
「作戦を説明するわ。独立したBETA機関である反応炉は、司令室から遠隔制御が出来ない。従ってB33フロアの制御室で操作する必要がある。まずB19フロアからオペレーターが出発して数人の護衛と共に保守点検用のラダーでB33フロアにある反応炉制御室を目指す。」
「…………」
「次に『A-01』から2機、作業支援として最下層に向かってもらうわ、この時『凄乃皇・弐型(スサノオ・ニガタ)』の『ムアコック·レヒテ機関』に火を入れるわ、これでメインシャフトの27層リフトゲート………つまり90番格納庫に繋がる隔壁付近に敵は引きつけられるはずよ、その隙にメインシャフト第4と第5隔壁を開けるから、支援機はBETAに構わず一気に反応炉まで降りなさい、メインシャフトの隔壁はすぐに封鎖するけど、BETAの侵入を完全には防げないはず、支援機はオペレーターが到着する前に反応炉を完全確保するのよ?」
(『凄乃皇』を囮に使うのか…………)
「残りの90番格納庫に向かう『A-01』と『第19小隊』は『XG-70』を死守。反応炉を止めるまでは陽動である『ムアコック·レヒテ機関』を止めることは出来ないからね」
(最終的には『00ユニット』である純夏を護れればいいんだろうけど次ある作戦の為にも『凄乃皇』破壊は絶対阻止しなくちゃならねー)
「メインシャフトと格納庫を繋ぐ通路の隔壁は4枚。現在第1と第2隔壁間を充填封鎖中。これが破られたら大量のBETAがなだれ込むはずよ、充填封鎖が完了しても光線級に寄って集められたら15分と保たない、従って反応炉停止作業は迅速に行う必要がある。作業がもたつけばその分全てを危険に曝す事になるからね。という訳で制御室には私が行くから。その方が手っ取り早いからね」
「えっ!?」
通信を聞いていた全員が『香月夕呼』の発言に動揺した。